2017.10.13 ON AIR

まったりとしたルイジアナのR&Bバンド「クッキー&カップケイクス」の楽しさ

Cookie & The Cupcakes/From Louisiana Bayou(P-Vine PCD-2138)
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ON AIR LIST
1.Got You On My Mind/Cookie & The Cupcakes
2.Sea Of Love/Cookie & The Cupcakes
3.Mathilda/Cookie & The Cupcakes
4.Shake Rattle & Roll/Cookie & The Cupcakes
5.I’ve Been So Lonely/Cookie & The Cupcakes

 

 

 

 

さあ、今日はビールかワインでも飲みながらルイジアナのレイドバックした「クッキー&カップケイクス」のグルーヴに体を揺らしてください。
すごく有名なバンドではないんですが、ルイジアナならではのグルーヴに僕は最初から好きになりました。ここには有名な全国区のバンドでは出せないいなたいルイジアナの田舎臭さがあります。
最初の曲は僕もブルーヘヴン時代にカバーして歌ってた曲。
1.Got You On My Mind/Cookie & The Cupcakes

「クッキー&カップケイクス」というバンドの名前がいいですよね。名前からして楽しい。
1953年にルイジアナのレイクチャールズで結成されているんですが、音楽的に言うとケイジャンというルイジアナのフランス系(ルイジアナは昔フランスの植民地だった)の移民の音楽とザディコというアフリカン・アメリカンが演奏する音楽をミックスしたものに、R&Bを入れたものです。ザディコもケイジャンもルイジアナのクラブでダンス・ミュージックとして人気のある音楽でルイジアナのリラックスしたクラブで夜な夜なみんな踊ってます。まあ、ルイジアナそしてニューオリンズ独特の音楽です。

次はレッド・ツェッペリンのVo.ロバート・プラントのソロ・バンドだった「ハニー・ドリッパーズ」やトム・ウェイツ、レゲエのヘプトーンズなどたくさんの人がカバーしている有名な曲で、映画のタイトルにもなってこの曲が重要なキーポイントとして使われてました。アル・パチーノが主演で1989年に公開された”Sea Of Love”
もうベタのあまーいラブ・ソングで、聴いてるのも恥ずかしいくらいの甘さですが、ルイジアナの女性はこういうのがええんでしょうか。
「初めて出会った時のこと覚えてる?君が僕のお気に入りになったあの日のこと。どのくらい君のこと好きか君に言いたい。僕と一緒においでよ愛の海に。どんなに好きか君に言ってあげたい。一緒においでよ愛の海にSea Of Loveに」
2.Sea Of Love/Cookie & The Cupcakes

クッキー&カップケイクスのクッキーさんは、ヴォーカルとサックスなんですが、写真見ると人の良さそうな小太りのおっさんでそのクッキーという名前のように可愛い顔してます。メンバーの写真を見るとやっぱルイジアナのバイユーですから蒸し暑いんでしょうね。みんな開襟シャツ来てめっちゃイナターイです。
そのB級パーティ・バンド的な感じがすごくいいです。彼らには1曲だけヒットした曲がありまして1959年ビルボードチャート47位までいきました。
3.Mathilda/Cookie & The Cupcakes
なんかルイジアナの古いダンスホールで、オシャレして集まった近所の人たちがチークダンスしている光景が目に浮かびます。
ジェリー・リー・ルイスとかファツ・ドミノがニューオリンズでやるコンサートのオープニングをやったり、普段はニューオリンズ近辺のホテルのラウンジとかクラブで演奏してたみたいです。ルイジアナらしいゆるさがどこかにあるバンドなんですが、パーティ・バンドですからお客さんを踊らせなければならないんで次のようなダンス・ナンバーも上手いです。
元々はジャズ・ジャンプ・ブルーズのキング、ビッグ・ジョー・ターナーのヒットです
4.Shake Rattle & Roll/Cookie & The Cupcakes

アメリカのクラブ、とくにちょっと地方のクラブへ行くと長くその店に出ているレギュラーのバンドがいて、やっぱり毎日演奏してるんで演奏は上手いんですよ。観てると何でこの人売れないんやろというミュージシャンなんかいっぱいいます。やっぱりきっかけとかチャンスがないと全米の日の当たるところにはなかなか出れないんですよね。このクッキー&カップケイクスもそんなに売れたバンドではないんですが、僕は最初聴いたときからいいなぁって好きになってもう30年くらい聴いてます。B級なんですけど、地域の人たちに愛されていて、すごく気楽に行けるクラブでいつも演奏してるバンドっていいやないですか。超一流もいいんですけどね。僕はこういうローカル色のあるバンド大好きです。もう一曲。
5.I’ve Been So Lonely/Cookie & The Cupcakes

2017.10.06 ON AIR

70年代メンフィスのソウル・クイーン、アン・ピーブルズのブルージーな歌声

The Best Of Ann Peebles The Hi Records Years(Hi 7243-8-52659-2-1)
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ON AIR LIST
1.I Can’t Stand The Rain/Ann Peebles
2.A Love Vibration/Ann Peebles
3.Part Time Love/Ann Peebles
4.If This Is Heaven/Ann Peebles
5.Walk Away/Ann Peebles

 

 

 

 

この前に74才で素晴らしいアルバムを発表したメンフィスのソウル・シンガー、ドン・ブライアントを聴いてもらいましたが、今日はそのドンの奥さん、メンフィス・ソウルの女王アン・ピーブルズを聴こうと思います。
女性ソウル・シンガーっていうと歌唱力と声量で歌いあげるシンガーを思い浮かべる方も多いと思いますが、アン・ピーブルズは淡々とあっさり味です。でも、あっさりですがダシはすごく聴いています。ブルーズ味のダシがしっかり出ています。ルックスも可愛くてスタイルも黒人女性ソウルシンガーとしてはスレンダーで、日本でもファンは多い方やと思います。
現在は心臓が悪くてもう10年くらいステージに立っていないんですが、彼女が残した70年代のメンフィスのハイレコードの音源はいま聴いても本当に素晴らしくて、こういう女性ソウル・シンガーももういないなぁ・・と思います。
まずは旦那のドン・ブライアントとアンの共作でR&Bチャート6位まで上がり、かのジョン・レノンがこの曲を大好きだと言った彼女の代表曲です。
「I can’t stand the rain against my window/窓を打つ雨に耐えられない
Bringing back sweet memories/その雨音が甘い思い出を蘇らせるから」
と始まるこの歌は自分を残して出ていってしまった彼を想い出す雨の日の失恋の歌です。イントロから印象的です。
1.I Can’t Stand The Rain/Ann Peebles
なんとも印象に残る曲で、曲も素晴らしいんですが、アン・ピーブルズの悲哀に満ちた歌声がいいです。
70年代、彼女が所属していたハイ・レコードにはアル・グリーン、OV.ライト、シル・ジョンソン、オーティス・クレイ、女性コーラスグループのクワエット・エレガンスと素晴らしいシンガーたちがいましたが、その中でもアンは売れっ子で70年代半ばディスコ・ブームが来るまではコンスタントにアルバムをリリースしてました。
僕がいちばん最初にアンの歌を好きになった曲はハイレコードのコンピレーション収録されていた次の一曲。オーバーなアレンジや大げさなところがどこにもなくて、素朴ささえかんじさせる短い曲なんですが、それがたまらなく切ない感じを出しています。これが僕の胸をヒットしてここからアン・ピーブルズのアルバムを探すことになりました。
彼女は例えばアレサ・フランクリンのように音域の広さとか歌のテクニックがすごくあり圧倒的に聴かせるタイプではなくて、さりげなく心のこもった歌を歌う人でしかもどこかブルーズのテイストが漂っている歌手です。
2.A Love Vibration/Ann Peebles

お父さんは教会の牧師さんでお母さんは歌手という環境で小さい頃からお父さんのクワイヤーで歌うというもう歌手になるしかないような血筋と環境です。
小さい頃から「ピーブルズ・クワイヤー」という家族のファミリー・ゴスペルグループで歌ってました。お父さんは牧師さんですけど世俗の音楽であるソウルやブルーズを歌うことに反対しない人だったようで(中にはゴスペルしか歌ってはいけないという牧師さんもいる)、68年にメンフィスのクラブで歌っているところをスカウトされ、今日聴いてもらっているハイ・レコードと契約。翌年にはデビューしてその曲がトップ20位に入ってますから、そんなに苦労しているタイプではないですね。74年にさっきも言いました27才でドン・ブライアンと結婚してます。それからずっと別れることなく43年間「ソウル界のおしどり夫婦」ですから。

次の曲は有名ブルーズのカバーで、アンは声がブルージーなのでこういう歌を歌ってもハマります。オリジナル・シンガーは1963年R&Bチャート1位になったリトル・ジョニー・テイラー。
元々はミディアムスローだったのをハイ・レコード特有の重い8ビートでアレンジしてます。このビートが素晴らしいのでそこも聴いてください。
朝帰りしてくる彼に「どこいってたん?」と訊いても何も答えない。今度この男と別れたら私はパートタイムラブを探すわ。つまり束の間の恋を探す。もうフル・タイムラブはいらないということか。こういう曲が南部のおばちゃんたちにウケるんですよ。これもトップ10位に入ったヒットです。
3.Part Time Love/Ann Peebles
バックのハイレコードのミュージシャンたちの演奏がもう素晴らしいです。

76 年にハイ・レコードの社長のウィリー・ミッチェルが会社の経営権を売ってしまって実質的にハイの時代は終わって、アンも79年には一時引退しました。
でも、88年にカムバックしたんですが2012年心臓が悪くなって完全に引退状態になっています。残念です。本人も歌いたいでしょう。
1977年のハイ・レコードもあまりヒットが出なくなった頃の、これがハイのディスコ寄りの精一杯のダンス・ミュージックだったのかと思います。
4.If This Is Heaven/Ann Peebles
もう一曲。
5.Walk Away/Ann Peebles
「悲しみと涙の毎日 それは私にとって何の価値も意味もない。泣くのはやめて私は立ち上がってここから出ていくわ」

今日は70年代のメンフィスのソウル・クイーン、アン・ピーブルズの”The Best Of Ann Peebles The Hi Records Years”を聴きました。
じわじわと心に沁みる歌を歌う彼女のアルバムをゲットしてこの秋の夜、お酒でもちょっと飲みながらメンフィス・ソウルを楽しんでください。