2018.03.30 ON AIR

60年代ニューオリンズR&Bのパーティソング・マスター Robert Parker

Bare Footin'(Getta Steppin’ 14 dancamatic delights)/Robert Parker (Charly/P-Vine PJ-112)

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ON AIR LIST
1.Bare Footin/Robert Parker(A-1)
2.The Hiccup/Robert Parker(B-3)
3.Give Me The Country Side Of Life/Robert Parker(A-7)
4.Hot ‘N’ Cold/Robert Parker(B-4)
5.Get Right On Down/Robert Parker(B-1)
6.Get Ta Steppin’/Robert Parker(B-2)

ニューオリンズの60年代のR&Bのコンピレーション・アルバムを買うと大抵収録されている”Bare Footin'”というかっこいい、とても印象に残るダンス・ナンバーがあります。
歌っているのはロバート・パーカー。この”Bare Footin'”という曲が大ヒットしたためにロバート・パーカーというと「ああ、ベア・フッティンの人ね」と言われるのですが、実は他にもいい曲がある人なので今日は彼のアルバムを聴いてみようと思います。
今日は踊りながら聴いてください。
まずはその1966年の大ヒット、R&Bチャートで2位、ポップチャートで7位になったこの曲
1.Bare Footin/Robert Parker
この曲はウィルソン・ピケットはじめR&Bとソウル・シンガーたちにカバーされていますが、「靴なんか脱いで、裸足になって踊ろう」という他愛ないダンス・チューンですが、ニューオリンズのR&Bらしいおおらかな感じがしていいですね。

僕はロバート・パーカーをずっと歌手やと思ってたんですが、最初はサックス吹いてたんですね。
ロバート・パーカーは1930年のニューオリンズ生まれで、10代の頃にサックスを吹き始めて、10代の終わり頃にはニューオリンズの音楽シーンに出てきてプロフェッサー・ロングヘアーの”マルディグラ・イン・ニューオリンズ”などのレコーディングにサックスで参加してます。その頃はサックス・プレイヤーとしてニューオリンズでは売れっ子でファッツ・ドミノ、アーマ・トーマス、アール・キングなんかの録音にも参加してます。
59年にRonというレーベルから”All Night Long”という曲でソロ・デビューしました。インスト曲でサックスを吹いています。面白い曲なんですが、そんなにヒットしなくてその後もそれほどのヒットもないまま、Bare Footinで66年にブレイクするわけです。それでどういうきっかけで歌を歌うようになったかはわからないです。このBare Footinの頃の映像ではもうサックスは持ってなくて歌手の顔になってます。
取り立てて歌が上手いというわけではないんですが、なんとも言えないええ味があります。イギリスでもかなり人気がある人で1960年代の後半はイギリスに度々ツアーに出かけてました。

1970年になってSSSというレーベルからニューオリンズ・ファンクな、やっぱりダンス・ナンバーなんですが、The Hiccup(ヒカップ)という曲をリリースします。この曲たぶんバックはニューオリンズのミーターズやと思うのですが、どうでしょう。
2.The Hiccup/Robert Parker
なかなかかっこええ曲やと思うんですが、残念ながらさしてヒットはしませんでした。

彼の70年代に入ってからの曲というのをあまりちゃんと聴いてなかったんですが、今回聴き直したらこれえらいかっこいいんですよ・・70年代に偉大なニューオリンズのプロデューサー、アレンジャー、ピアニストのアレン・トゥーサンが興した「サンスウ・エンタプライズ」からトゥーサンのプロデュースでリリースしたダンス・チューンがこれまたファンキーでかっこええんですよ
曲が始まってすぐにあっニューオリンズ、おっとミーターズってわかるこのグルーヴとサウンドのはっきりした特徴がすごいです。
3.Give Me The Country Side Of Life/Robert Parker
いかにもニューオリンズ・ファンク、いかにもアレン・トゥーサンのプロデュース、いかにもミーターズいう感じでかっこいいんですが、これまためちゃヒットというところまではいかなかったんです。
次の曲は去年亡くなりました偉大なブルーズマン、ジェイムズ・コットンの75年のアルバム「ハイ・エナジー」にも収録されてました。ライヴでもこの曲をやってましたが、あんまりコットンには向いてない感じの曲でやっぱり正直、いまから聴くロバート・パーカーの方がええかなという感じがします。これもいかにもニューオリンズらしい
4.Hot ‘N’ Cold/Robert Parker

例えばファンクと言っても、James Brownのファンクとスライ&ファミリー・ストーンのファンクとこういうニューオリンズのファンクと違うんですが、それを言葉で言い表すのは難しいのですが、ざっくり言うとニューオリンズのものはおおらかな感じがします。James Brownはビートがソリッドで決めのセクションも隙がないとてもタイトなファンクですが、スライのファンクは60年代後半から70年代にかけてのサンフランシスコという土地柄もあって、ピースフルなムードの中にサイケデリックなロックテイストも入ったり、社会性や政治性も含んでとても多様なテイストを感じます。それでこのニューオリンズはこれも土地柄でカリブやインディァンやセカンドラインのゆったりとしたグルーヴが真ん中にどかんとある感じですね。
もちろんシャープな決めもあるんですが、全体が重心が低くておおらかな感じです。

ところでいま気づいたんですが、今日聴いているこのロバート・パーカーのアルバムには一曲もスローの曲がないというダンス・ナンバーに徹底してます。このアルバムはイギリスのチャーリーというレーベルがリリースしたものを日本のP-VineがそのままリリースしたLPレコードで1987年リリースです。すごくいいアルバムでとくにパーティ・アルバムとしてはもってこいなのでもう一回CDでリリースして欲しいですね。

5.Get Right On Down/Robert Parker
やっぱり、南部のファンクの香りがします。
6.Get Ta Steppin’/Robert Parker

今日はニューオリンズのR&Bシーンをアレン・トゥーサンやミーターズと60年代半ばに蘇らせたロバート・パーカーでした。ロバート・パーカーはいまも健在で87才、去年のニューオリンズのジャズ・ヘリテイジのフェスにも出演してます。
このアルバムめちゃいいのでゲットして欲しいし、他のベスト盤もあるんですが、いまほとんど廃盤か売り切れになっているので中古レコード屋さんで根気よく探してみてください。