2018.10.05 ON AIR

自らの原点を再確認した大西ゆかりのソウル・アルバム
“BLACK BOX”

BLACK BOX/大西ユカリ(テイチク TECE-3489)
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ON AIR LIST
1.Precious Precious/大西ユカリ
2.If Loving You Is Wrong I Don’t Want To Be Right/大西ユカリ
3.Clean Up Woman/大西ユカリ
4.Every Little Bit Hurts/大西ユカリ

大西ゆかりさんが大阪の通天閣の通天閣歌謡劇場ですごく人気のあった「大西ユカリショー」をずっと続けてこられてきたのを知って方も多いと思います。当時はバンド名も「大西ユカリと新世界」でした。大阪ではテレビに出られたり、ラジオのパーソナリティもされているのでよく知られていて、現在もラジオ大阪「GO!GO!フライデーショー!」をされています。
僕は昔神戸のソウル・バーで彼女が働いていた頃から知ってるのは知ってるんですが、自分でバンドやってるヴォーカリスト同士はあまり同じステージがないんです。それでユカリさんともちょこちょことコンサートや飲み屋で会うことはあったんですが、あまりじっくり話したこともないままでした。
それが縁あって最近、ちょくちょく大阪でお会いするようになっています。
彼女は2000年以降の「昭和歌謡ブームの先駆け」として全国的に知られていると思います。でもソウルバーで働いていたぐらいですから、元々ソウルが大好きなんです。それで今回自分のルーツ、原点を見直すというのでソウルのカバー・アルバムを6/20にリリースされました。
ON AIRが遅くなりましたが、今日は大西ユカリの新譜”BLACK BOX”を聴きます。
まずはサザンソウル好きの方にはオーティス・クレイやO.Vライトの歌で知ってる方も多いと思いますが、オリジナル・シンガーは、曲も作った女性シンガー、ジャッキー・ムーア、1970年の大ヒットでした。
1.Precious Precious/大西ユカリ

このゆかりさんのアルバムの収録曲を見た時に真っ先に聴いたのが次の”If Loving You Is Wrong I Don’t Want To Be Right”でした。この曲はソウルの名曲のひとつです。ルーサー・イングラムが1972年にR&B1位ポップチャート3位まで記録した曲で、74年にカバーしたミリー・ジャクソンのバージョンはグラミーにノミネートされてました。ロックのロッド・スチュワートも歌っています。
これは不倫ソングなんですが、タイトルは「もし君を愛することがよくないことなら、私はよくはなりたくない」
本人は嫁も子供もおるのに他の女性を好きになってしまったんですね。周りの人たちはみんな反対してるわけです。そんな恋愛やめとけと。彼女もそんな嫁も子供もおる男なんかやめとけ言われてるんですよ。でも、好きなんですね。それは悪いことやと言われてもそれなら自分は悪くていいよという・・うーん、わからないでもないです。
2.If Loving You Is Wrong I Don’t Want To Be Right/大西ユカリ
I Can’t See You When I Want To I’ll See You When I Can(会いたい時に会えないのなら、会える時に会うよ)この一節もたまらんです。
ユカリさんの歌にとても力と思いがあり、僕はアルバムの中でいちばん好きな曲です。

このアルバムは”Mojo Club”の三宅伸治くんがプロデュースで甲本ヒロトくんとか山崎まさよしくんそれからコーラスにズクナシの3人、ベースは僕のソロアルバムをプロデュースしてくれた中村キタローくん、キーボードはこれまたよく知ってる佐々木久美ちゃんとかがゲストに入ってます。
このアルバムには昔のソウルの曲だけでなく、一曲目は若くしてなくなったエイミー・ワインハウスの曲で、2曲目がここ数年話題のパワフルな女性シンガージャネル・モネイの曲で、ユカリさんが新しい音楽にもアンテナを張ってるのがわかります。でも、今日は僕の好きな曲かけさせてもらいます。

次は70年代に活躍して僕もよく聴きましたマイアミのソウルシンガー、ベティ・ライトの72年の大ヒットでよくディスコやソウルバーで聴きました。そのヒットの頃、歌っているベティ・ライトが18才やというんで驚いた覚えがあります。
これ「私達女が捨てた愛を拾って掃除してくれる女。彼女は彼の悩みもすべて取り去って24時間体勢で彼にいっぱい愛を与える。」
簡単に愛を彼を捨てる女がいるけどそれはダメでしょという歌なんでしょうか。
3.Clean Up Woman/大西ユカリ
いいですよね。前から思ってるんですが、ユカリさんはさっき名前の出たミリー・ジャクソンとかいまのベティ・ライトとかジャッキー・ムーアとか日常の男女の歌が似合うと思います。ある意味ちょっと下世話な歌の方が本領発揮するような気がします。

4.Every Little Bit Hurts/大西ユカリ
ユカリさんは普段は日本語のオリジナルの曲だったり、こういうカバーものでも日本語でやられていることが多いと思うのですが、自分の原点というか自分が歌を始めた、自分の心を動かした曲をカバーするのは僕はとても大事だと思ってます。それをこうしてアルバムにしたり、ライヴで歌ったりするのはオリジナルをやるのとはまた別の大変さがあります。でも、ユカリさんが影響受けた曲をカバーすることで、それを聴いてそのオリジナルを聴く人もいると思います。そうして音楽が洋楽まで広がっていくといいなぁと僕は思います。
がんばってくださいって僕が言わんでも充分がんばってはりますが・・。
いつも言うてるんですが、ゆかりさん、飲み屋やってください。ソウル・バーやなくてソウル飲み屋。お願いします!毎晩飲みにいきますわ。