2019.01.25 ON AIR

ローリング・ストーンズが選んだブルーズの名曲たち”Confessin’ The Blues”を聴く vol.1

Confessin’ The Blues (BMG BMGCAT155CD)
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ON AIR LIST
1.Rolling Stone/Muddy Waters
2.Carol/Chuck Berry
3.Little Red Rooster/Howlin’ Wolf
4.The Prodigal Son/Robert Wilkins
5.Ride ‘Em On Down/Eddie Taylor

 
ブルーズを好きなロックバンドはアメリカ、イギリスにはたくさんいるが、今も昔も変らずブルーズに強い愛着を示しているバンドはやはり「ローリング・ストーンズ」が一番でしょう。
一昨年は「ブルー&ロンサム」という全曲ブルーズのカバー・アルバムをリリースしたと思ったら、なんと今度は自分たちでブルーズの曲を選曲、監修したアルバムを出すというブルーズ馬鹿ぶりです。
最初の曲はローリング・ストーンズというバンド名の由来となったマディ・ウォーターズの”Rolling Stone”。今回のアルバムの一曲目に選曲されています。
1950年にマディ35才、シカゴに出てきて7年ほど経った頃の録音。

1.Rolling Stone/Muddy Waters
若き日に共同生活していたロンドンの安アパートで、ミックやキースはどういう気持ちでこのブルーズを聴いたのだろうか。キースとミックは19才くらい、ブライアンは20才ほどだ。
彼らはブルーズという音楽に心酔し、ブルーズを広めるためにローリング・ストーンズというバンドを結成した。いまでは世界で最も有名な現役のスーパー・ロックバンドでオリジナルのヒット曲もたくさんあるが、その初期は黒人のブルーズとR&Bをカバーするバンドだった。
1964年にリリースされた彼らの最初のアルバムはほとんどブルーズとR&Bそしてブルーズから生まれたR&Rのカバーで占められている。そのストーンズのファースト・アルバムでカバーされているのが、次のR&Rの王様チャック・ベリーの曲だ。1958年リリース。
2.Carol/Chuck Berry
60年代中頃、僕は中学生でビートルズとストーンズをラジオで追いかけていた。ビートルズは最初から作詞作曲の才能に恵まれたジョン・レノンとポール・マッカートニーのふたりによってヒット曲が嵐のように生まれた。一方ストーンズの方もオリジナルを出してはいるが、ビートルズほどのヒットではなかった。しかし、ストーンズはカバーのブルーズやR&Bをイギリスのチャートに上げていた。当時の僕はそれがオリジナルか黒人音楽のカバーかということはどうでもよかった。「かっこいい!」かどうかだった。
初期の頃、オリジナルのビッグヒットは出ないものの、ストーンズはそのライヴ・パフォーマンスではビートルズにもひけを取らない魅力的なバンドだった。
64年に次のハウリン・ウルフのブルーズをシングルでリリースしてイギリスではチャート1位を獲得している。こういうブルーズのカバーがチャートの1位を取っているところに当時のイギリスのブルーズの盛り上がりも感じます。
ハウリン・ウルフはマディ・ウォーターズと双璧のブルーズの偉人。Spoonful,Smokestack Lightnin’ Killing Floor,など素晴らしいブルーズを残している。
ストーンズが64年にカバーした”Little Red Rooster”の原曲、ウルフのオリジナルを。
3.Little Red Rooster/Howlin’ Wolf
イギリスのテレビ音楽番組に出演した時のハウリン・ウルフの映像が残っている。その時ウルフを紹介するのがストーンズのブライアン・ジョーンズだったが、そのブライアンが尊敬するブルーズマンのウルフを紹介するMCの嬉しそうな顔がとっても良かった。
次の曲のロバート・ウィルキンスもストーンズが68年リリースの「ベガーズ・バンケット」でカバーしたことで名前を知った。ロバート・ウィルキンスは20年代から30年代に活動していたブルーズマンというより、宗教的な歌を歌ったレヴェレント、牧師です。こういうあまり知られていない古いミュージシャンをストーンズはよく知ってます。
日本語のタイトルは「放蕩息子」
4.The Prodigal Son/Robert Wilkins

ストーンズが選曲したこの”Confessin’ The Blues”というアルバムにはマディ・ウォーターズ4曲、ハウリン・ウルフも4曲選ばれていて、まあシカゴ・ブルーズへのストーンズの傾倒ぶりがわかります。そして、次のエディ・テイラーが二曲選ばれているところが嬉しいですね。二曲ともすごく売れた曲というわけではないのですが、シカゴ・ブルーズのサイドマン、裏方的な録音も多かったエディ・テイラーの代表曲。
5.Ride ‘Em On Down/Eddie Taylor
ハーモニカを吹いているのは南部にいる頃から友達だったジミー・リード。いつもはジミー・リードの録音でエディがギターを弾いているのでこれはエディに対するお返しのようにも思える。高音で吹くハーモニカの音がすごく印象的でいい味つけになってます。

今日はローリング・ストーンズが選曲監修したブルーズ・アルバム「Confessin’ The Blues」を聴きましたが、来週もこの二枚組アルバムからブルーズの名曲を聴きましょう。