2019.03.29 ON AIR

LPレコードで聴くブルーズ名盤

若き日のボブ・ディランも参加している
「Three Kings And The Queen 」(Spivey/DOXY DOY679)

img01

ON AIR LIST
1.Sitting On Top Of The World/Big Joe Williams&Bob Dylan
2.Lake Charles Stomp/Roosevelt Sykes
3.Four Shots Of Gin/Lonnie Johnson
4.Brown Skin/Victoria Spivey
5.Wichita/Big Joe Williams & Bob Dylan
今日聴く「Three Kings And The Queen」というLPレコードは1964年にスピヴィ・レコードからリリースされたもので、いまだにCDにはなっていません。今日用意したのはその原盤ではなくて、ヨーロッパのドクシーというレーベルがそのまま復刻したものです。
元々のスピヴィ・レコードというのは女性ブルーズシンガーのヴィクトリア・スピヴィが主催していたレーベルで1985年くらいまで続いていたんですが、その間にマディ・ウォーターズ、オーティス・スパン、メンフィス・スリムなどを録音しています。
今日のアルバムの「Three Kings And The Queen」の3人の王様というのはピアノのルーズヴェルト・サイクス、そしてギターのロニー・ジョンソン、ビッグ・ジョー・ウィリアムスのことで、女王さまはヴィクトリア・スピヴィのことです。それだけでも大いに期待できるのですが、このアルバムのもうひとつの売り物は若き日のボブ・ディランがビッグ・ジョーのバックでハーモニカとバックコーラスをやっていることです。ディランはビック・ジョーが好きで、まあ追っかけとまではいかないまでもライヴに飛び入りとかもしていたみたいです。
では、まずそのディランがハーモニカとコーラスで参加している曲を聴いてみよう。
1.Sitting On Top Of The World/Big Joe Williams&Bob Dylan
ディランの声聴こえましたか。ハーモニカもいいですね。1962年の録音でこの時ディラン20歳です。ディランがレコード・デビューした年ですね。大好きだったビッグ・ジョーとの録音はすごく嬉しかったでしょうね。

次はいかつい顔のピアノのルーズヴェルト・サイクスで語りとピアノ・ソロでドラムとのデュオです。
ルーズヴェルト・サイクスはブルーズ・ピアノの名手で1929年からレコーディングし始めて70年代の後半まで録音があるから約半世紀レコーディングがあった強者です。
いまだにカバーされている”44 Blues”,”Driving Wheel”Mail Box Blues”とか有名曲も残しています。アーカンソー州に生まれて、セントルイス、シカゴ、それからニューオリンズへと移り住んだサイクスのこの曲はそのニューオリンズの湖の名前がついた曲です。
2.Lake Charles Stomp/Roosevelt Sykes
見事にうねるピアノさばきで素晴らしいグルーヴ感です。ピアノも歌も明るい感じの曲調が多くて聴いていても楽しくなります。アルバムもたくさん出てますのでチェックしてください。ルーズヴェルト・サイクスでした。

次はB.B.キングはじめ多くのギタリストに影響を与えたギター名人のロニー・ジョンソン。この人も1925年から亡くなる70年まで録音がたくさん残っている人で自分のソロだけでなく、ジャズギタリストのエディ・ラングとの共演はじめ歌手のバックで弾いているものをいれるとかなりの録音数になります。
とにかく的確で正確でリズムもばっちり、表現が豊かなギターで名人芸です。映像を見るとかなり楽勝な感じでゆったり弾いているのがむかつきます(笑)
3.Four Shots Of Gin/Lonnie Johnson
あまり気張らないちょっと鼻にかかった歌声もレイドバックしていていいですね、それにしてもギターのグルーヴ感が素晴らしい。

次はこのアルバムのレーベル主宰者でもあるヴィクトリア・スピヴィの歌です。ヴィクトリア・スピヴィは1926年にデビューしてその曲”Black Snake Blues”が大ヒットして30年代終わりくらいまでは盛んに録音していたのですが、1961年にニューヨークでこのアルバムのプロデューサーでもあるレン・クンスタットとスピヴィ・レーベルを設立して自分のも含めてたくさんブルーズを録音しました。
では、ビクトリアがウクレレを弾いて歌っている素朴な歌を聴いてください。
4.Brown Skin/Victoria Spivey
ウクレレで歌われるブルーズは珍しいです。

せっかくボブ・ディランがハーモニカで入っているので、もう一曲ビッグ・ジョーとの曲を聴きましょうか。
こうして振り返ってみるとディランが数年前にブルーズ・アルバムを出したのですが、彼もローリング・ストーンズと同じように最初に好きなったブルーズという音楽をずっと好きでいるんですね。ディランはロバート・ジョンソンのアルバムを初めて聴いたときの衝撃をいろんなインタビューで語ってますが、「ロバート・ジョンソン」聴いて自分でも曲を作ろうと思ったという言葉は忘れられません。だから、このビッグ・ジョー・ウィリアムスと一緒に演奏したことも彼の音楽にたくさんの影響を与えたと思います。
すごくディランがハーモニカでがんばってますよ。聴いてください。
5.Wichita/Big Joe Williams & Bob Dylan

今日は1964年にリリースされた名盤「Three Kings And The Queen」をLPレコードで聴きました。