2019.06.07 ON AIR

変らぬ音楽、変らぬ精神、尊敬するメイヴィス・ステイプル

Mavis Staples / Live in London  (ANTI 7652-2)
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今日は昨年ロンドンのユニオン・チャペルで行われたメイヴィス・ステイプルのライヴ・アルバムです。メイヴィスの80才の誕生日のお祝いでもありました。
ここ数年のメイヴィスのアルバムを主にプロデュースしてきたのは、オルタナロックの人気バンド「ウィルコ」のジェフ・トゥイーディー。
今回のライヴアルバムにはジェフ・トゥーディは参加してませんが、ジェフが作り上げてきたサウンドを踏襲したライヴになってます。
メイヴィスの歌のいいところをジェフはよく知っていて、しかも若い頃のようには声がでなくなっているメイヴィスが歌いやすいようにサウンド作り、アレンジしてきましたが、、それにのっかれるメイヴィスも今年80才なのに素晴らしい。

ギターのリック・ホルムストロームのギターがいいです。音色と弾くフレイズにムダがなく、弾きすぎず、でもテンションの必要なところはテンションを上げる。
アルバムの最初の曲がブルーズっぽいなと思ったらベン・ハーパーの作った曲でした。
いい曲です。
1.Love And Trust /Mavis Staples

僕はすごくファンなのでメイヴィスのツィッターをフォローしているのですが、最近のメイヴィスの活動は80才とは思えない精力的な活動ぶりです。元々、ゴスペル・グループ、ステイプル・シンガーズをお父さんと子どもたちで50年代に始めたときから、ずっと今日までメイヴィスのヒューマンな姿勢は変ってないのですが、ここ数年トランプが大統領になってからの格差社会や差別主義者の台頭にメイヴィスは警告を促す歌を歌っています。

メイヴィスはシカゴに住んでいるのですが、MCでちょっとその話をしてます。ウィンディ・シティと呼ばれるシカゴはハウリン・ウルフやマディ・ウォーターズ、バディ・ガイがいるようにのブルーズのホームだと言ってます。最後にポップス・ステイプル、お父さんの名前を出しています。実はお父さんはゴスペルグループのステイプル・シンガーズを結成する前はブルーズマンでした。
そのお父さんが作ったブルーズです。では、MCからどうぞ
2.What You Gonna Do /Mavis Staples
かってメイヴィスは「私の声は神様に捧げたのでもし声がなくなってもなにも悔いることはない」と語ってました。でも、ここ数年神様はメイヴィスに「もっと歌いなさい」と味方しているように、彼女に歌う力を与えているように思います。
60年代ステイプル・シンガー時代から変らないあらゆる差別と貧困へ反対する彼女の意識とそれを表した彼女の歌。本当に頭が下がるだけでなく、見らなわなくてはいけないことがたくさんあります。

このアルバムは去年の7月にロンドンのユニオン・チャペルという教会でのライヴを収録したものです
次の曲は1965年にブルーズン・ソウル・シンガーのリトル・ミルトンが大ヒットさせた曲です。「家賃を払うのも大変で毎日豆を食べている。仕事を見つけるのも難しい。でも僕たちは愛し合ってるから、僕たちは大丈夫だよ」
60年代公民権運動がアメリカ社会で激しくなっていく時代に黒人たちが「自分たちはお金はないけど大丈夫、一緒にやっていこう」と前向きな気持ちを表した曲です。
3.We’re Gonna Make It /Mavis Staples

最後に僕も昔レコーディングしたことのある曲です。
僕は長い間レコーディングから遠ざかっていた時期がありました。その時に近藤房之助から歌手がひとり一曲ずつ歌う録音の企画があるのだけどやらないかと話をもらいました。その時に選んだのが次の曲で、僕にとってはもう一回がんばってやろうと気持ちを込めた曲でした。
もう一回やろうというタイトルだけで選んだだけですけど。
4.Let’s Do It Again/Mavis Staples
前も言いましたが、メイヴィスは年をとってから周りに彼女を尊敬する若いミュージシャンたちが集まってきて、曲を彼女に提供しレコーディングやライヴに誘って、彼女はとても素晴らしい時間を過ごしているようです。
でも、それは彼女がずっと変らない音楽的な姿勢をもって真摯に音楽と接してきたからだと思います。やはりブレないことは大切だと僕は思います。

彼女がステイプル・シンガーズのメンバーで脚光を浴びていた60年代終わりから70年代、僕は彼女と結婚したいと思うくらい好きでした(笑)いまもずっと大好きで、心から尊敬てせきるシンガーで・・その彼女がこうして今年もアルバムをリリースしてくれたことが本当に嬉しいです。そして、また次のアルバム”We Get By”も向こうではリリースされたみたいです。楽しみです。
メイヴィス・最高です Mavis,You’re The Best!