2019.10.18 ON AIR

御年80才のベニー・ターナー、御年85才のボビー・ラッシュ、叩き上げふたりのブルーズマン

My Brother's Blues/Benny Turner(Nola Blue NB 004)

My Brother’s Blues/Benny Turner(Nola Blue NB 004)

Sitting On Top Of The Blues/Bobby Rush (BSMF-2673)

ON AIR LIST
1.Big Legged Woman/Benny Turner
2.Same Old Blues/Benny Turner
3.Hey,Hey Bobby Rush/Bobby Rush
4.Bobby Rush Shuffle/Bobby Rush

大阪で毎年行われている「なにわブルースフェス」に等も呼んでいただきました。お客さんもSold Out状態の盛況でしたが、ステージから客席を見渡したときのお客さんの年齢層の高さ!衝撃的でした。
まあ、出演者も60才越えている人がいっばいから当然そうなります。
それで今日は久しぶりに一緒に演った山岸潤史からアメリカ土産にもらった御年80才!のベニー・ターナーのアルバムを聴きます。ベニー・ターナーと言っても、ブルーズ好きな人でもたぶんそれ誰?になるやろと思います。ベニーはフレディ・キングの弟でフレディ・キングのベーシスト。フレディがシェルター・レコードと契約してからのベースは彼で、映像も残っているので「ああ、あの人ね」と想い出す人もいると思います。アルバムタイトルは「My Brother’s Blues/オレの兄貴のブルーズ」で兄フレディをトリビュートした内容になってます。まずはフレディがシェルターレコード時代に残したファンク・ブルーズのこの曲。リードギターは山岸潤史です
1.Big Legged Woman/Benny Turner
ベニーのお兄さんのフレディ・キングが1972年の「テキサス・キャノンボール」というアルバムで録音した曲。この曲は、イスラエル・トルバートというアラバマ出身の盲目のシンガーがオリジナルで1970年にヒットさせたものです。このスタイルでたくさんのブルーズシンガーが歌ってます。足の太ももがむちっとしている女性がミニ・スカートを履いてるのが好きという・・・いまも昔も同じですわ。
今日のアルバムに収録されているのは60年から64年にフレディがフェデラル・レコードに残したものとシェルター以降の曲と半分ずつと言う感じ。
時々声が兄貴のフレディに似てますが、ベニーとフレディは五才違いでテキサスに生まれ、ベニーが11才の時に一家はシカゴに移住します。フレディは16才です。テキサスにいた頃からふたりはブルーズが好きで音楽やりたいと思っていたようです。シカゴにくると兄のフレディはクラブで演奏を始めてその才能を認められるようになります。弟のベニーはドゥ・ワップやゴスペルのグループに参加してジミー・リー・ロビソンというR&Bシンガーのバックでベースを始めます。
間もなく兄はキング・フェデラルというレコード会社からヒットを出して次第に全国区のミュージシャンになり、ベーニーは兄のバンドでベースを弾き始めます。
それだけでなくいろんなシンガーのバックでベースを引きながら、自分でも歌ってシングルの出したりするのですがあまりパッとしなかったようですね。
結局70年代以降、兄が76年に42才で亡くなるまで兄のバンドのベーシストとして活躍します。
このアルバムでは山岸が半分くらいの曲でギターを弾いているのですが、知合いのピアニスト吉弘知鶴子さんや、小牧恵子さんも何曲か参加しています。
では、山岸がいいソロを弾いている名曲のこれを聴いてください。
2..Same Old Blues/Benny Turner
高齢化のブルーズマンと言えば、いまのベニー・ターナーよりも更に上、御年85才のボビー・ラッシュがニューアルバムを出しました。ずっと黒人クラブのサーキットを毎晩のように演奏して回るブルーズ・ライフをしてきたボビー・ラッシュの存在は、同じようにツアーを続けている自分の励みになってきました。最近グラミーも受賞してボビーは少しは生活が楽になったのかな。
まず、その新譜”Sitting On Top Of The Blues”から一曲目
歌詞が「誰かにオレはどこにいるのかって訊かれる。世界中さ。そしてまた世界中にオレは行く。誰かに訊かれる名前は?って。オレの名前はブルーズマン。いくところどこでもオレはブルーズを歌う」
3.Hey,Hey Bobby Rush/Bobby Rush
ボビー・ラッシュらしいファンキーな楽しい曲です。いま聴いてもらったファンクとブルーズのミックスがボビーの音楽なのですが、聴いてもらったようにファンクと行ってもどこか土臭いアーシーなテイストがあります。そこがまたなんともいいところで・・・。次はボビーのハーモニカをフィーチャしたインスト曲。
4.Bobby Rush Shuffle/Bobby Rush
ハーモニカもテクニシャンというわけではなく、でもこれ見よがしに吹くわけでもなくもう本当にブルーズを感じさせてくれるいいハーモニカです。
ブルーズはよくその人の生活、人生を表すといいますけどボビーのブルーズ人生を感じさせる味わいのあるハーモニカです。

ベニー・ターナーの”My Brother’s Blues”はちょっと手に入れるのが難しいかも知れませんが探してみたください。ボビー・ラッシュの”Sitting On Top Of The Blues”は日本のBSMFレコードから10/23リリースですから是非聴いてください。
今日は80才と85才の叩き上げのブルーズマンふたり、ベニー・ターナーの2017年リリースのMy Brother’s Bluesとこの秋リリースのボビー・ラッシュの新譜を聴きました。日本でもアメリカでもイギリスでもミュージシャンの高齢化が進んでいますが、僕もなるべく長く歌いつづけたいと思っているので、またみなさんライヴにもお越しください。