2015.10.23 ON AIR 「アナログレコードでブルーズを聴こう!シリーズ」 第16回

Alabama Blues/J.B.Lenoir (L+R Records L.R 42.001)
20151023
ON AIR TRACK LIST
1.Alabama Blues : J.B.Lenoir
2.The Mojo Boogie : J.B.Lenoir
3.Vietnam : J.B.Lenoir
4.Talk To Your Daughter : J.B.Lenoir
5.God’s Word : J.B.Lenoir

 

 

 

尊敬するブルーズマン、J.B.ルノアをアナログレコードで聴けるというのですごく嬉しいです。J.B.ルノアは政治や社会の不平等や差別、そして反戦についてメッセージ性のある歌を歌った希有なブルーズマンです。そして、ルノアが歌った人種差別や貧困が、そして戦争がいまだに解消されていないことに天国のルノアはどんな思いだろうかと思います。1967年に38歳という若さで交通事故に遇って亡くなった彼がもし生きていたら、彼はどんなブルーズを歌っていたのかと思います。
最後の曲は「神様の言葉」というタイトルですが、「イエス・キリストがもう一度この世に現れて、この世の中が天国のようになると言われているけど、もう私達は本当に長い歳月、神様が現れるのを待っているんだ。もう来ないんじゃないかと思う時もある。神様は来てくれて俺たちを故郷の天国へ連れて行ってくれるよ」この歌は最後に希望をもって終わっていますが、結局生きている現世では幸せになれない、天国でしか幸せになれないというとても悲しい歌だと僕は思います。そして、やはり
ブルーズという音楽が恋愛やお金やお酒のことだけでなく、差別や戦争そして不平等もテーマにする「いまの音楽」であることをルノアは示しています。
ヴィム・ヴェンダース監督の映画「ソウル・オブ・マン」にルノア本人が出てくる場面がありますので、もし興味のある方はDVDを探してみてください。そのシーンを観るだけでも彼の心優しい人柄がわかります。
余談ですが、僕がアコースティック・ギターをずっと探していてやっと手にいれたギターが、このルノアのアルバム・ジャケットのギターと偶然同じものでした。それはそれはうれしかったです。そして、このギターを抱えるたびに心が引き締まる思いがします。