2016.03.04 ON AIR

B.B.King コンプリート・RPM/ケント・レコーディング・ボックス1950-1965を聴く その1

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ON AIR TRACK LIST
1.Shake Yours/B.B.King
2.You Shouldn’t Have Left/B.B.King
3.You Know I Love You/B.B.KIng
4.Worry Worry/B.B.KIng
5.On My Word Of Honor/B.B.KIng

昨年末に日本のP-Vine Recordがリリースした完全限定400セットのB.B.キングのボックスセットを買われた方もいると思いますが、なんせ価格が4万円ということで欲しいけれどなかなか手が出ない方も多いと思います。それで今日はそのB.B.キング・ボックスセット、正式には「B.B.King コンプリート・RPM/ケント・レコーディング・ボックス1950-1965」というのですが、これがCD17枚、アナログレコード1枚、本(キング・オブ・ザ・ブルーズ登場)かなり厚い本が一冊、そしてブックレットが一冊入ってます。そのタイトルにもあるRPM/ケント・レコーディング1950-1965というのは、RPM、ケントというレコード会社で録音した若き日のB.B.がもう破竹の勢いでブルーズの王様に登り詰めた時代の音源で、B.B.KINGと言えばまずこの時代という素晴らしいものです。もちろん未発表のものもあります。
実は僕はこのボックスのライナーノーツを一枚書きまして、その原稿料代わりにこのボックスをいただきました。それで今日はこのボックスセットに一枚入っているアナログレコードを聞いてみようと思います。

アナログレコードに収録されている曲の選曲は、このボックス製作の責任者であり監修をすべてされた日暮泰文さんがされました。その選曲のセンスの良さも光っています。1959年マックスウェル・ディヴィス楽団のゴージャスなサウンドをバックに堂々と歌うB.B.の素晴らしいブルーズが聞けます。
“Shake Yours” 素晴らしい歌です。もうバリバリですよね。B.B.キングがギタリストである前にブルーズ・シンガーとして評価されていたことがよくわかるような歌です。B.B.自身もインタビューで言ってますが、「僕は自分でブルーズ・ギタリストと名乗ることはない、僕はブルーズ・シンガーなんだ」と。
“You Shouldn’t Have Left” ファルセットとスクリームを混ぜ込んだB.B.キングならではの絶好調のテンションの高い歌です。歌って行くうちに高まっていく感情の流れがすごく自然でB.B.の天性のものを感じます。素晴らしいブルーズ・シンギングです。
ギターも絃がたぶんまだ細い絃がつくられていない頃で、太い絃を思いっきりチョーキングする音に感情が込められていていいですね。
“You Know I Love You” ライヴでもよく歌っていたバラードです。52年にシングルでリリースされてR&Bチャートの1位になった曲ですが、これは未発表テイクのバックにドゥ・ワップのようなコーラス入りで初めて聴きました。ブルーズじゃなくても普通に歌手として素晴らしいかっただろうB.Bが聞けます。
“Worry Worry” ライヴでもよく歌っていたB.B.得意のブルーズ。「オマエのことで心配でくよくよしてばかり、オレの人生はめっちゃ惨めや。オレの人生はすべてあなたのものなのに。オマエに別れようと言われてオレはめっちゃ傷ついた。こんなにブルーで寂しいのなら死んだ方がましや。いつの日か死ぬときにこの心の痛みもなくなるさ」
“On My Word Of Honor” 次の歌はポップな感じのするバラード曲ですが、こういう曲でもB.Bの大きさを感じます。
「すべての僕の愛は君のものやと誓うよ。僕を信じてくれよ。僕が本気やとわかるでしょう。心から僕を信じてくれて大丈夫やと誓います。僕の人生のすべては君のものや」まるで結婚式の誓いみたいですが。

僕は何度もB.B.のライヴを見ましたが、いつもアベレージが高くて手を抜いていたり、体調が悪くてレベルが落ちていると思うようなライヴは一回もありませんでした。例えばPAや会場の音響の状態がよくなくても、どんな不備があってもベストを尽くす人で、聴きにきた人たちに嫌な思いをさせるようなことは絶対にしない人でした。やはり、そういう彼の人間性が音楽にも出ていると思います。ブルーズを知らなくてもライヴを聴いているうちにB.Bの懐の中に入ってしまっている。そんな感じを何度も経験しました。

来週はこのボックスセットの17枚のCDからB.B.のデビューから初期のものを聴きます。