2016.04.08ON AIR

ドクター・ロスのやみつきになるブギ・ブルーズ


Dr.Ross/Boogie Disease (P-Vine Records PCD-2360)img01

ON AIR TRACK LIST
1.Boogie Disease
2.Memphis Boogie
3.Shake ‘Em On Down
4.Industrial Avenue Boogie
5.Cat Squirrel

 

 

 

 

この前、B.B.KingのボックスセットをOn Airしましたが、まさにそのB.Bがミシシッピーの故郷から畑仕事をとび出してメンフィスに一旗上げにきた50年代初めというのは、メンフィスはブルーズ、R&Bのメッカだった。
B.B.キングはじめボビー・ブランド、ジュニア・バーカー、ジョニー・エース、ロスコー・ゴードン、ジェイムズ・コットン、リトル・ミルトンなど才能のあるミュージシャンが互いに切磋琢磨する都会がメンフィスでした。でも、そういうモダンな、アーバン系のブルーズマンだけではなく、メンフィスには今日聞いてもらうドクター・ロスのようなアーシーながらファンキーな味わいをもったブルーズマンもいた。
ドクター・ロスは本名チャールズ・イザヤ・ロスというのですが、ドクターという名前の由来はですね、戦争に行っていた時にハーモニカを医者が使っている鞄に入れて持ち歩いていたためにそのあだ名になったそう。
93年に68才で亡くなってますが、1925年生まれですから、B.B.キングと同じ年やったんですね。
まず、今日聴いてもらうドクター・ロスのアルバム”Boogie Disease”からタイトル曲を。
Diseaseですからブギ病。ブギの病気!この曲名からして何かそそられるものがあります!
Boogie Disease
聴いてもらったように同じメンフィス録音とは言え、都会的なB.B.やジュニア・パーカーとは違う泥臭い、オーセンティックなブルーズの香りがムンムンです。
ドクター・ロスはミシシッピーのチュニカの出身。チュニカはメンフィスから車で30分くらいの街で、かっては放浪のブルーズマンが立ち寄った街でした。いま現在はラスベガスのような巨大なカジノの街になっていますが、ドクター・ロスが子供の頃はいろんなブルーズマンがやってきたんだと思います。その頃影響を受けたのはロバート・ジョンソン、ブラインド・ボーイ・フラーそしてハーモニカではサニーボーイ・ウィリアムスンIに強い影響を受けています。それでドクター・ロスには「ハーモニカ・ボス」というあだ名もあるくらいハーモニカが素晴らしいんですが、では、そのハーモニカのインスト曲です。
Memphis Boogie (Juke Box Boogie)
シカゴのリトル・ウォルターあたりとはまた違うテイストで素晴らしい。ダンサブルでワイルドでファンキーな吹きっぷりでいいですね。メンフィスのハーモニカ・スタイルというのがあっていまの曲調もそのひとつです。
メンフィスにはカントリー・ブルーズの巨人のひとりブッカ・ホワイトが住んでいて、ドクター・ロスより20才くらい年上で大先輩にあたりますが、やはりその大先輩の影響は当然あってブッカ・ホワイトの名曲Shake ‘Em On Downをやっているので聴いてみます!
Shake ‘Em On Down
ドクター・ロスは「ワンマン・バンド」といって歌を歌いながらギターを弾いて、ハーモニカも吹いてとここまではまあフォーク・シンガーのひとなんかもよくやるスタイルですが、ドクターは更にドラムのバスドラとハイハットを踏むというスタイルでブルーズをやるので有名な人なんですが、いままで聴いてもらったのはひとりではなくてふたりや3人でやっているものだったのですが、ひとりの弾き語りのものを聴いてみましょうか。ドラムは踏んでないんですが、弾き語りスタイルです。
オープン・チューニングで弾くギターで大きな影響を受けたジョン・リー・フッカー・スタイルの曲です。
Industrial Avenue Boogie
次はかってロックバンドのクリームがカバーしてました。「朝まで眠れないで男と一緒にいるオマエのこと考えてる、オマエたちの巣の穴の横でな。オマエら巣の中におるんやろ。そんでオマエは月曜の朝に出てくるんやろ。わかってるよオレのこと好きやないんやろ。あきらめるよ。出ていくよ。ああ。落ち込むわ」SquirrelはリスのことでアメリカにはCat(猫)みたいに大きなリスがおるそうです。
Cat Squirrel
今日は50年代メンフィスのファンキーでアーシーなブルーズマン、ドクターロスを聴いてもらいました。なかなかええでしょ。では、また来週!