2017.02.10 ON AIR

激動の60年代ブリティッシュ・ブルーズロックvol.4
ブリティッシュ・ブルーズロックの実力派ジ・アニマルズ

The Single Plus/The Animals (EMI CDP7 46605 2)

The Single Plus/The Animals (EMI CDP7 46605 2)

animalisms/The Animals(Repertoire REP 4772-WY)

animalisms/The Animals(Repertoire REP 4772-WY)

ON AIR LIST
1.We’ve Gotta Get Out Of This Place/The Animals
2.House Of The Rising Sun/The Animals
3.It’s My Life/The Animals
4.Boom Boom/The Animals
5.Inside Looking Out /The Animals
僕はビートルズが登場しなければ洋楽は聴かなかったかも知れません。中学1年、13才でした。そのビートルズの登場と同時にイギリスではブルーズとかR&Bが芽生え始めていました。
ローリング・ストーンズ、アニマルズ、ゼム、スペンサー・ディヴィス・グループ、ヤードバーズ、ブルーズ・ブレイカーズ、とブルーズとR&Bに影響されたバンドが次々デビューしてきました。個人的にはストーンズ、アニマルズが悪い感じ、不良な感じで惹かれるものがあった。
なんせ名前がアニマルズですから・・ アニマルズがアメリカのテレビに出た時、インタビュアーが「どうしてアニマルズっていう名前なんですか?」とバンド名の由来を聴いた時に、ヴォーカルのエリック・バードンがニヤッと不敵な笑いを浮かべて「おれたちは動物だからよ」と不良感満載で言ったのが、かっこいいよかった。
エリック・バードンは声も太くて、ソリッドで、威圧的でハマりました。では、最初に僕がアニマルズでいちばん好きな曲です。
1.We’ve Gotta Get Out Of This Place/The Animals
いまのは邦題が「朝日のない街」というんですが、自分のおやじが働きつづけてるのに報われないで年老いていく姿を見て、こんなところから抜け出さないとダメだと、彼女にふたりでここから抜け出そうという歌。アニマルズはイギリスのニューカッスルという街の出身ですが、昔、ニューカッスルは炭鉱や造船、鉄鋼で栄えた一大工業地帯、つまり労働者の街で、それでこういう歌が生まれたのかなと思います。

アニマルズは60年代初期のイギリスのブルーズ、R&Bの重要なバンドで最初はストーンズより人気があったような記憶があります。
では、アニマルズに2枚目のシングルで1964年イギリスでもアメリカでもナンバーワンになった大ヒット。この曲は邦題が「朝日の当たる家」でアニマルズといえばこの曲というくらいヒットしました。
2.House Of The Rising Sun/The Animals
いろんな人がカバーしてますが、こんなにエモーショナルにこの歌を歌ったのはエリック・バードンだけで、その歌を盛り上げていくバックの演奏も素晴らしいです。
アニマルズはヴォーカルのエリック・バードン、キーボードのアラン・プライスを中心にギターのヒルトン・ヴァレンタイン、ドラムのジョン・スティール、そしてベースのチャス・チャンドラーの五人で1963年に始まりました。
3枚目のシングル”I’m Crying”もチャートの8位まで上がってバンドはすごくいい調子で進んでたんですが、さっき聴いた1曲目のWe’ve Gotta Get Out Of This Placeの録音が終わったあとにキーボードのアラン・プライスがお金のこととか、バンドの主導権争いをエリック・バードンとしてバンドをやめてしまいます。代わりにデイヴ・ドウベリーが入ります。この人もいいキーボード・プレイヤーでバンドのクオリティが下がった感じはなかったです。
次のIt’s My Lifeもアニマルズらしい曲です。「自分には金もなくて運もない。着てるものはボロボロだけどいつか最高級の毛皮のコートを着てやるさ。必死なって働いて部屋代を稼ぐのはもう嫌だ。手に入るものはなんでも手にいれる。オレの人生だからやりたいようにやるんだ。オレの心だから思っているようにやる。いつかオマエにもいい目させてやるよ」
3.It’s My Life/The Animals
ヴォーカルのエリック・バードンはたぶんジョン・リー・フッカーが好きだと思います。ジョン・リーのカバーを3,4曲やっていたと思いますが、やはりジョン・リーのカバーで印象に残っているのはこの曲です。
オリジナルはほぼワンコード感覚ですが、アニマルズはバンドでやりやすいようにきっちり3コードにしてます。
4.Boom Boom/The Animals
エリック・バードンはたぶんジョン・リー・フッカーのアウトロー的なイメージも好きだったのだと思います。モダン・ブルーズのB.B.キングとかフレディ・キングとかギターの印象が強いブルーズマンの曲は取り上げてません。はっきりしてますね。

エリック・バードンの歌のすごいところはエモーショナルというか、歌って行くうちに自分でどんどん盛り上がっていくんですよ。しかも、表現が深い、ディープなんですね。それだけ声量もあるし、音域も広いので幅広い表現ができるんですが、それ以上に彼の内面、気持ちが彼の歌を押し上げていく感じなんですね。おう、行く行く、おおっまだ行くか・・っていう感じ。次の曲は70年代にアメリカのグランド・ファンク・レイルロードがカバーしてたのでそっちで知って人も多いと思いますが、これはアニマルズのオリジナルです。この曲でもおっ行く行くが聴けます。
5.Inside Looking Out /The Animals