2017.03.17 ON AIR

ニューオリンズピアノ特集 Vol.1

img

Professor Longhair/The Professor Longhair Anthology (RHINO R2 71502)

img02

The History Of New Orleans R&B vol.1(Rhythm&Blues Records RANDB013)

ON AIR LIST
1.Bold Head/Roy Byrd & His Blues Jumpers
2.Hey Little Girl/Professor Longhair
3.Tipitina/Professor Longhair
4.Box Car Shorty And Peter Blue/Cousin Joe
5.Junker Blues/Champion Jack Dupree

去年の暮れに番組のHPにニューオリンズピアノのリクエストをいただいたので、だいぶ時間が経ちましたが今日と来週はニューオリンズピアノ特集
想い浮かぶニューオリンズのピアニストを出してみると・・・
ジェリー・ロール・モートン、アール・ハインズ、チャンピオン・ジャック・デュプリー、ヒューイ・スミス、タッツ・ワシントン、ファッツ・ドミノ、スマイリー・ルイス、カズン・ジョー、ルーズヴェルト・サイクス、プロフェッサー・ロングヘアー、リトル・リチャード、アラン・トゥーサン、ドクター・ジョン、エディ・ボ、ジェームズ・ブッカー ロニー・バロン、ダヴェル・クロフォード、ハリー・コニックJr.,マルシア・ボール、ジョン・クリアリーなどなど・・
本当にニューオリンズはピアニストの宝庫で、19世紀の終わり頃にニューオリンズがジャズのメッカとなりトランぺッターのルイ・アームストロングなど偉大なミュージシャンを輩出していた頃から、ジェリー・ロール・モートンなど素晴らしいピアニストがたくさんいました。
しかし、現在言われている「ニューオリンズ・ピアノ」というスタイルを作り上げたのは、プロフェッサー・ロングヘアだと思います。
では、まずそのプロフェッサーの曲から聞いてみましょう。1950年ヒット・チャートの5位まで上がった曲。当時はまだプロフェッサー・ロングヘアという芸名ではなく本名のロイ・バードでした。
1.Bold Head/Roy Byrd & His Blues Jumpers

いまの曲が唯一ヒット・チャートに上がったプロフェッサーの曲ですが、そんなにヒット曲がないのに彼のフォロワーがたくさん生まれたのかというと、そのピアノ奏法が革新的だったからです。彼のフォロワーのひとつりであり、のちにニューオリンズの音楽を作り出したアラン・トゥーサンは子供の頃とにかく毎日アラン・トゥーサンを聞いて 彼のマネをしてピアノを弾いていたそうです。
彼はブルーズやブギウギのピアノに西インド諸島のルンバとかカリプソのリズムに、ニューオリンズのセカンド・ラインと呼ばれる伝統的なマーチングのリズムをミックスし、時折トリッキーな、面白いフレイズを挟むことでファンキーなピアノ・スタイルを作った偉大な人です。その彼のピアノがよくわかると思うので、ベースとふたりで演奏している録音を聞いてみます。
2.Hey Little Girl/Professor Longhair(RHINO R2 71502)
この曲名から名付けられたクラブ「ティピティーナス」がニューオリンズにあり、そこではフェスティバルの時にプロフェッサー・ロング・ピアノ・ナイトというニューオリンズのピアニストが一同に会するイベントも開かれてました。
3.Tipitina/Professor Longhair

ルイ・アームストロングの時代に彼より5,6才年下の1907年生まれのカズン・ジョーというピアニストがいるんですが、彼はビリー・ホリディからチャーリー・パーカーなどジャズ畑のミュージシャンとも、コテコテのブルーズマン ライトニン・ホプキンスともやった凄腕ピアニストでした。力強く、スピード感もあるブルーズ・ピアノを聞いてみましょう。
4.Box Car Shorty And Peter Blue/Cousin Joe

いまのカズン・ジョーより三つほど年下のチャンピオン・ジャック・デュプリーもニューオリンズ出身です。 彼はボクサーをやっていたこともあるのでチャンピオンというあだ名が付いています。いまから聞いてもらうのはのちにファッツ・ドミノが”Fat Man”として作り替えてヒット・チャートの6位まで上がった曲の元歌です。
5.Junker Blues/Champion Jack Dupree

ニューオリンズ・ピアノを代表するプロフェッサー・ロングヘアはいまのチャンピオン・ジャックとかその前のカズン・ジョー、そして大先輩のジェリー・ロール・モートンなどのピアノを聞いてニューオリンズで育った世代で、そういう様々なピアノ・スタイルにルンバやカリプソのグルーヴを取り込んで、ファンキーなピアノ・スタイルを作った偉大なピアニストです。まあ、本人はそんなに意識して新しいものを作ろういう気はなかったと思います。自然とそういうスタイルになったのだと思います。