2017.06.09 ON AIR

追悼:チャック・ベリー/偉大なロックン・ロールの創始者 Vol.2

Chuck Berry Gold(Geffen/Chess1317-18)

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ON AIR LIST
1.Rock And Roll Music/Chuck Berry
2.Carol/Chuck Berry
3.Johnny B.Goode/Chuck Berry
4.School Day/Chuck Berry
5.Memphis, Tennessee/Chuck Berry

 

 

 

前回に引き続きチャック・ベリー追悼の二回目です
今日はまず最初にこれを聴いてください
1.Rock And Roll Music/Chuck Berry
まさにこの曲名の”Rock And Roll Music”を作った、ロックンロールの創始者のひとりがチャック・ベリー。
いまの曲はチェスレコードと契約して二年目、油が乗り切ってきた頃自分の音楽的なスタイルもう少しで確立する頃です。
僕はいまのRock And Roll Musicを中学三年の時にビートルズの”The Beatles For Sale”というアルバムで聴いたのが最初です。
チャックのオリジナルが1957年、ビートルズのカバーが7年後の1964年。もうすでにイギリスはロックン&ロールとブルーズの嵐が吹き荒れていた頃で、ビートルズ、ストーンズ、アニマルズ、キンクスなどイギリスのバンドはみんなチャックの曲をカバー。
その頃、日本でもビートルズ人気がすごくなっていく頃でしたが、オリジナルのチャックまで届いている人は少なかったと思います。なんとなくチャック・ベリーと言う名前は知ってましたが・・。

チャック・ベリーの50年代この頃から後期はもう本当にヒット曲の連続で、ヒットしなかったもので聴きたい曲もあるのですが、次は僕がすごく好きなチャックの曲です。これもローリング・ストーンズの最初のアルバムのカバーで最初に聴きました。
チャックが亡くなった日もそのあともキースやミック・ジャガー、ポール・マッカートニー、リンゴ・スターはじめチャックの追悼文がツィッターやフェイスブックにあふれてました。やはり影響は大きかったことを改めて思いました。60年代のブリティッシュ・ロックもアメリカのロックも世界中のロック・ミュージックは、いまもチャック・ベリーの作り上げたものから多大な恩恵を受けています。
では、チャック・ベリー1958年リリース
2.Carol/Chuck Berry
かっこいいですね。
チャックは背も高くてルックスも良くて、しかもステージではひょうきんなダック・ウォークとかいろんなアクションもやり、歌詞は面白いし、ギターはキレキレでグルーヴ感満載。これで若い人に受けないわけがない。チャック・ベリーのような表現をした人はいなかったし、そのあともこれだけソングライター、ギタリスト、パフォーマーとして才能のある人はほんとうに少ない。
そして、57年には生涯チャック・ベリーを代表する、いやロックを代表するこの曲がヒットしてチャック・ベリーもロックンロールという音楽も決定的なものになりました。
3.Johnny B.Goode/Chuck Berry
実はチャックの録音の記録を観てみると、最初のヒット「メイベリーン」はシカゴに出てくる前セントルイス時代からの仲間、ピアノのジョニー・ジョンソンとドラムのイビー・ハーディを連れてベースだけチェスレコードの現場プロデューサーでもあるウィリー・ディクソンが参加というメンバーなんですが、次第にチェスのスタジオ・ミュージシャンたちが加入して、いまのJohnny B.Goodeはドラムにフレッド・ビロウ、ピアノにラファイエット・リークが参加しています。ふたりともチェスレコードのリトル・ウォルターやハウリン・ウルフ、サニーボーイ・ウィリアムスンなどブルーズマンのバックで素晴らしい録音を残した人たちです。ウィリー・ディクソン、ピアノのオーティス・スパンなどチャックのバックにはシカゴ・ブルーズの錚々たるミュージシャンが参加していたんです。
だから、ブルーズとR&Bとロックンロールが全く同時期にチェスレコードで作られていたわけです。
そう思うとやはりチェスレコードはすごいです。
50年代半ばになるとR&Bの時代に移り、ブルーズの売り上げが少しずつ落ちてくるのですが、代わりにそこから60年代までチェスを支えた稼ぎ頭がチャックだったんです。
チャック・ベリーはこういうヒットが続いた頃、すでに30才近かったのですが、彼のファンは10代の子供たち・・そういう10代に向けた歌詞を本当にうまく彼は書いてます。次の曲もそういう歌です。
「朝起きて学校行って怖い先生の授業を受けて必死勉強する。のにうしろからチャチャいれてくる奴がいる。昼メシの時間は短いすぐ授業が始まる。チャイムが鳴って学校が終わると教科書をしまってあのジュークボックスのある店に行って、好きな女の子と踊り続けるロックンロールでオレは自由になれる。リズムを止めないでくれ」
4.School Day/Chuck Berry

でも、チャックはそういうティーンズ向けの歌詞だけでなく、こんな歌も作ってました。実は僕はこの歌を電話の交換手にメンフィス・テネシーに住んでる自分の好きな女の子に電話を繋いでくれないかというラブ・ソングやと思ってたのですが・・全然違いました。
「マリーという女が電話をくれたけど自分に連絡がつなかくてメッセージを残してくれた。でも彼女の番号がわからない。そこで交換手に彼女探して電話を繋いでくれないかと・・マリーを愛してるんだ。彼女のママに俺たちは引き裂かれたんだ。別れる時マリーは手を振って泣いていた。マリーはまだ6才なんだ。だからメンフィスの彼女に電話を繋いでくれないか・・」
嫁さんに連れて行かれた自分の娘に会いたいという歌だったんですね。
思っていたのとちょっと違う、ちょっと悲しい歌でした。
5.Memphis, Tennessee/Chuck Berry

59年にチャックは女性問題で警察沙汰になり有罪になって3年間塀の向こうにいました。それで63年くらいに出所してくるんですが、その頃にはイギリスのビートルズやストーンズたちがたくさんチャックの曲をカバーしてくれたので人気はまだまだありましたが、レコードのヒットは少しづつ減っていきます。
もう少しチャックの話をしたいので来週もう一回チャック・ベリーです。
ヘイル・へイル・ロックンロール!