2017.11.03 ON AIR

Blues Guitar Insrumental-vol.1

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Blues Guitar Hero/Freddy King (P-Vine PCD-799)

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The Slide Guitar bottles,knives&steel (columbia records CK 46218)

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The Guitsr Wizard/Tampa Red (sony records srcs7393)

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T-Bone Blues/T-Bone Walker (Atlantic Records 8020)

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Blue Guitar/Earl Hooker (P-Vine Records PCD-24045)

ON AIR LIST
1.Hide Away/Freddy King
2.Guitar Rag/Sylvester Weaver
3.Things ‘Bout Comin’ My Way/Tampa Red
4.Blues In D Natural/Earl Hooker
5.Two Bones and a Pick/T-Bone Walker

かなり前にブルーズ・ギターのインストルメンタル特集のリクエストをいただきまして、今週と来週はそれにお答えしょうかと思います。
いつも言ってるんですが、ブルーズという音楽はまず歌があってのものです。ギターという楽器はブルーズの歌をサポートする役割でとして始まったものです。ところが日本では歌わないでブルーズギターだけ弾きたいという人が多いです。僕は歌いながらギターを弾いた方がギターも上手くなると思います。でも、ブルーズの録音が始まった1920年代からギターのインスト曲は録音されていて、やはりギター名人と呼ばれるギタリストがいたことも確かです。でも、念を押しますがブルーズは歌ありきです。それをわかった上で今日と来週のブルーズ・ギター・インストを楽しんでください。

ブルーズ・ギターというのが世界的に認知されロック・ミュージックの世界にも影響を与えたはじめのきっかけを作ったのは、やはりブルーズ界の3大キング、B.B.キング、アルバート・キング、フレディ・キングだと思いますが、B.B.とアルバートはギターのインストルメンタルのヒットというのはありません。あくまでも歌と一緒に弾くブルーズギターでの人気なのですが、フレディはエレキ・ギターでのブルーズ・インストを何曲もヒットさせたブルーズマンです。
たぶんブルーズ・ギターのインスト曲でいちばん有名な曲のひとつだと思いますが、フレディ・キングの1961年この曲から今日はスタート!
1.Hide Away/Freddy King
この曲が有名になったのはエリック・クラプトンがジョン・メイオール&ブルースブレイカーズ時代にカバーしたことも大きかったです。フレディはギターのインスト曲をかなりたくさん録音していてざっと想い出せる曲だけでも、San-Ho-Zay、The Stumble、Just Pickin’、Side Trackedとあり、ギター・インストのアルバムもリリースしています。
60年代当時はヴェンチャーズなどギター・インストが全米で流行っていたこともあったと思います。フレディはサーフィンやホットロッドのような曲までブルーズ・インストで出しています。こういうブルーズマンはフレディくらいだと思います。
フレディは自由自在の名人ですが、録音に参加した当時のキング・フェデラル・レコードのレコーディング・ミュージシャンたちがみんな上手いです。

では、録音で残されているブルーズ史上いちばん古いインスト曲は何かと探してみました。たぶんこれではないかと思います。
1923年、シルヴェスター・ウィーバーというギタリストが”Guitar Blues”と”Guitar Rag”という曲を録音しました。それがブルーズ史上初のカントリー・ブルーズ曲であり、初めてスライド・ギターが録音された曲と言われています。ウィーバーはサラ・マーティンとかヘレン・ヒュームズといった20年代に人気のあった女性シンガーのバックでギターを弾き人気になったギタリストです。
2.Guitar Rag/Sylvester Weaver
すごくギターの音色がいいですよね。フォーク的であり、なんか童謡みたいな感じもするのんびりした曲でいいですね。

次は「スライド・ギターの魔術師」と呼ばれたタンパ・レッド。1928年に”It’s Tight Like That”をヒットさせて以降ギタリストとしてだけでなく、ソングライターとしても素晴らしい才能があり亡くなるまでに300曲以上をレコーディングしているブルーズギター名人です。
さっきのシルヴェスター・ウィーバーの「ギター・ラグ」から約10年後の1934年の曲です。
使っていたギターは金属製のリゾネーター・ギターでナショナルというメーカーのトライ・コーン、いまでも高価なギターですが当時もかなりの高級品でした。
タンパはお金持ちやギャングのパーティで演奏するのにも呼ばれて、ギャラもよかったんでしょうね。いつもスーツをちゃんと着た身なりもいい人でした。
3.Things ‘Bout Comin’ My Way/Tampa Red
タンパ・レッドは聴いてもらってわかるようにすごく繊細で丁寧な演奏で、モダンなところとどこか土着性も兼ね備えて独特なスライド・ギターで、多くのスライド・ギタリストは一度はこのタンパ・レッドのギターを学んでいます。次はそのタンパのスライド・ギターを継承したやはりギター名人のひとりです、アール・フッカー。
アール・フッカーはシカゴ・ブルーズのスタジオ・ミュージシャン的な存在で、南部からシカゴにやってくる土着的なブルーズマンとはちょっと違うR&B的な、またはロック的な要素も持ち合わせた先進的でファンキーなギタリストでワウワウやエフェクターも早くから使った人です。豪快だけど繊細なギターで、やはり名人でしょう。
いまから聴いてもらう曲はオルガンを加えたR&B的な当時にしてはモダンなサウンドです。
4.Blues In D Natural/Earl Hooker
アール・フッカーはブルーズの巨人ジョン・リー・フッカーの従兄弟なんですが、ふたりの芸風のあまりの違いに笑ってしまいます。まあ、アール・フッカーは歌がね、上手くなかったのでギターへ行ったんでしょうね。でも、アメリカン・フォーク・ブルーズ・フェスティバルの映像で楽屋で歌ってるシーンが出てくるんですが、やはり歌は大好きなんだと思います。彼のギターは歌ってますから。
最後はモダン・ブルーズ・ギターの父と呼ばれるT.ボーン・ウォーカーのインストを聴こうと思います。さっきからどのインスト曲もそうなんですが、ギターが歌ってるんですよね。だから適当にアドリブを弾いているのではなく、ここのコーラスでこのフレイズでテーマはこのメロディとちゃんと決まってるんですよ。だから、よくあるセッションでダラダラとギター・ソロを弾く人たちとはかなり違うわけです。次のT.ボーンの曲なんかは本当にしっかり構成もなにもかもアレンジされた素晴らしいインスト曲です。もうひとりのギターはT.ボーンの友達でジャズギタリストのバーニー・ケッセル。ふたりの名人のギターのからみもお楽しみください。
5.Two Bones and a Pick/T-Bone Walker
ギタリストふたりもめちゃ上手いですが、バックのミュージシャンも本当にため息でるくらい上手いです。
今日はブルーズ・ギターのインスト特集でしたが、まだまだ聴いてもらいたい曲があるので来週もブルーズ・ギター・インストお送りします。