WHAT'S NEW

2019.01.11 ON AIR

ニューオリンズを代表するミュージシャンになったイギリス人、ジョン・クリアリーの新譜”DYNA-MITE”

Jon Cleary/DYNA-MITE (FHQ Records/BSMF Records-2623)
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ON AIR LIST
1.Dyna-Mite/Jon Cleary
2.Skin In The Game/Jon Cleary
3.Hit,Git,Quit,Split/Jon Cleary
4.Frenchman Street Blues/Jon Cleary
ニューオリンズのピアニスト、ジョン・クリアリーが昨年2018年9月に新譜「DYNA-MITE」をリリースしたのですが、ON AIRするのが遅れてしまいました。
何度か来日しているのでジョン・クリアリーのライヴをご覧になった方もいると思いますが、いま現在ニューオリンズでいちばん脂の乗ったピアニストで自分のソロ活動だけでなく、タジ・マハールやマリア・マルダー、エリック・クラプトンなどいろんなミュージシャンのライヴ、レコーディングに参加しており、一時期はボニー・レイットのバンドのメンバーでもありました。前のアルバム”Go Go Juice”ではグラミーも取りましたし、いまやニューオリンズを代表するミュージシャンのひとりになりました。
今回のアルバムは8枚目か。
まずは新しいアルバムからアルバムタイトル曲。
ニューオリンズのファンクの匂いがするカッコいい曲です。
1.Dyna-Mite/Jon Cleary

ジョン・クリアリーは1962年生まれですから、現在56才。イギリス人なんですが、ニューオリンズの音楽が大好き、好きでニューオリンズに住んでしまったですね。僕の友達でも、山岸潤史いう奴が同じような感じでニューオリンズに住み着いてしまったけれど、やはりそれだけの魅力のある街であり、魅力のある音楽があるところです。
クリアリーはピアノを五才くらいから弾いていて15才でバンドを組んでいたんですが、もうニューオリンズへの愛が強くなるばかりでアート・スクールを卒業するとニューオリンズへ渡ってしまいます。18才くらいですかね。
新しいアルバムはニューオリンズ・テイストだけでなく、こじゃれたAOR的な曲もあり次の曲もこの感じなんかのソウルの曲で聞いたことあるんですが、想い出せません。オールドスクールな曲なんですが・・・。
2.Skin In The Game/Jon Cleary

実は僕はジョン・クリアリーは彼がまだ有名になる前、アルバムも出していない頃、横浜のライヴハウスで一度一緒にライヴをやっています。
その時、1,2曲だけ飛び入りやってもらうつもりでしたが、リハーサルやったらピアノがすごく良かったので全曲やってもらうことになって盛り上がりました。

次はゴリゴリのニューオリンズ・ファンクです。バックが結構自由にジャムやっている感じがいいです。
3.Hit,Git,Quit,Split/Jon Cleary

ニューオリンズは昔からピアニストの宝庫でプロフェッサー・ロングヘア、ファッツ・ドミノ、アラン・トゥーサン、ドクター・ジョン、ジェイムズ・ブーカーもう上手い、個性的なピアニストがたくさん出てきた街です。
その中でジャズあり、ブルーズあり、R&Bあり、ファンクあり、そしてニューオリンズ独特のセカンドライン、インディアンの音楽、そしてカリブの音楽ともういろんなものがミックスされた音楽が溢れている街ですから、クリアリーがイギリスからニューオリンズへ行ってしまった気持ちもわかります。
クリアリーはもちろんピアノを弾くのですが、このアルバムには主にオルガンとコーラスでナイジェル・ホールが参加しています。このナイジェル・ホールもいまクエスト・ラブとかアイヴァン・ネヴィルとかの録音にも参加している実力のあるキーボード奏者です。ブルーズバラードの曲でとても上手くキーボード類が使われてます。
4.Frenchman Street Blues/Jon Cleary
いいですね。ニューオリンズのクラブに行ってこんな曲聴きながらお酒飲みたいですね。
今回のジョン・クリアリーのアルバム「ダイナマイト」はいろんなタイプの曲が収録されていますが、バラバラになってなくて統一感がありいいアルバムだと思います。パーティ・アルバムにもいいかと思います。
日本のBSMFレコードから発売されていてゲットしゃすいので、是非聴いてみてください。

2019.01.04 ON AIR

Happy New Year! 2019
今年は亥年、猪突猛進のブルーズで新年のご挨拶

Truckin' With Albert Collins/Albert Collins (MCA MCAD 10423)

Truckin’ With Albert Collins/Albert Collins (MCA MCAD 10423)

Hound Dog Taylor And The House Rockers(Alligator/King KICP-2916)

Hound Dog Taylor And The House Rockers(Alligator/King KICP-2916)

Legendary Boogie Woogie Pianists 1928-1946(ユニバーサル UCCC3041)

Legendary Boogie Woogie Pianists 1928-1946(ユニバーサル UCCC3041)

Blues Masters Vol.4:Harmonica Classics(RHINO R2 71121)

Blues Masters Vol.4:Harmonica Classics(RHINO R2 71121)

LIVE & LOUD 1968/Freddy King (Rock Beat ROC-CD-3248)

LIVE & LOUD 1968/Freddy King (Rock Beat ROC-CD-3248)

ON AIR LIST
1.Frosty/Albert Collins
2.Give Me Back My Wig/Hound Dog Taylor&The House Rockers
3.Death Ray Boogie/Pete Johnson
4.Rocket88/Jimmy Cotton Blues Quartet
5.Feelin’ Good (I Wanna Boogie)/Freddy King

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。この番組も12年目に入ってますが、今年も他の音楽番組ではあまりON AIRされない、でも素晴らしい、いい音楽をブルーズを軸にしてみなさんにお届けします。
今年の干支は亥(い)年、つまり猪で猪突猛進という言葉があるように、今年の最初は猪突猛進なブルーズをお送りします。

まずはアルバート・コリンズのアルバム”Truckin’ With Albert Collins”から
1.Frosty/Albert Collins

調べてみたらアルバート・コリンズが亡くなったのが1993年ですからもう26年になります。日本にも何度か来てくれまして毎回熱いライヴで、熱いギターを聴かせてくれました。渋谷のライヴインというライヴハウスでテレキャスターのギターを弾きながら、客席を練り歩いていたのを想い出します。本当に楽しいブルーズライヴでした。
次も猪突猛進のブルーズマンですが、一度ライヴ観たかったブルーズマンのひとり、ハウンド・ドッグ・テイラーです。僕がアメリカへ初めて行ったのは1975年の12月でしたが、その時には彼はすでに天国でした。
いまから聴いてもらうこういうリアルなブルーズのサウンドとグルーヴというのはクラブで生で聴くのがいちばんその良さがわかるもの
だからハウンドドッグがもう少し長生きしていれば日本にも来ていたと思います。本当に残念!
「オレのカツラ返してくれ!」というファンキーなブルーズ
2.Give Me Back My Wig/Hound Dog Taylor&The House Rockers
ギターの音の歪み具合なんか最高ですが、ラフでタフなハウンドドッグのブルーズを聴いているとなんか余計なことはどうでもよくなって元気になります。

次はブルーズ・ピアノの猪突猛進を聴いてみましょうか。1930年代の終わりから40年代にかけてブギ・ピアノの流行があったのですが、その中の中心的なピアニストのピート・ジョンソンです。ピート・ジョンソンはどちらかと言えばブルーズ系よりジャズ系のピアニストですが、ブギが流行った頃はジャズのピアニストたちもブルーズのブギの演奏をやりました。ピート・ジョンソンはジョー・ターナーの歌のバックでも有名な人ですが、そのジョー・ターナーもブルーズも歌い、ジャズも歌うという人で50年代にはロックンロールが流行ってそこではロックン・ローラー的な扱いをされてましたが、本人が歌っているのは変らないブギウギでした。では、最高のブギウギピアノを聴いてください。
3.Death Ray Boogie/Pete Johnson
スピード感、タッチの強さ、グルーヴ感、フレイズの多彩さ・・どれをとっても素晴らしいブギウギピアノでした。

次はハーモニカ・プレイヤーの猪突猛進はハーモニカ・プレイヤーのジェイムズ・コットンを選びました。いまから聴いてもらうテイクはジェイムズではなくなぜかジミー・コットンとクレジットされています。このブルーズは1974年のコットンの有名な”100%Cotton”のアルバムで知っている方が多いと思いますが、今日のは1965年のシカゴの録音でピアノがオーティス・スパン、ギターがピーウィー・マディソン、ドラムがS.Pリアリーというシカゴブルーズのベテランたちで、まさにシカゴ・ブルーズ・サウンドです。
4.Rocket88/Jimmy Cotton Blues Quartet

次のフレディ・キングも若くして亡くなりましたが、フレディもかなりテンションの高い猪突猛進なブルーズマンで、ライヴで登場して一曲目で音量を上げすぎたのかプツンとギターアンプが飛んで音が出なくなるという映像もあります。ギターのネックが折れるんちゃうか・・と思うくらい太い腕と太い指で力入ってます。歌ってる顔ももうおっさん血管切れるでと言いたくなるテンションの高さです。
1973年スウェーデンでのコンサートからのライヴ録音です。アルバムタイトルが”Live &Loud”ですから、いまから音量あげてラウドで聴いてください。
元々はジュニア・パーカーのオリジナルで歌があるんですが、フレディはインストでやってます。
5.Feelin’ Good (I Wanna Boogie)/Freddy King

今年は猪年ということで猪突猛進な勢いのあるブルーズを聴いてもらいました。
今年も無病息災で元気にこの番組をやっていきたいと思ってます。
今年もよろしく、Hey Hey,The Blues Is Alright!

2018.12.28 ON AIR

「今年も番組を聴いていただきありがとうございました」

Forever Young/Reggie Young (ACE CDCHD 1500)

Forever Young/Reggie Young (ACE CDCHD 1500)

The Neville Brothers (A&M POCM-1548)

The Neville Brothers (A&M POCM-1548)

Blues After Sunset/Henry Butler (Black Top CD BT-1144)

Blues After Sunset/Henry Butler (Black Top CD BT-1144)

IF ALL I WAS WAS BLACK /Mavis Staples (ANTI 7557-2)

IF ALL I WAS WAS BLACK /Mavis Staples (ANTI 7557-2)


 
ON AIR LIST
1.Coming Home To Leipers Fork/Reggie Young
2.Yellow Moon/The Neville Brothers
3.Butler’s Boogie/Henry Butler
4.Peaceful Dream/Mavis Staples

今年もなんとか無事に健康で音楽をやれて、そしてこの番組を続けられたことに感謝してます。やはり元気でちゃんと仕事ができるだけでほっとします。僕はこの前の10月で68才になったのですが、友達や同年代のミュージシャンが亡くなったり、病気になったりということが多いので気落ちすることが多いです。とにかく、元気でいないと・・・なんて、そんなことを自分が考えるとは若い頃は思いませんでしたね。もう毎晩飲んでね。朝まで飲んで騒いで・・・いまはもう10時くらいに眠たくなる情けない感じです。

今日の最初は日本ではほとんど知られていないギタリストなのですが、アメリカの音楽の歴史の中ではかならず名前が出てくるレジー・ヤングという人がいます。とくにソウル・ミュージックを好きな方は誰かのアルバムでレジー・ヤングの名前を見ていると思います。アレサ・フランクリン、ウィルソン・ピケット、ジェイムズ・カー、O.V.ライト、カントリーのウィリー・ネルソンの”Always On My Mind”、エルヴィス・プレスリーの”Suspicious Minds”,ロックのJ.J.ケイルの”Cocane”のシャープなリズムギターもレジー・ヤングです。いわゆるスタジオ・ミュージシャンですが、今年80才にして初めてのソロ・アルバム”Foever Young”をリリースしました。またゲストをひとりも入れていないところがよくて、7曲しか収録されていないのですがとても素晴らしい7曲です。
1.Coming Home To Leipers Fork/Reggie Young
どんな気持ちでしょうね、80才で初めてのソロ・アルバムって。たぶん、こういう職人のようなギタリストは自分のソロ・アルバムを出すなんてことを考えてもいなかったように思います。「ああ、そう言えばオレ、ソロなんて出してなかったな」くらいでしょうね。年を取って肩の力が抜けたなんてよく言いますが、このアルバムを聴いていると楽に弾いているように聴こえますが、力や気持ちが思いっきりはいっているところもあります。力抜けるだけでは・・・。
ニューオリンズを代表するバンド、「ネヴィル・ブラザーズ」のサックス、チャールズ・ネヴィルが亡くなったという残念な知らせを聴いたのは4月28日。亡くなられたのは26日、79才。ネヴィルは本当に思い出のいっぱいあるバンドで何度も見ました。日本でもニューオリンズでも。
ネヴィル・ブラザーズは名前のとおり兄弟(長男のキーボードのアート、次男のヴォーカルのアーロン、三男のサックスのチャールズ、四男のパーカッションのシリル)で、70年代なかばに結成されたグループだが、それを結成する前60年代の初めから兄弟それぞれが活動していた。ネヴィル・ブラザーズの前に70年代はじめからアートとシリルはたくさんの素晴らしい録音を残したミーターズに参加。スタジオミュージシャンのバンドとして活動しながらも、ミーターズはニューオリンズ・ファンク・バンドとして貴重な録音を残している。そこに76年ヴォーカルのアーロンとサックスのチャールズが参加してネヴィル・ブラザーズとなった。チャールズはサックスとパーカッションを担当し、次の曲のような印象に残るサックスを録音している。聴いてもらうのは89年のアルバムタイトルにもなった曲。
2.Yellow Moon/The Neville Brothers
亡くなったあとに弟のアーロン・ネヴィルが出したコメントで「これからのステージでも、思わずつられてしまう兄さんの飛び切りの笑顔とはずっと一緒だ。私をいつも笑顔にさせてくれる」と言ってますが、本当に笑顔が素敵な人でした。日本のライヴの楽屋でネヴィル・ブラザーズに会ったとき、いちばん話やすかったのはその笑顔のチャールズでした。いちばん話しにくかった、結局声をかけられなかったのはコメントを出したアーロンでした(笑)

次も今年の7月に亡くなったニューオリンズのミュージシャンです。盲目のピアニスト、ヘンリー・バトラーです。亡くなってわかったんですが、僕とヘンリー・バトラー、同じ年なんですよ。ちなみにスティービー・ワンダーも同じなんですが、このふたりを思うと自分の才能のなさに愕然としますが・・・。
もうずいぶん前ですが、ニューオリンズに行き始めた頃、それまで彼のことは全然知らなかったのですが、ライヴを観に行ったら目が回ったというか、腰が抜けたというか、とにかくすごいピアノで、ピアノのすぐ前で鍵盤が見える席で聴けたんですが、もうヘンリーの手というか指という見ているうちに目が回って・・ずこいテクニックとフィーリングでした。聴いてもらうのは98年にブラックトップレコードからリリースされた”Blues After Sunset”から、ヘンリーのピアノ・ソロです。
3.Butler’s Boogie/Henry Butler
日本に来た時に高円寺のJIROKICHIでセッションしたんですよ。その翌日にコンサートがあって楽屋に訪ねていったら、ヘンリーは盲目なので見てもわからないだろうと思っていたら、「おい、おまえ昨日セッションで歌ったやつやろ」と僕の声だけでちゃんとわかるんですね。すごく才能のある素晴らしいピアニストでした。

ここ数年、ずっとアルバムを出してくれているメイヴィス・ステイプルズは今年も元気でした。このアルバム「If All I Was Was Black」は去年の11月にリリースされていたのですが、僕が聴いたのは今年ですが・・。
4.Peaceful Dream/Mavis Staples
まるで60年代のステイプル・シンガーズの頃に戻ったような曲と歌でした。
メイヴィスにはまだまだがんばって欲しいです。

自分がこの年になってもアルバムリリースできたり、変らずライヴやツアーをできたり、そしてこの番組を続けていられることに心から感謝しています。お客さんやリスナーのみなさん、たくさんの人たちが関わってくれて僕のやりたい事は成立するものです。
また来週、また来年、この番組を聴いていただけると嬉しいです。今年もありがとうございました。よいお年をお迎えください。Hey,Hey,The Blues Is Alright!
永井ホトケ隆

2018.12.21 ON AIR

ブルーズマンのクリスマス・スペシャル

20181221-1
A CREOLE CHRISTMAS(Epic ZK 47045)

20181221-2
Bluesin’ Them Jingle Bells(Oldays ODR 6177 R-15A0702)

20181221-3
Bummer Road/Sonny Boy Williamson(Chess/ユニバーサル UICY-93316)

20181221-4
Christmas In SoulsVille(Stax/ユニバーサル UCCO-2005)

20181221-5
Christmas Celebration Of Hope/B.B.King (MCA 112 756-2)

ON AIR LIST
1.Jingle Bells/Rockin’ Dopsie & The Zydeco Twisters
2.Christmas Eve Blues/Blind Lemon Jefferson
3.Santa Claus/Sonny Boy Williamson
4.I’ll Be Your Santa Baby/Rufus Thomas
5.Christmas In Heaven/B.B. King

 

当”Blues Power”では毎年他ではまず聴けないクリスマス・ソングの特集をしていますが、今年も他の番組ではON AIRされないブルーズ・テイストいっぱいのクリスマス・ソングをどうぞ。
まず陽気なルイジアナのザディコ・ミュージックのクリスマス・ダンス・ナンバーを。ちなみにザディコというのはサウス・ルイジアナあたりに住んでいるフランス系の黒人(クレオール)たちの音楽で、アコーディオンを使うのとラブボードと呼ばれる「洗濯板」を使うのが特徴で、ファンキーなダンス・ミュージックです。
1.Jingle Bells/Rockin’ Dopsie & The Zydeco Twisters
実に素人っぽい歌と素朴な感じを出すサックスとアコーディオンがたまりません。でも、洗濯板とドラムで作るビートはステディでめちゃかっこいいです。

ブルーズ・フリークとしては黒人のブルーズが録音され始めた大昔、1920年代とか30年代にクリスマスに関係したブルーズはないのか・・と探すとこれが意外とあるんですね。世間では全然知られてないですよ。クリスマスっていう感じもないですよ。「これフツーのブルーズやん」と言われると思いますが、ハイ!フツーのブルーズのクリスマスの歌です。
1928年(昭和3年)のテキサスの偉大なブルーズマン、ブラインド・レモン・ジェファーソンのブルーズです。
「厳しい冬になりそうやで、見てみめちゃ雪降って来てる、ベイビーオレがうめいてる声が聴こえるか・・
クリスマスの前の日にオレがうめいてる声が聴こえるか・・・」
2.Christmas Eve Blues/Blind Lemon Jefferson

僕が子供の頃のクリスマス関係の本とか歌とか映画とかはほとんどアメリカの白人によって作られたものだったのですが、若いときにブルーズを知ってから昔の黒人たちはクリスマスをどう過ごしていたのだろうかと思うことがありました。やっぱり同じようにクリスマスは大きなイベントであり、お互いにプレゼントをし合ったりしていたんですね。
確か前にON AIRしたかと思いますが、Back Door Santaという「裏口サンタ」という間男のブルーズもあってよその奥さんと密通するブルーズですが・・。子供に聞かせられませんが・・。オマエのサンタになるよとか、サンタになりたいとか・・とにかくサンタになって女性を口説こうとするブルーズ多いです。
次のはサニーボーイ・ウィリアムスンの「サンタクロース」というブルーズなんですが
「自分の彼女が昨日あんたのためにクリスマスのプレゼント買ってドレッサーの引き出しに入れといたからねというから、ドレッサー開けて探していたら警察が来て、君なにしんのや・・と言われて彼女が書いてくれた手紙見せて、どろぼうやないですよと言わなあかんというドサクサなブルーズです」
3.Santa Claus/Sonny Boy Williamson

次はメンフィス・ソウルのファンキー親父、ルーファス・トーマスのクリスマス・ファンクです。今年は娘さんのカーラ・トーマスが来日がありました。僕も東京で観ましたが妹さんのシンガーのヴァニースさんもよくていいライヴでした。その時もお父さんのヒット、Walkin’ The Dogなんかも歌ってましたが、そのルーファス・トーマスのヒットした”Funky Chicken”とかファンキーシリーズというのがあって、それ同じ感じの曲なんですがね。「サンタクロースが来たよ。来たよ」って始まる曲で「オレがオマエのサンタになるよ、他の奴ではあかん。オレがオマエのサンタになりたい」
やっぱり彼女のサンタになりたいんですよ。サンタになって何かプレゼントして自分に振り向いてもらいたいと・・・ほとんどこのパターンです。
4.I’ll Be Your Santa Baby/Rufus Thomas
いまのはスタックス・レコードのミュージシャンのクリスマスの歌をコンピレーションした”Christmas In SoulsVille”というアルバムにはいっていて、オーティス・レディングとかジョニー・テイラーとかステイプル・シンガーズとかスタックスレコードの有名どころが収録されています。
僕はクリスマスのお祝いなんてケーキ買ってくるぐらいですが、クリスマス・ソングを聴きながらケーキを食べるくらいのつつましい夜でいいのでは・・。
最後はB.B.キングです。
B.B.は2001年に”Christmas Celebration Of Hope”というクリスマス・アルバムを出しています。B.B.は長年クリスマス・アルバムを出したかったその念願がかなったアルバムで、さっき話したBack Door Santa、有名なチャールズ・ブラウンのMerry Christmas Babyとか歌ってます。
もうなくなって三年が過ぎましたが、やはりB.B.のようにブルーズ界を見守るような器の大きな素晴らしいもうブルーズマンはいません。本当に大きな柱だったことが時が過ぎれば過ぎるほどよくわかります。
いまから聞いてもらうクリスマス・ソングでもB.B.キングの歌の素晴らしさがよくわかります。

5.Christmas In Heaven/B.B. King

2018.12.14 ON AIR

OTIS RUSH 追悼 vol.3

Mourning In The Morning/Otis Rush (Atlantic 782367-2)

Mourning In The Morning/Otis Rush (Atlantic 782367-2)

Right Place Wrong Time/Otis Rush  (Hightone Records HCD-8007)

Right Place Wrong Time/Otis Rush (Hightone Records HCD-8007)

Ain’t Enough Comin’ In/Otis Rush (Quicksilver/nippon phonogram PHCR-1248)

Ain’t Enough Comin’ In/Otis Rush (Quicksilver/nippon phonogram PHCR-1248)

ON AIR LIST
1.Gamblers Blues/Otis Rush
2.Tore Up/Otis Rush
3.Rainy Night In Georgia/Otis Rush
4.Don’t Burn Down The Bridge/Otis Rush

 

去る9月20日に亡くなった。偉大なブルーズマン、オーティス・ラッシュの追悼の三回目です。
前回聴いてもらった50年代中後期にはチャートへのヒットも出してコブラレコードに18曲を録音しましたが、その後60年代シカゴのブルーズの名門レーベルチェスレコードと契約したが出したのはシングルが数枚。その後のデュークレコードではシングルが一枚のみ。つまり、いちばん勢いのあった時にふたつのレコード会社が契約したもののラッシュに力を入れなかった。これは精神的にかなり辛かっただろうと思います。そのあとヴァンガードレコードなどにも録音しているがトータルなソロ・アルバムはないまま60年代が終わろうとしていた。しかし69年に、コテリオン・レコードからアルバム”Mourning In The Morning”が発表された。60年代にリリースされたアルバムはこれ一枚。
ファンが期待したこのアルバムは、ラッシュ本人はがんばっているが曲やアレンジ、サウンドがあまりよくない。言えばオーバー・プロデュース。残念なアルバムになった。
しかし、その中でこのスローブルーズ1曲だけは素晴らしく良かった。

1.Gamblers Blues/Otis Rush
”Mourning In The Morning”のプロデュースはラッシュを尊敬していたであろうロック・ギタリストのマイク・ブルームフィールドとニック・グレヴナイツ。バックはアレサ・フランクリンやウィルソン・ピケットなどの録音に参加していたドラムのロジャー・ホーキンスほか当時のマッスルショールズの腕利きのスタジオミュージシャンたち。しかし、素晴らしいミュージシャンを揃えてもいい録音になるとは限らないという典型のようなアルバムで、久々のアルバムだったのにラッシュにとっては自分を代表するアルバムにはならなかった。
そして、とうとう70年代に入り日本でブルーズが流行り始めて黒人ブルーズマンによるブルーズのコンサートが始まり、3回目のブルーズフェスでラッシュは来日した。
1975年の夏。当時日本のブルーズ・ブームはすごい勢いで中でも、コブラレコードのラッシュに感動した彼の人気はすごくて僕が見た東京の日比谷野音は超満員、大阪でも入れない人たちがたくさんいた。しかし、ラッシュの演奏は良くなかった。バックのジミー・ドーキンスのバンドがダメとかいろいろ言い訳はありましたが、彼があの時全力を出して演奏したようには見えなかった。うまくいかないので途中で勝負を捨てたような演奏だった。
それ以降彼が来日した時もそうでしたが、時々彼はなぜかひとり内にこもったような演奏になりお客のことも一緒にやっているミュージシャンのこともお構いなしということがよくあった。
ステージがいろんな理由で上手くいかないことはよくあることですが、これがB.B.キングならどうだろうと思ったこともあった。B.B.は最後まで勝負を捨てないでがんばると思った。ラッシュにはそれがない感じでした。僕は1,2曲素晴らしい演奏をするラッシュを見たことはあったが、コンサートが最高だったことは一度もなかった。残念ながら。
何度目かの来日の時は自分のヒット”All Your Love”を歌わないでインストでやったことがあり、その時は僕は頭に来て途中で客席を出ました。あとから関係者に聞けばかなり酒を飲んでいたということだった。それは言い訳にはならない。大好きなだけにしっかりしてくれ!という気持ちでした。
そして、来日の75年の翌年”Right Place Wrong Time”というアルバムが突然リリースされました。実はその五年前1971年に大手キャピタルレコードが録音したものですが、発売されずに76年になってインディーズのハイトーンレコードからリリースされた。その5年も確かにラッシュにとってつらいものだったと思います。

2.Tore Up/Otis Rush

次に聴いてもらうのは黒人のブルック・ベントンが70年にヒットさせましたが、オリジナルは去年の10月に亡くなった白人のカントリーロック・シンガーのトニー・ジョー・ホワイトです。
「スーツケースを持って夜を過ごす温かい場所を探している。めっちゃ雨が降っている中、大丈夫やと言う君の声が聴こえる気がする。ジョージアの雨の夜、世界中が雨のような気がする」
スーツケースとギターを持って放浪しているミュージシャンを歌った曲です。
3.Rainy Night In Georgia/Otis Rush
いい曲です。
いま聞いている”Right Place Wrong Time”以降のラッシュはコンスタントにアルバムを出してます。
94年の”Ain’t Enough Comin’ In”もいいアルバムです。2006年リリースのサンフランシスコでのライヴ盤”Live And In Concert From San Francisco”もよかったです。

では、94年”Ain’t Enough Comin’ In”から彼が好きだったアルバート・キングの曲のカバーです。
その橋(ブリッジ)を焼き落としてはいけない/Don’t Burn Down The Bridgeというタイトルですが、家のドアに全部鍵をかけて、その鍵を投げ捨てて家を出ていこうとする彼女に「その橋(ブリッジ)を焼き落としてはいけない」と言うんですが、ふたりのつながりをすべて失くしてしまってもいいのか。
4.Don’t Burn Down The Bridge/Otis Rush

オーティス・ラッシュの追悼を三回に渡ってON AIRしてきました。いろんな不運なことやミュージシャンとして恵まれない状況の時代もありましたが、まだまだやれる力を持ったブルーズマンでした。1998年には「Any Place I’m Going」をリリースしてグラミーも受賞しました。2004年に脳梗塞で倒れてから結局復帰できないまま彼は亡くなってしまいました。
本当に残念です。
オーティス・ラッシュは他にもアルバムがあり、ライヴ・アルバムも何枚かあります。
僕はシカゴのラッシュのお宅にもおじゃましていろいろ話をさせてもらいました。ありがとうございました。