2017.02.17 ON AIR

ローリング・ストーンズの新譜「ブルー&ロンサム」とその原曲を聴く Vol.1

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BLUE & LONESOME/The Rolling Stones(LP 571494-4)

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The Complete Chess Masters/Little Walter(Chess Geffen B0012636-02)

ON AIR LIST
1.Just Your Fool/The Rolling Stones
2.Just Your Fool/Little Walter
3.I Got To Go/The Rolling Stones
4.I Got To Go/Little Walter
5.Hate To See You Go/The Rolling Stones
6.Hate To See You Go/Little Walter
昨年12月にリリースされたローリング・ストーンズの新譜がブルーズのカバー・アルバムということで、ロック・ファンだけでなくブルーズ・ファンの間でも話題になってきた年末年始。
日本で唯一のオーセンティックなブルーズのラジオ番組を自負している当「ブルーズ・パワー」としては取り上げないわけにいかないということで、今回から数回にわけて、そのストーンズの新譜「ブルー&ロンサム」とカバーされた原曲を一緒に聞きながら話を進めて行こうと思います。
1964年に結成されたストーンズは、元々黒人のブルーズやR&Bを演奏する目的で結成されたバンドだということを知ってる方も多いと思います。バンド名前のローリング・ストーンズもブルーズマン「マディ・ウォーターズ」の曲名”Rollin’ Stone”から取ったものだし、ファースト・アルバムから三枚目あたりまでは、ブルーズとR&Bのカバーが半分くらい入ってました。しかし、”Satisfaction”や”Jumpin’ Jack Flash”といったオリジナルがヒットし始めてからはオリジナルを演奏するロックバンドとなり、アルバムに1,2曲たまにブルーズが収録されているだけで、今回のように全てブルーズというのは初めてです。
「ブルー&ロンサム」の1曲目から聞いてみよう。そのあとでオリジナルのリトル・ウォルターの録音を聞いてみようと思います。まずはストーンズ
1.Just Your Fool/The Rolling Stones
アルバムの最初を飾る曲としてはいい選曲ですね。さぁ、これから始まるよという感じがします。
内容は”I’m just your fool, can’t help myself”ですから「オマエに夢中でめっちゃ好きで我慢でけへん。もし、他の新しい男なんかできたら、オレはショットガンでオマエを撃つよ。そのくらいオマエが好きなんや」
続けてオリジナル1960年録音のリトル・ウォルターの”Just Your Fool”を聞いてください。
2.Just Your Fool/Little Walter
僕としてはいますぐラジオを聞いている人の感想を聞いてみたいところなんですが、ストーンズは聴いたことがあるけどリトル・ウォルターを聴くのは初めてという人も多いと思います。初めてリトル・ウォルターを聞いた感想を知りたいです。
いまのふたつを聞いて何が違うでしょう。
ストーンズは曲のサイズと構成はほとんどそのままオリジナルをカバーして、まあ全体の曲のムードもそのままという感じですね。サウンドの違いは時代も機材もスタジオも違うし、まず演奏している人間が違いますから、そのあたりの音作りの好き嫌いはどうしょうもないです。
でも、決定的に違いを感じるのはいちばん前に出ている歌とハーモニカですよね。ミック・ジャガーとリトル・ウォルターという違う人間が歌ってハーモニカ吹いているのだから違いますが、バックのサウンドは全体的にしっかりカバーした感じがあります。ストーンズ・ファンの方はある種ミックの声を聞いただけで嬉しいというところもあると思いますが、僕はリトル・ウォルターのちょっとやさぐれた歌い方がカッコいいと思います。
次もリトル・ウォルターのカバー。
3.I Got To Go/The Rolling Stones

4.I Got To Go/Little Walter
いちばん最初に思ったのは原曲とリズム・パターンが違います。ストーンズのチャーリー・ワッツは2ビートで叩いてますが、リトル・ウォルターのドラマー、フレッド・ビロウはちょっとラテン風味のファンキーなリズム・パターンでグルーヴしています。それで大分曲の印象が違います。もし、原曲のリトル・ウォルターのこの曲が入ってるアルバムを持っていたら、あとで少し大きな音でこのI Got To Goを聞いてみてください。フレッド・ビロウのドラムが素晴らしいです。
ミックはさっきの”Just Your Fool”でもそうですが、今回の録音でハーモニカがんばってます。やはり、リトル・ウォルターは人間の感情をすべてハーモニカで表現できるような天才肌なので、それをカバーするのは大変なことですが、僕は「ああ、ミック練習したな」と思いました。偉そうですけどね。ハーモニカいいですよね。
リトル・ウォルターのオリジナルは1955年の録音。52年にデビューして三年目油が乗ってきた頃で、シカゴの街でキャデラックの乗って女の子を何人も連れて毎晩豪遊していた頃でしょう。いまの録音はギターが名人のロバート・Jr・ロックウッド、と当時新進気鋭のルーサー・タッカー、ベースがシカゴ・ブルーズの親分であり、実質的なプロデューサーの役割もしたのウィリー・ディクソン、そしてドラム、フレッド・ビロウという鉄壁のシカゴ・ブルーズのメンバーです。
ストーンズは今回のアルバムで4曲リトル・ウォルターをカバーしているんですが、もう一曲リトル・ウォルターのカバーを聞いてみましょう。
5.Hate To See You Go/The Rolling Stones

6.Hate To See You Go/Little Walter
僕はこういうアーシーなワンコード・ブルーズが大好物です。ワン・コードで簡単そうですが、実は全体のリズムがグルーヴしないとすごくつまらないものになってしまうんですが、さすが全盛のチェスレコードのメンバーは素晴らしい。
いまのリトル・ウォルターの録音はさっきのメンバーのロックウッドがいなくて代わりにボ・ディドリーが参加してます。

今日はローリング・ストーンズの新しいアルバム「ブルー&ロンサム」の中からリトル・ウォルターのカバー曲を、オリジナルのリトル・ウォルターと共に聞き比べてみました。
やはり、ストーンズはすごくブルーズ好きなんだなぁという感想とともに、やはりオリジナルのリトル・ウォルターの偉大さを感じました。
ただ聞いているとすべてはそんなに難しくは思えないんですが、ブルーズを演奏することの難しさも今回のストーンズのアルバムを聞いて改めて感じました。今日はリトル・ウォルターのカバー曲に絞りましたが、また来週このストーンズの新譜とその原曲を聞いてみようと思います。
Hey Hey The Blues Is Alright!

2017.02.10 ON AIR

激動の60年代ブリティッシュ・ブルーズロックvol.4
ブリティッシュ・ブルーズロックの実力派ジ・アニマルズ

The Single Plus/The Animals (EMI CDP7 46605 2)

The Single Plus/The Animals (EMI CDP7 46605 2)

animalisms/The Animals(Repertoire REP 4772-WY)

animalisms/The Animals(Repertoire REP 4772-WY)

ON AIR LIST
1.We’ve Gotta Get Out Of This Place/The Animals
2.House Of The Rising Sun/The Animals
3.It’s My Life/The Animals
4.Boom Boom/The Animals
5.Inside Looking Out /The Animals
僕はビートルズが登場しなければ洋楽は聴かなかったかも知れません。中学1年、13才でした。そのビートルズの登場と同時にイギリスではブルーズとかR&Bが芽生え始めていました。
ローリング・ストーンズ、アニマルズ、ゼム、スペンサー・ディヴィス・グループ、ヤードバーズ、ブルーズ・ブレイカーズ、とブルーズとR&Bに影響されたバンドが次々デビューしてきました。個人的にはストーンズ、アニマルズが悪い感じ、不良な感じで惹かれるものがあった。
なんせ名前がアニマルズですから・・ アニマルズがアメリカのテレビに出た時、インタビュアーが「どうしてアニマルズっていう名前なんですか?」とバンド名の由来を聴いた時に、ヴォーカルのエリック・バードンがニヤッと不敵な笑いを浮かべて「おれたちは動物だからよ」と不良感満載で言ったのが、かっこいいよかった。
エリック・バードンは声も太くて、ソリッドで、威圧的でハマりました。では、最初に僕がアニマルズでいちばん好きな曲です。
1.We’ve Gotta Get Out Of This Place/The Animals
いまのは邦題が「朝日のない街」というんですが、自分のおやじが働きつづけてるのに報われないで年老いていく姿を見て、こんなところから抜け出さないとダメだと、彼女にふたりでここから抜け出そうという歌。アニマルズはイギリスのニューカッスルという街の出身ですが、昔、ニューカッスルは炭鉱や造船、鉄鋼で栄えた一大工業地帯、つまり労働者の街で、それでこういう歌が生まれたのかなと思います。

アニマルズは60年代初期のイギリスのブルーズ、R&Bの重要なバンドで最初はストーンズより人気があったような記憶があります。
では、アニマルズに2枚目のシングルで1964年イギリスでもアメリカでもナンバーワンになった大ヒット。この曲は邦題が「朝日の当たる家」でアニマルズといえばこの曲というくらいヒットしました。
2.House Of The Rising Sun/The Animals
いろんな人がカバーしてますが、こんなにエモーショナルにこの歌を歌ったのはエリック・バードンだけで、その歌を盛り上げていくバックの演奏も素晴らしいです。
アニマルズはヴォーカルのエリック・バードン、キーボードのアラン・プライスを中心にギターのヒルトン・ヴァレンタイン、ドラムのジョン・スティール、そしてベースのチャス・チャンドラーの五人で1963年に始まりました。
3枚目のシングル”I’m Crying”もチャートの8位まで上がってバンドはすごくいい調子で進んでたんですが、さっき聴いた1曲目のWe’ve Gotta Get Out Of This Placeの録音が終わったあとにキーボードのアラン・プライスがお金のこととか、バンドの主導権争いをエリック・バードンとしてバンドをやめてしまいます。代わりにデイヴ・ドウベリーが入ります。この人もいいキーボード・プレイヤーでバンドのクオリティが下がった感じはなかったです。
次のIt’s My Lifeもアニマルズらしい曲です。「自分には金もなくて運もない。着てるものはボロボロだけどいつか最高級の毛皮のコートを着てやるさ。必死なって働いて部屋代を稼ぐのはもう嫌だ。手に入るものはなんでも手にいれる。オレの人生だからやりたいようにやるんだ。オレの心だから思っているようにやる。いつかオマエにもいい目させてやるよ」
3.It’s My Life/The Animals
ヴォーカルのエリック・バードンはたぶんジョン・リー・フッカーが好きだと思います。ジョン・リーのカバーを3,4曲やっていたと思いますが、やはりジョン・リーのカバーで印象に残っているのはこの曲です。
オリジナルはほぼワンコード感覚ですが、アニマルズはバンドでやりやすいようにきっちり3コードにしてます。
4.Boom Boom/The Animals
エリック・バードンはたぶんジョン・リー・フッカーのアウトロー的なイメージも好きだったのだと思います。モダン・ブルーズのB.B.キングとかフレディ・キングとかギターの印象が強いブルーズマンの曲は取り上げてません。はっきりしてますね。

エリック・バードンの歌のすごいところはエモーショナルというか、歌って行くうちに自分でどんどん盛り上がっていくんですよ。しかも、表現が深い、ディープなんですね。それだけ声量もあるし、音域も広いので幅広い表現ができるんですが、それ以上に彼の内面、気持ちが彼の歌を押し上げていく感じなんですね。おう、行く行く、おおっまだ行くか・・っていう感じ。次の曲は70年代にアメリカのグランド・ファンク・レイルロードがカバーしてたのでそっちで知って人も多いと思いますが、これはアニマルズのオリジナルです。この曲でもおっ行く行くが聴けます。
5.Inside Looking Out /The Animals

2017.02.03 ON AIR

激動の60年代ブリティッシュ・ブルーズロック vol.3
ブリティッシュ・ブルーズの真の実力派フリートウッド・マック

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ON AIR LIST
1.Black Magic Woman/Fleetwood Mac
2.My Heart Beat Like A Hammer/Fleetwood Mac
3.Albatross/Fleetwood Mac
4.Stop Messin’ Round/Fleetwood Mac
5.Coming Home/Fleetwood Mac

 

 

 

 

今回で激動の60年代ブリティッシュ・ブルーズの三回目ですが、前々回聴いたジョン・メイオール・ブルーズブレイカーズに在籍したギターリストのピーター・グリーンがブルーズブレイカーズを辞めたあとに作ったフリートウッド・マック。
ピーター・グリーンはかなりの自信家でまたようしゃべる奴やったらしいです。それでバンマスのメイオールと音楽的に上手く行かず脱退。
そして、その前にブルーズブレイカーズのメンバーですでに辞めていたドラムのミック・フリートと「フリートウッド・マック」を結成し、更にブルーズブレイカーズのベースだったジョン・マクヴィがステージでべろべろに酔っぱらって首になってフリートウッド・マックに加入。つまり、フリートウッド・マックの主要なメンバーというのは、元ブルーズブレイカーズのメンバーなんです。
フリートウッド・マックは67年結成。もうひとりジェレミー・スペンサーという素晴らしいギタリストを加え、更にもうひとりダニー・カーワンが加入してトリプル・ギターでサウンドを作る面白いバンドだった。サンタナで有名になった「ブラック・マジック・ウーマン」も彼らのオリジナルだし、「アルバトロス」というムードのあるインスト・ナンバーでチャートに上がったこともあったけど、基本的にはしっかりしたブルーズバンドです。
まずこれがオリジナル「ブラック・マジック・ウーマン」
1.Black Magic Woman/Fleetwood Mac
次の曲はエルモア・ジェイムズ大好きのジェレミー・スペンサーが作ったエルモアまるだしのオリジナル。スライドギターの音色も素晴らしいです。
2.My Heart Beat Like A Hammer/Fleetwood Mac
68年リリースのファースト・アルバム「ピーター・グリーンズ・フリートウッド・マック」はチャートの4位まで上がる人気でした。

みなさんの中には70年代のポップ・ロックバンドとしてヒットを連発した「フリートウッド・マック」の方を知ってる人も多いと思います。なんでバンドの名前を変えてくれんかったのかと言いたくなるくらい同じバンド名前なのにやってた音楽がまったく違うんですが・・違いすぎるというか・・。
実は60年代の終わりにかけてフリートウッド・マックは人気も出て、アメリカツアーもしてシカゴのチェスレコードでレコーディングもするという順風満帆に進んでたんですが、70年代の初期にピーター・グリーンがLSD遣やり過ぎて頭が飛んでしまって活動できなくなり、そのあとにギターのジェレミーも精神不安定で脱退し、ダニー・カーワンもアルコール依存で脱退とめちゃくちゃなことになってしまって、ブルーズをルーツとしたフリートウッド・マックはそこで終わってしまいます。
結局ドラムのミック・フリートとベースのジョン・マクヴィが残るんですが、そこにギターのボブ・ウェルチという人が加入して、ベースのジョン・マクヴィと結婚したピアニスト&ヴォーカルのクリスティーヌが加入して活動。これがポップロックに向かう第二期フリートウッド・マックの始まりになるわけです。このクリスティーヌさんはその前にチキン・シャックというブルーズバンドに参加してたんです。
ピーター・グリーンの才能の一端を示した名曲を聴いてください。69年イギリス・チャート1位です。
3.Albatross/Fleetwood Mac
なんか不思議な、いい曲でしょ。僕は大好きで時々聴きます。すごく特異な才能があったピーター・グリーンはアタマが飛んでしまったあと、お墓の掃除人なんかやってほぼホームレス状態で発見されました。
1990年代になんとか復帰して99年に日本に来た時に日比谷の野音で一緒やったんですが、やっぱり完全には直ってないようでした。B.Bキングもそのギターの才能を認めて、ブルーズギターということでは同じイギリス白人のクラプトンよりもブルーズを感じるというファンも多いので残念です。
今のアルバトロスは3枚目のThe Pious(パイアス/敬虔な、信心深い) Bird Of Good Omen(いい前触れ) 日本盤では「イングリッシュ・ローズ」という編集盤に入ってます。
次の曲はピーター・グリーンのオリジナルで二枚目の「ミスター・ワンダフル」というアルバムに収録。歌もピーター。
4.Stop Messin’ Round/Fleetwood Mac
1969年にはフリートウッドマックはイギリスではビートルズ、ストーンズの次に人気のあるバンドまでのし上がりました。黒人ブルーズに肉迫した実力とセンスのあったバンドなのに惜しいです。シカゴの憧れのチェスレコードまで行ってオーティス・スパンたちとレコーディングもしたんですが・・・。

もう一曲、エルモア大好きジェレミーのエルモアのカバー
5.Coming Home/Fleetwood Mac
まだまだフリートウッドマックは聴いてもらいたい曲もあるのでまた近々やります。

2017.01.27ON AIR

60年代ブリティッシュ・ブルーズロック vol.2

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ON AIR LIST
1.Driving Sideways/John Mayall & The Bluesbreakers
2.Oh Pretty Woman/John Mayall & The Bluesbreakers
3.Little By Little/John Mayall & The Bluesbreakers with Paul Batterfield
4.Ridin’ On The L And N/John Mayall & The Bluesbreakers with Paul Batterfield
5.I Can’t Quit You Baby/John Mayall & The Bluesbreakers

 

 

 

前回に引き続き60年代ブリティッシュブルーズのその2回目
ブリティッシュ・ブルーズ先駆けのジョン・メイオール・ブルーズブレイカーズに加入して名盤に素晴らしいブルーズギターを残したエリック・クラプトン。そしてクラプトン脱退後に加入したピーター・グリーンというクラプトンに劣らない優れたギタリストの加入。そのアルバム「ハードロード」もまた素晴らしくてブルーズブレイカーズはイギリスでトップのブルーズバンドになります。しかし、またすぐにピーター・グリーンも脱退。しかし、ジョン・メイオールは慌てず騒がずまたもうひとり腕利きのギタリスト、ミック・テイラーを連れてきます。ミック・テイラー・・そうのちにローリング・ストーンズのギタリストになるあのミック・テイラー。彼が19才でブレイカーズに入ったその一曲をまず。フレディ・キングのインストルメンタルのカバー。
1.Driving Sideways/John Mayall & The Bluesbreakers
ミック・テイラー19才。しかも1967年という時代を考えるとちょっと驚異です。次はアルバート・キングの有名なアルバム”Born Under A Bad Sign”からのカバーです
2.Oh Pretty Woman/John Mayall & The Bluesbreakers
ギター、いい音してますね。クラプトンだけやなくて60年代のイギリスにはピーター・グリーンもそうですが、ブルーズがうまいギタリストたくさんいたんですよ。
さて、ギタリストのことが話題になりがちなブルーズ・ブレイカーズですが、肝心のバンマスのジョン・メイオールはコロコロとギタリストが変ることにどう思っていたのかというと、メイオール自身もやりたいことがコロコロ変わる人で、変ると言うてもブルーズというルーツは変らないですが、ジャズ風のアルバムだしたり、カントリーブルース風の弾き語りやったり、ホーンセクション入れてR&B風にしたりとまあやりたいことがいろいろあって、いろいろやってしまう人なんですよ。
だから、メンバーが辞めていくことにもあまり執着ないというか、去る者は追わず的な人らしいです。いまも健在で83才。すごいことに1963年に結成されたブルーズブレイカーズはいまだに解散はしていない。

先週ON AIrしたブルーズブレイカーズのアルバム”Hard Road”のボーナス・トラックにアメリカの白人ブルーズマン、ポール・バターフィールドとの録音が4曲収録されてました。バターフィールドはアメリカでのメイオールみたいな人でブルーズバンドを取り仕切っていた第一人者。しかもシカゴで。
いろいろ調べたのですが、わからないのはなぜバターフィールドが1966年にロンドンにいたのかで・・自分のバンドでツアーに来ていたわけでもなさそうです。イギリスがブルーズで盛り上がっているので、個人的にわざわざロンドンに来たのでしょうか。自分もアメリカ白人でブルーズ・フリークですからイギリス白人のブルーズはどんなんやと来たんだと思います。

では、イギリスの白人ブルーズのボスとアメリカの白人ブルーズのボスの共演を聴いてください。ジュニア・ウエルズのカバーから。歌はふたりでうたってますが、ハーモニカはポール・バターフィールド
3.Little By Little/John Mayall & The Bluesbreakers with Paul Batterfield
お互いに存在感を譲らずみたいなところがいいですね。
この時お互いにどう思ったんでしょうかね・・・お互いに白人のブルーズのファウンダー創設者として志は同じですからね。
バターフィールド・ブルーズバンドは64年に結成されて65年に最初のアルバムがリリースされてますから、イギリスにいてブルーズにアンテナを張っているメイオールが知らないわけはないです。しかもそのファースト・アルバムの評価はすごく高かったし、ボブ・ディランのバックをニューポートのフォーク・フェスでバックもやってますから、そういうニュースは入ってると思います。
もう一曲
4.Ridin’ On The L And N/John Mayall & The Bluesbreakers with Paul Batterfield
1960年代の半ばに海を隔ててお互い白人で、黒人ブルーズを好きになった者同志がセッションしたものが、こうして音が残っているのがいいですね。
最後にもう一曲アルバム「Crusdade」からオーティス・ラッシュのカバーですが、ミック・テイラーのギターソロもいいですし、ジョン・メイオールの歌もじっくり歌っていて落ち着いてます。
5.I Can’t Quit You Baby/John Mayall & The Bluesbreakers
ミック・テイラーはブルーズ・ブレイカーズを69年に脱退。ローリング・ストーンズに加入しますが、70年代半ばまでのストーンズを代表するアルバム「Let It Bleed」「Sticky Fingers」「メイン・ストリームのならず者」などは間違いなくミック・テイラーのギターの功績が大きいです。

2017.01.20 ON AIR

激動の60年代ブリティッシュ・ブルーズロック vol.1

Alexis Koner(Blues Incorporated)

Alexis Koner(Blues Incorporated)

Bluesbreakers With Eric Clapton/John Mayall & The Blues Breakers

Bluesbreakers With Eric Clapton/John Mayall & The Blues Breakers

Hard Road//John Mayall & The Blues Breakers

Hard Road//John Mayall & The Blues Breakers

 

ON AIR LIST
1.She Fooled Me/Blues Incorporated
2.Hideaway/John Mayall & The Blues Breakers
3.All Your Love/John Mayall & The Blues Breakers
4.Someday After A While (You’ll Be Sorry)/John Mayall & The Blues Breakers
5.Looking Back/John Mayall & The Bluesbreakers

昨年末のローリング・ストーンズのブルーズカバー・アルバム”Blue And Lonesome”のリリースから、僕の周りでは再び60年代のブリティッシュ・ブルーズのことがよく話題になる昨今です。それで60年代ブリティッシュ・ブルーズロックをしばらく特集してみようかなと思ってます。

いつも60年代ブリティッシュ・ブルーズロックの話となるとローリング・ストーンズやヤードバーズあたりから話を始める人が多いのですが、実はイギリスのブルーズの父、またはヨーロッパのブルーズのゴッドファーザーと呼ばれているアレクシス・コーナーを忘れてはいけない。
イギリスのブルーズの先駆けとして有名な「ブルーズ・インコーポレイテッド」というバンドをつくり、そこにはのちのストーンズのドラムになるチャーリー・ワッツやクリームのドラムになるジンジャー・ベイカー、ベースのジャック・ブルースが参加していました。そして、彼が作った“イーリング・ジャズ・クラブ”というクラブには夜な夜なミック・ジャガーやキース・リチャーズが現れてはセッションし、そんな中からローリング・ストーンズはじめイギリスのブルーズ好きの若者が育っていきました。つまり、ブルーズという音楽を演奏する土台のようなものをアレクシス・コーナーは作ったわけです。
She Fooled Me/Blues Incorporated

アレクシス・コーナーのブルーズに対する情熱を受け継いでいったのが、ジョン・メイオールだと思う。ジョン・メイオール&ブルーズブレイカーズはイギリスのブルーズの広まりとその後のブルーズロックの誕生にとても大きな役割を果たしたバンドでした。66年リリース、ジョン・メイオール&ブルーズブレイカーズの代表的なアルバム”Bluesbreakers With Eric Clapton”より一曲。
エリック・クラプトン21才のギター・プレイです。
Hideaway/John Mayall & The Blues Breakers
オリジナルは61年リリースのフレディ・キングですが、当時のクラプトンのアイドルは間違いなくフレディだったでしょう。

アルバム”Bluesbreakers With Eric Clapton”は1966年のリリースで、実はその年にシカゴのブルーズマンたちがイギリスに公演に行ってるのですが、その中にオーティス・ラッシュもいました。ジョン・メイオールやクラプトンはその時、ラッシュの演奏聞いたのかも知れません。次はそのオーティス・ラッシュのカバーです。クラプトンは21才と思えないキレキレのギターを弾いてます。
All Your Love/John Mayall & The Blues Breakers

クラプトンがブルース・ブレイカーズにいたのはわずか半年くらいだったのですが、この残されたアルバムはブリティッシュ・ブルーズを代表するアルバムとして聞き継がれるものになりました。そして、クラプトンのあとにギターで参加したのがこれまた才能あふれたピーター・グリーン。まだ20才でした。彼が参加した”Hard Road”というアルバムも優れた一枚です。
Someday After A While (You’ll Be Sorry)/John Mayall & The Blues Breakers
ピーター・グリーンの鋭いギター・ワークが気持ちいいですね。

ヤードバーズ時代に「クラプトンは神だ」と言ったロンドンの若者たちがいたそうですが、ブルーズ・ギターリストという観点から聴くとピーター・グリーンの方がブルーズの匂いがあり、ピーターの方が好きだという人も多いです。僕の印象で言うとクラプトンは非常にきれいな、美しいブルーズギターを弾く人で、ピーターはよりオーセンティックなディープなブルーズギターを弾く人です。
もう一曲ピーター在籍のブルーズブレイカーズを。
Looking Back/John Mayall & The Bluesbreakers