追悼:ドン・ブライアント vol.1
生涯、音楽に誠実であったメンフィスの名シンガー&ソングライター、ドン・ブライアント


ON AIR LIST
1.Don’t Turn Your Back On Me/Don Bryant
2.It’s So Lonely Being Me/Don Bryant
3,I’ll Go Crazy/Don Bryant
4.99 Pounds/Ann Peebles
5.I Can’t Stand The Rain/Ann Peebles
メンフィスの偉大なソウル・シンガーでありソング・ライターのドン・ブライアントが去年の12月に亡くなりました。かなり遅ればせになってしまいましたが今日はドン・ブライアント追悼放送です。
彼は同じメンフィスのオーティス・レディングやアル・グリーンやO.V.ライトのように広く知られるようなヒット曲はなかったのですが、でもいい曲がいくつもあり、またそのディープで真っ直ぐな歌い方が好きなファンがいまもたくさんいます。
彼は60年代にメンフィスのハイ・レコードから10枚のシングルをリリースしましたがアルバムのリリースは一枚。そのアルバムもカバー・アルバムで自作の曲はなかったのです。なぜ自分で曲を作れるシンガーなのに自作の曲が入ったアルバムをハイ・レコードはリリースしなかったのか納得できません。そして彼は70年代に入るとそのハイ・レコードのソング・ライター&スタッフとなりシンガーとしての活動を辞めてしまいます。シンガーを辞めてしまった理由もよくわからないのですが、ヒットが出ないことに落胆したのか、自分の性格が裏方のソングライターの方に向いていると思ったのか・・・。
最初に聞くのは1965年デビュー二作目の曲ですが、60年代サザン・ソウルの曲という感じです。「俺に背中を向けないで」というタイトルですが、背中を向けて去っていく彼女に俺のそばにいてほしいという曲。初めて聞いたのは自分が20代中頃、2分9秒という短い曲ですが印象に残りました。
1.Don’t Turn Your Back On Me/Don Bryant
1975年に日本のキングレコードから「メンフィス・サウンド・オリジナル・コレクション」というシリーズで何枚かメンフィス・ソウルのLPレコードがリリースされまして、その三枚目がドン・ブライアントのシングル曲を集めたコンピレーション・アルバムでした。ジャケットを番組HPに出しておきますのでご覧になってください。これは素晴らしいアルバムです。
ドン・ブライアントはバラード・シンガーというわけではないのですが、初期の頃はバラード系の曲が多かった気がします。
そのシングル盤の中でも次は大好きな曲です。「彼女と別れてしまい自分の人生は空っぽになってしまった。本当に自分は孤独だ」
当時20代半ばの自分の胸に刺さった曲でした。
2.It’s So Lonely Being Me/Don Bryant
本当にいいシンガーですし、いい曲やと思います。メンフィスを中心としてアメリカ南部にはドン・ブライアントと同じようにゴスペルに根ざしたR&B,Soulシンガーがたくさんいました。大半は黒人のコミュニティでの人気でポップ・チャートに曲が上がることもなかったのですが、それでもアルバムを出しながら黒人のクラブ回りのツアーをする「チタリン・サーキット」で歌手として生き延びていくこともブライアントはできたと思います。
次の曲もいかにもサザン・ソウルという曲調で飾り気のないサウンドにドン・ブライアントの実直な歌声が心に残ります。
3.I’ll Go Crazy/Don Bryant
同時代のスプリームスやテンプテーションズ、マービン・ゲイ、ミラクルズといったヒット曲を量産したソウル・グループ、シンガーを抱えていた「モータウン・レコード」のような華やかさやボッブス性はメンフィスソウルにはなかったです。音作りも素朴でシンガーもゴスペルやブルーズのテイストを持って実直に歌う人たちが多かったですね。
それで70年代に入るとドン・ブライアントは歌手を辞めてしまい、ソングライターとなり「ハイ・レコード」のスタッフのような仕事も始めます。
そんなときに出会ったのがのちに結婚するアン・ピーブルズという女性シンガーです。その出会った最初の頃にアンに作った曲が次の曲です。1971年の録音。
4.99 Pounds/Ann Peebles
99Pounds とは約45キログラムですが、これは初めてドンがアンに会ったときに痩せてて小さい女性だけどとても輝いていた印象から作った曲です。
アン・ピーブルズというシンガーはブルーズ・テイストのあるシンガーで、ボビー・ブランドが歌った”I Pity The Fool”とかリトル・ジョニー・テイラーがヒットさせた”Part Time Love”といったブルーズをとてもいい感じで歌ってます。
そんな彼女のブルーズ・テイストが生かされた曲を2人は共作しました。それが大きなヒットとなった”I Can’t Stand The Rain”
「窓を打ち付ける雨の音が耐えられない。もうここにはいない彼との甘い思い出が蘇ってくるから・・・」
5.I Can’t Stand The Rain/Ann Peebles
79年に彼は奥さんのアンと来日公演で来日しました。40年以上経って歌手として復活した晩年の素晴らしい歌を聞こうと思います。
来週もドン・ブライアントの追悼をやります。






