2026.04.24 ON AIR

チャック・ベリー生誕100年記念 vol.1

「もっと深くチャックを知ろう」

ON AIR LIST
1.Maybellene/Chuck Berry
2.Wee Wee Hours/Chuck Berry
3.Deep Feeling/Chuck Berry
4.Havana Moon/Chuck Berry
5.Too Much Monkey Business/Chuck Berry

今年は「ロックンロール王様」チャック・ベリーの生誕100年だそうです。それで以前やったチャック・ベリー特集よりもっと深掘りしてみようということで何回かに分けてON AIRします。
まずは1955年に大ヒットしたデビュー曲の「メイベリーン」この曲は今日聴くチャックのファースト・アルバム”After School Session”には収録されていませんが、R&Bチャート一位に輝いた曲です。デビュー曲でチャート一位です。

1.Maybellene/Chuck Berry

2ビートのダンス・ビートで白人のカントリー&ウエスタンがベースになっている曲で、ギターソロで少しグルーヴが激しくなるメリハリもありポップス性もあります。チャックの歌も白人シンガーかなと思う声質のあっさり味で白人層に売れたのも納得。実際ラジオでこの曲を聞いた人たちの中にはチャックを白人だと思った人がたくさんいてコンサート見に行ったら黒人やったということもあったそうです。
歌詞の内容も他の男のキャデラックに乗った彼女のメイベリーンを見かけてフォードで追いかけるという他愛ないティーンエイジャーの青春映画の一コマみたいなものですが、これがまた白人若者にウケたんですね。
しかし、実はチャック本人はシングルのA面に「メイベリーン」ではなくB面になった「ウィーウィー・アワーズ」を入れたかったそうです。この曲は最初オーディションの曲としてチャックがチェスレコードに送ったものですが、別れた彼女のことを夜明け前の小さな部屋で思い出して、君は本当に愛する唯一の人だったと後悔しているブルーズ曲。

2.Wee Wee Hours/Chuck Berry

チャックが好きだったウエストコーストのブルーズマン、チャールズ・ブラウン風味のブルーズでした。ウエストコーストにいたT.ボーン・ウォーカーもチャックのアイドルでした。
チャックはチェスレコードですでに有名だったブルーズマン、マディ・ウォーターズが好きでチェスに入りたかったくらいですから、当然ブルーズマンを目指していて今のようなブルーズの曲をA面にしてもらいたかったわけです。
それがレコード会社の意向でB面になったわけですが、僕も好きな曲ですがどっちが売れるかと言えばやはり「メイベリーン」でしょうね。
もう一曲ブルースのインストルメンタル曲を聴いてみてください。これはチャックがカントリーやハワイアン・ミュージックで使われるラップ・スティールギターでスライドギターをしているのですが、このインストがすごくムードがあり僕は好きです。スライド・ギターも上手いチャックを聴いてください。

3.Deep Feeling/Chuck Berry

こういう曲を聴くと「ロックンロールの王様」という看板ではないチャックの別な音楽性がわかると思います。チャック・ベリーの音楽性は多岐にわたっていてブルーズ、R&B、カントリー&ウエスタン、ジャズそして今から聞いてもらうラテン・ビートもチャックがよく使ったものです。タイトルの「ハバナ・ムーン」のハバナはキューバの首都ですが、ハバナの港で月を眺めながらラム酒を呑んで彼女がアメリカから帰ってくる船を待っているという歌詞なんですが、最後は彼女がくる前に酔っ払って寝てしまい気づいたら彼女はもう帰ってしまったというグダグダの歌です。

4.Havana Moon/Chuck Berry

こういうラテン・ビートを使った背景には50年代のラテン・ミュージックのアメリカでの流行がありアメリカのボビュラー・ミュージックのひとつのビートとして定着しました。つまりロックン・ロールだけでなく最新の音楽を聞きいろんな音楽の可能性をチャックが持っていたことがわかります。そしてほとんどの曲がチャックのオリジナルであり、特にその作詞の能力はずば抜けた才能です。次の歌もとにかく言葉が多くて7番まであるのですが繰り返しがなく全部違う歌詞です。詞の内容は世の中は理不尽でうまくいかない、ひどいことばっかやなぁという歌です。曲名のToo Much Monkey Businessのモンキー・ビジネスはインチキや不正、ごまかしという意味でトゥ・マッチですからごまかしやインチキばっかや世の中は・・・と怒り、嘆いている歌です。
イントロからチャックのギターのキレが素晴らしいです。

5.Too Much Monkey Business/Chuck Berry

チャックが子供の頃はジャンプ・ブルースのルイ・ジョーダンが大人気でこういうノベルティ・ソング、つまり物語風の長い歌詞を作って歌っていて、その影響ですね。こういう言葉をよく知らないと作れない歌詞を作れたチャックはかなりインテリジェンスのある人だと思います。
今回はまだチャックの才能のほんの一端しか紹介できていません。彼のことをひと口で「ロックンロールの王様」と呼びますが、その音楽性は多様で深いものがあります。次回はチャックのR&Rづくしでお送りします。”Hey、Hey The R&R Is Alright”