2026.05.15 ON AIR

B.B.Kingの初期録音SP盤をシングル盤6枚組ボックスにしてP-Vineレコードがリリース

B.B.King RPM Singles vol.1

ON AIR LIST
1.Mistreated Woman/B.B.King
2.B.B.Boogie/B.B.King
3.She’s Dynamite/B.B.King
4.My Baby’s Gone/B.B.King
5.Walkin’And Cryin’/B.B.King

ブルーズの王様と呼ばれるB.B.キング初期のRPMレコード時代の録音から6枚の7インチ・シングルがボックスセットとしてP-Vineレコードから4月8日にリリースされた。もちろん私のようなレコード好きにはたまらないシングルのボックスセットだが、50年代のモダン・ブルーズの花を咲かせた偉大なB.B.Kingのその第一歩をシングル盤でリリースというのはブルーズの音源としても意味のあることだと思う。
B.B.がRPMレコードで録音を始めた1950年はLP盤やシングル盤以前のSP盤というのが使われていた時代で、今回P-Vineレコードはそれをシングル盤に録音してリリースしたわけだ。しかしどこかSPのムード漂っているのが面白い。
1950年当時B.B.キングは25才。やっとメンフィスあたりで人気が出始め、地元のラジオ局でDJの仕事もしていたB.B.にとって自分のレコードがリリースされ、ラジオから流れるというのは大きな喜びだったと思う。
まず一曲。このボックスセットの1枚目、RPMでの最初のシングル。1950年のリリース

1.Mistreated Woman/B.B.King

実はRPMレコードでのこの最初のシングルでB.B.はギターを弾いていない。現在に至るモダン・ブルース・ギターの王様がギターを弾いてなかったというのは驚きだ。しかしそれはB.Bがまず歌手として評価されていたということだ。つまりレコード会社はギタリストではなくシンガーとしてのB.B.を求めていたということ。ギターはカルヴィン・ニューボーンというギタリストでこの録音でピアノを弾いているフィニアス・ニューボーンの弟。この2人の兄弟はジャズ・ミュージシャンとして有名だけどスタジオ・ミュージシャンとしてこういう録音の仕事もしていたのだろう。2人とも実にいいバッキングをしている。
次の曲もギターはカルヴィン・ニューボーンだが、ちょっと彼のアルバムを探そうかなと思うくらいいいギタリストだ。

2.B.B. Boogie/B.B.King

B.B.の歌のスタイルはすでに出来上がっていて、メンフィスでボビー・ブランドやジュニア・パーカーと並んだ傑出したシンガーだったというのも納得。そして2コーラスにわたるフィニアス・ニューボーンのブギウギ・ピアノがいい。
元々こどものころから教会で歌っていたゴスペルに根ざしたしっかりした発声とメリスマ、ファルセットなどの唱法を駆使するテクニックにも恵まれたB.B.の歌はスケールが大きい。ギターよりも歌を買われたのはよくわかる。
もう一つ、B.B.はラジオのDJをやっていたことで当時の流行の音楽を耳にすることができた。それが彼の音楽的な蓄積になっていったことは間違いないだろう。デルタ・ブルーズからジャズ、カントリー、スタンダードまで彼の中には相当な量の音楽が積み重ねられていたと思う。次の曲も20年代から40年代までヒット・メイカーであり人気ブルーズマンだったタンパ・レッドの曲のカバーだ。

3.She’s Dynamite/B.B.King

バック・バンドの演奏のクオリティの高さも素晴らしいが、B.B. の気合が漲っている歌の力に圧倒される。ポップな要素もあり売れてもおかしくない録音だ。

次の曲は2年後にヒットした彼のスタンダード曲となる”Woke Up This Morning”の元曲。B.B.はこういう流行っていたラテンのリズムを取り入れることにも前向きな気持ちがあった。

4.My Baby’s Gone/B.B.King

今回のSP盤からのシングル盤化というのはひとつ惹かれることとして音の生々しさがある。もちろん音の良し悪しというのはいつも言ってますが、その人の感覚なのでSPだからシングルだから音がいいと言っているわけではありません。ただ、これらのシングルがSPでリリースされた当時のサウンドにより近い音で聴くことができるわけです。それをぼくは生々しい音と感じています。つまりスタジオで演奏している生の音に近いということです。もっと言うと目の前でB.B.が歌っている、演奏していると言う感じだ。
後年に録音された“Darling You Know I Love You”,”Please Except My Love”や”Guess Who”でもわかるようにB.B.は素晴らしいバラード・シンガーでもある。次の曲でもギターを弾かないB.B.の歌手としての魅力が溢れているバラードだ。

5.Walkin’And Cryin’/B.B.King

T.ボーン・ウォーカーやロウエル・フルソンの影響を受けていただけでなく、いろんなミュージシャン、いろんな曲からの影響を受けて模索していた40年代から50年代のB.B.キングがとうとうチャート一位の曲をリリースします。それはまた来週。