2026.07.24 ON AIR

Robert Johnson 再訪

ロバート・ジョンソンの名曲群が新たな10インチシングルで登場

ON AIR LIST
1.Cross Road Blues/Robert Johnson
2.Ramblin On My Mind/Robert Johnson
3.Kind Hearted Woman Blues (take1)/Robert Johnson
4.Terraplane Blues/Robert Johnson
5.32-20 Blues/Robert Johnson

ロバート・ジョンソンはブルーズの歴史の中で音楽的に偉大なブルーズマンというだけでなく、神秘的で底知れぬ奥深い魅力をもつブルーズマンです。若い頃から聴いているのですが、自分が歳を重ねていくにつれて理解できることや新たな発見もあります。いままたそのジョンソンを改めて真正面から聴く機会が訪れました。それは彼が1930年代にVocalionというレーベルに遺した12タイトルをオリジナル原盤SPレコードからP-Vineレコードが独自に10インチ盤レコードとしてリイシューすることになったからです。すでに4/15の第1弾『Cross Road Blues / Ramblin’ On My Mind』のカップリングから10インチ盤のリリースが始まっています。
それで今日はもう一度そのロバート・ジョンソンを真正面から聞き直してみようと思います。
まずはその第1弾としてリリースされた『Cross Road Blues / Ramblin’ On My Mind』の二曲を聞いてみようと思うのですが、僕はまだ新しい10インチ盤を手に入れていないので今日は従来のCD盤で聴いてもらいます。まずはCross Road Blues。この曲は原曲のロバート・ジョンソンより先にエレック・クラプトンが在籍した「クリーム」のバージョンで多くの人に、特にロックファンの皆さんに知られた曲です。いい悪いは別にしてジョンソンの原曲とクリームのカバーは全く別の曲だと僕は思ってます。リズムもサウンドもムードも全く違っていて、クリーム・バージョンはジョンソンの歌詞だけを使った全く別の曲と考えています。
これは十字路(Cross Road)で車をヒッチハイクしょうとしているのに誰も止まってくれず、迫りくる夕暮れに心細くなり、神様になんとかしてくれとお願いまでしている歌です。砂埃が舞うような田舎の道に取り残された寂寥感と切迫感にあふれた曲で風景が目に浮かびます。ロバート・ジョンソンのように「放浪のブルーズマン」と呼ばれるとなんとなくかっこいいと思っている人もいると思いますが、1930年代にギターを持ってヒッチハイクしたり汽車に無賃で飛び乗ったり歩いたり、あの広いアメリカを放浪するのは肉体的にも精神的にも大変だと思います。

1.Cross Road Blues/Robert Johnson

私は初めてロバート・ジョンソンを聞いた時にジョンソンともう1人ギタリストがいると思いました。歌いながら弾くギターの複雑なオブリガードとしっかりとキープされているリズム。もちろんダビングなんかしてるわけもなく。ギター演奏を1人でやり歌っているのかと思うと超絶なプレイです。
次はまさに放浪しているからこそ生まれたブルーズだと思います。一緒に旅をしたことのあるジョニー・シャインズの話では目がさめるともうジョンソンは旅立っていたことがよくあったらしいです。何かに追われているかのようだったとも言ってます。そしていろんな町に女がいてちよっと気になる女がいると連れて行こうかと心を過ぎることもあったのでしょう。でも女の方もひとかどではいかない女なので結局連れていかないことにした・・そういう歌。

2.Ramblin On My Mind/Robert Johnson

今聴いた二曲が今回最初に10インチレコードとしてリリースされたものです。
続いて第二弾としてリリースされたのが「Kind Hearted Woman Blues (take1) 」と「Terraplane Blues」のカップリング。これは今回4月29日にリリースされています。
このKind Hearted Woman Blues (take1)がロバート・ジョンソンが初めて録音したブルーズ。1936年11月23日にテキサス州サン・アントニオのホテルの一室で録音されたものでtake1と2が残されていますが今回リリースされたのはtake1の方。どう違うかと言えばtake1にはジョンソンが録音した曲の中で唯一披露したギター・ソロがあります。そうなんですが、ジョンソンの曲にはギター・ソロがありません。でも、歌いながら弾かれる多彩なオブリガードになんとなくソロがあるように感じます。ステディなビート感覚ときらめくような単弦の音、その巧みなギターのテクニックにも改めて感心します。

3.Kind Hearted Woman Blues (take1)/Robert Johnson

初めてのレコーディングを客もいないホテルの一室で行ったジョンソンの気持ちはどうだったのだろうと思います。先輩のサン・ハウスやチャーリー・パットンのように人気のブルーズマンになれるレコーディングのチャンスを掴んだわけですから、当然気持ちは高ぶりいい評価が欲しいと思ったはず。
この曲とカップリングされたのが次の”Terraplane Blues”
テラプレーンとは当時人気のあった車の名前で低価格だったので黒人にも馴染みがあったのだと思います。丸みを帯びた車体ということもありその車を女性として捉え「俺がいない間にこの車を誰が運転していたのだろう」とジョンソンは歌いました。ジョンソンは女性に対して疑心暗鬼なところがあり「自分がいない時に女はどうせ他の男と遊んでいるのだろう」という疑いをいつも持っていたように思います。
クラクションからオイル、ボンネット、バッテリーなど車の部品を全部女性の体の部分と重ね合わせて歌われている。カップリングのKind Hearted Woman Blues よりもこの曲の方が評判になっていたと言われています。

4.Terraplane Blues/Robert Johnson

今回同じ4/29にリリースされたもう一枚が”32-20 Blues”(32トゥ20)と”Last Fair Deal Gone Down゛のカップリング。
スキップ・ジェイムズの*22-20 Blues”や”44 Blues” といった銃をテーマにしたブルーズは古くからあります。ロバート・ジョンソンは歌詞や曲調をそれまでのブルーズからうまく取り入れているところも特徴です。32トゥ20とはピストルのことで32口径の20型ピストルということです。
さっきも言いましたが、ジョンソンは女性に対して不信感が強く自分のいない間に他の男と寝ているのではないかという疑心暗鬼を募らせる歌詞がよくあります。「もし、迎えに行っても来ないのなら32口径の20型ピストルをぶっ放すぞ。お前は昨日どこに泊まったんだ。陽が高く登るまでお前は帰って来なかったよな」という怖い曲です。

5.32-20 Blues/Robert Johnson

ブルーズマンの中には昼間の正業を持って働き、夜とか休みの日に演奏してなにがしかの金を得るというライフスタイルを送った人も多いです。ジョンソンも最初は農園で畑仕事をしていたのですが、放浪にでてからはまともに働いたことなどなかったと思います。だから鉄道の工事現場を舞台にした賃金をちゃんと払ってもらえず不当な労働の目に遭ったというこの曲は本人の体験ではなく、それまで伝承されてきた歌を元に作った曲だと言われてます。

6.Last Fair Deal Gone Down/Robert Johnson

今日はロバート・ジョンソンのSP盤12タイトルをオリジナル原盤SPレコードからP-Vineレコードが独自に10インチ盤レコードとしてリイシューすることになった曲から何曲か聞いてみました。
来週はロバート・ジョンソンが強い影響を受けたミシシッピ・デルタ・ブルーズの先輩でもある偉大なサン・ハウスを久しぶりに聞いてみようと思います。
P-Vine Recordsのサイトに訪ねて見て今回リリースの10インチ盤の情報も見てください。
●P-Vine Official Shop→https://anywherestore.p-vine.jp