「ブルース&ソウル レコーズ no.159」誌が4月25日に発売されました

私のエッセイも連載されている新しい「ブルース&ソウル レコーズ no.159」誌が4月25日に発売されました。

今回は来月から公開されるアレサ・フランクリンの教会ライヴ「アメイジング・グレイス」を記念してアレサの大特集。別冊のアルバム・ガイドブックも付いています。本誌でアレサの予習をしてから、順次全国劇場公開されるので是非映画館の大きなスクリーンでご覧ください。
アフリカン・アメリカンと教会との繋がり、ソウル・ミュージックとゴスペル・ミュージックの関係などもわかる映画です。
1972年アレサが自分のルーツであるゴスペルをクワイアと当時のトップ・ミュージシャンたちとで発表した名盤「アメイジング・グレイス」の映像がまさか公開されるとは・・・・ずっとアルバムを聴いてきた私のような者にとっては大きな衝撃です。黒人音楽が生まれるその現場をリアルな映像から体感できるチャンスです。
それから「ブルース&ソウル レコーズ」誌に連載されている私のエッセイ「Fool’s Paradise」は7回目。79年に来日した偉大なソウルシンガー、O.V.ライトの来日公演の思い出を熱く書きました。
全国の書店またはAmazonなどネットで購入できます。

★ブルース&ソウル レコーズ WEBサイト https://bsrmag.com

★映画アメイジング・グレイスのサイト https://gaga.ne.jp/amazing-grace/

“Amazing Grace”

いよいよ来月から公開!幻の映像アレサ・フランクリンの教会ライヴ”Amazing Grace”

1972年にリリースされたアレサ・フランクリンの教会でのライヴ盤”Amazing Grace”を聴いたのは翌73年。私だけでなく当時のブラックミュージック・ファンにはかなりの衝撃を与えました。教会のゴスペル・ミュージックが今よりも一般に知られていない時代に教会でのライヴをそのままLP2枚組に録音したアルバムは、多くの人にゴスペルの素晴らしさといかに黒人音楽がゴスペルに根ざしているかを知らしめました。アルバムは今やソウルとゴスペルを代表する貴重な必聴の一枚となりました。
このアルバムがリリースされる以前、60年代にソウル界で数多くの曲をヒットさせていたアレサはすでに「ソウルの女王」と呼ばれていました。そして彼女が幼い頃からゴスペル界の神童と呼ばれ、彼女の音楽のルーツがゴスペルに根ざしていることをファンたちは知っていました。しかし、教会におけるゴスペルのライヴ・アルバムの発表には驚きがありました。しかし、今振り返ればあの時点でアルバム”Amazing Grace”を発表したことは素晴らしい判断だったと思います。アレサの歌手としての力量が有り余るほど充実していた時代だったからです。
彼女は子供の頃から牧師である父と共にゴスペルのツアーを続けていました。そしてゴスペルからポピュラー・ミュージックの世界に移る時、最初にジャズ・シンガーとしてプロデュースされましたが売れませんでした。ブルーズも歌いましたが彼女の良さはそこでも発揮できませんでした。その彼女をずっとプロデュースしたかったアトランティック・レコードのジェリー・ウェクスラーは彼女のルーツであるゴスペル・テイストを全面に出せるオリジナル曲を歌わせることにしました。そして1967年のアトランティックからのデビュー曲”I Never Loved a Man the Way I Love You”はR&Bチャートで1位を獲得し、その後も”Respect”、”Baby I Love You” “A Natural Woman” “Chain Of Fools”とチャート上位にヒットを連発し、女性ソウル・シンガーとしてあっと言う間にアレサは他の追従を許さない存在になりました。しかしソウルのヒットが出ても彼女の心がゴスペルから離れることはなく、どんな曲を歌っても強いゴスペル色を感じさせました。
恐らくアレサ自身もあの頃にゴスペル・アルバムを発表したかったのだろうと思います。また1970年あたりは多くの黒人ミュージシャンが黒人であることに誇りを持ち、社会的政治的にその権利を主張し獲得していった時代であり、彼らのルーツであるゴスペル色を全面に出すミュージシャンも多くいました。
“Amazing Grace”の二日間の録音を支えたのはコーネル・デュプリー(G),バーナード・パーディ(Ds),チャック・レイニー(B),パンチョ・モラレス(Perc)といった当時の一流スタジオ・ミュージシャンたち。もちろんアレサとバンドのコンビネーションも素晴らしいのですが、何よりアレサとクワイア(聖歌隊)との歌のグルーヴ感、一体感が聴く者を経験したことのない高みに連れていってくれるアルバムでした。それは荘厳の中の熱狂でした。
そのアルバムの映像があるという話は聞いたことがあったのですが、まさかほぼ半世紀経った今映画となって公開されるとは!
公開前に先に観せていただきましたが、やはり圧倒的な力で迫ってくる映像でした。歌の力、ゴスペルの力をまざまざと観させられた映像でした。そして、いつも興味深いのにベールを被っていたアレサ・フランクリンという人間の内面を少し垣間見れた気がしました。
あまり書くとネタパレになってしまうので、皆さん是非映画館でコロナ感染に万全の注意をしてご覧ください。
恐らくDVDも発売されると思います。
5/28から順次全国公開です。

公式サイト:https://gaga.ne.jp/amazing-grace/

「ブルース&ソウル・レコーズ誌 No.158」発売中!

少し遅ればせのお知らせですが、私がエッセイ”Fool’s Paradise”を連載している「ブルース&ソウル レコーズ誌 」の最新号が出版されています。
今回の私の連載はブルーズの歌詞について書きました。アフリカン・アメリカンの民族音楽として発祥したブルーズは当然英語で歌われているわけですが、その英語の歌詞を理解するとブルーズという音楽がとても身近に感じられます。
特集は「ブルースの母」と呼ばれた女性ブルーズ・シンガーの祖、マ・レイニー(マはママの意味)です。ブルーズが録音され始めた1920、30年代のブルーズの様子も書かれています。付録のCDにはいにしえの貴重なブルーズが収録されています。
Amazonなどネットはもちろん、全国の書店、レコード店でも購入できます。

公式ウェブサイトはこちらhttp://bsrmag.com/

“Life Goes On”

“Life Goes On”
コロナ禍になってから一年が過ぎて番組もずっとぼくの住んでいる東京の自宅からのリモート収録になり、キー・ステーションの弘前アップルウエーブでの録音ができない状態になっています。
大好きな弘前に行けないことも辛いのですが、やはりリモート収録とスタジオでの収録はリアル感が違います。ラジオから流れるサウンドの質にはほとんど変わりはないので「リモート収録です」と言わなければ聞いていてわからないと思います。しかし、新幹線に乗って東北の風景を車窓から眺めてその日収録する原稿や曲のチェックをしていると自然とテンションも上がるのですが・・・。
番組としては新譜や名作の再発などを紹介しながら「永井ホトケ隆が選ぶブルーズ・スタンダード」という企画も挟んでいます。これはブルーズが録音されるようになった1920年代から現在までのブルーズの中から、これからも聴き続けられて行くブルーズ名曲と僕が個人的にこの曲はずっと残って欲しいと思う曲を選んでいます。つまりブルーズの曲としてのアーカイヴスを番組のHPに残して置きたいと考えています。それがブルーズをそして音楽を愛する後続の人たちのひとつのガイドになればと思っています。
また、僕が生でギターを弾きながら歌うスペシャル・バージョンもお送りしたいと思っています。
今年は番組開始から15年目にあたります。その記念のようなことも何かしたいなと考えています。
4月になって新たな年度ということで気持ちも新たに頑張ります! 路傍に咲く強いタンポポのように。
2021年4月
永井ホトケ隆