追悼:ジェイムズ・ギャドソン/In Memory Of James Gadson vol.3


ON AIR LIST
1.The Greatest Love/Band Of Pleasure feat.永井ホトケ隆
2.Woke Up This Morning/blues.the-butcher-590213 with James Gadson
3.Kansa City/blues.the-butcher-590213 with James Gadson
4.Linda Lou/blues.the-butcher-590213 with James Gadson
5.Got To Find My Baby/James Gadson
4月2日に亡くなってしまった親愛なる、そして偉大なドラマーのジェイムズ・ギャドソンの追悼放送の三回目となります。
今日はちょっと個人的な話をしてみようかなと思うのですが、前回そして前々回の放送でOn Airしたように僕は最初ビル・ウィザースのアルバムでジェイムズ・ギャドソンという素晴らしいドラマーがいることを知ったわけです。1973年頃でした。それから彼がマービン・ゲイやジャクソン5やダイアナ・ロスなど本当にたくさんのスタジオの仕事をしていることを徐々に知りました。そんな中、ギャドソンと初めて会ったのは90年代、ギターの山岸潤史の六本木のライヴ・セッションに誘われて行ったらそこでギャドソンを紹介されたのです。一緒に演奏もしました。でも演奏のことは「あのジェイムズ・ギャドソンだ」と舞い上がっていたのであまり覚えてません。それから彼が日本の来る時に何度か一緒にセッションさせてもらいました。
今日はまず思い出深いレコーディングの一曲を。1996年にビクターのJVCレーベルからリリースされた”JVC SOUL All STARS”というコンピレーション・アルバムに参加しました。その時バンドは山岸潤史が組んでいた「バンド・オブ・プレジャー」ドラムのジェイムズ・ギャドソンをはじめギターがデイヴィッド・T・ウォーカー、ベースが清水興、キーボードが続木徹そしてギターに山岸潤史。録音の2日前くらいに山岸から電話があり「ホトケ、歌いに来いへんか」と。それで急いで曲を決めて録音したのがこの曲でした。
1.The Greatest Love/Band Of Pleasure feat.永井ホトケ隆
オリジナルはニューオリンズのアーロン・ネヴィル。この録音のときにギャドソンはテンポとグルーヴのことを気遣ってくれて、ちょうどぼくとギャドソンが向かい合わせの位置にいたのですが、「俺のドラムから始めるからいい感じのグルーヴになったら好きなところで歌に入ってくれ」と言われました。ギターのデヴィッド・Tも素晴らしいソロを弾いてくれて、本当はもっとソロ弾いて欲しかったんですけどね。みんなでコーラスもやって本当にいい思い出です。
2013年にギャドソンがブルーズ・ザ・ブッチャーのライヴレコーディングに参加してくれて”The Sure Shot Live”というアルバムを作りました。録音は東京と大阪と二回ライヴをそのまま、オーバーダビングなしで録りました。70年代の初めにビル・ウィザースのアルバムでギャドソンのドラムに感動してから40年が過ぎ、その間にたくさんのギャドソンの録音をいろんなアルバムで聴いてきたし、ドラムの沼澤くんにとっては師匠とダブル・ドラムという初めての録音でいろんな意味でテンションの上がるライヴでした。
アルバムではギャドソンが3曲ブルーズを歌ってくれました。今日はアルバムから彼のその3曲を聴いてみようと思います。
まずはB.B.キングのオリジナル曲です。
2.Woke Up This Morning/blues.the-butcher-590213 with James Gadson
リハーサルの時にあまりにギャドソンの歌がよくて「もう全部歌ってくれませんか」と言ったら「なん言ってるんだ。おまえがボスだろう」って言われてしまいました。
ギャドソンはカンザス・シティの生まれで若い頃はドラムではなくて歌をやりたかったそうでドゥ・ワップのグループを組んでいたそうです。だからコーラスもめちゃ上手い人でした。次は生まれ故郷カンザス・シティのことを歌った有名なブルーズ曲でその名前の通り”Kansas City”いくつかバージョンがあるのですが、僕が歌っているのはリトル・リチャード・バージョンですが、ギャドソンは本家の一番ヒットした1959年のウィルバート・ハリソンのバージョンです
3.Kansa City/blues.the-butcher-590213 with James Gadson
カンザス・シティは1930年代には「カンザス・シティ・ジャズ」と呼ばれるジャズが盛んになった街で、カウント・ベイシー、ジェイ・マクシャン、ビッグ・ジョー・ターナー、チャーリー・パーカーなどたくさんのミュージシャンが活躍した街です。ギャドソンはそういう音楽が盛んな街に生まれ育った人でした。亡くなってしまって本人の意向でお墓は故郷のカンザスシティになるそうです。
4.Linda Lou/blues.the-butcher-590213 with James Gadson
このライヴ録音のときに初日、僕が演奏でちょっとしたミスをしてしまい休憩時間に楽屋で「すいません、間違ってしまって」とギャドソンに謝るとギャドソンは笑って「オレは三つくらい間違えたよ。気にすんな」と言ってくれました。本当はギャドソンは一つも間違えてないのにそう言って励ましてくれたのです。本当に懐の大きな優しい人でした。
最後は「ハイ・リアリティーズ」というハイ・レコードのコンピレーション盤に歌手として入っているギャドソンです。
この歌がもう本当にぼくは好きです。
5.Got To Find My Baby/James Gadson
僕も長い音楽人生の中でいろんな人と会ってきましたが、本当に素晴らしい人でした。音楽的にはもう歴史に残るドラマーであり歌手であります。皆さんもきっとどこかでギャドソンがドラムを叩いている曲をこれからも耳にすると思います。
ミスター・ジェイムズ・ギャドソン、あなたは背も高くて身体も大きな人でしたが、心も大きな人でした。優しくしていただき、録音のときは気を遣っていただきありがとうございました。あなたとこうして歌とビートと音を残せたことは私の一生の名誉です。私のことを最後までホトケと言えずに「ホトキ」と呼んでくれてたことも忘れません。また会えると思っていたのに本当に残念です。自信のない私に「おまえはブルーズを知っているからいい。ブルーズが何かって知っていることが大切なんだ」と言ってくれた言葉は本当に嬉しかったです。私はもう少し生きていると思うので頑張ります。ありがとうございました、ミスター・ジェイムズ・ギャドソン、安らかに。







