70年代のブルーズ3大キングの行方
アルバート・キング vol.2/スタックス・レコード倒産後のアルバート


ON AIR LIST
1.Cold Women With Warm Hearts/Albert King
2.Cadillac Assembly Line/Albert King
3.Get Out of My Life, Woman/Albert King
4.The Very Thought Of You/Albert King
5.I Get Evil /Albert King
60年代半ばにスタックス・レコードと契約したことでヒットも出てアルバート・キングは順風満帆に70年代に入りました。スタックスはR&Bからソウルそしてゴスペルを扱うレコード会社で、オーティス・レディング、サム&デイヴ、ステイプル・シンガーズ、ジョニー・テイラー、アイザック・ヘイズなどなどソウルのスターたちが在籍していました。またスタックスレコードにはブッカーT&MG’sはじめ素晴らしいスタジオ・ミュージシャンがいて、プロデューサーも作詞作曲陣もいてしっかりした録音体制ができていました。そして配給やプロモーションの体制もできていて、ブルーズのマイナー・レーベルとは違うしっかりした会社でした。そんなスタックスで順調にアルバムを出していたのですが、1975年にスタックスは倒産してしまいます。
しかしアルバートは幸運なことにすぐに「ユートピア」というレーベルと契約できて3年間で3枚のアルバムをリリースします。その中で私がいちばんいいと思ったのが76年”Truckload Of Lovin”です。そこからまず一曲。「あったかい心を持った冷たい女」というタイトルですが、誰にでも愛想よくするような女やなくて、冷たそうに見えるんやけど実はあったかいハートを持ってる女がええよな」という曲
1.Cold Women With Warm Hearts/Albert King
スタックス時代のアルバムに比べるとこのユートピアというレーベルで録音されたアルバムはアルバートが少しおとなしい感じがします。録音の問題ですがギターの音も小さめでいつものギターのネックを折るような豪快さに欠けている気がします。
70年代の中後期のロスアンゼルスの録音でバックはキーボードにジョー・サンプル、ドラムにジェイムズ・ギャドソン、ベースにチャック・レイニー、ギターにワウワウ・ワトソンと、ウエストコーストの一流スタジオ・ミュージシャンたちで申し分ないんですが、敏腕のミュージシャンたちで録音したからヒットするわけでもないんですね。いいアルバムなんですけどね。
次は「キャデラックの組み立て工程」とでも訳すのでしょうか。
「ミシガンのデトロイトに行くんだ。お前を連れて行くことはできないんだ。もうコットンを摘む畑仕事は嫌なんだ。だからデトロイトに行ってキャデラックの自動車工場で働くんだ」40年代50年代多くの南部の黒人たちが朝から晩まで綿花を摘む畑仕事が嫌になり、より良い生活を求めて北部のデトロイトやシカゴにたくさん移住したことを思い描くような歌です。
2.Cadillac Assembly Line/Albert King
これも決して悪くはないのですが、スタックスに比べるとディープな感覚に欠けているような気がします。やっぱりロスのスタジオ・ミュージシャンたちですからどことなく行儀のいい、スマートな演奏になってます。でも、そういうところから新しいアルバート・キングができればよかったのですが・・そうはならなかった。
それで次は”TOMATO”(トマト)というレーベルに移籍します。このトマトで3枚リリースしたのですが、その中で気を惹かれるのが79年にリリースした”New Orleans Heat”というアルバム。プロデュースはニューオリンズ・ミュージックの大御所、アレン・トゥーサン。バックはザ・ミーターズのギター、レオ・ノセンテリ、ベースのジョージ・ボーターなどニューオリンズの錚々たるメンバーです。一曲目に入っているのが1965年にアレン・トゥーサンが書いてリー・ドーシーが歌ってヒットした曲。「もう愛していないのならオレの人生から出て行ってくれ」
3.Get Out Of My Life, Woman/Albert King
いつも言うんですが、アルバート・キングはギターのことがよく話題になるのですが、実は歌もすごくいいんですよ。やっぱり体が2メートル近くある巨漢ですからゆったりとしていて、響くええ声してるんですよ。聞いてもらうのはスタックスの最初のアルバム”Born Under A Bad Sign”に収録されていた曲のリメイクですが、ちょっと新しいアレンジです。
4.The Very Thought Of You/Albert King
5.I Get Evil /Albert King
この1970年代中期はアルバートはまだ50才過ぎた男ざかりですよ。自分の音楽的なスタイルも完全に確立されて、ブルーズマンとしての地位もしっかりできてロック・ファンたちの人気もあり、海外ツアーも始まっていた。日本にも78年にB.B.キングとのカップリング・コンサートで初めてやってきました。さっき2メートルくらいある巨漢と言いましたが、この時B.B.キングが小さく見えました。私、会って握手したときに見上げましたから。
80年代に向かって時代的に黒人音楽の主流はやっぱりソウル、ファンクなんですが、レコーディングのリズム・トラックも打ち込みになったりコンピューター・ミュージックになっていき、ブルーズのような音楽は少し一線からは遠ざかっていきます。日常のライヴとしてブルーズは機能していたのですが、チャートのヒットからは残念ながら遠ざかってしまった。
この”New Orleans Heat”はいいアルバムですよ。
80年代以降は「ファンタジー」というレーベルから二枚リリースしたのがオリジナル・アルバムの最後。あとは過去の曲のリメイクとか昔のアルバムからのコンピレーションでした。
アルバートは92年にライヴ後に心臓発作で亡くなりました。











