WHAT'S NEW

2021年10月15日
       
2021年10月08日
       
2021年10月01日
       
2021年09月24日
       
2021年09月17日
       
2021年09月10日
       
2021年09月03日
       
2021年08月29日
       
2021年08月28日
       
2021年08月27日
       

2021.10.15 ONAIR

追悼チャーリー・ワッツ vol.2

the best of the Rolling Stones /Jump Back(Virgin VJCP-25155)

ON AIR LIST
1.Honky Tonk Women / The Rolling Stones
2.Brown Sugar / The Rolling Stones
3.Harlem Shuffle / The Rolling Stones
4.Start Me Up / The Rolling Stones
5.Jumpin’ Jack Flash / The Rolling Stones

ローリング・ストーンズのドラマーだったチャーリー・ワッツが亡くなった衝撃に世界中のファンはもちろん、多くのミュージシャンも心を痛めネットには彼を追悼するメッセージがあふれています。彼と関わった人たちの多くは彼の紳士的で優しい人柄を語っています。ストーンズの方向性や展開について語るのはいつもミックとキースで「サイレント・ストーン」と呼ばれたチャーリーから多くを語られることはなかったのですが、クールなプロフェッショナルとしてそしてロックのドラムの典型の一つを作ったドラマーとして彼は永遠に音楽の歴史に残っていくでしょう。

今回はチャーリー・ワッツ追悼の2回目です。

69年7月にシングルでリリースされた”Honky Tonk Women”は脱退し亡くなってしまったブライアン・ジョーンズの後にミック・テイラーが参加した最初の曲。カントリー・テイストとアメリカ南部のスワンプロックのテイストが混じったストーンズを代表する曲。メンフィスの安酒場でジンをばか飲みする女と出会い二階の部屋でその女と寝たという話から始まるこの曲はチャート一位を獲得。カウベルからチャーリーの力強いドラムが入りキースのギターがリフを弾くイントロの匂いが最高の曲で、ストーンズの代表曲というだけでなくロックの名曲の一つ。そしてミック・テイラーが加入したことでストーンズがさらに前進した記念碑的な曲でもあります。
1.Honky Tonk Women / The Rolling Stones
時々音の隙間があってそこでグルーヴしているドラムが聞こえてくる瞬間が最高。エンディングまでずっとロックしている。

今の曲も次の曲もまずイントロでキースとチャーリーがグルーヴを作って始まっていて、これがストーンズの一つのパターンになっていました。
キースのコードを絡めたキレキレのイントロのギターが最高で、それを受けるようにチャーリーが入ってきます。つまりロックというのは器用に指が早く動かなくてもこの曲のようにカッコイイリフとグルーヴするビートがあればいいという見本のような曲です。まあ、ロックの王道のような曲です。
2.Brown Sugar / The Rolling Stones

次はドラムの録音状態、つまりドラムの音が素晴らしくいい音で録音されていてぼくの好みです。チャーリーは相変わらず余計なことはせずにずっと太いビートを打ち続けている。
これはカバー曲でオリジナルはR&Bの男性デュオ「ボブ&アール」が1963年にリリース。そんなに売れた曲ではなくてチャートの40位くらいまでしかいかなかったが、69年に再発された時にイギリスでチャートの9位まで上がってます。うまく言えませんがイギリス人好みの曲です。ストーンズの86年リリースのアルバム”Dirty Work”でカバーしましたがほとんどオリジナルと同じです。
3.Harlem Shuffle / The Rolling Stones
独特のムードのあるいい曲です。

初来日公演の一曲目のこの曲のイントロのギターとドラムですごく興奮したのをおぼえています。その来日公演をぼくは三日間見たのですが、その初日客電が消えるとゴーッという地響きのような歓声が客席から起こり、次の瞬間にキースのギターがそれを裂くように始まりドラムがズドン!と入る瞬間があまりにカッコよくて思わず「チャーリー」と三日間叫びました。
4.Start Me Up / The Rolling Stones

インタビューでも饒舌ではなくステージでも全面に出てくることはなく、いつも淡々と後ろでドラムを叩いてバンドサウンドを支えてきたチャーリーの姿に感銘を受けてきた人も多いと思います。スーツとネクタイを愛用して他のメンバーとは違うおしゃれな人でもありました。
5.Jumpin’ Jack Flash / The Rolling Stones
ジャズが好きだったチャーリーが全くサウンドやグルーヴの表現が違うストーンズの音楽を本当はどう思っていたのか・・・とても興味深いところです。

一度ミックが「チャーリーは俺の専属ドラマー」と言った時にチャーリーはミックに「お前が俺の専属シンガーだ」と言ったことがあったそうです。ミックの不遜な図々しい言葉がぼくも嫌いですが、チャーリーはじつに的確なお返しの言葉を言ったと思います。実際、チャーリー以外のドラマーでミックがいい歌を歌ったことなんて一度も聞いたことがない。チャーリー無くしてミック、あなたはないし、ストーンズもない。なぜならチャーリーはストーンズの心臓だからだ。その心臓が止まったことでストーンズは終わったと僕は思ってます。
チャーリー・ワッツの冥福を祈り、たくさん楽しませてくれたことに感謝の言葉を言いたいと思います。
ありがとう、チャーリー・ワッツ

2021.10.08 ON AIR

追悼チャーリー・ワッツvol.1

the rolling stones single collection the london years (Abkco POCD-1938/40)

ON AIR LIST
1.I Want To Be Loved / The Rolling Stones
2.It’s All Over Now / The Rolling Stones
3.Little Red Rooster/ The Rolling Stones
4.Get Off Of My Cloud / The Rolling Stones
5.Satisfaction / The Rolling Stones

ローリング・ストーンズのドラマー、チャーリー・ワッツが亡くなったことを知ったのは8/25の朝早くだった。
チャーリー・ワッツの英文の訃報がリツイートされていくつも出てきた。「ウソだろ?」と思ったが次回のストーンズのツアーを辞退して病気の治療に専念するというニュースが一週間ほど前に出ていたので気になって検索を続けてみたらやはりそれは本当だった。僕がロックを聴き始めた頃、好きな二つのバンドはビートルズとストーンズだった。だから最初にビートの洗礼を受けたのはリンゴ・スターとチャーリー・ワッツのドラムということになる。
それで今回はストーンズのアルバムに残されたぼくが好きなチャーリーのドラムの曲を聴いてもらおうと思う。
ストーンズは何かと言うとミックやキースの話になるが、僕はローリング・ストーンズは結局チャーリー・ワッツだと思っている。ストーンズの要であり、心臓であり、チャーリーのドラムのドライヴ感無くしてキースとミックがどんな曲をやっても意味がないとさえ思う。実際ミックもキースもチャーリー以外のドラマーと仕事をしているが、結局ストーンズ以上の成果はないように思う。それは多分半世紀以上チャーリーのグルーヴで音楽をやってきたから、彼らの体にはチャーリーのグルーヴが染み付いているんだと思う。

僕がストーンズと出会ったのは1964年か65年頃。中学2,3年。毎月の少ない小遣いを貯めてストーンズの1st.アルバムを買ったのは65年、15歳の時だ。実はLPレコードを買ったのはビートルズが最初でストーンズは自分にとって2枚目のLPだった。その前にストーンズのシングル盤(Come On/I Want To Be Loved)を買っていて、Side:AのCome OnよりSide:BのI Want To Be Lovedが気に入ってB面ばかり聞いていた。そして、その4年後くらいにその曲のオリジナルであるマディ・ウォーターズの原曲を聞くことになるのだが、ストーンズを聞いた頃はそれがブルーズの曲であることもマディのカバーであることも知らなかった。そもそもブルーズなんて何のことやら何も知らなかった。ただただストーンズこの曲がかっこいいと思って聞いていた。
1.I Want To Be Loved / The Rolling Stones
ダンサブルな曲にしたかったのだろう、ストーンズはマディのオリジナルよりテンポを速くしている。チャーリーのドラムの音がすごく耳に残る曲で、ミック・ジャガーの歌が少し浮ついている感じだがチャーリーのドラムがうまく抑えている感じがする

次はストーンズがイギリスのチャートで初めて一位になった曲。ソウルのボビー・ウーマックのカバーだ。ほとんど原曲通りのカバー。ここでもチャーリーのドライヴするドラムが気持ちいい。
2.It’s All Over Now / The Rolling Stones
まだ若いキースのギター・ソロが気持ちが先走っているというか、どこかあたふたした感じがするが、チャーリーのドラムが揺るがないビートを打ち続けるのでビートは安定している。
知っている方も多いと思いますが、ローリング・ストーンズは黒人ブルーズの素晴らしさをイギリスで広めたい、たくさんの人に知ってもらいたいという意図があって結成されたバンド。ブルーズを真摯に研究していた感じがする。多分初期の音楽的リーダーであったブライアン・ジョーンズの意図だと思う。次の曲のオリジナルはマディと同じチェスレコードの看板、ハウリン・ウルフがオリジナル。
ブライアン・ジョーンズのスライドギターの美しくクールな音とチャーリーのハイハットとスネアのリム・ショットだけのステディなビートが素晴らしい曲。60年代中頃にイギリスでブルーズを志向するバンドがいくつもあったが、やはりストーンズはバンド・サウンドの作り方がまず頭抜けてうまい。全員が余計なことをしないでビートのグルーヴを作ることにまず専念している。
3.Little Red Rooster/ The Rolling Stones

初期のストーンズの曲でドラムが印象に残る曲といえば次のオリジナル曲。これも僕はシングル盤で買い本当によく聴いた。チャーリーが同じパターンをずっと続けそれをやることでドライヴ感を出しています。
4.Get Off Of My Cloud / The Rolling Stones
初期のオリジナル曲では一番好きだったかも。

次はストーンズの永遠の定番。この曲はみんな聴きすぎてドラムにあまり注意して聞いてないと思うけれど、今日はドラムを中心に聞いてください。ストーンズのライヴだと音がラウドでチャーリーのやったいることがはっきりわからないけど、この65年のオリジナル録音を聞くとチャーリーはただひたすら一つのパターンを叩いているだけで、それがどんどんドライヴしている感じです。
「No No No!」のとこでドラムだけになりますが、そこでいかにビートが生きているか、そしていかにスネアを強くヒットしているかわかります。
5.Satisfaction / The Rolling Stones
ずっと続く「タット!タット!タット!タット!」というこのチャーリーのドラム無くしてこの曲はない。
チャーリーはインタビューでドラム・ソロをやったりするのは好きじゃないと言ってますが、ソロをやらなくても印象に残るドラマーです。

チャーリーは子供の頃、一番最初に手にした楽器はバンジョーだったそうです。それからドラムに興味を持ち始めデューク・エリントンやチャーリー・パーカーが好きでジャズをやってました。その内にブライアン・ジョーンズもメンバーだったこともあるアレクシス・コーナー「ブルース・インコーポテッド」というバンドに入り、そこからブライアンが自分のブルーズ・バンドを作りたいということでストーンズに参加。
チャーリーはストーンズが休みの期間に「チャーリー・ワッツ・クインテット」という名前で好きなジャズのバンドをやっていてYouTubeで楽しそうな様子を見ることができます。
やっていることは違うんですが、チャーリーの場合、基本にあるドラムで一つのグルーヴを貫く姿勢はストーンズもジャズも同じです。

次回は今もロックの歴史に残るストーンズの名曲からチャーリーのドラムの魅力を聞いてみようと思います。

2021.10.01 ON AIR

The Rough Guide To “The Best Of Country Blues You’ve Never Heard” vol.2 (Rice WNR-24051)

ON AIR LIST
1.Skin Man Blues / Hi Henry Brown
2.When You’re Down and Out / Tommie Bradley
3.Mississippi Water / Kid Prince Moore
4.You Ought to Move Out of Town / Jed Davenport & His Beale Street Jug Band
5.No Good Woman Blues / Jesse ‘Babyface’ Thomas

1920年代、30年代の写真も残っていない人たちのブルーズやジャグ、ゴスペルを聞いている時、アフリカン・アメリカンの彼らはどんな暮らしをしてどんな人生を送ったのだろうと思うことがある。
たった1曲や数曲だけの録音を残しただけの人もいるし、生年月日がはっきりしない人もかなりいる。録音されなかった人たちもたくさんいたのだろう。他の仕事をしながら仕事が終わったあとや、週末の楽しみに楽器を弾いて歌っていた人も多い。一つの所に留まらずずっと放浪しながら音楽を続けた人もいる。彼らの最期はどんなんだったのだろう。アフリカン・アメリカンに生まれたことがすでに苦労の始まりと言ってもいい時代に生きた彼らはどう想って一生を終えたのだろう。
歌いそして演奏している時だけはその苦しく、悲しい心が少しは和らいだだろうと思いたい。

このアルバムは自分が知らないブルーズマンが多く収録されている。
まずは一曲目、“ハイ”・ヘンリー・ブラウンとも呼ばれたヘンリー・ブラウン・・と言ってもほとんど情報がないのだが、生まれはブルーズの発祥のひとつであるミシシッピー・デルタのボリヴァーというところ。残された録音は1932年ニューヨークでの6曲のみでヴォカリオン・レコードからリリースされた。この録音でも一緒に演奏しているチャーリー・ジョーダンというギタリストとコンビを組んで活動していたようだ。タイトなリズムをバックに歌われる重く、少しラフな歌声が魅力的だ。セントルイスを中心に活動していて亡くなったのもセントルイス。享年48歳という彼の人生はどんなものだっただろう。
曲名が「スキンマン・ブルーズ」直訳すると「皮男のブルーズ」歌詞の内容が「スキンマンが大声出しながら俺のドアの前を通り過ぎる。彼はどこへ行っても”スキン!皮!」と叫んでる」
でも、このタイトルの「スキンマン」の意味が調べてもわからなくて、P-Vine レコードのブロデューサーの安藤さんが調べて教えてくれた。豚、ポークの皮を行商で売りに来る男のことだそうだ。豚の皮とか内臓は白人は食べないで捨ててしまうので、黒人がそれをうまく料理して食べていたことを知ってたが、皮だけ売りに来るおっさんがいるとは・・。昔の日本でも「トーフ、トーフ」って豆腐を自転車で売りにきてが、それに似たようなことか。この歌の最後にオチがあって「スキンマンたちはあんたの奥さんに皮を売って、奥さんを連れててしまう」という歌詞があるので、間男でもあるわけです。やっぱりそこかという感じだ。
1.Skin Man Blues / Hi Henry Brown
安藤さん情報でアメリカには「フライド・ポーク・スキン」という袋入りフライドポテトみたいな皮を油で揚げたスナックというのがあったので、ニューオリンズの盟友、山岸潤史にたべたことあるかとメールしたら「食べた事あるけどオレの口には合わん」と返信がきた。
次の曲は有名な”Nobody Knows You When You’re Down And Out”
クラシック・ブルーズの女帝、ベッシー・スミスで有名だがこのアルバムで歌っているのはギターのトミー・ブラッドレイ。この人も初めて聴く。一緒に演奏しているヴァイオリンのジェイムズ・コール。この人も知らない。この2人はデュオで活動して名の知れたミュージシャンだったようでいろんなミュージシャンとも共演、録音を残している。ジェイムズ・コールは「ジェイムズ・コール・ウォッシュボード・フォー」というグループもやっていてトミー・ブラッドレイもそのメンバーの1人だったようだ。
「お金があるときにはみんな寄ってくるが、落ちぶれた時にはみんな知らんぷりする」
この教訓はいつの時代も同じ。私はみんなが寄ってくるほどお金を持ったことがないので実感はないですが・・。
ベッシー・スミスは曲名が”Nobody Knows You When You’re Down And Out”ですが、ここでは”When You’re Down And Out”になっています
2.When You’re Down and Out / Tommie Bradley

次に聞いてもらう「ミシシッピ・ウォーター」はブラインド・ブレイクの”Georgia Bound”とかロバート・ジョンソンの”From Four Untill Late”と似たメロディ、コード進行の歌ですが、ブラインド・ブレイクは当時すごく売れていたので、このタイプの曲は恐らくたくさん作られていたはずだ。
ギター弾いて歌ってるのはキッド・プリンス・ムーア。暖かく、柔らかいいい声をしていてほのぼのする。
「ミシシッピの水はチェリーのワインのようだ。あの娘に会いにミシシッピに帰ろう」と歌っている。1936年録音
3.Mississippi Water / Kid Prince Moore
キッド・プリンス・ムーアは20曲近く録音が残っているようですが、ゴスペルも歌っている。20年代30年代はブルーズもゴスペルもジャズもカントリーもなんでも歌っていた人が多くいる。

次はジャグ・バンドです。ジェド・ダベンポート&ヒズ・ビール・ストリート・ジャグバンド。
ビール・ストリートとついてますからメンフィスのグループですが、以前この番組でON AIRした「ジャグ・バンドのすべて」というP-Vineレコードのコンピ・アルバムに収録されていた。メンフィスには有名なメンフィス・ジャグバンドがありジャグ・ミュージックに関わっていたミュージシャンがたくさんいて、グループもあればデュオやトリオとジャグがいかに人気があったかがわかります。これは1930年の録音。
4.You Ought to Move Out of Town / Jed Davenport & His Beale Street Jug Band
ジャグは楽しい。
次のジェシ・トーマス、別名ジェシ・ベイビーフェイス・トーマスはこのアルバムの中ではかなり有名なブルーズマン。
ルイジアナ出身だが活動していたのはテキサス。1911年に生まれて95年に亡くなってますから享年84歳。聞いてもらうのは1929年の彼の初録音の中の一曲。彼は当時18歳だ。
「自分が女性に優しく尽くして、気を使ったりして何が好きかなんて訊いたりするけど彼女たちは気にもしていない。女性を愛して、彼女たちの言う通りしてあげるけど他の男ところへ行ってしまう」と歌詞。要するに女性に尽くすのにどうして心変わりするのか・・と言う内容ですが、最後に「今はもういい男を見つけれなくてお前にはだれもいない」
5.No Good Woman Blues / Jesse ‘Babyface’ Thomas

イギリスの「ワールド・ミュージック・ネットワーク」という会社がリリースしたこのアルバムは全26曲収録されていて、その選曲のセンスもいい。日本盤は解説が入っていて発売はライスレコード、そしてオフィス・サンビーニャからリリースされています。タイトルはThe Rough Guide To “The Best Country Blues You’ve Never Heard”(vol.2) CDの帯には「知らぜらるカントリー・ブルース」というサブタイトルが付いている。まさに知らぜらる曲の数々だった。

2021.09.24 ON AIR

アフリカン・アメリカンのミュージシャンが歌ったボブ・ディランの曲をコンピレーションした興味深いアルバム

How Many Roads Black America Sings Bob Dylan (ACE CDCHD 1278)

ON AIR LIST
1.Blowin’ In The Wind / O.V.Wright
2.Like A Rolling Stone / Major Harris
3.I Shall Be Released / Freddie Scott
4.Lay Lady Lay / The Isley Brothers
5.Just Like A Woman/Nina Simone

この”How Many Roads Black America Sings Bob Dylan”と言うアルバムは黒人ミュージシャンが取り上げたボブ・ディランの曲を集めたコンピレーション・アルバムです。ソウル、ジャズ、ブルーズ、ゴスペルとあらゆるジャンルの黒人ミュージシャンにディランの曲が支持され、白人のシンガー・ソングライターの中では飛び抜けてたくさんの曲がカバーされ録音されています。
ディランの曲が多くの黒人ミュージシャンに支持された理由は、60年代にディランが黒人公民権運動や人種差別撤廃運動またベトナム戦争反対運動に参加しメッセージソングを作って歌っていたことにあります。また黒人プルーズはじめ黒人音楽に理解が深かったディランの音楽性も黒人たちはわかっていたと思います。最初の曲はこの前O.V.ライトの特集の時にON AIRしましたが、このアルバムの最初に入っていて僕もこのO.V.のバージョンが好きなので再度ON AIRします。サム・クック、スティービー・ワンダーなど黒人シンガーのカバーがいくつかある「風に吹かれて」
1.Blowin’ In The Wind / O.V.Wright
ディランのオリジナルは1963年のリリース、今のO.V.は68年のリリース。「男は男と呼んでもらうためにどれだけ多くの道を歩けばいいのか。砂の中で眠るために白い鳩はどれだけ多くの海を渡られなければならないのか。その答えは吹いている風の中にある」と人間が生きていく厳しさを歌った曲です。

ソウル・シンガーのメジャー・ハリスは音楽一家に生まれたのでこどもの頃から音楽活動していたようです。60年代の終わりに「デルフォニックス」と言うコーラス・グループのメンバーとして知られるようになり”La La(Means I Love You)”が大ヒットしました。ソロになってからも”Love Won’t Let Me Wait”などいくつもヒットを出しましたが、1969年にシングルだけでオケーレコードからリリースされたのがディランのカバー曲”Like A Rolling Stone “
ディランのオリジナルは1965年にリリースされたアルバム「追憶のハイウェイ61」(Highway 61 Revisitedに収録) 歌の内容は知っている方も多いと思いますが、ダイヤを身につけて、高い酒を飲んで贅沢な生活をしてホームレスを馬鹿にしていたような女が落ちぶれていく歌です。どんな気持ちだ転がる石のように落ちていく気分は?誰にも見向きされなくなったのはどんな気持ちだと皮肉を込めて虚飾に満ちた生活を批判した歌です
2.Like A Rolling Stone / Major Harris
この曲はジミ・ヘンドリックスが素晴らしいロックにアレンジしたヴァージョンもありますが、メジャー・ハリスのソウルフルな歌もいいです。

次のI Shall Be Releasedは刑務所に入れられた囚人が解放を願う歌という人もいれば、自己精神の解放の歌だという人もいる。また宗教的な歌だとする人もいます。ディランの歌詞はいろんな風に捉えられていてそれがまた魅力でもあります。今すぐに僕は解放される、自由になるという最後の歌詞が印象に残ります。歌ってるのはソウル・シンガーのフレディ・スコット。1963年にキャロル・キングが作った”Hey Girl”を歌ってヒットして有名になり、1970年にこのI Shall Be Releasedのタイトル・アルバムをリリースしています。
3.I Shall Be Released / Freddie Scott

次の原曲はディランが1969年にリリースしたアルバム “Nashville Skyline” に収録されています。
これは好きな彼女に一緒に寝ようと誘っている歌です。パーティかなんかやってるんですかね、二階に行ってオレの大きなベッドで寝ようよ、君を抱きたいと歌ってます。
歌っているのはソウル・ファンク・グループ、アイズレー・ブラザーズ。50年代初期に結成されたグループでビートルズがカバーした”Twist And Shout”などヒットがたくさんあるグループです。
4.Lay Lady Lay / The Isley Brothers

最後はニーナ・シモンです。僕はニーナのこの”Just Like A Woman”が収録されているアルバム”Here Comes The Sun”をリリースされた直後1971年に京都のジャズ喫茶で聞きました。アルバムのタイトル曲がビートルズだったこともあったし、その”Here Comes The Sun”もすごく良くて、今から聞いてもらうディランのカバー”Just Like A Woman”もすごく胸に残る歌でした。高校生くらいからニーナ・シモンはジャズ喫茶で聞いていたのですが、この曲で僕はニーナ・シモンのファンになり彼女のアルバムのコレクションをはじめました。
この歌も複雑な内容ですが愛した女性との別れの歌です。女性はかなりフリーキーな女性でドラッグにもハマっている感じですが、もうこの女と別れなければと歌ってます。サビのJust Like A Womanの最後でどうしようもない女なんですが、But She Breaks Just A Little Girl(でも彼女は小さな少女のように壊れてしまう)というところが切ないです。
5.Just Like A Woman/Nina Simone

このHow Many Roads Black America Sings Bob Dylanはいいアルバムです。他にもステイプル・シンガーズ、ボビー・ウーマック、ソロモン・バーク、エスター・フィリップスなどが収録されています。
ボブ・ディランというシンガー・ソングライターが音楽界に与えた影響の大きさを改めて知った思いです。

2021.09.17 ON AIR

この夏、私のヘビー・ローテーションだったロス・ロボスの新譜”Native Son”vol.2

Los Lobos / Native Son (NEW WEST NW 6516)

ON AIR LIST
1.Los Chucos Suaves / Los Lobos
2.Dichoso / Los Lobos
3.Flat Top Joint / Los Lobos
4.Love Special Delivery / Los Lobos
5.Jamaica Say You Will / Los Lobos

前回に引き続きロス・ロボスのニュー・アルバム”Native Son”特集
この夏、ヘヴィ・ローテーションでよく聞いたアルバムでした。タイトル曲の”Native Son”を除いて他の曲は全てカバー曲。
今回のアルバムはロス・ロボスのメンバーが子供の頃から青春時代を過ごした頃の思い出深い曲のカバー集ですが、やはり彼らがチカーノと呼ばれるメキシコ系アメリカ人なのでチカーノ音楽の先輩たちの曲も録音されています。
最初の曲名はLos Chucos Suaves(ロス・チュコス・スワベス)スペイン語なので発音が正確にあっているかどうかわからないのですが・・。
ロス・ロボスのメンバーと同じメキシコ系アメリカ人のチカーノの伝説的なミュージシャン、ギタリスト ラロ・ゲレーロの曲。「チカーノ・ミュージックの父」と呼ばれるゲレーロは彼らにとっては尊敬する大先輩で、ゲレーロとは95年にコラボで”Papa’s Dream”というアルバムも作っているんですが、残念ながら僕は聞いていません。どうも子供用のアルバムみたいです。ライ・クーダーのアルバム「チャヴェス・ラヴィーン」でもゲスト参加したゲレーロはこの曲を歌ってました。
1.Los Chucos Suaves / Los Lobos

次の曲「ディチョソ」はこのアルバムの中でもめちゃくちゃ好きな曲です。好きな人と2人でいたらチーク・ダンスでもしてください。もちろん1人で踊ってもいいんですが。  
原曲はアフロ・キューバン・ジャズ、ラテン・ソウルのパーカッショニストとして有名なウィリー・ボボです。
ウィリー・ボボはマイルス・デイヴィス、ウィントン・ケリー、ハービー・ハンコックなど素晴らしいジャズマンのアルバムに参加し、ステファン・スティルスなどロックからもちろんラテンのファニア・オールスターズなどのアルバムにも参加してます。いい曲です。
2.Dichoso / Los Lobos
ぼくはこういうラテンの曲が好きなのですが、小学校5年生の頃に亡くなった父に連れられて有名な「ミカド」というキャバレーに連れられて行ったことがあります。父もなんでそんなところに子供の私を連れて行ったのかわからないんですが、その時ステージがあって生演奏、つまりライヴ演奏をやっていたわけです。そのバンドがラテン・ジャズの「有馬徹とノーチェクバーナ」というオーケストラで、歌が坂本スミ子さんとアイ・ジョージさんでお二人ともラテンの曲を歌ってました。子供心になんかすごいなぁと思ったのですが、後から聞いたらお二人ともめちゃくちゃ歌のうまい人で、坂本スミ子さんは本場からも誘いがあったそうです。その頃からうちで父親がラテンもののレコードを時々聞いてたのでそういう音がどこか心に残っているのかなぁと思うのですが・・。

次もロスのロックというよりロカビリーのバンドでザ・ブラスターズのカバーです。ブラスターズは元々ブルーズが好きなバンドでハウリン・ウルフのカバー、ビリーボーイ・アーノルドのブルーズのカバーなども録音しています。ロス・ロボスとは仲がいいみたいでブラスターズは79年結成ですから、後輩バンドですね。
曲はブラスターズのデイヴ・アルビンが作ったものです。
3.Flat Top Joint / Los Lobos

次は60年代のロスのバンドでThee Midnighters(ジー・ミッドナイターズ)の曲のカバーです。ちょっと余談になりますが、このバンドはTheではなくてTheeと頭についていいるのですが、これは古い英語で聖書などに出てくる言葉ですが、古い日本語でいうと汝とかそなたとか、つまりあなたという意味ですが、なんでそういうバンド名にしたのか
このミッドナイターズはロス・ロボスと同じイースト・LA出身のメキシコ系のチカーノの大先輩バンドにあたり、リード・ヴォーカルのリトル・ウィリーGは実力も人気もすごくあり、ソロでも活動してました。
4.Love Special Delivery / Los Lobos

最後、オリジナルはシンガーソングライターのジャクソン・ブラウンの曲です。これは1972年彼のファースト・アルバムの最初に収録されていて
ジャマイカと呼んでいた好きだった女の子と毎日草むらに寝転んだりして遊んでいた。また明日もくるよって言ってくれよ。お父さんが船の船長さんなんですかね。彼女はお父さんに連れられて航海に出てしまったみたいな歌です。Sweetな少年時代の思い出のラブ・ソング
5.Jamaica Say You Will / Los Lobos
最後にwe will sail until our waters have run dry「海の水が枯れてしまうまで僕たちは海を航海しよう」と歌っているのはどういう意味なんだろうと思いますが、彼女はもういないわけですから・・。だから彼女がいたらそうしたかったという願望を最後に歌ったのでしょうか。