ニューオリンズ・ピアノの王様、ジェイムズ・ブッカー特集 vol.2


ON AIR LIST
1.All Around the World/James Booker
2.Eleanor Rigby/James Booker
3.Gonzo’s Blue Dream/James Booker
4.Professor Longhair Medley(Baldhead~Tipitina)/James Booker
5.Over The Rainbow/James Booker
ニューオリンズの伝説のピアニスト、ジェイムズ・ブッカーの2回目。
映画『Bayou Maharajah(原題)/愛すべきピアノジャンキー』の中でニューオリンズの女性シンガー、アーマ・トーマスがジェイムズ・ブッカーと一緒に演奏したときの思い出を話しているんですが、ブッカーに「今日は何を歌うの?」と聞かれて何曲か曲名をいうとあとはお喋りをしてるだけでブッカーはリハーサルを何もしなかったと話しています。
天才肌の彼の頭の中を知る由もないのですが、小さい頃から聴いてきたブルーズやR&B,ジャズなどの曲がすごい量、彼の頭の中にはインプットされていてそれをすぐさま演奏できる能力が彼にはあったのでしょう。
最初に聴いてもらうのはリトル・ウィリー・ジョンがオリジナルシンガーで、リトル・ミルトンやルース・ブラウンなどたくさんのR&B、ブルーズシンガーが歌った曲です。
歌詞は同じですが、”All Around the World”というタイトルと”Grits Ain’t Groceries”という曲名とふたつあります。「君のことを愛していないなんてことはありえない。愛しているのは当たり前だろう」という歌です。
1.All Around the World/James Booker
次はビートルズの曲のカバーなんですが、ブッカーはビートルズが好きだったらしく”Something”,”Penny Lane”,”Let It Be”,”Day Tripper”などいろいろカバーしているのですが、今回は”Eleanor Rigby”を聴いて見ましょう。
2.Eleanor Rigby/James Booker
アレンジというかピアノの流れが尋常ではないプレイですが、彼の頭の中をこの曲がそんな風に流れているんだと思うと・・やはり異才のピアニストです。
1976年にはアルバム『Junco Partnerをリリース、翌77年に『King of the New Orleans Keyboard』をリリースして70年代半ばはヨーロッパへ行ったり自分の活動を広げて行った時期でしたが、ドラッグとアルコールへの依存も強くなり次第に体調を壊すことが多くなっていったブッカーです。
最後のアルバムとなったのは1982年のアルバム『Classified』。翌83年にヘロインの過剰摂取で倒れそのまま腎不全で亡くなってしまいました。43歳でした。
次の曲はブッカーが若い頃にヒットを出した”GONZO”という曲にちなんだ曲です。”GONZO”というのは麻薬中毒者の名前らしいのですが、その”GONZO”の青い夢というタイトルです。
3.Gonzo’s Blue Dream/James Booker
誰もがブッカーの才能を認め、おそらく彼自身もピアニストとしての実力には揺るぎない自信があったと思いますが、やはりニューオリンズ・ピアノの創始者の先輩プロフェサー・ロングヘアには常に尊敬の念を持っていたのだと思います。
自分がどれだけピアノが上手くても地元ニューオリンズの音楽の大きな一面を作り残したプロフェッサーの存在は大きかったのでしょう。
4.Professor Longhair Medley(Baldhead~Tipitina)/James Booker
最後はスタンダード曲として有名なOver The Rainbowです。「虹の彼方のどこかに夢が叶う素晴らしい場所がある」という曲です。歌はなくピアノのインストルメンタルですが、僕は世界でいちばん哀しいOver The Rainbowやと思います。
5.Over The Rainbow/James Booker
ブッカーは虹の彼方に素晴らしい場所を見つけられたのでしょうか。
今でこそジェンダーへの理解は深まってきて性差別の意識はなくなる方向に向かっていますが、彼が幼少期を過ごした40年代、そして思春期の50年代は理解が少なくゲイであった彼は苦しむことも多々あったと思います。そしてドラッグの中毒となってそこから抜け出れなかったのは本当に残念です。今生きていたら87歳。年老いたジェイムズ・ブッカーのピアノもきっと良かったと思います。













