ホトケのレコード中古盤放浪記
その10
やっぱり好きなミュージシャンのベスト盤はLPで欲しい
The Best Of Sam & Dave(Atlantic SD8218)

ON AIR LIST
1.Hold On I’m Coming/Sam And Dave
2.Soul Man/Sam And Dave
3.When Something’s Wrong With My Baby/Sam And Dave
4.Soothe Me/Sam And Dave
5.I Thank You//Sam And Dave
60年代に活躍し現在もなお多くの人たちに親しまれている曲をたくさん残したR&Bデュオ「サム&デイヴ」のサム・ムーアが今年1月10日に89才で亡くなりました。「サム&デイヴ」の名前を知らなくても60年代の大ヒット「ソウル・マン」や「ホールド・オン」をどこかで聞いて知ってる人は多いと思います。以前も話しましたが、僕が初めてライヴで聞いた黒人の歌声はこの「サム&デイヴ」でした。1969年の初来日の時です。残念ながら仲が良くないと噂されていたサムとデイヴは70年に解散してしまいます。その後、何度か再結成もあったのですがいつもワン・ショットで長くは続きませんでした。二人はそれぞれソロで活動し続けサムは何度も来日しています。
サムが亡くなった1月に中古レコード店で”The Best Of Sam & Dave”という彼らのベスト・アルバムに遭遇。彼らのアルバムはLPとCDでほとんど持っているし確かベスト盤CDもあったはずだと思いながらも手がこのLPを掴んでました。やっぱりレコード、今まで何度もレコード店で見かけたこのジャケットのベスト盤をレコードで欲しいとフツフツと思いレジへ。「亡くなったサムへの供養だ」とも思いながら。
まずは定番の二曲を聞きましょうか。
1.Hold On I’m Coming/Sam And Dave
2.Soul Man/Sam And Dave
やはり鉄板の二曲なんですが、改めて聴くと曲もよくできてるし歌詞もいいですし、バックの演奏もアレンジも全て素晴らしいです。
ぼくが初めて買ったサム&デイヴのシングル盤は今の二曲がカップリングされたもので今も持っています。
高い方のパートを歌っているのがサムで低い方がデイヴですが「ダブル・ダイナマイト」の異名もあったくらい強力にパワフルです。今の2曲は両方ともR&Bチャートの1位になっていますが、僕がディスコで歌っていたときもこの2曲はディスコのジューク・ボックスの定番でした。彼らのずば抜けた歌唱力はスロー・バラードでも発揮されていて次の曲が好きな人たちもたくさんいると思います。
「何か困ったことがあったら俺は君を助けるよ。君と同じ気持ちなんだ。何と言われようが俺の彼女だから」
日本語のタイトルが「ぼくのベイビーに何か?」
3.When Something’s Wrong With My Baby/Sam And Dave
とにかくゴスペル出身の熱唱型のふたりですからめちゃ盛り上がります。当時のヨーロッパでのライヴ映像がYou Tubeにアップされているのですが強烈なテンションです。是非観てください。
彼らはマイアミの出身で1961年にデュオで活動を始め広く知られるきっかけとなったのは1965年にメンフィスのスタックスレコードで録音されたものが契約したアトランティク・レコードからリリースされるようになったからです。とにかくシングルは10枚連続トップ20入り、アルバムは3枚連続でトップ10入りです。さっきの曲「ソウルマン」もそうですがソウルという言葉、ソウル・ミュージックという言葉を広く世界に認知させた二人です。サム・クックのカバーの”Soothe Me”も素晴らしいです。
4.Soothe Me/Sam And Dave
今日聴いてもらっているベスト盤”The Best Of Sam & Dave”は1969年のリリースですが、翌70年には解散してしまいます。アトランティック・レコードに入って売れてから5年ほどで解散です。でもその5年間がめっちゃ忙しかったと思います。ヒット連発で国内だけでなくヨーロッパにも行ってまだ来日R&Bミュージシャンが少なかった日本にも69年に来たわけでずっと二人でいると仲悪くなるんですかね。笑いの世界の二人組とか3人組が芸が上手いのに仲が悪いという話がありますが、サムとデイヴも仲が悪かったようです。仲が悪くなっても歌、ステージは最高なんです。
5.I Thank You/Sam And Dave
ソウルの男性デュオは他にもピック&ビルとかいるんですがやっぱり総合力でサム&デイヴです。サム・ムーアは解散後もソロとして来日してくれましたし、アメリカのテレビにでているのをたまたま観たこともありました。いつも全力投球で歌う姿は立派でした。グラミー賞はじめ多くの賞にも輝いたし、ロックの殿堂入りもしています。亡くなって間もないレコード店でこうしてサム&デイヴのベスト・アルバムと出会ったのも、初めて生で聴いたソウル・シンガーがサムだったこともあり何か繋がりを感じました。素晴らしいアルバムです。
最後にサム&デイヴに言いたいです・・I Thank You,Sam And Dave