チャック・ベリー生誕100年記念 vol.3
「もっと深くチャックを知ろう」


ON AIR LIST
1.Driftin`Blues/Chuck Berry
2.No Particular Place To Go/Chuck Berry
3.You Never Can Tell /Chuck Berry
4.Carol/Chuck Berry
5.No Money Down/Chuck Berry
特集、チャック・ベリー生誕100年記念の3回目最後ですが、「ロックンロールの王様」と呼ばれたチャック・ベリーは実はブルーズマンになりたくて、それもマディ・ウォーターズのバンドに入りたくてシカゴのチェス・レコードに来たのです。しかしオーディションをやってみたらマディが「どうもシカゴ・ブルーズっていう感じやないな、君は。まあチェスの社長に紹介したるわ」ということになったそうです。そうして最初の録音まで漕ぎ着けたのがデビュー・ヒットした「メイベリーン」あまりブルーズ色の濃くない、白人のカントリーを元にした曲でした。でも、それが大ヒット。そこから「ロックンロールの王様」と呼ばれるほどヒットを出すことになるのですが、「ブルーズマンになりたい。ブルーズを歌いたい」というチャックの気持ちはどうなったんだろうと気になるところですが・・・。
チャックのアルバムを聴いているとロックン・ロール曲の間にブルーズの曲が入っています。オリジナルもありますがカバーもあります。あまり話題にならないのはチャックのブルーズがヒットしなかったからです。でも本人はやってみたかったんでしょう。
聴いてもらうのは1960年、デビューして5年目”Rockin’At THe Hope”に収録されたチャールズ・ブラウンの名曲ブルーズです
1.Driftin`Blues/Chuck Berry
偉そうに言わせてもらうとまあ、悪くはないですが普通ですね。
それで55年から58年あたりの3年間はロックンロールのブームもありヒット曲を連発します。60年代になるとブームの少し退いて勢いは落ちましたが、新しくデビューしてきたビートルズやストーンズなどがチャックの曲をカバーしたことでヒット曲は出なくても話題にはなり、ライヴ・コンサートにも引っ張りだこでした。しかし・・62年の2月からチャックは一年半ほど刑務所に入ってました。これはほんまなのかと思いますが、14歳の女性を連れ回して売春を強要したという罪で逮捕され有罪になったのですが・・ちょっと信じがたいことですが・・。まあ若い10代の頃には窃盗で何年間かムショに入り、年取ってからは脱税でも入っていて計三回刑務所のお世話になってます。その2回目の刑務所にいた時に作った曲が次の曲。
出所してきた翌年リリース。アメリカで10位、イギリスで3位まで上がった曲。これも面白い歌詞ですが、多分知り合ったばかりの彼女と車でデートとなって彼女も肩に頭を載せてくるくらいいいムードになり、軽くキスしてさぁいよいよという時に彼女のシートベルトが外れないというなんとも無様な結果に終わった話です。そりゃギター・プレイもワイルドになりますわな。
2.No Particular Place To Go/Chuck Berry
なかなかアバンギャルドなギター・ソロですが音質もワイルドで三連符で攻めてくるフレイズもブルーズ・テイストがあって僕は好きです。
好きと言えばチャックの曲の中で格別好きなのが同じ64年にリリースされた”You Never Can Tell” これもアメリカでチャート14位、イギリスで23位とまだまだ意気軒昂なチャックです。
チャックは刑務所に入っている時に詩集を読んだり、会計学の勉強をしたり、新しい曲を作ったりと時間を有効に使っていたようで、出所するとすぐレコーディングしてます。
この曲は映画「パルプフィクション」で使われていたのでご存知の方もいると思います。映画の中ではジョン・トラペルトとユマ・サーマンがダンスコンテストで踊るときに流れる曲ですごく印象に残るシーンでした。この曲の歌詞はまだ若い2人が周りに色々言われたけど結婚して、結局うまく行ったという話でまあ「人生ってわからないよ」ということです。
3.You Never Can Tell /Chuck Berry
僕は中学生の頃からビートルズやローリング・ストーンズが好きで、でも彼らがチャック・ベリーの曲をカバーしていたことは知らずビートルズがカバーしていた”Rock And Roll Music”や”Roll Over Beethoven”そしてストーンズがカバーしていた”Memphis, Tennessee”や次の”Carol”を聞いてもチャック・ベリーを探そう、聞いてみたいとは思わなかったんですね。あの頃、オリジナルのチャックを聞いていたらまた自分の音楽人生も変わっていたかもしれません。では僕が中学2年かなストーンズがファースト・アルバムでカバーしているのをかっこいいと思って毎日聞いていたCarolのオリジナルです。
4.Carol/Chuck Berry
今のキャロルは映画「ヘイル・ヘイル・ロックンロール」でイントロを弾いたストーンズのキース・リチャーズにチャックが何度もダメだししてやり直させるシーンがありました。ギターの弦のベンド・アップの感じがちょっと違うだけなのですが、キースはむくれてましたがチャックは気になったんでしょうね。チャックにとってはすごく大切なベンドのタイミングだったのでしょう。
最初マディ・ウォーターズのようなブルーズマンになりたくてシカゴのチェスレコードの門を叩いたチャック・ベリーでしたが、マディにもチェスの社長にも「君はブルーズに向いてないよ」と言われてしまいます。本人もしばらくして自分にはマディのようなディーブなブルーズ・フィーリングがないと気づいて、逆にその軽さがロックロールというダンスミュージックに身を結んだのだからすごいです。最後にそれでもやはり土台はブルーズということがわかるチャックのブルース曲です。
タイトルの”No Money Down”は「頭金なし」という意味で、ボロいフォードに乗っていたら”No Money Down”「頭金なし」という看板のカーショップを見つけて「よし、最新装備のキャデラックを買ってこのボロいフォードとはお別れだ」という歌です。
5.No Money Down/Chuck Berry
やっぱりいいです、チャック・ベリー。ロックロールの王様だけでなくなかなか奥深い音楽性を持ったミュージシャンなので聴くたびになんか発見があったりします。ぼくはブルーズ&ソウルレコーズという雑誌で連載エッセイ書いていて今回はチャック・ベリーのことを書いたのでそちらも読んでみてください。皆さんも一度、チャックの音楽と向き合って楽しんでください。生誕100年を迎えたチャック・ベリーの特集を三回続けてお送りしました。The R&R Is Alright!!!






