2016.05.27 ON AIR

ボニー・レイットの新譜”Dig In Deep”を聴く

Dig In Deep/Bonnie Raitt (REDWING Records RWR033)
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ON AIR LIST
1.Gypsy In Me/Bonnie Raitt
2.All Alone With Something To Say/Bonnie Raitt
3.I Knew/Bonnie Raitt
4.Shakin’ Shakin’ Shake/Bonnie Raitt

 

 

 

 
今日は大好きなボニー・レイットの新譜。通算20作目。1971年にアルバム”ボニー・レイット”でデビューしてから45年。若い頃から僕は好きでしたが、彼女は年を重ねるごとにいい感じになってきて、コンスタントにアルバムを出してツアーもがんばってやってます。ところでボニーはいくつになったんやろと思ったら僕よりひとつ年上だけ。66才。11月8日生まれやから星座は僕と同じ蠍座。ボニー・フリークとしては同じ星座っていうだけで嬉しいです。
まず彼女の20枚目となる新しいアルバムから、ボニーの素晴らしいスライド・ギターも聞けるどっしりと重量感のあるブルーズロックを。
Gypsy In Me
旅をずっと続けている彼女の音楽と人生がひとつのところに止まらないジプシーのようなので「ジプシー・イン・ミー」というタイトルなんだと思います。
ボニー・レイットのお父さんはブロードウェイ・ミュージカルの有名なスターなんですね。だから生まれた時から家には音楽が溢れていたと思うのですが、初めてのギターは12才、日本だと小学校6年生ですか。ボニーはギターを手にして10代の中頃からブルーズが好きになったようで、ハウリン・ウルフとかロバート・ジョンソン、シピー・ウォーレンス、それにのちに教えを乞うことになるフレッド・マクダウエルなんかを聴いてます。大学でドロップアウトしてミュージシャンの道に入るんですが、お父さんは心配やったでしょうね。セレブな家庭だったと思うし当時60年代に白人の娘が黒人のブルーズを好きになってフレッド・マクダウエルを追っかけていくんですから。でも、逆に言うとボニーはその頃から音楽をやることに腹が据わってたということです。
では、次は彼女のさりげない色香のある歌。
All Alone With Something To Say
70年代中頃から長い間ヒットにも恵まれず低迷していたボニーですが、1989年のアルバム”Nick Of Time”でグラミーのAlbum Of The YearとBest Female Rock Vocal Performanceを獲得しました。ボニーは再び脚光を浴びるようになり、それから安定したアルバム・リリースとコンサート・ツアーを続けて、いまではアメリカのミュージック・シーンにはなくてはならない人になりました。低迷している時にはアルコールに溺れたり、バンドも持てなくてひとりでギターを持ってコーヒーハウスやバーを回って歌い続けてました。
次の曲はそのニック・オブ・タイムを思い出させるようなミディアム・テンポのゆったりした曲です
I Knew
彼女はブルーズだけでなくいろんな人との出会いがあって、それを自分の音楽の糧にしてきました。ギターを直接教えをもらったブルーズのフレッド・マクダウエル。それからシンガー・ソングライターのジャクソン・ブラウンやジェイムズ・テイラーの影響を受けて、スライドギターに関してはもうひとりリトル・フィートのローウェル・ジョージの影響を受けて自分のギター・スタイルを確立していきました。
コラボもたくさんあって、ノラ・ジョーンズとテネシーワルツをデュエットしている映像とか、アーロン・ネヴィルと共演している映像がYOU TUBEに出ていたり、あとアレサ・フランクリンとの共演やジェイムズ・テイラー、ブルーズではジョン・リー・フッカーやバディ・ガイ、ジュニア・ウエルズとのコラボもありました。そして、このアルバムでは僕も大好きなロス・ロボスのカバー歌ってます。
Shakin’ Shakin’Shake
アメリカ、ヨーロッパではツアーをしているので是非日本にも来て欲しいです。
Hey Hey The Blues Is Alright!

2016.05.20 ON AIR

ハーモニカ&ピアノのブルーズ・インスト集

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The Best Of Little Walter/Little Walter(JICK-89326)

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HOTOKE’S BLUES POWER RADIO HOUR(P-Vine PCD-20346)

Junco Partner/James Booker(HNCD 1359)

Junco Partner/James Booker(HNCD 1359)

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The Best Of Johnny Otis/Johnny Otis(AB 120)

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100%Cotton/James Cotton(NEXCD 214)

 

ON AIR LIST
1.Juke/Little Walter
2.Blue Light/Little Walter
3,Swinging The Boogie/Pete Johnson
4.Pixie (Album Version)/James Booker
5.Harlem Nocturne/Johnny Otis
6.Creeper Creeps Again/James Cotton

前々回、ブルーズ・ギターのインスト特集をやりましたが、今日はハーモニカとピアノのインスト特集。
ブルーズ・ハーモニカのインストと言えばまず最初にこの曲が上がると思います。1952年R&Bチャートの1位になったリトル・ウォルターのJUKE!
リトル・ウォルターの残した曲は何曲もブルーズのスタンダードとなっていまも受け継がれているんですが、この才人のハーモニカ・テクニックを細かいところまでちゃんとできる人は少ないです。バックはギターにマディ・ウォーターズ、ジミー・ロジャース、ドラムにエルジン・エバンスという強力なメンツです。”My Babe””Sad Hours””Blues With A Feeling””Mean Old World”””You’re So Fine”と軒並みトップテン入りして、当時シカゴでいちばん売れたブルーズマンでした。
そんなにヒットしなかったんですが、僕は初めて次の曲を聴いた時鳥肌が立ちました。リトル・ウォルターのハーモニカ・プレイヤーとしてのテクニックすごさとフレイズのセンスの良さがすごく感じられる曲です。ハーモニカなのにアコーディオンのようにもオルガンのようにも聞こえる素晴らしいウォルターのハーモニカ・サウンドです。
Blue Light
ピアノもブルーズでは古くから使われてきたすごく大切な楽器ですが、ピアノが特別に脚光を浴びた最初はブギ・ウギのブームがあった30年代後半から40年代にかけてです。そのブギ・ブームの中心ミュージシャンのひとり、ピート・ジョンソン。
ロックンロールという音楽が生まれる10年以上前ですが、ロックンロールのビートがすでにピート・ジョンソンのピアノのグルーヴにあることがわかると思います。今日はこの番組の7周年記念アルバムから聞いてください。
Swinging The Boogie
ピート・ジョンソンも天才肌のピアニストですが、次のニューオリンズのジェイムズ・ブッカーもテイストは違いますが天才肌のピアニストです。手の腕が三本あると言われた人です。小さい頃にクラシックピアノの教育を受けていて、その素養も時々音に出てきます。スタジオ・ミュージシャンとしてはB.B.キングやT.ボーン・ウォーカーというブルーズだけでなく、ロックのドゥービー・ブラザーズやリンゴ・スター、ソウルのアリサ・フランクリンなどもういろんな録音に参加してます。
Pixie
次はどこかで聴いたことあるなぁ・・・っていう人がいると思います。年とった人なら曲名はわからんけど聴いたことあるって言う人多いと思います。ウエストコースのR&Bのボス、ジョニー・オーティスが1945年自分のビッグバンドで録音してスマッシュ・ヒットした曲です。
Harlem Nocturne
最後はもう一曲ハーモニカのインスト。スーパー・ハープと呼ばれるジェイムズ・コットンのパワフルなハーモニカが聴けます。
70年代半ばに彼が率いていたファンク・ブルーズバンド、ジェイムズ・コットンバンドの名作「!00%コットン」から。
Creeper Creeps Again

2016.05.13 ON AIR

Mavis Staplesの新譜”Livin’ On A High Note”~変らないメイヴィスの信念

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Your Good Fortune/Mavis Staples (ANTI-/87381-2)

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Livin’ On A High Note/Mavis Staples (ANTI 87444-2)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ON AIR LIST
1.See That My Grave Is Kept Clean/Mavis Staples
2.High Note/Mavis Staples
3.Jesus Lay Down Beside Me/Mavis Staples
4.Milk Song/Mavis Staples
5.If It’s A Light/Mavis Staples

 
僕の大好きなメイヴィス・ステイプルズが、今年のグラミー賞のベスト・アメリカン・ルーツ・パフォーマンスを獲得しました。グラミーは以前にも獲得しているしロックの殿堂入りもして、いまや本当にアメリカの至宝と呼ばれる歌手になった感じがします。50年代のファミリー・ゴスペルグループ「ステイプル・シンガーズ」から今日までの長いメイヴィスの足跡を振り返ると、60年代、70年代・・とそれぞれその時代の流れを意識しながらも彼女の底に流れる信念はまったくブレていない誠実な歌手です。
では、まずグラミーをゲットした曲をまず聴いてみましょう。オリジナルは1928年盲目のブルーズシンガー、ブラインド・レモン・ジェファーソンが録音したもの。ブルーズというよりスピリチュアル・テイストの曲。死に行く男が「ひとつだけ頼みを聞いてくれ、オレの墓をきれいにしておいてくれないか。棺の音も聞こえて来る。やっと聖書の意味することがわかったよ」という曲去年の夏にリリースされた4曲入りアルバム”Your Good Fortune”に収録された曲。
“See That My Grave Is Kept Clean”

そして、メイヴィス・ステイプルズはこの春に約3年ぶりのアルバム”Livin’ On A High Note”をリリース。そのタイトルにからめた曲”High Note”を聞いてみましょう。ちなみにI’m Living On High Noteとは「私は絶好調よ」という意味です。
“High Note”
知っている方も多いと思いますが、メイヴィスは「ステイプル・シンガーズ」というお父さんポップス・ステイプルズを中心としてその子供たちで作ったファミリー・グループのリード・ヴォーカルとして50年代に歌い始めました。グループは最初ゴスペル・グループでしたが、60年代の中頃からキング牧師の公民権運動を後押しするメッセージソングや人種差別反対の主旨をもった社会的な歌も歌うようになり、その後はメッセージ性のあるソウル・グループとして”Respect Yourself””I’ll Take You There”などいくつものヒット曲をスタックス・レコードから出しました。その辺りの曲がもっとも知られていると思います。70年代中頃のカーティス・メイフィールドと組んだ素晴らしいアルバムもあります。でも、ずっと彼らの音楽の底を流れていたのはゴスペル。どんな歌を歌ってもゴスペルの匂いがなくなることはなかったのです。
メイヴィスの音楽的な基本はいまも変らずゴスペルにあり、次の曲を書いたオーストラリアのミュージシャン、ニック・ケイヴはメイヴィスにぴったりのゴスペル調の曲をプレゼントしています。
「神様、私のそばで休んでください。真実を聞いてもらえなくてあなたはたくさんの涙を流し続けてきました。でも、絶望しないでください。私はあなたのためにいつも用意しています」
“Jesus Lay Down Beside Me”

メイヴィスの歌声は若い頃に比べると少しずつ荒れてきています。誰しも年老えばそうなります。もともと音域が低いところにある人ですが、10年くらい前から高いところがすっとでなくなってきています。50年代から歌ってきて何十年も休まずに歌い続けてきたのだからそうなりますよ。それでも自分で歌い方を工夫しています。次の曲を聴いた時そう感じました。メイヴィスはかって「私の声は神様に捧げたから後悔はない」と言ってましたが、まだまだ歌って欲しいです。
“Milk Song”

2000年にお父さんのポップス・ステイプルがなくなり、2013年にはお姉さんのクレオサが亡くなりました。それでグループとしての活動はできなくなったのですが、メイヴィスはお姉さんのイヴォヌのバックアップもありソロ活動を活発に行っているここ数年です。76才になったメイヴィス・ステイプルズの新しいアルバム”Livin’ On A High Note”を今日は聞きました。ライヴ聞きたいですね。
最後にもう一曲、メイヴィスの歌手としての深さを感じられる歌を。
“If It’s A Light”

2016.05.06 ON AIR

リクエストにお応えしてブルーズ・ギター・インスト特集

Freddie King/Blues Guitar Hero (Federal/ACE CDCHD 454)

Freddie King/Blues Guitar Hero (Federal/ACE CDCHD 454)

Clarence "Gatemouth" Brown/Original Peacock Recordings (Peacock/ROUNDER CD2039)

Clarence “Gatemouth” Brown/Original Peacock Recordings (Peacock/ROUNDER CD2039)

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T-Bone Walker/T-Bone Walker Sings The Blues (Imperial/東芝EMI VSCD-502)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ON AIR LIST
1.Hide Away/Freddy King
2.Okie Dokie Stomp/Clarence Gatemouth Brown
3.Strollin’ With Bone/T.Bone Walker
4.Frosy/Albert Collins
5.Unversal Rock/Earl Hooker

 

 

 

 

番組を聞いてくれている方からブルーズのインスト曲を特集して欲しいというリクエストをいただきましので、やってみようかと思ったらこれが意外とたくさんあるんですよね。
ブルーズ・ギターのインスト曲でまず浮かぶのがフレディ・キングの”Hide A Way”でしょう。ブルーズ・ギターのインストの定番曲でエリック・クラプトンの若き日のジョン・メイオール・ブルーズブレイカーズのカバーで好きになった人も多いと思います。なかなか難しい曲でただギターを弾いているのではなく、各コーラス事にしっかりとメロディ、フレイズが決まっていて実に上手く構成されています。かなり難しい曲でプロ、アマチュア問わずコピーしている人はたくさんいるのですが、細かいところまできっちり弾いている人はまずいません。
1961年にR&Bチャート5位、ポップチャート29位まで上がったブルーズ・インストの人気曲です。
Hide Away

次は「スタッフ」のギタリスト、コーネル・デュプリーが1974年のヒット・アルバム”Teasin’”にも収録したので、そのカバーで知っている方もいるかと思います。さっきのフレディ・キングのHide Awayもそうでしたが、いまから聞いてもらうこの曲もしっかり構成されていてただソロを弾いているというコーラスはひとつもなくて、ひとつの曲としての完成度が高いです。
Okie Dokie Stomp

テキサスというのは上手いギタリストがたくさん輩出されたところで、ゲイトマウス、T.ボーン・ウォーカー、ジョニー・ギター・ワトソン、アルバート・コリンズ、スティーヴィ・レイボーンもテキサスでした
で、そのエレキギターをブルーズの中に持ち込んでいわゆるギター・ソロ(単絃奏法)というのを大々的に始めたのが「モダンブルーズ・ギターの父」と呼ばれているT.ボーン・ウォーカー 40年代のから50年代にかけてのT.ボーンはもう飛ぶ鳥を落とす勢いで、テキサスの後輩たちだけでなくB.B.キングはじめブルーズギターを弾いている人でこのT.ボーンの影響を受けなかった人はいないと言ってもいいくらいです。
Strollin’ With Bone
バックにオーケストラをつけたダイナミズム溢れる演奏はめっちゃクールでかっこよくて、これはみんな憧れるのがわかります。

次は突っ込みの鋭いギターソロがトレードマークですが、ナイフのような切れ味のいいシャープなギターソロが魅力です。ミスター・テレキャスター、アルバート・コリンズ!
Frosy

最後はスライドギターの名人アール・フッカー。大胆でありながら繊細というちょっとマネの出来ないギターを弾くひとです。
ソロだけでなくバッキングギターを弾いている時のめっちゃくちゃグルーヴしているギターも聞いてください。
Unversal Rock