2025.07.11 ON AIR

祝50周年P-Vine Records!!!

第三回目日本にも多くのファンを作ったオーティス・クレイの若き日の歌声

ON AIR LIST
1.Got To Find A Way/Otis Clay
2.I Testify/Otis Clay
3.That’s How It Is/Otis Clay
4.I Don’t Know What I Do/Otis Clay
5.I’m Satisfied/Otis Clay

世界に誇る日本のP-Vine レコードが今年で50年を迎えることになりました。1975年にP-Vine レコードは設立され最初はブルーズのインデーズ・レーベルとして始まりました。現在はブルーズ、ソウル、ジャズ、ヒップホップ、ゴスペル、ワールド・ミュージックから日本のロック、歌謡曲、ポップス・・・とすごく広範囲なジャンルの音楽を提供しており、外国にも認知されもうインディーズと思ってない人もいます。それでその50周年を祝してP-Vine レコードの僕の好きなでもあまり知られていないアルバムを紹介しょうと思っています。
今回紹介するのはディープ・ソウル・シンガーのオーティス・クレイのアルバム”Got To Find A Way-The Beginning”
P-Vineからリリースされたのは1979年ですが、内容は65年から67年にシカゴのレーベル「ワン・ダー・フル」からリリースされたシングルをコンピレーションしたものです。
オーティス・クレイは78年の春に来日できなかったO.V.ライトの代わりに初来日公演が決まったのですが、ぼくも当時クレイのアルバムは持っていなくてコンピレーション・アルバムで2,3曲聴いたくらいでした。来日すると決まっていたO.V.ライトへの気持ちが強すぎて、はっきりオーティス・クレイにはそれほど期待していなかったのですが、幕が開くともう本当に一生懸命歌ってくれ真のソウルを聞かせてくれたクレイに最後は涙してしまった素晴らしいコンサートでした。そのコンサートで一曲目に歌ったのが60年代に「ワン・ダー・フル」に録音したこの曲でした。去っていった彼女に「君の愛なしで一人で生きるのに耐えられない。俺は君を取り戻すんだ」

1.Got To Find A Way/Otis Clay

今日もぼくのLPレコードから音源を取っているのでイントロなんかでノイズがありますが、ぼくはノイズさえ好きです。
この曲を一曲目に歌った来日公演のライヴ・アルバムも素晴らしいので聴いて欲しいのですが、今の「ワン・ダー・フル」レコードの録音は20代半ばの彼がショービジネスでこれから這い上がろうと頑張っていた頃の歌でパワフルでひたむきな歌声で好きです。
僕はオーティス・クレイが2度目に来日したときにお会いして一曲だけ一緒に歌ったことがあるのですが、とても優しくて誠実な紳士で彼の歌が心に届く理由がわかりました。決して超ビッグなソウル・シンガーではなかったけど与えられた場所で与えられた時間、彼はとにかく誠実な歌、つまりソウルを伝えようと懸命に歌う人出した。次の歌は彼女をたまらなく好きになってしまい、それが止まらなく大きく強くなっていく気持ちを歌ったものです。君を愛していることをぼくは証明してみせる。testifyというのは証言するとか立証するという意味です。

2.I Testify/Otis Clay

クレイは子供の頃からずっとゴスペルを歌っていていくつかのゴスペル・グループにも参加しています。ゴスペルを歌ってソウルに転向するシンガーは山ほどいるのでそこから有名になるのは大変なんですね。65年にソウルに転向して今日聞いているワン・ダーフルというレーベルからデビューしました。最初のヒットが67年の次の曲That’s How It Is。
好きになった女性に利用されて騙されていても、もう俺は普通ではないくらいお前を愛していると歌う切ないソウルです。

3.That’s How It Is/Otis Clay

もう歌の入力メーターを振り切ってるやろみたいなすごい勢いで歌ってます。
ワン・ダーフルを辞めてからはコテリオンそして70年代にはメンフィスのハイ・レコードへ。このハイ・レコードで”Trying To Live My Life Without You”が自己最高のチャート24位になり広く知られる存在になりました。日本に来た78年にはもうハイを辞めていたのですが、ステージで歌ったのはほとんどがそのハイ時代の曲とこのアルバムのワン・ダーフル時代の曲でした。
クレイ自身はハイのサウンドよりもシカゴのワン・ダーフルの音の方が好きだと言ってました。僕もこの若き日のクレイの歌声とちょっとゴツゴツした感じのサウンドがフイットしていて好きです。

4.I Don’t Know What I Do/Otis Clay

途中のドラムとベースと歌だけになるとこなんかほんまかっこええです。
P-Vineがこのワン・ダーフル時代の音源をアルバムにしてリリースしたのがクレイが来日して僕らを感動させた翌年の79年。すごくいいタイミングで僕らはクレイの若い頃の歌を聴くことができたわけですが、ブルーズ・バーやソウル・バーではこのアルバムが話題になっていました。ハイとワン・ダーフルとどっちが好きだとか盛り上がってました。

5.I’m Satisfied/Otis Clay

やっばり素晴らしいシンガーです。
70年代後半くらいからP-Vineレコードは大手のレコード会社がリリースしない、あるいはできないフィールドの音源やミュージシャンを独自の編集で積極的にアルバムにしてぼくらに提供してくれました。ライナーノーツも含めてそれらはすごく黒人音楽を知るための力になりました。前回の5 Dutonesもそうですがワン・ダーフルというシカゴのレーベルがいいブルーズやR&Bを出していると知ったのはP-Vineのおかげでした。
ただリリースの量が多すぎてとても買いきれませんでした。なのでまた再発してください。頼むよ、P-Vine!
P-Vineのサイトへどうぞ→P-Vine Records https://p-vine.jp

2025.07.04 ON AIR

祝50周年P-Vine Records!!!

第2回目60年代ハード・ドライヴィング・R&Bバンド”5 DU TONES”

ON AIR LIST
1.Get It/ 5 Du Tones
2.Soul/ 5 Du Tones
3.Shake A Tail Feather/5 Du Tones
4.Please Change Your Mind/5 Dutones
5.Dont Let Go/5 Dutones

自分のバンド、blues.the-butcher-590213もアルバムを出している日本のP-Vine レコードが今年で50年を迎えることになりました。1975年にP-Vine レコードは設立され最初はインディペンデント・ブルーズ・レーベルつまりブルーズのインデーズ・レーベルとして始まりました。しかし、現在はブルーズ、ソウル、ジャズ、ヒップホップ、ゴスペル、ワールド・ミュージックから日本のロック、歌謡曲、ポップス・・・とすごく広範囲なジャンルの音楽を提供しており、外国にも認知されもうインディーズと思ってない人もいます。それでその50周年を祝して私の好きなP-Vine レコードのいかにもP-Vineらしいアルバムを紹介しょうと思っています。
今日第2回目は1979年にP-Vine レコードがコンピレーションしてリリースしたシカゴのグループ「ファイヴ・ドュ・トーンズ」アルバム・タイトルが”Shake A Tail Feather”
この番組HPに出している彼らのアルバム・ジャケット写真を見て欲しいんですが、ファイヴ・ドュ・トーンズなのにメンバーが6人います。なぜかはわかりません。とにかく顔だけ見ると五人はなんか悪いことやってそうなストリートの匂いプンプンしてます。とにかく生きのいいグループでパーティ・バンド的なテイストが強くてそのB級感がまたたまらない魅力なんですけどね。
では5 Du TonesのLPレコードA面の1曲目。彼らのショーの始まりのような曲です。

1.Get It/ 5 Du Tones

いいですよね、このパーティ感。ラフでタフ。汗だくだくのライヴ感。若い人でこういうのカバーする人いないですかね・・はい、いませんね。
次の曲は同じシカゴのグループで、カーティス・メイフィールドが率いてヒット曲も多いインプレッションズがやってそうな曲です。ファルセットも入っているし曲調もインプレッションズ風ですがやっぱりどこかワイルドでラフ。でも、そのB級感、ホームパーティのバンドっぽいところがこの 5 Du Tonesの魅力だと思います。

2.Soul/ 5 Du Tones

ファルセットも入ったコーラスの曲でやりようによってはもっとオシャレになるところですが、オシャレにならんとこがいいです。
いま、インプレッションズのことを話しましたが、シカゴというとまずマディ・ウォーターズやハウリン・ウルフで有名なシカゴ・ブルーズの街ですが、実はチャイタウン・ソウルとも呼ばれるソウルのメッカでもあり50年代から60年代はタイロン・デイヴィス、シル・ジョンソン、オーティス・クレイなどのディープなソウルシンガーと洒落たバラードを売りにしていたコーラス・グループのザ・スパニエルズ、デルズ、フラミンゴス、そしてインプレッションズとなかなか多彩でした。その中でこの5 Du Tonesの存在はちょっと異色だったと思いますが、彼らはR&Bの歴史に残る次のハード・ドライヴングな、かっこいいダンス・ナンバーを残しました。1963年にチャート28位まで上がったヒットです。

3.Shake A Tail Feather/5 Du Tones

R&RとR&Bの感覚を両方持ったこの曲は最高で、ヒットするのも納得です。いまの曲で思い出した方もいるかもしれませんが、ブルーズ・ブラザーズの映画の中で楽器屋のオヤジ役をやっていたレイ・チャールズが劇中で歌ったのがいまの”Shake A Tail Feather”。映画「ヘア・スプレー」でも使われてました。あとジェイムズ&ボビー・ピュリファイ、アイク&ティナ・ターナーなどカバーも多いです。僕も一度歌ってみたいなと思ってる魅力的な曲です。5 Dutonesはいろんなタイプの曲をやっているのですが、次の曲はどう考えてもJame Brownの大ヒット曲”Please Please Please”をちょっとパクったやろという曲です。僕はそういうB級感覚も好きなんですが、ジェイムズ・ブラウンの当時の影響力というのも感じますね。

4.Please Change Your Mind/5 Dutones

こういうシングルを集めたコンピレーション・アルバムはやはりその音楽をよく知っている人が選曲、編集しなければいけないし、ヒット曲ばかり集めるというのは安易だし、そのグループの特徴を拾い出すセンスが必要です。70年代終わりにそんなに有名でもない、でも面白いグループをリリースできたのはやはりP-Vineレコードだったからだと思います。
では最後も彼らのハード・ドライヴ・ダンス・ナンバーです。

5.Dont Let Go/5 Dutones

今や日本が世界に誇るインディペンデント・レーベル「P-Vineレコード」の50周年を記念してシリーズでお送りしている「祝50周年P-Vine Records!!! 」の第2回目は60年代半ばのファンキーなR&Bグループ「5 Dutones」を聞いていただきました。
P-Vineのリリースカタログはこちら→P-Vine Records https://p-vine.jp

2025.06.27 ON AIR

祝50周年P-Vine Records!!!

第1回目豪速球ブルーズ、カーター・ブラザーズ

ON AIR LIST
1.Southern Country Boy/The Carter Brothers
2.Why Baby Why/The Carter Brothers
3.So Glad She’s Mine/The Carter Brothers
4.What You Say Big Mama/The Carter Brothers
5.Booze In The Bottle/The Carter Brothers

自分のバンド、blues.the-butcher-590213が20年前からアルバムを出している日本のP-Vine レコードが今年で50年を迎えることになりました。1975年にP-Vine レコードは設立され最初はブルーズのインデーズ・レーベルとして始まりました。しかし、現在はブルーズ、ソウル、ジャズ、ヒップホップ、ゴスペル、ワールド・ミュージックから日本のロック、歌謡曲、ポップス・・・とすごく広範囲なジャンルの音楽を提供しており、ネットカタログを見るとそのジャンルと量の多さに驚きます。外国にも認知されもうインディーズと思ってない人もいます。それでその50周年を祝して今回からしばらく私の好きなP-Vine レコードのいかにもP-Vineらしいアルバムを紹介しょうと思っています。
今回は1980年にP-Vineがリリースしたカーター・ブラザーズです。

カーター・ブラザーズはヴォーカルとベースのロマン、キーボードのジェリー、ギターのアルのカーター兄弟3人が高校生の時に始めたバンドです。1958年にジュエル・レコードに録音した”Southern Country Boy”が南部の黒人たちの間でヒットしてそれでブルーズ・ファンに少し知られる存在になったのですが、ジュエル・レコードのコンピ・アルバムにその”Southern Country Boy”が収録されているくらいでアルバムはありませんでした。その初アルバムが80年にリリースされたP-Vineレコードの”The Carter Brothers”でした。
まずそのヒット曲を聞いてみよう。「俺みたいなダメな南部の田舎もんに優しくしてくれてありがとう、シュガーママ」

1.Southern Country Boy/The Carter Brothers

聞いてもらってわかるようにヴォーカルのロマンの歌を中心にしたパワフルでストレートな豪速球ブルーズです。コッテコッテです。暑苦しいです。大好きです。これがこのグループの大きな魅力です。
次の歌はよくあるブルーズですが「あんな好きやっていうてたのになんで、なんでやねんこの冷たい仕打ちは」と彼女の心変わりを責めてるんですが、まあ本人もなんか彼女に悪いことしたんでしょ。ブルーズマンはまあ自分のことは棚にあげますから・・

2.Why Baby Why/The Carter Brothers

いまイントロでノイズがバリバリと聞こえましたが今日はぼくの持ってるLPレコードから音源をとってますので愛おしいノイズがあります。
しかし、ノイズなんか関係なく歌がもう強力です。
次の曲なども聞いてもらうとわかるのですが、バック・バンドがうまいんですよ。ドラムを中心としたビートもステディでパワフルでホーン・セクションもしっかりしている7人編成のバンドです。だからすごく質の高いバックのサウンドとビートの上にロマン・カーターの豪速球の気持ちのいいブルーズ・ヴォーカルがストレートにくるという感じ。ちなみにライナーノートを書かれた日暮泰文さんがこのバンドでおそらくツアー・ライヴもやっていたのだろうと言ってます。当時60年代後半にそんなにヒット曲があるわけでもない、アルバムもないブルーズバンドでこのクオリティというのは素晴らしいです。
次は「彼女が俺のものやなんてめちゃ嬉しいわ」

3.So Glad She’s Mine/The Carter Brothers

カーター・ブラザーズが所属したこのジュエルというレーベルはルイジアナのシュリブポートという街の会社ですが、さすがルイジアナというか一番最初にリリースしたミュージシャンはルイジアナ出身の白人の名シンガー・ソングライター、ボビー・チャールズでした。オーナーのスタン・ルイスという人はイタリア系アメリカ人ですが、なかなか商売の才覚もありライトニン・ホプキンス、ロウエル・フルソン、チャールズ・ブラウンなどのいいアルバムをリリースした音楽を聞く耳もある人です。そのジュエルというレーベルのクオリティの高い音源に目をつけてシングルを選んでアルバムにした日本のP-Vineレコードもセンスがいいです。

4.What You Say Big Mama/The Carter Brothers

このカーター・ブラザーズの魅力というのはヴォーカルのロマンの歌を中心としてモダン・ブルーズのテイストもありながらもイナたい南部のダウンホームな感覚がどっしりあるところです。よく言うこのダウンホームな感覚というのが日本人の僕なんかが歌い、演奏するときになかなか出ないものです。やはりアメリカ南部の日常の生活から生まれる感覚なんで身につけるのは難しいです。
そのあたりの魅力が出ているスロー・ブルーズを聞きましょうか。

5.Booze In The Bottle/The Carter Brothers

このカーター・ブラザーズを好きなところはとにかく自分の思っていることをカッコづけずにストレートに歌っているとこです。あの種ブルーズの基本やと思います。歌のテクニックも大切ですけどブルーズに関してはそれが一番ではないと思います。
今日は「祝50周年P-Vine Records!!!」と題して今や世界的なレコード・レーベルとなった日本のP-Vine Recordから1980年にリリースされた「カーター・ブラザーズ」聞きました。70年代終わりはもうブルーズの大きなブームは去り、日本のレコード会社がブルースのアルバムのリリースをどんどん止めていくのですが、インディーズのP-Vineだけがここから現在まで頑張ってるわけです。
来週も「祝50周年P-Vine Records!!!」でP-Vineの素晴らしいアルバムを紹介します。
P-Vine Records https://p-vine.jp

2025.06.20 ON AIR

藤井康一率いるウシャコダが何と!
42年ぶりのアルバムをリリース

グルーヴィ・ホルモン/ウシャコダ

ON AIR LIST
1.Africa/WSHAKODA
2.Something You Got~Mercy Mercy/WSHAKODA
3.ホルモン/WSHAKODA
4.Let The Good Times Roll/WSHAKODA

5/18に長野で長野ジャズ・フェスティバルというのがありまして自分のバンド「ブルーズ・ザ・ブッチャー」で出演したのですが、その時ゲストで来てもらったのが藤井康一くんでした。その後いわきで偶然出会って夜更けに一緒に呑んで楽しかったなぁ。その一緒に呑んだ時に藤井くんからもらったのが今日ON AIRする彼のバンド「ウシャコダ」の42年ぶりのアルバム「グルーヴィ・ホルモン」
藤井くんは歌とサックスそれにウクレレもうまい。彼は昔ウシャコダというバンドをやっていて1978年にデビューする前から知っております。約半世紀近く前ですね。
昔話になりますが、知り合いのヤマハの社員の方が「実は今度ヤマハのイースト・ウエストというコンテストに出演する千葉のバンドがいるんだけど、一度演奏を聴いて何かアドバイスしてもらえないだろうか」と頼まれて千葉まで行きました。ちなみにイースト・ウエストというコンテストはサザン・オールスターズやカシオペア、シャネルズなどたくさんのプロのバンドを生んだコンテストで、藤井くんウシャコダは78年にグランプリに輝きました。千葉まで演奏を聴きに行ったのですがウシャコダはすでに演奏力のあるバンドでヴォーカルの藤井くんもしっかりしていて言うこともなく「このまま頑張ればいいんじゃないか」とか言って帰ってきました。すると数日後そのヤマハの方から電話があり「ありがとうございます、優勝しました」と・・びっくりしました。その彼らが昨年42年ぶりに作った「グルーヴィ・ホルモン」というアルバムを先日藤井くんからいただきました。今日はそのアルバムをON AIR。まずその昔の彼らのライヴの感じが味わえるイントロから連奏で二曲目まで聴いてください。
オリジナルの「アフリカ」という変なおもろい曲からR&Bの名曲”Something You GotからMercy Mercy”へ。このあたりは彼らのライヴの流れです。

1.Africa/WSHAKODA

2.Something You Got~Mercy Mercy/WSHAKODA

途中のサックス・ソロは藤井くんです。ちなみに藤井くんはサックスもうまいのですが、ウクレレの名手でもあります。話しすると長いのですが、藤井くんのウクレレは60年代にウクレレ漫談というのをやってた牧伸二さんという方の影響です。牧さんはウクレレを弾きながら「あーやんなっちゃった」という決まり文句で社会批評なども混じえて世相を漫談にした人で60年代にすごく人気がありテレビ番組の司会もやってました。そのテレビを見ているうちに藤井くんはウクレレに目覚めたそうです。そのウクレレのアルバムもあるのですがそれはまたいつか。
では藤井くんのオリジナルを聴いてみましょう。僕も知っているホルモン屋の名前も出てきます。

3.ホルモン/WSHAKODA

藤井くん好きなんやね、ホルモン。アメリカ南部の黒人の料理で「チタリン」という豚の臓物を煮込んだソウルフードがありますが、ホルモンも日本のソウルフードと言ってもおかしくない。好きな人は肉の部位の名前も知ってますよね。ぼくは嫌いじゃないですが、そんなに食べませんが・・・。
次はジャズ・ジャンプ・ブルースの王様、ルイ・ジョーダンの曲で”Let The Good Times Roll”のカバーです。
藤井くんのようなジャズ・ジャンプブルーズ系のサックスをちゃんと吹ける人は日本では少ないです。というのも日本ではジャズでサックスを吹く人は多いのですが、そのジャズの人たちからブルーズへのアブローチがあまりないんですね。アメリカのジャズ・ミュージシャンはブルーズの重要性をよく理解していてルイ・ジョーダンもジャズからジャンプ・ブルーズというカテゴリーを作った偉人です。
「人生は一度きり、そして死んだらおしまい。若いのも年寄りも関係ない。みんな集まって楽しくやろうぜ」という曲です。

4.Let The Good Times Roll/WSHAKODA

さすが年季の入ったバンド・サウンドです。ウシャコダの楽しさというのはライヴにあるので是非ライヴに行って欲しいと言いたいのですが、あまり最近ライヴをやっていないとのことで残念です。
最後になりましたがメンバー紹介です
ヴォーカルとサックスの藤井康一、ギターが中村智、キーボードが若山光一郎、ベースが恵福浩司、ドラムに井野信司
ウシャコダは84年に一度解散して藤井くんもソロになり13年後の1997年に再結成しました。このアルバムは昨年リリースした42年ぶりのアルバムですがもっとライヴやって欲しいですね。
アルバムのジャケ写を番組HPにアップしてますので気になる方はチェックしてください。今日は藤井康一率いるウシャコダの42年ぶりのアルバム「グルーヴィ・ホルモン」からお送りしました。
藤井くんまた一緒にステージに立ちましょう。Hey Hey グルーヴィ・ホルモン Is Alright!

2025.06.13 ON AIR

ホトケのレコード中古盤放浪記 
その10

やっぱり好きなミュージシャンのベスト盤はLPで欲しい

The Best Of Sam & Dave(Atlantic SD8218)

ON AIR LIST
1.Hold On I’m Coming/Sam And Dave
2.Soul Man/Sam And Dave
3.When Something’s Wrong With My Baby/Sam And Dave
4.Soothe Me/Sam And Dave
5.I Thank You//Sam And Dave

60年代に活躍し現在もなお多くの人たちに親しまれている曲をたくさん残したR&Bデュオ「サム&デイヴ」のサム・ムーアが今年1月10日に89才で亡くなりました。「サム&デイヴ」の名前を知らなくても60年代の大ヒット「ソウル・マン」や「ホールド・オン」をどこかで聞いて知ってる人は多いと思います。以前も話しましたが、僕が初めてライヴで聞いた黒人の歌声はこの「サム&デイヴ」でした。1969年の初来日の時です。残念ながら仲が良くないと噂されていたサムとデイヴは70年に解散してしまいます。その後、何度か再結成もあったのですがいつもワン・ショットで長くは続きませんでした。二人はそれぞれソロで活動し続けサムは何度も来日しています。
サムが亡くなった1月に中古レコード店で”The Best Of Sam & Dave”という彼らのベスト・アルバムに遭遇。彼らのアルバムはLPとCDでほとんど持っているし確かベスト盤CDもあったはずだと思いながらも手がこのLPを掴んでました。やっぱりレコード、今まで何度もレコード店で見かけたこのジャケットのベスト盤をレコードで欲しいとフツフツと思いレジへ。「亡くなったサムへの供養だ」とも思いながら。
まずは定番の二曲を聞きましょうか。

1.Hold On I’m Coming/Sam And Dave

2.Soul Man/Sam And Dave

やはり鉄板の二曲なんですが、改めて聴くと曲もよくできてるし歌詞もいいですし、バックの演奏もアレンジも全て素晴らしいです。
ぼくが初めて買ったサム&デイヴのシングル盤は今の二曲がカップリングされたもので今も持っています。
高い方のパートを歌っているのがサムで低い方がデイヴですが「ダブル・ダイナマイト」の異名もあったくらい強力にパワフルです。今の2曲は両方ともR&Bチャートの1位になっていますが、僕がディスコで歌っていたときもこの2曲はディスコのジューク・ボックスの定番でした。彼らのずば抜けた歌唱力はスロー・バラードでも発揮されていて次の曲が好きな人たちもたくさんいると思います。
「何か困ったことがあったら俺は君を助けるよ。君と同じ気持ちなんだ。何と言われようが俺の彼女だから」
日本語のタイトルが「ぼくのベイビーに何か?」

3.When Something’s Wrong With My Baby/Sam And Dave

とにかくゴスペル出身の熱唱型のふたりですからめちゃ盛り上がります。当時のヨーロッパでのライヴ映像がYou Tubeにアップされているのですが強烈なテンションです。是非観てください。
彼らはマイアミの出身で1961年にデュオで活動を始め広く知られるきっかけとなったのは1965年にメンフィスのスタックスレコードで録音されたものが契約したアトランティク・レコードからリリースされるようになったからです。とにかくシングルは10枚連続トップ20入り、アルバムは3枚連続でトップ10入りです。さっきの曲「ソウルマン」もそうですがソウルという言葉、ソウル・ミュージックという言葉を広く世界に認知させた二人です。サム・クックのカバーの”Soothe Me”も素晴らしいです。

4.Soothe Me/Sam And Dave

今日聴いてもらっているベスト盤”The Best Of Sam & Dave”は1969年のリリースですが、翌70年には解散してしまいます。アトランティック・レコードに入って売れてから5年ほどで解散です。でもその5年間がめっちゃ忙しかったと思います。ヒット連発で国内だけでなくヨーロッパにも行ってまだ来日R&Bミュージシャンが少なかった日本にも69年に来たわけでずっと二人でいると仲悪くなるんですかね。笑いの世界の二人組とか3人組が芸が上手いのに仲が悪いという話がありますが、サムとデイヴも仲が悪かったようです。仲が悪くなっても歌、ステージは最高なんです。

5.I Thank You/Sam And Dave

ソウルの男性デュオは他にもピック&ビルとかいるんですがやっぱり総合力でサム&デイヴです。サム・ムーアは解散後もソロとして来日してくれましたし、アメリカのテレビにでているのをたまたま観たこともありました。いつも全力投球で歌う姿は立派でした。グラミー賞はじめ多くの賞にも輝いたし、ロックの殿堂入りもしています。亡くなって間もないレコード店でこうしてサム&デイヴのベスト・アルバムと出会ったのも、初めて生で聴いたソウル・シンガーがサムだったこともあり何か繋がりを感じました。素晴らしいアルバムです。
最後にサム&デイヴに言いたいです・・I Thank You,Sam And Dave