クリスマス・スベシャル
ON AIR LIST
1.Merry Christmas Baby/Charles Brown
2.Back Door Santa/Clarence Carter
3.Let It Snow, Let It Snow, Let It Snow/Aaron Neville
4.Christmas In Heaven/B.B. King
今年も一年このブルーズ・パワーを聞いていただきありがとうございます。コロナ感染でこの番組の収録も現在リモート収録となっていますが、やはりスタジオに行って収録したいというのが本音です。
個人的にはライヴ、そしてツアーがほとんどなくなってしまい大きな打撃を受けていますが、それはぼくだけでなく他のミュージシャンのみなさん、コンサート会場、ライヴハウスで働くみなさん、もっと言えばほとんどの職種のみなさんが同じ境遇にいるわけです。
そんな中、今日はクリスマスです。年を重ねると年々クリスマスのようなイベントがどうでもよくなってしまいますが、クリスマスソングは好きです。でも、この番組はブルーズ・パワーなので他のラジオ番組のクリスマスソングとはちょっと違うブルーズのクリスマスソングをまず聞いてください。
1947年チャールズ・ブラウンの大ヒット・クリスマスソングです。
「クリスマスにはお前がダイヤモンドをくれるし、天国にいるような気分さ。ラジオからはご機嫌な音楽が流れ最高の気分。でも、今朝はまだ酒飲んでないからクリスマスツリーのようにしっかり立っているよ」という最後がやっぱりブルーズらしい歌詞になってます。
1.Merry Christmas Baby/Charles Brown
チャールズ・ブラウンはウエストコーストで活躍したピアノ・ブルーズプレイヤーで、いわばブルーズのナット・キング・コールです。ナイトクラブで都会的な少し洒落たジャズ風味のブルーズを歌いすごく人気がありました。
今の曲よりもっとブルーズっぽいというか、子供には聞かせられない曲が次のR&Bのシンガー・ソングライター、クラレンス・カーターの”Back Door Santa”
ブルーズにはBack Door Manという曲があるのですが、Back Doorは裏口つまり裏口から入ってくる男、Back Door Manは旦那さんがいない時に裏口からやってくるつまり間男。つまり人妻と密通、不倫する男のことです。この”Back Door Santa”は間男サンタとなります。「みんなは俺を間男サンタって呼ぶ。夜明け前にはトンズラするんやけどね。旦那がいない間に彼女たちを喜ばせてやるんよ。
本物のサンタは年に1回しか行かないけど俺は呼ばれたらプレゼント持っていつでも行くよ。子どもたちを追っ払うために小銭もポケットに用意している」
こんなクリスマス・ソングですがどうぞ
2.Back Door Santa/Clarence Carter
途中で時々クラレンス・カーターが「ホッホッホ」と笑うのが面白いのですが、こういう不倫、浮気について昨今めちゃ厳しくなっているのであまり言えませんがこの歌の大らかな感じがいいですね。
次はニューオリンズの、というよりアメリカ音楽界の宝の歌声、アーロン・ネヴィル。アーロンは1993年に「アーロン・ネヴィルズ・ソウルフル・クリスマス」というアルバムをリリースしています。
その中からスタンダードなクリスマス・ソングです。
3.Let It Snow, Let It Snow, Let It Snow/Aaron Neville
ブルーズ、ソウル系の黒人ミュージシャン達のクリスマス・アルバムというのはたくさんあるんですよ。テンプテーションズやグラディス・ナイト、ミラクルズ、アル・グリーンはアルバムもリリースしていますし、ブルーズマンのクリスマス・シングルは本当にたくさんあって、フレディ・キング、アルバート・キング、ライトニン・ホプキンズやサニーボーイ・ウイリアムスンのクリスマス・ブルーズもあります。
欧米の人たちにとってクリスマスはやはり一年でいちばん大切な日ですから、日本人みたいにチャラい感じではなくて精神的なものだと思います。
最後はB.B.キングの2001年のクリスマス・アルバム” A Christmas Celebration Of Hope”からChristmas In Heaven
「12月は変わらずこの町は同じようだ。町の広場の木のライトまだ灯り、赤や白や緑がいたるところで輝いている、そしてここに君がいてくれたらと願う。通りは雪が舞い落ちて建物は全て白く覆れる。天国のクリスマスってどんなものなだろうと思う」
天国にいるB.Bに聞いて見たいですね「天国のクリスマスってどんなものですか」って。
4.Christmas In Heaven/B.B. King
「私にとってクリスマス・アルバムを録音することは長い間の夢だった」とアルバムにB.B.キングの言葉が残されています。
何でしょうね、クリスマス・ソングには楽しく、賑やかな曲もあるのにこういう切ない曲もあり、寂しい気分にもなります。
僕も経験してますが寂しいクリスマスの日もありました。特に若いころ、クリスマス・ケーキどころかお金がなくてボロアパートに一人いてインスタント・ラーメン食べながら、テレビのクリスマス番組をぼーっと見てました。悲しかったのかも知れませんが、ラーメン食べて寝たらもうクリスマスは終わっていて、次の日はまた朝早くからアルバイトに行ってました。とにかく生きるためのお金が一番大切でクリスマスに寂しいとか悲しいとか思ってる余裕もなく、減っている腹を満たすために家賃を払うために生きているような感じでした。世の中にはクリスマスの夜に恋人と高いホテルに泊まって高いディナーを食べる人もいますが、キリスト様は御自分の誕生日にそんなことを願ってはいないと思います。願っているのはすべての人にささやかな幸せがあることだと思います。メリー・クリスマス!良いお年を!