ノース・ミシシッピ・オールスターズの色褪せない代表作であり名作
World Boogie Is Coming / North Mississippi Allstars (Songs&South Records/P-Vine PCD-24312)
ON AIR LIST
1.Jumper on the Line [Extended]/North Mississippi Allstars
2.Goat Meat/North Mississippi Allstars
3.Rollin ‘N Tumblin/North Mississippi Allstars
4.Boogie/North Mississippi Allstars
5.Get the Snakes out the Woods/North Mississippi Allstars
6.Snake Drive/North Mississippi Allstars
このアルバムは2013年に日本のP-Vine Recordsからもリリースされてます。ノース・ミシシッピ・オールスターズは以前にもOn Airしたことがありますが、前回の放送で彼らの仲間であるドゥエイン・バーンサイドのニュー・アルバムをOn Airしている時に彼らのこの素晴らしいアルバムをOn Airしてなかったことに気づいた次第。
96年に結成されたノース・ミシシッピ・オールスターズはたくさんミュージシャンがいるような名前だが、ルーサーとコーディのディキンスン兄弟二人のグループ。なぜこのバンド名になったかと言う由来を「彼らの周りにいる北ミシシッピのすばらしいミュージシャンたちとコラボして彼らを世界に広めたいという彼らの気持ち」からそうなったと日本盤アルバムのライナーを担当した井村猛君が書いています。
今日はこの井村君の詳細なライナーを元に話を進めていきたいと思います。
まず最初の曲。このアルバムはこんな感じで始まる。
1.Jumper on the Line [Extended]/North Mississippi Allstars
ヒル・カントリーブルーズの重鎮、ジュニア・キンブロウのインスト曲。実はジュニア・キンブロウはジューク・ジョイント(安酒場)を経営していて、ディキンスン兄弟も早くからその店に出入りしていたそうだ。キンブロウの店では今の曲のような感じで誰かが自然と演奏を始め、自然とみんながジョイントして行く。そのキンブロウの店ももうないそうでキンブロウも98年に亡くなりました。
キンブロウの店でディッキンス兄弟が知り合ったのがギタリストのライトニン・マルコム。次の曲はそのマルコムと兄のルーサーが二人で作った曲。マルコムはベースも弾いてノース・ミシシッピ・オールスターズのツアーにベーシストとして参加していることもありその重心の低いどっしりしたブルーズはカッコいい。
2.Goat Meat/North Mississippi Allstars
今の二曲でハーモニカを担当したのが元レッド・ツェッペリンのロバート・プラント。どういう繋がりなのかわかりませんが・・。
次はマディ・ウォーターズはじめ南部のブルーズの定番曲でありブルーズロックのミュージシャンたちもよく取り上げる「ローリン&タンブリン」
ここでも彼らは絶妙なさじ加減でこのトラッドな良さを残しつつ自分たちの好きなサウンドでうまくアレンジしている。
要するにルーツ・ミュージックの良さを熟知した上でまず全体のサウンドとグルーヴに重点を置いていて、他のブルーズロックのバンドのようにギターが中心になっている曲作りではないところがミソ。実はそこがとても重要なポイントで、いまのブルーズロックのつまらなさは歌とサウンドとグルーヴが二の次になっていてやたらギターだけを押し出してくるところでルーツを失うことになっていると思うのですが・・・。
3.Rollin ‘N Tumblin/North Mississippi Allstars
すごくかっこいいブルーズロックの曲に仕上がってる。
次の曲はミシシッピでずっと伝わるブギのグルーヴ。こういう土着的でトラッドなブルーズをやっても少しも古い感じがしないところがこのノース・ミシシッピ・オールスターズの特徴。それは本人たちが古い音楽をやっているという意識が全くないからだと思う。自分たちの周りで幼い頃からずっと演奏されて生活や体の一部になっている音楽に新しいも古いもない。そういう音楽を彼らなりの今のサウンドで表現しただけで中身はトラッドなノース・ミシシッピのブルーズだ。
4.Boogie/North Mississippi Allstars
永遠不滅のブギ。グルーヴも音の歪み方もかっこいい。他にもブルーズロックのバンドはたくさんあるがこんなにブルーズのリアル感とロックする格好良さを持ったバンドは少ない。
最後の曲は亡くなったR.Lバーンサイドとギターのケニー・ブラウンの会話をサンプリングしたところから次の曲へなだれ込むカッコ良さ。スライドギターはケニー・ブラウン、もう一つのロックしているギターはR.Lバーンサイドの息子で前回ON AIRしたドゥエイン・バーンサイド。
5.Get the Snakes out the Woods/North Mississippi Allstars
6.Snake Drive/North Mississippi Allstars
2013年にリリースされたこのアルバム”World Boogie Is Coming”は多分時間が経っても変わらずカッコいいアルバムでありつづけると思います。その一つの理由はディッキンスン兄弟の自分たちの故郷のブルーズへの愛に溢れているからです。気まぐれにやってきてその音楽のうわずみだけを取ったのではなく、幼い頃からどっぷり北ミシシッピのブルーズに浸かっている彼らだからこその音楽です。彼らは白人ですが同じ場所で生活し育ってきたから黒人ミュージシャンと心から繋がっている感じがします。それがコラボした時の違和感のなさ、そして素晴らしいグルーヴを作る源にもなっていると思う。これからもまだまだ期待できるノース・ミシシッピ・オールスターズ!
今日は最初からそのまま6曲を聞きましたが、またON AIRします!
Hey Hey The Boogie Is Alright!