2015.12.25 ON AIR

The Staple Singers :The Twenty-fifth Day Of December

20151225ON AIR TRACK LIST
1.Last Month of the Year/The Staple Singers
2.Joy To The World/The Staple Singers
3.Sweet Little Jesus Boy/The Staple Singers
4.Oh Little Town Of Bethlehem/The Staple Singers
5.Silent Night /The Staple Singers

 

 

 

 

今日はクリスマスです。みなさんはどう過ごしているのでしょうか。
今年は友達、知人が何人も亡くなりまして本当につらい年でした。ミュージシャンではシーナ、服田洋一郎、石田長生、そしてアラン・トゥーサンやB.B.キング・・仲のいい友達も何人か亡くなりました。今日はいろいろ1年を振り返りながらクリスマスなのでゴスペルのクリスマスソングを聴いてみます。
今日聴いてもらうアルバムはステイプル・シンガーズのアルバムなんですが、このアルバムは僕が生きて行く中でいちばん信頼していた方で、僕の年上の友達の川田恒信さんの遺品としていただいたものです。音楽雑誌の編集者もされていた川田さんはゴスペルに詳しい方でした。彼にもっとゴスペルのことを聴いておけばよかったといま後悔しています。彼も僕もこのステイプル・シンガーズが好きでステイプルズの話をしては何度も盛り上がりました。

アルバムタイトルは12月25日(The Tewnty-fifth Day Of December)
録音は1962年。
最初の歌「Last Month of the Year」歌詞は「キリストさまはいつお生まれになったのか教えて?1年の終わりの月だよ。1月なの、違うよ。2月なの?違うよ3月4月5月違うよ。6月7月8月9月10月11月?違う。キリストさまが生まれたのは12月25日よ。聖母マリアから生まれ産着にくるまれて飼い葉桶の中で横たわっておられた」本当にストレート歌詞で小さい子供にキリストが生まれた日にちや生まれた様子を教える意味があるのではないかと思います。
1曲目はLast Month of the Year
僕は小さい頃、キリスト教教会の日曜学校というのに毎週行ってました。うちは曹洞宗という仏教なのになんで両親が教会に僕を行かせていたのかはよくわかりませんが、それでその教会で神父さんの話も聴いたと思うのですがなにしてたんでしょうね。いろんな賛美歌も歌ったのですが、いちばん覚えてるのが「もろびとこぞりて 迎えまつれ 久しく待ちにし 主は来ませり主は来ませり、主は 主は 来ませり」という歌です。このステイプルのアルバムにも入ってましたこの曲”Joy To The World”
今年は悲しいこともいろいろありましたが、自分のバンド(blues.the-butcher-590213)で念願のアナログレコードをリリースできたことは嬉しかったですね。リリースツアーで早々と完売しましてありがたいことですが、若い人たちも含めいままた多くのひしと立ちがレコードに興味を持ち始めているということを実感しました。CDやスマホやPCなどデジタルなもので音楽を聴くのではなく、ちゃんとレコードプレイヤーにレコードを乗せてゆっくりとした時間の中で音楽を聴くという習慣になって欲しいです。そうすることで音楽をもっと大切にすることに繋がっていくように想います。今日聴いてもらっているのもアナログレコードです。
キリストが生誕したときのことを歌で、キリストの生誕の意味をみんな分からなかったという歌だと想います。”Sweet Little Jesus Boy”
弘前はもう8年近く来ていて、ここからこの番組を発信できてよかったと思っています。
弘前にもいくつか教会がありますが、次の歌は「ベツレヘムの小さな街「というタイトルです。新約聖書ではこのパレスチナにあるベツレヘムがイエス・キリストの生誕の地とされています。
そして、キリストが生まれた時に見た事もない星が現れたと言われていて、それがクリスマスツリーのいちばん上に飾られる星になっています。
聴いてもらう曲の中にも”The Silent Stara Go By”流れ行く静かな星という歌詞が出てきます。これもキリストの誕生の瞬間を歌った歌です。”Oh Little Town Of Bethlehem”

最後は「きよしこの夜」としてみなさんよくご存知のサイレント・ナイト静かな夜です。

「静かな夜、聖なる夜 全ては穏やかにそして輝いている
聖母マリアと御子キリストの回りをみんなで取り巻こう
聖なる幼な子は優しく穏やかにしている
天国にいるように安らかに眠っている
天国にいるように安らかに眠っている」Silent Night

今年一年この番組を聴いてくださったみなさん、ありがとうございました。ツアーで全国のいろんな街に行くと、この番組がインターネットで聴けるようになってからいろんなところで「聴いてますよ」と声をかけていただいて嬉しい限りです。
親しい人や好きなミュージシャンがなくなったり悲しいこともたくさんありましたが、バンドのツアー先でいい人たちともたくさん知り合えたり、こうして毎日音楽に接しながら生きいけることを本当に幸せに想います。来年ももっとこの番組を充実させてみなさんにブルーズをはじめ魂のあるいい音楽を聴いてもらいたいと想っています。そして、最後に個人的ではありますが、今日ON AIRしたこのアルバムを私に下さり天国に行ってしまった友人、川田恒信さんにひとこと「長い間、ありがとうございました。とてもいいアルバムでした。大切にします」
では、メリークリスマス、よいお年をお迎えください。

2015.12.18 ON AIR

B.B.KING : A Christmas Celebration Of Hope (MCA 112756-2)

20151217ON AIR TRACK LIST
1.Please Come Home For Christmas:B.B.King
2.Merry Christmas Baby:B.B.KIng
3.Back Door Santa:B.B.KIng
4.Christmas In Heaven:B.B.King

 

 

 

 

 

今日は今年天国へ行ってしまったB.B.キングが遺してくれたクリスマス・アルバムを聴きます。
アルバム・タイトルは”A Christmas Celebration Of Hope”
アルバムのライナーノーツに「クリスマスアルバムを作ることは長年の私の夢だった。そして誇りと喜びをもってこのアルバムをリリースする時が来た」と、B.B.自身が書いています。やはり、アメリカのミュージシャンにとってクリスマス・アルバムを出すのはひとつの夢なんでしょうね。
最初に聴いてもらうのは「クリスマスの日には家に帰ってきておくれ。オマエとクリスマスを過ごして新しい年を迎えたいんだ」と出ていった彼女に懇願する”Please Come Home For Christmas”
なんかB.B.の歌声を聴いているだけで泣きそうになってしまいます。
次はこの番組ではオリジナルのチャールズ・ブラウンを何度かON AIRしたことのあります”Merry Christmas Baby”
多分いちばんヒットしたブルーズのクリスマス・ソングはこれでしょう。
歌詞「メリー・クリスマス、ベイビー、オマエは本当にいい気分にさせてくれる。クリスマスにダイヤの指輪くれるからオレはもう天国にいる気分や。ラジオからめっちゃええ音楽が流れてくるし、オレはもう最高にええ気分や。やどり木のそばに立ってオマエにキスしたい気分や。夜中の3時半にサンタさんが煙突からやって来てステキなプレゼントをもってきてくれる。メリー・クリスマス、ベイビー、オマエは本当にいい気分にさせてくれる。今日はまだ酒飲んでないからクリスマスツリーみたいにしっかり立ってるよ」最後の歌詞がグダグダですが・・。Merry Christmas Baby!
次はBack Door Santa
Back Door manといえば、裏口から旦那さんがいない時にやってくる奥さんの浮気相手、まあ間男ですわ。で、これがBack Door Santaですから間男サンタですわ。こんな内容です。
「俺は間男サンタって呼ばれてる。彼が外に遊びに出かけてる隙に、彼女たちを楽しくさせてやるんだ。
本物のサンタは年に1回しか来ないけど、俺は呼ばれたらいつでも行くよ。家にいる子どもを家から出ていくようにするお金も持ってる。彼が帰ってきてもすぐ逃げられるように裏口のドアは開けてるよ・・」
Back Door Santa
最後はB.B.キングが天国にいると思うとこの曲のタイトルも切ない気持ちになりますが、”Christmas In Heaven”
本来はクリスマスのラブ・ソングです。
「君とここに一緒にいて天国にいるようなクリスマスだよ。もし、君がいなくなったら僕はどうしたらいいかわからない。クリスマスに天国にいる、君といると1年中クリスマスだよ。君がキスしてくれて、天使たちが聖夜の間歌いつづけてくれるのを聴く。雪が降って来て、やどり木があってもういい感じだね。君とここに一緒にいて天国にいるようなクリスマスだよ。」
B.B.は天国にいてクリスマスを迎えるんですが・・・本当に彼の歌とギターを聴けないのは残念です。Christmas In Heaven
僕らはこうしてアルバムを通してしか、もうB.B.を聴く事はできません。彼の新しいアルバムももうでないし、ライヴを聴くこともできない。やはり、自分が行こうと思った時にはライヴに行って生でブルーズを、音楽を聴くべきです。クリスマスにB.B.キングを生で聴けたらそれこそいまの歌やないけどChristmas In Heavenだっただろうと思います。
では、素敵なクリスマスを。Merry Christmas!

2015.12.12 ON AIR 『ブルーズのクリスマスソング』

Blue Blue Christmas(P-VINE RECORDS PCD-1619)

20151210

ON AIR TRACK LIST
1.Christmas Time Blues : BLACK ACE
2.Christmas Tears : FREDDY KING
3.Sonny Boy’s Christmas Blues : SONNY BOY WILLIAMSON
4.Christmas Eve Blues/BLIND LEMON JEFFERSON
5.Happy New Year Darling/LONNIE JOHNSON

今日は日本のP-VINE RECORDSが1988年にリリースしたクリスマス・ブルーズのコンピレーション・アルバム「Blue Blue Christmas」を聴きます。
全国どこのラジオ・ステーションもOn AIRしないだろう思いっきりブルーズなクリスマス・ソング特集です。心して聴いてください。
もう最初からドロドロです。スライド・ギターがもう最高ですが、歌の内容は・・・
「サンタクロースさんよ、クリスマスには何をプレゼントしてくれるんだよ。あの娘を連れて来てくれへんかったら、他のしょうもないものはいらんよ」ブラック・エースのChristmas Time Bluesからスタート!
次はブルーズの3大キングのひとり、フレディ・キングのクリスマス・ブルーズ。タイトルがChristmas Tears(クリスマスの涙)です。「みんながメリー・クリスマスと喜んで、空からやってくるトナカイにひかれたソリに乗ったサンタを待っているのにオレの心は泣いている」「ソリの鈴の音が聴こえる」I hear sleigh bells ringingと歌いだすフレディ・キング。その最初の歌声だけですでにブルーズです。
三曲目は性格が悪かったという逸話がいっぱい残っている、でもブルーズマンとしての才能は素晴らしかったサニーボーイらしいブルーズの曲で「キリストさまに近づこうとしたけど悪魔がお祈りの邪魔をするんよ。そやからこんな感じでクリスマスも酒浸りなわけ」
もう敬虔なキリスト今日の信者の方が聴いたら最悪でしょうが、まあ、家もない行き場の無い黒人ブルーズマンのクリスマスの日の気持ちってこんなんでしょうね。
次のブラインド・レモン・ジェファーソンのこのアルバムの中でいちばん古い録音の曲です。ブラインドっていうのは盲目ということで、彼は目が見えなかったけれどブルーズ史上の初期のブルーズマンとしてはめっちゃ売れた人です。「口ひげは白くないけどオレがあんたのサンタさんよ」と、ふられてるんですが、彼女にプレゼントを持っていく男のブルーズです。
最近は若い男が何ヶ月も前からクリスマスの日に高級ホテルを予約して、彼女に気を遣って高いプレゼントするというふぬけたヤツが多いですが・・。そもそもクリスマスってホテルへ行って何する日とちゃいますからね。キリストの生誕を祝う日ですから。神聖な日です。まあ、こじんまりと家でクリスマス・ソング聴きながらパーティするくらいがええんとちゃいますか。
最後はギター名人ロニー・ジョンソンの1947年の曲。クリスマス・イヴに奥さんの待っている故郷に帰る歌です。今日のクリスマス・ブルーズでいちばんまともな曲です。

昔、クリスマスの季節にアメリカのロスにいたことがあるんですよ。クリスマスの日ってみんな家でパーティやったりしてて街中はあまり人がいないんですよ。それで僕ひとりで部屋にいたんですが、もうずっと朝からラジオでクリスマス・ソングが流れてきてなんかどっかライヴでも行こうと思って、よく行ってたクラブへ行ったらやってたんですよ。クリスマスは閉めてるとこもかなりあるんですが。それで中へ入ったら黒人のマスターが「なんや、オマエもクリスマスにひとりっきりか・・今夜ここにいるヤツはみんな寂しいヤツばっかや。そやからみんなでぱーっとやろや!」と言うて、シャンパンおごってくれたんですよ。一杯だけですけどね。その時のことを今日は想い出しました。
では、もうすぐクリスマス、メリー・クリスマスということでまた来週!

2015.12.4 ON AIR 映画ザ・ブルーズ・ブラザーズとその音楽

The Blues Brothers Original Sound Track(Atlantic/ワーナー WPCR-28516)
John Lee Hooker Anthology 50years (Shout 826663-11289)

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ON AIR TRACK LIST
1.Everybody Needs Somebody To Love : The Blues Brothers
2.Boom Boom : John Lee Hooker
3.Shake A Tail Feather : Ray Charles
4.Think : Aretha Franklin
5.Minnie The Moocher : Cab Calloway

 

 

今日は映画「ブルーズ・ブラザーズ」のサウンドトラックを中心に聴いてみましょう。もう彼らのことを知らない人もたくさんいると思います。彼らのあのめちゃめちゃおもろい映画が公開されたのがもう34年前、1981年ですから。映画公開の翌年にブルーズ・ブラザーズの主役のひとりジョン・ベルーシが亡くなってしまったのですが、バンドはライヴを続けて18年後の98年に続編の映画「ブルーズ・ブラザーズ2000」が公開されました。それで今日、ブルーズ・ブラザーズを取り上げたのはどうも3作目が作られるのではないかという情報が入ってきたからです。

では1曲目、”Everybody Needs Somebody To Love”は黒人ソウル・シンガーのソロモン・バークが60年にヒットさせた曲です。

うれしかったのは次のジョン・リー・フッカーがBoom Boom を歌うシーンでした。シカゴのマックスウェル・ストリートでのロケでしたが、マックスウェル・ストリートは市場みたいな通りでいろんなものを売っていたり、食べ物もあったり、シカゴのストリート・ブルーズマンたちが演奏する場所としても有名でした。この場所でジョン・リーのシーンを映画に取るセンスも素晴らしいですが、そのメンバーの中に滅多に見れないハーモニカのウォルター・ホートンやピアノのパイントップ・パーキンスが参加していたこともうれしかったです。
監督のジョン・ランディスはマイケル・ジャクソンの「スリラー」のMVを作った人して有名ですが、彼の「アニマル・ハウス」「ケンタッキー・フライド・ムービー」もすごく好きな映画です。
ジョン・ランディスは主役のベルーシとエイクロイドのふたりのはちゃめちゃさも大切にしながら、コアな音楽のセンスも残しつつ、アナーキーなコメディ音楽映画をしかもアンダーグラウンドではなくポップに作ったと僕は思いました。
3曲目、Shake A Tail Featherはレイのオリジナルではなく1963年にリズム&ブルーズのグループ”Five  Du-Tones”がリリースしたものですが、R&Bチャート28位、ポップチャートでは51位のそんなに有名な曲ではないんですが、こういう曲を選んだそのセンスが素晴らしい。また、これがかっこいい曲なんですよ。
レイ・チャールズの出演にも驚きましたが、やはり超大物のソウルの女王、アレサ・フランクリンのソウルフード屋の女将さん役という設定にもびっくりしました。その亭主役がギタリストのマット・マーフィというのもブルーズ・ファンには面白いものでした。
そのアレサが歌った”Think”は彼女の1968年大ヒット、チャートで三週間トップに輝いた曲。
最後は1930年代から40年にかけてジャズ・ジャイヴというユーモアのある大衆音楽の超人気者だったキャブ・キャロウェイのこれまた超有名曲”Minnie The Moocher”
実は81年に映画公開のプロモーションで来日したブルーズ・ブラザーズが吉祥寺でやっていた僕のライヴに乱入してきた時の貴重な写真も出しておきます。左は山岸潤史のギターを弾く飛び入りの鮎川誠、そして当時の僕のバンド「ブルー・ヘヴン」のドラム大平幹久、ベース小堀正です。右にいるパンチ風アフロ男が僕です。
第3作目期待!