2021年、今年心に残った曲
Uncivil War / Shemekia Copeland (Alligator ALCD5001)
That’s What I Heard / Robert Cray (Nozzle NZZL720982)
Let’s Get Happy Together/Maria Muldaur with Tuba Skinny (Stony Plaln)
Los Lobos / Native Son (NEW WEST NW 6516)
ON AIR LIST
1.Uncivil War / Shemekia Copeland
2.I Like You Best Of All/Maria Muldaur with Tuba Skinny
3.Native Son / Los Lobos
4.You’re The One/ Robert Cray Band
5.We Shall Overcome / The Staple Singers
2020年にミネアポリスで黒人のジョージ・フロイドさんが白人警察官に首を9分間押さえつけられ窒息死により殺された事件をきっかけに人種差別や警察の暴力に抗議する運動が高まり、その後「BLM/ブラック・ライヴズ・マター」という全世界的な人種差別反対運動に広がりました。結局いつまで経ってもなくならない人種差別の問題に意識を持ったミュージシャンたちがそれにプロテストするアルバムや曲もリリースされました。
そんな中、黒人の女性ブルーズ&ソウル・シンガー、シメキア・コープランドの新譜も今年印象に残りました。
「誰も勝つ人がいないこの無益な、野蛮な戦いを私たちはいつまでするのだろう」と人種間の分断された気持ちを歌っています。
アルバムタイトル曲です「Uncivil War」
1.Uncivil War / Shemekia Copeland
5月にはベテラン女性シンガー、マリア・マルダーの新譜”Let’s Get Happy Together”がリリースされました。アルバムタイトル通り楽しくなるアルバムでした。1920年代から30年代のいにしえのブルーズ、アーリージャズ、ジャグなんかをニューオリンズのストリート・ジャズバンドの「チューバ・スキニー」とコラボして作ったものでなんともほんわかした気分なるアルバムでした。
2.I Like You Best Of All/Maria Muldaur with Tuba Skinny
2021年の夏ヘビー・ローテーションで聴いたのはロス・ロボスの新譜「Native Son」でした。彼らが子供の頃から聴いて来た自分たちのルーツになった曲のカバーがたくさん録音されたアルバム。その中から九月にON AIRしなかった彼らの唯一収録されているオリジナル曲、アルバムタイトル曲でもあります。
3.Native Son / Los Lobos
とてもパワフルなアルバムでいまやアメリカのロックの王道バンドのトップの実力を示した素晴らしいアルバムでした。彼らのルーツであるチカーノのカバーも収録されていてカラフルなアルバムでもありました。
この番組はブルーズを主体としているのですが、ブルーズの新しいアルバムでいいものがあまりリリースされなくなってきたというのが昨今の状況です。もちろんブルーズ関連のアルバムはリリースされているのですが、もうかなり前から言ってることですがヘヴィなギターソロだけがフィーチャーされて、歌が良くないブルーズ・アルバムはこの番組では紹介していません。ブルーズはヴォーカル・ミュージック。まず歌ありきです。
2021年よかった現役のブルーズ・アルバムはキム・ウィルソン、ボビー・ラッシュ、ザック・ハーモンそして今から聞いてもらうロバート・クレイくらいでしょうか。特にロバート・クレイにはB.B.キング亡き後を引っ張っていく気持ちで頑張って欲しいです。今年1月にON AIRしたアルバムThat’s What I Heardから偉大なブルーズシンガー、ボビー・ブランドの名曲をカバーしています。
4.You’re The One/ Robert Cray Band
一曲目でも触れましたが、アメリカの人種差別の問題が性差別、職業差別などいろんな差別についての意識が自分にも問われるこの一年の動きでした。そんな中、公開された映画「サマー・オブ・ソウル」はかなりの衝撃でした。特に映画に使われた69年のニューヨーク、ハーレムで開催されていた野外フェスティバル「ハーレム・カルチュラル・フェスティバル」のドキュメント映像は改めて60年代終わりの黒人音楽の激しかった動きを教えてくれました。そして、その頃いやそれ以前から未だに続く人種差別と格差、分断の問題をアメリカだけでなくどうしたら解決できるのか・・・今年も問われた年でした。その60年代初めからずっといまもそういう運動に関わり、歌い続けているメイヴィス・ステイプルズには本当に尊敬の気持ちしかありません。彼女が「私たちはいつの日か打ち勝つだろう」とファミリー・グループ「ステイプル・シンガーズ」で歌ったこの歌からもう何十年経ったのでしょう。
5.We Shall Overcome / The Staple Singers
2021年もこの番組を聞いていただきありがとうございました。番組開始から15年目に入りました。何か記念になるようなことしたいと今考えています。そして、この番組をON AIRしてくださっているネット各局の皆さんにも感謝しています。また各局訪問の旅にもいきたいと思ってます。
2022年もよろしくお願いします。Hey,Hey, The Blues Is Alright!