2015.10.30 ON AIR『アナログレコードでブルーズを聴こうシリーズ』第17回

Blues That Gave America Soul(DUKE DLP 82)
20151030
ON AIR TRACK LIST
1.Stormy Monday : Bobby Bland
2.Driving Wheel : Junior Parker
3.Keep On Dogging : Rosco Gordon
4.Texas Flood : Larry Davis
5.Taxi Blues : Little Frankie Lee

 

 

 

今日は1950年代から60年代に素晴らしい黒人音楽をたくさん提供したデュークレコードのアナログ・コンピ・アルバム「Blues That Gave America Soul」を聴きます。デュークのアルバムがなかなか手に入らなかった頃、本当によく聴いたアルバムです。
1曲目はデューク・レコードの看板大スター、ボビー・ブランドのこれはもうブルーズ史上に残る名唱です。原曲のT.ボーン・ウォーカーはもちろん素晴らしいのですが、たくさんカバーがある中でおそらく1番素晴らしいテイクだと思います。ため息が出ます。
ボビー・ブランドも歌のめっちゃ上手い人ですが、ブルーズ界で歌が上手いと言えばこの人、2曲目のジュニア・パーカー。歌い口がとてもスムーズでなめらか。でも、アクレッシヴなところもありゴスペルを感じさせます。ルックスも良かったし人気があったのがわかりますね。
3曲目はメンフィスのファンキーなピアノ弾き、ロスコー・ゴードン。51年の「ブーテッド」52年には「ノー・モア・ドッギン」のヒットを出して50年代にすごく人気のあった人です。いまから聴いてもらう”Keep On Doggin’”は「ノー・モア・ドッギン」のヒットの4年後にほとんど同じような曲で夢よもう一度とリリースした曲ですが、柳の下にどじょうは二匹いなかったようです。
4曲目は1983年、スティーヴィー・レイボーンがデビューアルバムで歌って有名になった曲で知っている方も多いと思います。テキサスで起きた洪水のことを歌にしたものですが、オリジナルはこのラリー・デイヴィスです。土着的なテイストも感じさせる武骨なブルーズがかっこいいです。
そして最後のリトル・フランキー・リーの「タクシー・ブルーズ」も味わいのあるスロー・ブルーズです。
デュークそして系列レーベルのピーコックにも素晴らしいミュージシャンのいいアルバムがたくさんあります。是非探してみてください。
アルバム・ジャケットはなんとも言えない、内容とどういう関係があるのか意味があまり良くわからない絵です。このアルバム・ジャケットでは売れないと僕は思うのですが・・・内容は素晴らしい曲ばかりです。

2015.10.23 ON AIR 「アナログレコードでブルーズを聴こう!シリーズ」 第16回

Alabama Blues/J.B.Lenoir (L+R Records L.R 42.001)
20151023
ON AIR TRACK LIST
1.Alabama Blues : J.B.Lenoir
2.The Mojo Boogie : J.B.Lenoir
3.Vietnam : J.B.Lenoir
4.Talk To Your Daughter : J.B.Lenoir
5.God’s Word : J.B.Lenoir

 

 

 

尊敬するブルーズマン、J.B.ルノアをアナログレコードで聴けるというのですごく嬉しいです。J.B.ルノアは政治や社会の不平等や差別、そして反戦についてメッセージ性のある歌を歌った希有なブルーズマンです。そして、ルノアが歌った人種差別や貧困が、そして戦争がいまだに解消されていないことに天国のルノアはどんな思いだろうかと思います。1967年に38歳という若さで交通事故に遇って亡くなった彼がもし生きていたら、彼はどんなブルーズを歌っていたのかと思います。
最後の曲は「神様の言葉」というタイトルですが、「イエス・キリストがもう一度この世に現れて、この世の中が天国のようになると言われているけど、もう私達は本当に長い歳月、神様が現れるのを待っているんだ。もう来ないんじゃないかと思う時もある。神様は来てくれて俺たちを故郷の天国へ連れて行ってくれるよ」この歌は最後に希望をもって終わっていますが、結局生きている現世では幸せになれない、天国でしか幸せになれないというとても悲しい歌だと僕は思います。そして、やはり
ブルーズという音楽が恋愛やお金やお酒のことだけでなく、差別や戦争そして不平等もテーマにする「いまの音楽」であることをルノアは示しています。
ヴィム・ヴェンダース監督の映画「ソウル・オブ・マン」にルノア本人が出てくる場面がありますので、もし興味のある方はDVDを探してみてください。そのシーンを観るだけでも彼の心優しい人柄がわかります。
余談ですが、僕がアコースティック・ギターをずっと探していてやっと手にいれたギターが、このルノアのアルバム・ジャケットのギターと偶然同じものでした。それはそれはうれしかったです。そして、このギターを抱えるたびに心が引き締まる思いがします。

2015.10.16 ON AIR「アナログレコードでブルーズを聴こう!シリーズ 」第15回

Johnny Guitar Watson/Johnny Guitar Watson(KING 857)
20151016
ON AIR TRACK LIST
1.Sweet Lovin’ Mama : Johnny Guitar Watson
2.Those Lonely Lonely Feelings : Johnny Guitar Watson
3.Embraceable Me : Johnny Guitar Watson
4.Gangster Of Love : Johnny Guitar Watson
5.Cuttin! In : Johnny Guitar Watson

 

 

 

もう有名なアルバム・ジャケットを見るだけでもわかるようにファンキー感満載です。1963年にリリースされたこのデビュー盤から、亡くなるまでジョニー・ギター・ワトソンの音楽にずっと流れていたのがそのファンキー・テイストです。70年代半ばからは、”DJM”レコードでストリートの黒人たちの感覚に溢れたヒップなファンク・アルバムを連発して新たな注目を浴び、そのほとんどひとりでレコーディングする方法はのちのプリンスにも大きな影響を与えました。そうなんです、彼は歌とギターだけでなく、ソング・ライティング、ピアノ、ベースなどドラムと管楽器以外はすべて自分で演奏し、セルフ・プロデュースもお手のものです。実際50年代にヒューストンあたりで活動し始めた10代の頃はピアニストとしてデビューし、ピアノだけを弾いているアルバムも遺しています。
このアルバムはシングルを寄せ集めたものですが、ON AIRする1曲目のR&Rテイスト、3曲目のジャズ風味、4曲目のモロなブルーズ、そして5曲目のバラードと彼の才能がわかってもらうように選曲しました。そして、この多彩な才能が完全に開花したのがさきほど書いた”DJM”レコード時代でした。その超ファンク時代の音源はまたの機会に聴きましょう!では、”ジョニー・ギター・ワトソン”をお楽しみください。それにしても”ジョニー・ギター・ワトソン”(本名はジョン・ワトソンJr.)という芸名がカッコええ。

2015.10.9 ON AIR 「アナログレコードでブルーズを聴こう!シリーズ」 第14回

In My Younger Days/Junior Wells (Red Lightnin’ R.L.007)20151009

ON AIR TRACK LIST
1.Little By Little : Junior Wells
2.Messin’ With The Kid : Junior Wells
3.I Could Cry : Junior Wells
4.Lovey Dovey Lovey One : Junior Wells
5.It Hurts Me Too : Junior Wells

 

 

 

ジュニア・ウエルズのライヴを最後に観たのは亡くなる直前、ニューオリンズの「ジャズ&ブルーズ・ヘリテイジ・コンサート」のステージでした。伝統的なシカゴ・ブルーズ・マナーのスロー・ブルーズとジュニアの好きなファンク・ブルーズ曲で構成されたステージは貫禄もありさすがでした。すでに病気だったことを知ったのはその後でしたが、最後までしっかり自分のブルーズをやり終えたんだなぁ・・・と思いました。同じそのステージで翌日トリで出演したのがバディ・ガイでした。ギター好きの白人客にこびるようなやたらギターソロの長いバディのステージには辟易しながら、前日のジュニアの素晴らしいステージとついつい比較してしまいました。今日聴いてもらうジュニアの録音は彼の初期のものです。その?溂とした若い歌とハーモニカの後ろにバック・ストリートで生きてきたジュニアの真っ黒なブルーズを感じ取ってください。
かっこいい!ジャケット写真の右上にある赤く囲まれたところは値札で「2800円」になっています。当時(1973年頃)の金のない僕は奮発して買ったことを想い出します。

2015.10.2 ON AIR 永井ホトケ隆ブルーズ弾き語りその2

 ON AIR TRACK LIST
1.Ramblin’ On My Mind : 永井ホトケ隆
2.Key To The Highway: 永井ホトケ隆
3.Ain’t Nobody’s Business If I Do : 永井ホトケ隆
4.Reconsider Baby : 永井ホトケ隆

先週に引き続き僕のブルーズ弾き語りライヴです。
調子に乗ってるわけではないんですが、まあたまには二週くらいこういうのもいいかなと思った次第です。お酒もなくあまり色気のないスタジオでひとり(厳密にはブースの向こうにエンジニアの玉田くんとふたり)、演奏が終わっても拍手もなく・・・というアウェイなムードで歌っています。
そういえば、ライトニン・ホプキンスのレコーディングには必ずと言ってよいほどスタジオにお酒が用意されている。レコードを聴いているとあきらかに酔っぱらっていくライトニンの様子がわかります。次回生演奏する時にはウィスキーとハイボールを作ってくれるお姉さんを用意してください、玉田くん(笑)