2016.10.28 ON AIR

サザンソウル、ノーザン・ソウル、ディープ・ソウル・・
そしてファンク60年代ブラック・ミュージックの先端 その5

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ON AIR LIST
1.The Dock Of The Bay/Otis Redding
2.Who’s Making Love/Johnnie Taylor
3.I Heard It Through The Grapevine/Marvin Gaye
4.Everyday People/Sly & The Family Stone
5.It’s Your Thing/The Isley Brothers

僕がブルーズもソウルも黒人音楽を何も知らなくて、ビートルズやストーンズに夢中になっていた高校生の頃いつも聴いているラジオのヒットチャート番組から少し悲しげな歌聴こえてきた。ソウルという言葉も歌っているオーティス・レディングの名前もなんとなく知っていたけどちゃんと聴こうと思ったことはなかった。この曲がポップチャートの1位にならなければ当時は聴くことがなかったと思う。
60年代のソウル・ミュージックのレジェンドのひとりであり、素晴らしいシンガー、ソングライターであったオーティス・レディングが飛行機事故で死んだ後にリリースされたこの曲はソウル・ミュージックの定番としていまも歌い継がれている。2分47秒オーティス生涯最後のソウル・シンギングです
1.The Dock Of The Bay/Otis Redding
この曲がリリースされて3年後くらいに僕は初めて彼のアルバムを聴いてぶっ飛びました。最初にちゃんと知ったソウル・シンガーはこのオーティス・レディングでした。オーティスからソウルに入った人は多いと思います。

次はオーティスと同じスタックスレコードのジョニー・テイラー、彼はゴスペルからサム・クック系のソウル・シンガーになってサムが作ったサー・レコードからもシングルを出していたんですが、サムが急死してサーレコードが無くなって66年にスタックスレコードに移籍してきました。初期はすごくブルーズ色の濃いいわゆるブルーズン・ソウルでいい曲を出していたんですが、なかなかヒットには届きませんでした。それがスタックスに入って三年目に「あんたが他の女と浮気している間にあんたの奥さんも浮気してるかもね」というこの曲で一躍有名になりました。
1968年R&Bチャート1位、ポップチャート5位を獲得した
2.Who’s Making Love/Johnnie Taylor
いまのはブルーズ・ブラザーズのカバーで知っている人も多いと思います。僕は好きですよ、こういうちょっとウィットのあるでもなんか怖い曲。おもろいですよね、歌詞が。結局、アメリカの黒人は男も女もすぐ浮気するんかいと思うような曲です。その歌詞でアップテンポのダンスナンバーですからおもろいです。
この曲のテーマになっている浮気ですが、ソウルやブルーズには本当に浮気の歌がめっちゃ多いです。

さて、スタックスを二曲聴きましたが北のデトロイト、モータウン。もう60年代の終わり頃になるとモータウンレコードはすごいブランドになっていて、テンプテーションズやミラクルズや、スプリームス、フォートップスというコーラス・グループからスティービー・ワンダー、メリー・ウェルズ、そして次のマービン・ゲイともうヒット王国でした。
I Heard It Through The Grapevine これは邦題が悲しいうわさなんですが、自分が愛する女に新しい男が出来らしいというウワサを人づてに聴いてすごく落ち込んでいる男の歌です。マービンの苦悩する男の歌の表現が素晴らしいです
3.I Heard It Through The Grapevine/Marvin Gaye
いまの曲は1967年にグラディス・ナイト&ピップスが最初にヒットさせてチャート2位まで行ったのですが、翌年出したマービンのバージョンは7週連続1位という快挙でした。当時のそれはモータウンの売り上げの1位になった曲でもありました。

ロックの世界ではこの60年代後半はジミ・ヘンドリックスの登場やビートルズのサージェント・ペパーズのアルバムの発表でサイケデリックやニューロックの時代に突入します。そこにソウルやファンクとロックもまたにかけたそれまでのカテゴリーでくくれない新しい内容の音楽が登場してくるんですが、それがスライ&ザ・ファミリーストーンだった。スライの音楽の中には黒人白人関係なくいろんな音楽のテイストが入っていて、リアルタイムで聴いていた僕はビートルズとはまた違うまったくの新しさを感じました。
聴いてもらうEveryday People/は「いろんな仕事のいろんな人がいて、間違えたり正しかったり、いろんな事がうまく行っている人たちもいるし、うまく行かない人もいる。黒人白人黄色人種といろんな人種がいる。いろんな人がいていろんなことがあるけど、オレたちは毎日を一生懸命生きている普通の人間なんだよ」
スライのメッセージが込められています
4.Everyday People/Sly & The Family Stone

60年代の黒人音楽のヒット曲を聴きながら五回にわけていろいろ話してきましたが、やはり時代は猛烈にソウル、ファンクに向かっていきました。最後の曲はソウル・ファンクの名曲。1969年のリリース。アイズレー・ブラザーズです。その名前の通りオーケリー、ルドルフ、ロナルドの兄弟のグループで有名なのは”Shout”とビートルズがカバーした”twist&shout”。50年代の終わりからずっと活動していていまから聴いてもらう69年には自分たちのレーベルTネックレーベルを設立して、すぐ出した大ヒット。R&Bチャート1位、ポップで2位。ファンクであり、ソウルであり、ロックも感じさせながらゴスペルテイストもあるというのは彼らの長いキャリアから作り出されたものだと思う。
5.It’s Your Thing/The Isley Brothers
あまりにかっこいい曲です。

60年代アメリカでは衰退していったブルーズが実はイギリスで火がついて、アメリカの黒人ブルーズマンたちはまた新たなマーケットを求めてヨーロッパにツアーに出たり、イギリスのロック・ミュージシャンとのコラボレーションを始めます。そんな中から黒人ブルーズとR&Bをダイレクトに演奏するローリング・ストーンズのようなバンドがイギリスから現れて、彼らは黒人音楽をベースにした自分たちのオリジナルを作り始めます。そのイギリス白人のヒットを今度は黒人シンガーたちが歌うという新しい音楽の展開が始まります。次回はいまのIt’s Your Thingの翌年1970年にブルーズ王様がブルーズ界から初めてのグラミー賞獲得という大きな出来事となったアルバムを聴きます。来週はキング・オブ・ザ・ブルーズ、B.B.キングです、お楽しみに!

2016.10.21 ON AIR

サザンソウル、ノーザン・ソウル、ディープ・ソウル・・
そしてファンク60年代ブラック・ミュージックの先端 その4

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ON AIR LIST
1.Baby,Scratch My Back/Slim Harpo(21Blues Giants/Slim Harpo P-Vine Records PCD-3747)
2.Reach Out I’ll Be There/Four Tops(Motown Magic The Ultimate Hits Collection Motown/Polydor POCT-1566)
3.That’s The Way Love Is/Bobby Bland(DUKE DLP77)
4.Respect/Aretha Franklin (Soul Spectacular DISC3 RHINO R2 78300)
5.Cold Sweat/James Brown(STAR TIME Disc Two POLYDOR 849 110-2)

60年代の半ばにはモータウンや、アトランティック、キング、デューク、スタックスといったレコード会社がR&Bからソウルのヒットを華々しくだしていく中、突然66年になんやねんこれというおもろいブルーズの曲がルイジアナの田舎からR&Bチャートの1位を取ります。ポップチャートでも16位まで上がりました。
「ベイビー、なあ背中掻いてくれへんか・・」いう語りが出てくるんですが、だんだん掻くとこがあやしくなってベイビー抱いて掻いてくれへんか・・というエロいところに行きます。まあ、半分ブルーズのインストですが、この曲が1位なったのか、なんでモータウンに対抗できたのかよくわかりません(笑)

1.Baby,Scratch My Back/Slim Harpo

いまのスリム・ハーポのヒットと同じ年66年にモータウンレコードがリリースして1位になった曲です。もうこの66年にはモータウンはブイブイ、ウハウハですよ。僕は16才でした。ラジオのヒットチャート番組をたくさん聴いてたんですが、ビートルズがとにかくすごくてトップテンに三曲入ったりしてました。そういう時に対抗できた黒人のレコード会社はモータウンでした。
では、フォー・トップスの大好きな曲です。
2.Reach Out I’ll Be There/Four Tops
フォートップスは同じモータウンの男性グループ、テンプテーションズに比べるとコーラスワークも洗練されてないしダンスとか振り付けもイナタイんですが、逆に武骨な男らしさがあるグループで僕は好きでした。いまの曲以外にも”Baby I Need Your Loving,””I Can’t Help Myself (Sugar Pie, Honey Bunch)”とかいい曲があります。
さっきのBaby,Scratch My Backとは比べ物にならないくらい都会的な録音でしたが、いまのふたつの曲はいろんな意味でアメリカの大きさというか広さみたいのを感じますね。ひとつのところだけにいかないでこんなんもええんと違う?みたいな大きさがありますよね。

60年代にブルーズのヒットがなかなか出ない頃にがんばっていたのがB.B.キングと双璧のボビー・ブランド。ただブランドの曲は黒人の中では絶対的な人気を誇っていたけど、白人には受けなかった。受けなかったのは、やはりボビー自身が持っている深いブラックネスというか黒人独特の感覚を理解する白人が少なかったということでしょう。
「いいことがあったり、うまくいかなかったり、楽しいことがあったり、悲しいことがあったり・・毎日いろいろあるけれど愛がそこにいつもあるからね」という誰もが送る月曜からの毎日を歌った内容。
1963年、ポップは33位までR&Bチャート1位
3.That’s The Way Love Is/Bobby Bland

淡々とした歌ですが、すごく豊かな感じがしてブランドの歌の包容力とか大きさを感じます。
60年代半ばに登場した女性ソウル・シンガーと言えばアレサ・フランクリンなんですが、前もアレサの特集をした時に話ましたがアレサは60年代最初からいろんなやり方で売り出したのですが、売れなくて67年にやっと花開きました。アレサ・フランクリンがその後から今日までソウルの女王と呼ばれるきっかけとなった最初が”I Never Loved a Man”。そしてその二ヶ月後にリリースされたのがこの曲です。
4.Respect/Aretha Franklin

モータウンのポップなソウルとは違うディープで、ストロングなアレサの歌は黒人が持っている本来の姿、つまりゴスペルとブルーズから来る音楽性をしっかりと感じさせるものでした。アレサの歌唱はそのあとの女性ソウル・シンガーたちの目指すひとつのスタイルとなりました。
好き嫌いは別にしてやはりいまだにソウルの女王という呼び名にふさわしいのはアレサ・フランクリンでしょう。

ファンクの帝王ジェイムズ・ブラウンは60年代の最初からTry Me,I got You,Papa’s Got A Brand New Bag,などのヒットを出しながら誰もやってなかった自分のファンクという音楽をつくり上げてきました。いろんな試みをしながらいまから聴いてもらう1967年の”Cold Sweat”でJBは完全にJB流ファンクを確立したと思います。
もう、歌もすべの楽器がパーカッションと化したJBファンクの完成。
5.Cold Sweat/James Brown

2016.10.14 ON AIR

サザンソウル、ノーザン・ソウル、ディープ・ソウル・・
そしてファンク60年代ブラック・ミュージックの先端 その3

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ON AIR LIST
1.My Girl/The Temptations  (Motown Magic The Ultimate Hits Collection Motown/Polydor POCT-1566)
2.In The Midnight Hour/Wilson Picket (Wilson Pickett’s Greatest Hits/ Atlantic 7 81737-2)
3.We’re Gonna Make It/Little Milton  (We’re Gonna Make It&Sings Big Blues /ChessChecker MCA MVCM-22024)
4.Mercy Mercy/Don Covay  (SEE-SAW Atlantic/Warner WPCR-27515)
5.My Guy/Marry Wells  (Motown Magic The Ultimate Hits Collection /Motown/Polydor POCT-1566)

前回はジェイムズ・ブラウンのPapa’s Got A Brand New Bag がヒットした1965年のあたりの話をしていたんですが、その65年にノーザン・ソウルの拠点モータウン・レコードの中でも最も印象に残る曲がリリースされR&Bチャートでもポップチャートでも両方1位になった曲があります。当時のモータウン・サウンドの典型的な曲です。みなさん、どこかで一度は耳にしたことのあるでしょう。
1.My Girl/The Temptations
YouTubeで当時のテレビ番組に出たテンプテーションズの映像(https://www.youtube.com/watch?v=6IUG-9jZD-g)を是非見てください。彼らのダンスの振り付けが本当に楽しくて素晴らしいです。この曲はテンプテーションズを代表する曲であり、モータウンレコードを代表する曲にもなりました。
65年あたりはもうモータウンはヒット曲出まくりでブイブイです。ミラクルズ、マーヴァレッツ、マーサ&バンデラス、シュプリームス、まだリトルがついたリトル・スティーヴィー・ワンダー、メリー・ウエルズそしていまのテンプテーションズなどもうヒット・ミュージシャンがいっぱいですよ。
やっぱり白人層にも買ってもらえる曲とか歌詞とか音作りというのをモータウンは意識して作っていたので売れるともうドカーンですよね。
僕はブルーズ、サザンソウルから入ってきたので、少しヤワに感じられるモータウンの音は昔は最初あまり好きじゃなかったです。でも、いまになって聴いてみるとがっしりしているところはめちゃがっしりしてるんですけどね。
その1965年ディープ・ソウルの名曲を。
2.In The Midnight Hour/Wilson Picket
ウィルソン・ピケットの不滅のソウル名曲ですミッドナイト・アワー。これはR&Bチャートでは1位になったんですが、ポップチャート21位どまりでした。つまり白人にはめちゃ受けなかったということです。さっきのMy GirlはR&Bでもポップでも1位ですからやっはりモータウンの方が商業的な戦略は成功したということです。でも、音楽的には両方とも素晴らしいんです。

では。この65年にブルーズ派のヒットはなかったのかというとありました。50年代にマディ・ウォーターズやハウリン・ウルフでブルーズのレコード会社として名前が全国区になったチェス・レコードが、50年代半ばからマディたちのそれまでのシカゴ・ブルーズの売れ行きが落ちてきてR&B、ソウル系の曲のリリースを始めます。エタ・ジェイムズ、シュガーパイ・デサント、ジーン・チャンドラー、フォンテラ・バスとかがヒットを出しました。その中でこの65年にR&Bの1位を出したのが元々メンフィスのコテコテのブルーズマンだったリトル・ミルトン。ミルトンは最初ボビー・ブランドとB.B.キングを足してニで割った感じだったんですが、このヒット曲で完全に自分のスタイルを作り上げました。「お金がなくても大丈夫、ふたりで力を会わせてがんばっていけば俺たちはきっとやっていける」という内容なんですが、60年代半ば黒人たちの意識がポジディヴな方向に向かっていた世相も感じられます。
3.We’re Gonna Make It/Little Milton
いまの曲はブルーズテイストよりほとんどソウルテイストですが、その歌の底辺には貧しさや差別といったどうしょうもないブルーズ的な生活がずっと続いてるけど「もうそろそろオレたちの生活もよくなっていくといいよね」という黒人たちのささやかな希望を感じます。
リトル・ミルトンは60年代の終わりから70年代にかけていわゆるブルーズン・ソウル(Blues And Soul)というブルーズとソウルをミックスしたカテゴリーを作った人ですが、僕が歌ったり、このばんぐみの最後に言っているThe Blues Is Alrightのヒット80年代に出したブルーズマンでもあります。日本にも1983年に一度来てくれましたが、よかっですね。自分のブルーズ&ソウルの世界をしっかり歌った実に立派なステージでした。堂々としてるなぁっていう印象でした。
次は64年のR&Bチャート1位になったヒットなんですがこの歌声イギリスのロックバンドの誰かにそっくりですよね。
4.Mercy Mercy/Don Covay

実はローリング・ストーンズのミックがいちばん歌い方について影響を受けたのがこのドン・コヴェイだと言われてます。実際この64年の翌年65年に出されたローリング・ストーンズのアルバム”Out Of Our Heads”の一曲目がいまのMercy Mercyでした。僕は当時中学三年でストーンズがすごく好きになった頃ですけど、この曲はストーンズのオリジナルだとずっと思ってました。それから5,6年くらいしてブルーズにハマっていまのオリジナルを聴いたら、ストーンズはまるまるドン・コヴェイやん・・と思いました。
さて、その60年代半ばのイギリスですごく人気の女性R&Bシンガーがモータウンのメリー・ウエルズでした。このメリー・ウエルズの可愛さとほのかな色気のある声にイギリスの若い男たちはやられたんですね。曲を作ったのはスモーキー・ロビンソン。メロディ、歌詞、アレンジ、演奏、コーラスすべてが美しくてスモーキーらしいものです。1964年R&B、ポップチャートともに1位を獲得したR&Bの名曲です。
5.My Guy/Marry Wells

2016.10.07 ON AIR

サザンソウル、ノーザン・ソウル、ディープ・ソウル・・
そしてファンク60年代ブラック・ミュージックの先端 その2

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ON AIR LIST
1.Where Did Our Love Go/The Supremes
2.Hi-Heel Sneakers/Tommy Tucker(record)
3.Got To Get You Off My Mind/Solomon Burke
4.Shot Gun/Junior Walker & The All Stars
5.Papa’s Got A Brand New Bag (Part 1)/James Brown

前回から引き続き60年代のソウル
1964年、僕は14才中学2年でラジオのヒット・チャートでビートルズやストーンズを追いかけてました。その頃なんとも言えない魅力的な女性の歌声がチャートに入ってきました。
それがいまから聴いてもらうこのスプリームスの曲。リード・ヴォーカルはダイアナ・ロス。恋人との別れの歌ですが、ビートが素晴らしいので聴いていると、ついつい体が動いてノってしまいますが、ダイアナの声はよく聴くと切ないです。R&Bチャートもポップチャートも1位を取った大ヒット曲で、こういうサウンドが典型的なモータウン・サウンドだと僕はいつも思います。南部のサザンソウルより都会的で洗練されたサウンドが特徴的です。そのあたりが黒人だけでなく白人層にも受けたところです。
日本のタイトルは「愛はどこへ行ったの」
1.Where Did Our Love Go/The Supremes
60年代中頃、ヒットを連発するビートルズに対抗できたのはアメリカの白人の音楽ではなく、いまのモータウンレコード、アメリカの黒人ソウル・ミュージックでした。
しかし、この時代はいろんなソウル・ミュージックが全米の各地から出てきて、洗礼されたモータウン・サウンズなんかが盛り上がっているところにブルーズのレーベルとして有名なシカゴのチェスレコードの系列のチェッカーからリリースされてR&Bチャート1位になったブルーズ・テイストのこれはどうだ!さっきのシュプリームスと同じ1964年とは思えないイナタ、カッコよさ。
2.Hi-Heel Sneakers/Tommy Tucker(record)
このハイヒール・スニーカーというのは女の子の間で当時流行ったんでしょうか。
そういう靴を履いて赤い派手なドレスを着て、ヘアスタイルをこう盛り上げたアゲアゲの遊び好きの女の子のことを歌った歌です。

60年代にアメリカのメンフィスを中心とした南部で作られたソウルをサザンソウル、一方北部でデトロイト、シカゴなどで作られたソウルをノーザン・ソウルと呼んでいるのですが、ニューヨークのアトランティック・レコードなどからリリースされたゴスペルテイストの強いソウルをディープ・ソウルと呼んでいます。ディープソウルという言い方はイギリスでつけられたと言われてますが、まあディープですから深いソウル。濃いソウルとも言えます。ソロモン・バークはその代表の1人。強烈なゴスペルシンギングを聴かせる曲もたくさんあるのですが、今日は包み込むような柔らかい大きさを感じさせる歌声のこれを聴いてください。
1965年R&Bチャート1位です。
3.Got To Get You Off My Mind/Solomon Burke
ソロモンが持っている力の半分くらいの力で歌っているような気がします。来日した時の日比谷野音の素晴らしいステージを思い出します。楽屋で一緒に写真を撮ってもらったのも一生の思い出です。

次の1965年のヒット曲ですが、この曲に関しては当時のモータウンとは思えないブラックネスたっぷりの泥臭さが残ってます。さっきのハイヒール・スニーカーなどが歌詞に出てくる最高にファンキーなダンスナンバー。歌ってサックス吹いているのはジュニア・ウォーカー。
4.Shot Gun/Junior Walker & The All Stars
ポップチャートで4位まで上がったということは白人層にも売れたということでパーティなんかでこの曲のレコードかけた踊ってたんでしょうね。

サザンソウル、ノーザンソウル、ディープソウルと言ってるところに新しいファンクという音楽をつくり出したのがJ.Bことジェイムズ・ブラウン。前年1964年のファンク誕生の芽生えとなった”Out Of Sight”や”I Got You”から更にビートを強化して、JB本人の歌をはじめ、ドラム、ベース、ギターはもちろんホーンセクションもパーカッシヴに使ってすべての楽器がパーカッション的に使われていくその最初の曲がこの曲。ファンクという言葉を説明するのはなかなか難しいのですが、ファンクには匂いという意味もあるのですがまあ黒人独特の音楽の匂い、つまり黒人でしかつくれない匂いの音楽というプライドも含まれているような気もします。
5.Papa’s Got A Brand New Bag (Part 1)/James Brown
かっこいい!いま聴いても古くないこの躍動感、緊張感、ダンス・グルーヴの素晴らしさ!これはアメリカ音楽のひとつの革命やったと思います。
本当にこういう音楽は黒人からしか生まれない真っ黒な音楽です。すごく統制が取れたリズムもサウンドもめっちゃタイトでクールです。少しの隙もないびっしり決まったこのファンクのカッコよさが今年になってなくなったプリンスまで受け継がれていったのですが、そういうことを考えると本当にJBは偉大です。
この1965年あたりからますますソウルそしてファンクは充実していくのですが、次回はその続きを!