2016.12.30 ONAIR

今年心に残ったアルバム、曲

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ON AIR LIST
1.If It’s A Light/Mavis Staples
2. Need You Tonight/Bonnie Raitt
3.Come Rain Or Come Shine/Bob Dylan
4.Night Time Gardener/Bobby Rush
5.I Pity The Fool/blues.the-butcher-590213

 
今年最後のON AIRです。1年が過ぎるのが本当に早くて、この番組も放送開始から9年が過ぎました。今年もたくさんのみなさんに熱心に聴いていただき感謝しています。とくにインターネットで放送されるようになってからは、バンドのツアーで行く各地の方から「聴いてますよ」と言われるのが何より励みになります。そのバンド「ブルーズ・ザ・ブッチャー」で今年2年ぶりのアルバム”Three O’Clock Blues”をリリースできたことも嬉しい出来事でした。リリース・ツアーでは北海道から九州までたくさんのみなさんにライヴにお越しいただき、アルバムも購入していただきありがとうございます。
何より健康で音楽を続け、歌い続け、この番組を続けられたことがいちばんの収穫です。
また来年もよろしくお願いします。
今日はそんな今年一年の心に残った曲をON AIRです。
まずはいまもルーツであるゴスペルをしっかり持って、まったくブレない姿勢で歌い続けるメイヴィス・ステイプルズが、今年二月にリリースしたアルバム”Livin’ On A High Note”から
If It’s A Light/Mavis Staples
かっては家族で続けていた「ステイプル・シンガーズ」がお父さんや姉妹の死によって継続できなくなり、ソロで活動するようになったメイヴィスのここ数年の活躍は素晴らしいです。
彼女をとりまく優秀な音楽関係者によってうまくサポートされて、彼女はコンスタントにアルバムをリリースし続けています。メイヴィス・ステイプルズは私淑するシンガーのひとりです。

次はメイヴィスと同じように素晴らしい年の取り方をしているボニー・レイット。これも今年リリースされたボニーの新譜”Dig In The Deep”からです。凛としているけど上品な女性としての色香もある歌と彼女にしか弾けないスライド・ギター。完全に自分のスタイルを確立した近年の彼女は揺るがないアメリカの女性ロック・シンガーのアイコンになりました。
Need You Tonight/Bonnie Raitt
アメリカではさっきのメイヴィスと一緒によくステージに立つ仲良しなんですが、是非ふたりで来日して欲しいです。

今年ノーベル文学賞を受賞して話題になったボブ・ディラン。メイヴィスもボニーもディランもずっとブレずに音楽をやってきていまも現役です。やはり音楽にリタイアはないです。ディランは今年通算37作目”Fallen Angels”を5月にリリースしました。前作”Shadows In The Night”の流れで今回もフランク・シナトラやホーギー・カーマイケルのアメリカの昔のいいポピュラーソングを取り上げています。
「雨の日も晴れて要る日も他の誰よりも君のことを愛している。幸せも不幸せもふたりで分かち合う。お金があろうとなかろうと何があっても君といたい。雨でも晴でも君と一緒にいたい」
Come Rain Or Come Shine/Bob Dylan

そして、ブルーズでは今年の秋にベテラン中のベテラン・ブルーズマン、ボビー・ラッシュが”Porcupine Meat”といういいアルバムをリリースしました。
その中の曲からNight Time Gardener「夜の庭師」を聴こうと思います。だいたい夜に庭の手入れにくる庭師っておかしいのですが、「オレを夜の庭師に雇いませんか、奥さん。ちゃんとええ仕事しますよ。」というブルーズの伝統とも言える間男ソングです。スライドギターはケブ・モです。
Night Time Gardener/Bobby Rush

僭越ながら僕のバンド、「ブルーズ・ザ・ブッチャー」も新しいアルバム「スリーオクロック・ブルーズ」を六月にリリースしました。2年ぶり、7枚目のアルバムになりました。とくにボビー・ブランドのこの曲を録音できたことは自分の音楽人生の中で嬉しいことでした。これからもバンドのツアーで各地に行くと思いますが、みなさんよろしくお願いします!
I Pity The Fool/blues.the-butcher-590213
今年もこの番組を聴いていただきありがとうございます。今年はブルーズだけでなくブルーズにまつわるいろんな音楽も広く、でも深くON AIRしてきました。「日本1のブルーズ番組」と言ってくださっている方もいて光栄です。来年もより意欲的に取り組んで面白い番組にしていきます。
ご意見とか、こんなんやって欲しいとかご希望があれば番組のホームページ(blues-power.jp)に書き込みできるコンテンツがありますので、送ってください。では、また、来年、また、来週、Hey hey,The Blues Is Alright!

2016.12.23 ON AIR

Merry Christmas!恒例クリスマスソング特集

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ON AIR LIST
1.The Christmas Song/Bob Dylan
2.Merry Christmas Baby/Charles Brown
3.Happy Xmas (War Is Over)/John & Yoko & The Plastic Ono Band With The Harlem Community Choir
4.I Saw Mommy Kissing Santa Claus/The Ronettes
5.Christmas In Heaven/B.B.King

あっと言う間の1年で今年もクリスマス・ソングをON AIRする季節になりました。今日はブルーズとかR&Bとか関係なくクリスマス・ソングを聴いてください。
「暖炉に火が入れられて、聖歌隊が歌うクリスマスキャロルが聴こえ、美味しい食べ物の匂いがして、子供たちは眠れないよね、プレゼントをたくさん積んだソリをトナカイが空を飛びながら引っぱってくるのか。誰もがこっそり見ている・・・」今年、ノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランのクリスマス・アルバムから、まずはこの曲。The Christmas Song/Bob Dylan

僕もクリスマスシーズンになるとライヴで歌う「メリークリスマス・ベイビー」ブルーズのクリスマスソングと言えば・・・まずこれ。レイ・チャールズはじめ多くのフォロワーを生んだウエストコーストの人気ブルーズマン、チャールズ・ブラウンの1947年のヒット。「クリスマスの日にはオマエがダイヤモンド、くれるからオレは天国にいるみたいや・・」そりゃそやろ・・。
Merry Christmas Baby/Charles Brown

次はこの季節に街を歩いていると必ず聴こえてくるジョン・レノンのクリスマスソング。1971年に発表されてからいまやすっかりクリスマスソングの定番になりました。サブ・タイトルに”War Is Ove”とついているように「戦争をやめよう」という反戦メッセージものせたジョンらしいクリスマスソングです。
Happy Xmas (War Is Over)/John & Yoko & The Plastic Ono Band With The Harlem Community Choir

次はクリスマスソングの中で僕が格別に好きな曲。これは子供の目から見たクリスマスソングでマイケル・ジャクソンがジャクソン5時代に歌った、可愛いバージョンもあります。「ママがサンタとキスしているところを見てしまったんだ。昨日の夜やどり木の下でキスしてるところを。ママは僕がもう寝ていると思ってたみたいやけど階段を降りて見てしまった。ママがサンタとキスしているのを。パパに言わなきゃ」今日は大好きな女性グループ「ロネッツ」のキュートな歌声で聴いてみましょう!
I Saw Mommy Kissing Santa Claus/The Ronettes

去年のクリスマスもB.B.キングのこの曲”Christmas In Heaven”をON AIRしました。アルバムは”A Christmas Celebration Of Hope”というタイトルで2001年にリリースです。ジャケットには赤い蝶ネクタイのB.B.と彼の愛用のギター「ルシール」が同じように赤いリボンつけて写っています。B.B.が去年の5/14に天国へ召されてからブルーズは大きな柱を失った感じが続いています。この曲のタイトルのようにB.B.が安らかに天国でクリスマスを迎えていることを祈ります。
Christmas In Heaven/B.B.King
僕はなぜかクリスマスは楽しいより少し寂しい気持ちになります。1年間に亡くなった友達、知人のことを想い出したり、戦争や貧しさの中でクリスマスを迎えるたくさんの人たちがいまもいることや、地震や台風といった災害で大変な目に遭っている人たちのことを思うからかも知れません。クリスマスは派手なパーティをやることでもなく、高いプレゼントを送ることでもなく、本来キリストの生誕を祝う日ですからいろんな人たちのことを想う日で間違いはないと想います。
ささやかにケーキでも食べて、いろんな人のことを想うクリスマスもいいのではないかと想います。では、みなさん、メリー、メリー、クリスマス!

2016.12.16 ON AIR

現在のテキサスのリアル・ブルーズ・アルバム”EASTSIDE KINGS”

EASTSIDE KINGS (P-Vine Records PCD-25208)

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ON AIR LIST
1.Goodlie Ooglie/ Peewee Calvin
2.Whisper In Your Ear/ Ray Reed
3.Cry To Me/ Soul Man Sam
4.Kidney Stew/Mac Mcintosh
5.Broke And Hungry/Birdlegg

 

 

 

 

この番組でON AIRしている曲は昔のブルーズ、R&Bが多い。それはそういう音楽の全盛が30年代から70年代あたりだからいいものを聴いてもらおうと選曲するとそうなってしまう。そして、もうひとつの理由は最近のものにいいと思えるものが少ないからだ。もちろん新しいブルーズ、R&B系の音楽にアンテナは張っているが、なんせ「いいなぁ」と思えるものが少ない。そんな中、「おおっ!」と久しぶりにツボに入ってきたのが今回聴いてもらう”EASTSIDE KINGS”だ。

テキサスのオースティン界隈で長年ブルーズやR&Bを歌っている歌手たちを集めて、ショーケース的に次々歌ってもらう形式をとったこのコンピレーション・アルバムは今年の9月にリリースされている。録音の核となってバックを務めているのは、このアルバムのレーベル「ダイアル・トーン」のボスでありベースのエディ・スタウト、キーボードがピーウィー・カルヴィン(彼の歌も収録されている)そしてギターがスティーヴ・フルトン、ドラムがリコ・レフォンテとチャールズ・ショウ。
テキサスのブルーズ・クラブで長年鍛えられて来た強靭なサウンドとグルーヴをバックに歌う歌手たちがまた百戦錬磨の個性派揃い。まずはキーボードを弾いているピーウィー・カルヴィンが歌うGoodlie Ooglie/ Peewee Calvin
カルヴィンの歌声は60~70年代メンフィスのルーファス・トーマスを想い出します。ファンキーで泥臭くていいです。ギターソロもテンション高くて気持ちいいけど、弾きすぎない感じがまたいい。

次のレイ・リードはダイヤルトーン・レーベルから2007年に”Lookin’ For The Blues”というアルバムをリリースしている。1940年生まれですから、いま76才。60年代中頃にテキサスのフォートワースという街で演奏をしていたけど、子供が11人もできてしまってその子供たちを育てるために音楽を断念して自動車工になっていたといういかにもブルーズな経歴。80年代の終わりにカムバックしてデビューアルバム”Lookin’ For The Blues”を出したのが67才!すごい!世のおっさんたちまだまだ遅くないですよ。Whisper In Your Ear/Ray Reed

次のソロモン・バークの名曲をカバーしているソウルマン・サムは、昔メンフィスのスタックスレコードで録音したこともあったけどデビューまで届かなかった。
歌うことがすごく好きなんだと感じられる実直な歌い方が本当にいい。ちょっとボビー・ブランドを想い出させる歌声で僕は好きだ。Cry To Me/Soul Man Sam

ファンキー・ブルーズやいまのようなR&Bの中にあってジャンプ系のKidney Stewを歌うのが、マック・マッキントッシュという名前のおっさん。「ふざけてんのか、その芸名」と突っ込みたくなるところですが・・・。この選曲も聴いてみると無理なくスムーズにアルバムに馴染んでいるのは、やはりバックが百戦錬磨の腕達者たちだからか。Kidney Stew/Mac Mcintosh

最後はリアル・ブルーズ
「「オレは一文無しで腹へっているのに オークランドって街はひどいところだ。いい時はみんないい顔するけど落ちぶれたら知らん顔さ。家族も助けようともしてくれない。自分のことは自分でやりなって言う。今夜寝るとこもなくてオレは一晩中通りをあるいているんだ」Broke And Hungry/Birdlegg

今回聴いたアルバム”EASTSIDE KINGS”は今年10月にP-Vine Recordsから日本盤でリリースされました。解説歌詞カードもついてます。
こういう生き生きしたブルーズの新譜をもっと聴きたいし、来日もして欲しいですね。

2016.12.09 ON AIR

テキサスのファンキーなピアノ・ブルーズマン、フロイド・ディクソン!

Floyd Dixon/Hey Bartender His Very Best 1949-59 (JASMCD-3065)
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ON AIR LIST
1.Hey Bartender/ Floyd Dixon
2.Dallas Blues/ Floyd Dixon
3.Wine, Wine, Wine/ Floyd Dixon
4.Tired, Broke and Busted/ Floyd Dixon
5.Tight Skirts/ Floyd Dixon

 

 

 

 

前回はテキサスのワイルド・ギタリスト、ピー・ウィー・クレイトンでしたが、今回はテキサスのファンキーなブルーズ・ピアニスト、フロイド・ディクソンです。
フロイド・ディクソンは1929年テキサスのマーシャルというもうルイジアナ州に近いところで生まれ ピアノを独学で覚えて 13才の時に一家でロスに引っ越し。テキサスからウエストコーストへ行って一旗揚げたいというのは当時の黒人に多かったパターンです。当時ロスなんかは右肩上がりの街でしたから、アメリカの中西部の人たちは成功を夢見て移住したんでしょうね。
フロイド・ディクソンを知らなくてもこの曲を知っている人はいるかも。1978年のブルーズ・ブラザーズのアルバム”Briefcase Full Of Blues”でカバーされて、それで知っている人もいると思います。そのオリジナルをまず聴いてください。
ちょっと訳します「この間の夜はめちゃ楽しかったなぁ。飲み始めたらすっかり酔っぱらって、気持良うなってともだちみんなに酒をおごってやったんや。ヘイ・バーテンダー、1杯2杯3杯4杯みんなにビール注いでやってや。よう見たらカウンターの端っこに可愛い娘がおるやんか、なあなあ友達にならへんか。自分めっちゃ可愛いやん、オレと一緒に飲もや。ヘイ・バーテンダー、1杯2杯3杯4杯みんなにビール注いでやってや。めちゃ楽しくて飲んでたらあっと言う間に夜が明けてきた。ヘイ・バーテンダー、1杯2杯3杯4杯みんなにビール注いでやってや。ジュークボックスはから流れる音楽はみんなええ感じや。みんな歌い始めてる。そしたら誰かがラストオーダーや言うてる。ヘイ・バーテンダー、1杯2杯3杯4杯みんなにビール注いでやってや。」
めちゃおごったりはしませんでしたが、毎晩朝まで飲むこんな日々が昔私にもありました。
1.Hey Bartender/ Floyd Dixon
1948年にアマチュア・コンテストで優勝し、その時のバンドリーダー、ジョニー・オーティスに認められてプロの世界に入った。レコード・デビューの最初の曲が「ダラス・ブルーズ」。
これがラッキーなことにチャートのトップ10位までいって次の「ミシシッピー・ブルーズ」というのも14位まで上がり好調にデビューを飾りました。では、そのデビュー曲、ダラス・ブルーズを・・。
2.Dallas Blues/ Floyd Dixon

ディクソンはロスで演奏活動を初めてすぐに、同じロスにいた同じピアニストのチャールズ・ブラウンと友達になります。まあ、チャールズ・ブラウンは”Driftin’ Blues”とか”Merry Christmas Baby”とか大ヒット曲があったので、40年代から50年代にかけてウエストコーストにいたブルーズピアニストは多かれ少なかれチャールズ・ブラウンの影響をウケていて、かのレイ・チャールズもそうでした。
このフロイド・ディクソンはチャールズ・ブラウンほど都会的ではなくて田舎臭さが残っているところが味噌で、あとはファンキーな一面、一曲目のHey BartenderのようなファンキーなR&Bテイストがあるところがいいところなんですが、次の曲もHey Bartenderと同じようなお酒ネタの曲です。
「いつもワイン、ワイン、ワインや。ワイン飲むとめちゃ気分ええねん」それだけの歌ですが、宴会で盛り上がりそうな曲です。
3.Wine, Wine, Wine/ Floyd Dixon

同じテキサス出身のピアノ・ブルーズマン、エイモス・ミルバーンも”Bad, Bad Whiskey””One Scotch, One Bourbon, One Beer” “Thinking and Drinking,”とかお酒ネタのヒットが多かった人です。
まあ、こういうご陽気なブルーズばかり歌っていたわけではないんですよ、
次はTired, Broke and Bustedというタイトルなんですが、「疲れた、壊れた、つぶれた」で、そのあとに仕事もなくした。自分の彼女も失くした。腹へって死にそうや。ああ疲れた、壊れた、つぶれた。すべてオマエのせいや」
これ結局、女のせいにしてますけど、こいつが悪いんですよ。たいてい男が・・・。すんません。
では、疲れた、壊れた、つぶれた
4.Tired, Broke and Busted/ Floyd Dixon
歌詞の内容にしては曲調がなんかゆるい、陽気な感じですが・・まあつらいけど笑い飛ばしてしまうおか・・というところでしょうか。
その後、ディクソンはめちゃくちゃは売れなかったんですが、60年代70年代もいろんなレーベルに録音してます。
70年代半ばにはレイ・チャールズやルース・ブラウンとヨーロッパツアーしたり、スエーデンのレーベルからアルバムをリリースしたり、2006年77才でガンで亡くなるまで現役として活躍しました。
では、最後にディクソンらしい曲で、タイトルがいいです。タイト・スカートです。
「体にフィットしたタイトスカートを着た女ってたまらんよね。大きなお尻でタイトドレスを着てるんっていいよね」
僕も言いたい「いいよね」
5.Tight Skirts/ Floyd Dixon

今日は40年代から活躍したファンキーなウエストコーストのピアニスト・ブルーズマン、フロイド・ディクソンでした。お酒飲む時とか宴会、パーティにぴったりのブルーズです。年末に是非どうぞ!

2016.12.02 0N AIR

テキサスのワイルド・ブルーズ・ギタリスト/ピー・ウィー・クレイトン

Pee Wee Crayton/テキサス・ブルース・ジャンピン・イン・ロス・アンジェルス~ザ・モダン・セッションズ48~51(P-Vine PCD-24356)
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ON AIR LIST
1.Texas Hop/Pee Wee Crayton
2.Blues After Hours/Pee Wee Crayton
3.I Love You So/Pee Wee Crayton
4.Brand New Woman/Pee Wee Crayton
5.Huckle Boogie/Pee Wee Crayton

 

 

 

今日はテキサス出身のワイルド・ギタリスト、ピー・ウィー・クレイトンを聴きます。
Pee Weeってあだ名で小さいっていう意味なんですが、役者にピィー・ウィー・ハーマンいう人がいましたし、ジェイムズ・ブラウンのバックのホーンにピー・ウィー・エリスもいましたが、この人はあんまり小さい印象がないんですが・・。
1983年にピーウィー・クレイトンはサックスのクリーンヘッド・ビンソンと来日しました。まあ小さかったけどその時はバンマスでしっかり仕切っていた印象が強いです。その時69才。その2年後の85年に亡くなりました。
ブルーズギターを志す人、とくにテキサス系のワイルドなギターが好きな人なら必ず一度は彼のギターに出会います。コピーしたくなる魅力的なギタリストです。その彼の魅力であるワイルドなブルーズギターが聴けるインストの曲から今日はスタート
1948年11月の録音です。
1.Texas Hop/Pee Wee Crayton

テキサス・ホップのホップは三段跳びのホップ・ステップ・ジャンプのホップのようにぴょんと飛ぶっていう意味からビールの苦みにつかうホップという意味もあるし、ダンスっていう意味もあるし、麻薬の意味もあります。まあ、この場合はダンスで飛び跳ねるという意味ですかね。

ピーウィー・クレイトンは1914年のテキサス生まれです。同じテキサス出身のモダン・ブルーズギターの父と言われたT.ボーン・ウォーカーとは四才違い。当然、めっちゃ売れたT.ボーンの影響をモロに受けています。1935年にはそのT.ボーンと同じようにウエストコーストに引っ越します。ここで1948年にモダーン・レコードと契約。この年の終わりにすぐにR&Bチャートのトップになった彼の最初のヒットが次の”Blues After Hours”
アフター・アワーズっていうのは店が{閉店後}とか「仕事が終わったあと」って言う意味で、通常のライヴが終わったあとにミュージシャンたちが仲間うちのセッションで演奏するのもアフターアワーズって言います。

2.Blues After Hours/Pee Wee Crayton
これは僕もカバーしているのですが、昔この曲がピーウィーだと知らなくてTボーンのヴァージョンを最初に聴いてました。
この曲や一曲目のテキサスホップでわかるようにピーウィー・クレイトンはワイルドなギター・インストで売れた人で、まあちょい先輩のT.ボーンのワイルドさの火に油を注いだような感じです。だからその手のギターインストがいくつも発売されたんですが、実は甘いバラードも歌ってまして、そんなに歌上手くないですがこれがヒットしたんですね。たぶん本人は悦に入って歌ってたと思うんですが、歌の上手さは先輩T.ボーンには及びません。でも、まったくあかんのかというとこれが上手くないながらも哀愁があるんですね。
「日が落ちて夜になり、オレの愛すべてがころげ落ちていく、スウィートハート、おまえのことを愛している。でも、おまえは他の男を好きになったんやね。オレはバカだよ、我慢できないんや。愛してるよ。」まあ、ベタなラブ・ソングですわ。
3.I Love You So/Pee Wee Crayton
どうですか。なんか頼んない歌のうらびれた感がいいというか、微妙な魅力があります。

次の曲は同じやはりテキサスのゲイトマウスを思い出させるんですが、こういうジャンプ・ブルーズ的なダンサブルな曲調や歌い方、ギターがいわゆるテキサス・ブルーズという感じのものです。まあ、イケイケですよね。イケイケでいっときながら時々さっきのような甘いバラードでチークタイムとまあ女性をクラブで口説く時の必須アイテムですね。
「オマエは新しい男見つけて、オレが泣くと思たやろ。オレはニューヨークへ行った、めっちゃ豪華な街や。ほんまええ女もおるで。メンフィもええよ。でも、オレに合う街やない。オマエと別れて泣きたいよ。新しい女を見つける・・それがええやり方やろな」
新しい女を見つけて生きていくよという決意宣言でしょうか。
4.Brand New Woman/Pee Wee Crayton
イントロでギターをジャラジャラ・・・と鳴らしてましたが、あれもピーウィーの得意技です。
ギターソロはあきらかにブルーズだけでなく、ジャズの影響もあることがわかりますが、あまりジャズジャズしないでブルーズのイナタさもあるところがいいですね
では、もう一曲、豪快なテキサスジャンプ・ブルーズナンバー
5.Huckle Boogie/Pee Wee Crayton

今日聴いたこの40年代終わりから50年代頭にかけてのピーウィー・クレイトンが録音としては全盛で、このあとアラディン、インペリアル、VJなどいくつかのレコード会社に吹き込みましたが、あとに残るヒットもなくこの時代がやはりいちばん充実してます。