50年代の偉大なシンガー・ソングーライター、チャック・ウィリスの遺産-2
Let’s Jump Tonight! The Okeh Sessions 1951-1956/Chuck Willis(Sony Music/OKeh)
The Songs Of Chuck Willis /Chuck Willis(Jasmine)
I Remember Chuck Willis/Chuck Willis(Atlantic)
ON AIR LIST
1.Keep A-Knockin’/Chuck Willis
2.You’re Still My Baby/Chuck Willis
3.I Feel So Bad/Chuck Willis
4.Bless Her Heart/Chuck Willis
5.It’s Too Late/Chuck Willis
先週に引き続き偉大なシンガー・ソングライター、チャック・ウィリスの特集です。
ウィリスの”Let’s Jump Tonight! “というアルバムを先週から聞いているのですが、僕が気になったのがKeep A Knockin’という曲でこの曲を有名にしたのは58年に録音したロックンロールの王様、リトル・リチャードだと思っていたのですが、その4年前にチャック・ウィリスは録音していたのか・・と思ったのですが、調べてみるとこの曲は20年代からありいろんな歌手に歌詞を変えながら歌われてきたトラッドな曲だとわかりました。
“Keep A-Knockin’ (But You Can’t Come In)”まあ、「ドアをノックし続けても他に男を作ったお前なんか中に入れてあげないよ」という歌です。
聞いてみましょう。
1.Keep A-Knockin’/Chuck Willis
いいですよね。でもこの曲もそんなに売れなかった。
アップ・テンポの曲がなかなか売れないチャック・ウィリスの話を先週しましたが、その後やはり人気があったのは彼のバラード曲でした。
昔の彼女が忘れられない男の気持ちを歌った1954年のこの曲はチャートの4位まであがりました。
2.You’re Still My Baby/Chuck Willis
この曲はのちに60年代のソウル・レジェンド、オーティス・レディングもカバーしています。
スローのバラードにすっかり人気がありアップテンポのダンサブルな曲が売れなくてもまあ売れていただけ良かったと思います。
そして、今もブルーズ・シンガーに歌われている彼の曲となるとやはり次の.I Feel So Badでしょう。
エルヴィス・プレスリーが歌い、60年代にはブルーズのリトル・ミルトン、オーティス・ラッシュがカバーしてこの曲はブルーズのスタンダードとなって今も歌い継がれています。
彼女と別れようかどうしようかと悩んでいるときの気分でしょうか。歌詞は「めちゃ気分が悪いねん。野球の試合が雨で中止になったときのような気分なんや。時々もうやめようと思うんやけど、またしてしまうような。ここにいたいと思うけどいたくないような気持ち。汽車のきっぷは手に入れたし荷物持って出発しよかな」
そんな歌詞です。
3.I Feel So Bad/Chuck Willis
この曲がオーケー・レコードでの最後の曲となりました。
このアルバム”Let’s Jump Tonight! “にはオーケーでの後期の次のような未発表のいい曲も数曲収録されています。1956年の録音の素晴らしいR&Bナンバーになっていると思います。
「俺と彼女は歳をとってもR&Rで踊るんだよ。年寄りになってもね」
4.Bless Her Heart/Chuck Willis
そして今の1956年がオーケー・レコード最後の録音となりウィリスはR&Bレコードの名門、アトランティック・レコードに移籍します。
アトランティックでも変わらずヒットを出して活躍するのですが、その当時の写真を見ると頭にターバンを巻いています。黒人ミュージシャンではプロフェッサー・ロング・ヘアなどもターバンを巻いているのですが、ぼくは初めてジャケット写真を見た時なにやら怪しげな人やなと思いました。ウィリスがターバンを頭につけた理由は髪の毛が薄くなってきてカツラをつけていたのですが、彼はターバンの方が気に入ってたようです。
ツアーもよくやっていたようでサム・クックやエスター・フィリップス、ルース・ブラウン、ジャッキー・ウィルソンなど当時の売れっ子たちの一人として活躍しました。しかし、彼は派手な人ではなくとても無口で紳士的な人だったとみんなが語っています。
では、最後にそのアトランティックレコードに移ってからのヒット曲、今も歌い継がれています。ロックを好きな方はエリック・クラプトンが「いとしのレイラ」のアルバムでこの歌をカバーしてるのを知っているでしょう。
5.It’s Too Late/Chuck Willis
今の曲はバディ・ホリーもカバーしてます。
ルース・ブラウンのロマンティックなヒット曲”Oh,Waht A Dream”を書いたのもチャック・ウィリスですが、彼の書いた曲を一つずつ聞いて行くと本当にいい曲が多いです。ブルーズがジャンプ・ブルーズやR&RとなりやがてR&Bと呼ばれる時代に歌手としてもソングライターとしても立派な曲をたくさん残したチャック・ウィリス。ぜひ、アルバムをゲットしてじっくり聞いて見てください。番組のHPにアルバム出しておきます。