2023.09.29 ON AIR

50年代の偉大なシンガー・ソングーライター、チャック・ウィリスの遺産-2

Let’s Jump Tonight! The Okeh Sessions 1951-1956/Chuck Willis(Sony Music/OKeh)
The Songs Of Chuck Willis /Chuck Willis(Jasmine)
I Remember Chuck Willis/Chuck Willis(Atlantic)

ON AIR LIST
1.Keep A-Knockin’/Chuck Willis
2.You’re Still My Baby/Chuck Willis
3.I Feel So Bad/Chuck Willis
4.Bless Her Heart/Chuck Willis
5.It’s Too Late/Chuck Willis

先週に引き続き偉大なシンガー・ソングライター、チャック・ウィリスの特集です。
ウィリスの”Let’s Jump Tonight! “というアルバムを先週から聞いているのですが、僕が気になったのがKeep A Knockin’という曲でこの曲を有名にしたのは58年に録音したロックンロールの王様、リトル・リチャードだと思っていたのですが、その4年前にチャック・ウィリスは録音していたのか・・と思ったのですが、調べてみるとこの曲は20年代からありいろんな歌手に歌詞を変えながら歌われてきたトラッドな曲だとわかりました。
“Keep A-Knockin’ (But You Can’t Come In)”まあ、「ドアをノックし続けても他に男を作ったお前なんか中に入れてあげないよ」という歌です。
聞いてみましょう。

1.Keep A-Knockin’/Chuck Willis

いいですよね。でもこの曲もそんなに売れなかった。
アップ・テンポの曲がなかなか売れないチャック・ウィリスの話を先週しましたが、その後やはり人気があったのは彼のバラード曲でした。
昔の彼女が忘れられない男の気持ちを歌った1954年のこの曲はチャートの4位まであがりました。

2.You’re Still My Baby/Chuck Willis

この曲はのちに60年代のソウル・レジェンド、オーティス・レディングもカバーしています。
スローのバラードにすっかり人気がありアップテンポのダンサブルな曲が売れなくてもまあ売れていただけ良かったと思います。
そして、今もブルーズ・シンガーに歌われている彼の曲となるとやはり次の.I Feel So Badでしょう。
エルヴィス・プレスリーが歌い、60年代にはブルーズのリトル・ミルトン、オーティス・ラッシュがカバーしてこの曲はブルーズのスタンダードとなって今も歌い継がれています。
彼女と別れようかどうしようかと悩んでいるときの気分でしょうか。歌詞は「めちゃ気分が悪いねん。野球の試合が雨で中止になったときのような気分なんや。時々もうやめようと思うんやけど、またしてしまうような。ここにいたいと思うけどいたくないような気持ち。汽車のきっぷは手に入れたし荷物持って出発しよかな」
そんな歌詞です。

3.I Feel So Bad/Chuck Willis

この曲がオーケー・レコードでの最後の曲となりました。
このアルバム”Let’s Jump Tonight! “にはオーケーでの後期の次のような未発表のいい曲も数曲収録されています。1956年の録音の素晴らしいR&Bナンバーになっていると思います。
「俺と彼女は歳をとってもR&Rで踊るんだよ。年寄りになってもね」

4.Bless Her Heart/Chuck Willis

そして今の1956年がオーケー・レコード最後の録音となりウィリスはR&Bレコードの名門、アトランティック・レコードに移籍します。
アトランティックでも変わらずヒットを出して活躍するのですが、その当時の写真を見ると頭にターバンを巻いています。黒人ミュージシャンではプロフェッサー・ロング・ヘアなどもターバンを巻いているのですが、ぼくは初めてジャケット写真を見た時なにやら怪しげな人やなと思いました。ウィリスがターバンを頭につけた理由は髪の毛が薄くなってきてカツラをつけていたのですが、彼はターバンの方が気に入ってたようです。
ツアーもよくやっていたようでサム・クックやエスター・フィリップス、ルース・ブラウン、ジャッキー・ウィルソンなど当時の売れっ子たちの一人として活躍しました。しかし、彼は派手な人ではなくとても無口で紳士的な人だったとみんなが語っています。
では、最後にそのアトランティックレコードに移ってからのヒット曲、今も歌い継がれています。ロックを好きな方はエリック・クラプトンが「いとしのレイラ」のアルバムでこの歌をカバーしてるのを知っているでしょう。

5.It’s Too Late/Chuck Willis

今の曲はバディ・ホリーもカバーしてます。
ルース・ブラウンのロマンティックなヒット曲”Oh,Waht A Dream”を書いたのもチャック・ウィリスですが、彼の書いた曲を一つずつ聞いて行くと本当にいい曲が多いです。ブルーズがジャンプ・ブルーズやR&RとなりやがてR&Bと呼ばれる時代に歌手としてもソングライターとしても立派な曲をたくさん残したチャック・ウィリス。ぜひ、アルバムをゲットしてじっくり聞いて見てください。番組のHPにアルバム出しておきます。

2023.09.22 ON AIR

50年代の偉大なシンガー・ソングーライター、チャック・ウィリスの遺産-1

Let’s Jump Tonight! /The Okeh Sessions 1951-1956/Chuck Willis (Sony Music/OKeh)

ON AIR LIST
1.Let’s Jump Tonight/Chuck Willis
2.It’s Too Late Baby/Chuck Willis
3.My Story/Chuck Willis
4.Going To The River/Chuck Willis
5.Don’t Deceive Me (Please Don’t Go)/Chuck Willis

1950年代の初めから中頃にかけて録音されたチャック・ウィリスのコンピレーション・アルバムを聴きます。
50年代の黒人音楽の代表的なレーベルにオーケー・レコード(OKeh Records)というのがあり、そのレーベルからチャック・ウィリスはヒットを連発しオーケーの看板シンガーとなりました。
また彼は優れたソング・ライターでもあり本人はどうもステージよりも曲づくりの方が好きだったようです。50年代というと黒人音楽はブルーズからジャンプ・ブルーズやロックンロールといったダンサブルな音楽が生まれていく時代で、特にロックンロールは人種の壁を超えて白人の若者たちも取り込んでいきました。その元になったのがジャンプ・ブルースでこのチャック・ウィリスも初期の曲はこんな感じのジャンプ・ブルース・スタイルでした。タイトルもまさに”Let’s Jump Tonight”

1.Let’s Jump Tonight/Chuck Willis

アルバム・タイトル曲”Let’s Jump Tonight”でした。
チャック・ウィリスは1928年アトランタの生まれで10代の終わりころには地元の人気シンガーとしてクラブやイベントに出たりしていました。そのウィリスの才能に目をつけたのがゼナス・シアーズというDJの男で、ウィリスを売り出そうとレコード会社と契約を結びますが最初はなかなか売れませんでした。確かに当時今の”Let’s Jump Tonight”のようなダンス・ナンバーは他にもたくさんありました。次のウィリスのオリジナルも歌はもちろんアレンジやバックの演奏も含めなかなかいい曲だと思うのですが、この曲も売れなかった。

2.It’s Too Late Baby/Chuck Willis

次の52年に録音したアップ・テンポの曲ではなく「彼女に逃げられて俺はもう生きていたくない」という失恋のスローバラードがじわじわとチャートを上がりR&Bチャートの2位まで登りつめました。
曲のタイプはそんなに斬新な曲でもないのですが、ウィリスの歌がとてもソウルフルで胸に迫るものがあり、途中のギターのブリッジも曲のムードをかき立てています。

3.My Story/Chuck Willis

しかし、大ヒットが出て広く知られることになったウィリスですが次のヒットが出ずに珍しくカバーを歌います。これは今日のアルバムの中で唯一のカバーです。オリジナルはニューオリンズの偉大なピアニスト、シンガーのファッツ・ドミノ。これが本当にいい曲で、ぼくも大好きな曲なのですが、アメリカでは珍しい自殺を示唆するような曲で彼女にフラれたから川に飛び込んで溺れて死んでしまいたいというネガティヴな歌ですが、いい曲です。最後の方の「惨めに生きるのが嫌になったんだ」という一節が胸に残ります。

4.Going To The River/Chuck Willis

こういうカバーを歌うとその歌手の力量がよくわかるのですが、ウィリスはオリジナルのファッツ・ドミノとはまた違うオリジナリティを感じさせるとてもソウルフルな歌唱を残しています。彼の歌手としての力はやはり相当なものだったと思います。

しかし、再びヒットしたのは前にヒットしたMy Storyと同じようなスロー・バラードの曲でした。R&Bチャートの6位まで上がったこの曲もさっきのMy Storyとあまり変わらななぁと僕は思うのですが、ヒットしました。
やはりファンは彼にこういう路線を望んでいたんですね。

5.Don’t Deceive Me (Please Don’t Go)/Chuck Willis

なかなか自分の思うように進まないのがミュージック・ビジネスの世界ですが、それでもウィリスはヒット曲をすこしずつ出せただけでも良かったと思います。まだまだ彼のいい曲がたくさんありますので来週もチャック・ウィリスの特集をします。

2023.09.15 ON AIR

数々の名盤にコーラスとして参加したクラウディ・キングのソロ・アルバム

Direct Me / Clydie King (BSMF Records)

ON AIR LIST
1.Bout Love/Clydie King
2.Direct Me/Clydie King
3.You Can’t Go On Without Love/Clydie King
4.The Long And Winding Road/Clydie King

今日はクラウディ・キングの1972年リリースのソロ・デビュー・アルバム”Direct Me”が日本のBSMFレコードから再発されたので聞いてみようと思います。
クラウディ・キングという名前をどこかで見かけたような、聞いたような・・・すぐに思い出せなかったので調べて観ました。
女性ソウル・シンガー、クラウディ・キングは1943年にテキサスのダラスで生まれています。幼い頃は多くの黒人シンガーと同じように教会で歌っていたのですが、50年代にロスに移り住んでからフレアズとかロビンズというデュワップ・コーラスで活躍していた歌手でありソングライターでもあるリチャード・ベリーという人に見出され、リトル・クラウディ&ザ・ティーンズというグループを作って活動を始めます。
でもあまり売れなかったのか、50年代終わりからバック・コーラスの仕事やスタジオワークを始めます。
それでも何度もシングルをいろんなレーベルからリリースしている形跡を見るとやはりソロ・シンガーとして有名になりたかったのでしょう。そして、確かにその実力もあったシンガーです。
71年にやっとシングルでリリースされ、R&Bチャート45位になった”Bout Love”が評判になり翌72年に今日聞いてもらうデビュー・アルバム”Direct Me”のリリースとなります。このあたりがソロ・シンガーとして這い上がる一番のチャンスだったも知れません。
ではまずその71年にシングル・リリースされた”Bout Love”

1.Bout Love/Clydie King

R&Bチャート45位ですから大ヒットというわけでもないけれどまあ次のシングル・リリースには繋がるランクでしょう。確かに彼女はその後もスペシャルティ・レコード、キング・レコードからもシングルを出しますがヒットには至りません。
そして、それ以前1965年から68年までレイ・チャールズのバックコーラス「ザ・レイレッツ」のメンバーとして活動してそのあたりからバック・コーラスが上手いという評判が上がり、ロックのハンブル・パイのバックコーラスや、有名プロデューサー、フィル・スペクターのスタジオワークなどコーラス・シンガーへと転身していきます。まあ、ソロで売れなかったから生活するためにもそれは仕方のなかったことだったのでしょう。
では今日のこのアルバムのタイトル曲を聞いてみましょう。

2.Direct Me/Clydie King

コーラス・シンガーとしては評判が高くハンブル・パイ、レナード・スキナード、B.B.キング(インディノアラ・ミシシピのハミング・バードに参加)、ボブ・ディラン、ジョー・コッカー、リンダ・ロンシュタットなど有名ミュージシャンの録音にたくさん参加するようになっていきます。
1970年ジェシ・デイヴィスのアルバム「ジェシ・デイヴィス」72年のローリング・ストーンズの「メインストリートのならず者」の”Tumblin’ Dise”などにもコーラスで参加。恐らく僕がなんとなくクラウディ・キングという名前を覚えていたのはジェシ・デイヴィスやストーンズのアルバムのクレジットを見ていたからでしょう。
コーラスとして信頼され多くのレコーディングに呼ばれるのはもちろん嬉しかったと思いますが、やはりソロ・シンガーとして売れたいという気持ちは重々あったと思います。そのあたりの葛藤はどうだったんでしょうね。
今のファンク・テイストも入った曲なんか売れそうな感じもあるのですが。
スローの曲を聴いてみましょう

3.You Can’t Go On Without Love/Clydie King

ちなみに今日聞いてもらっているアルバム”Direct Me”はキーボードにビリー・プレストン、ギターにデイヴッド・T・ウォーカーなど腕利きのミュージシャンが参加しています。アルバムとしては決して悪くはないし、彼女の歌もいいのですが、やはりこれという決定打になる曲がないんですよね。

74年にも”Brown Sugar”というアルバムもリリースしているのですが、ヒットには恵まれませんでした。

ボブ・ディランのコーラスはかなり長くやっていたようで、1998年に当時のボブ・ディランのガールフレンドだったスーザン・ロスはディランはクラウディ・キングと極秘に結婚していてこどもも二人いたと語って言いますが、真相はどうだったんでしょう。彼女はディランとのことは別にしても三回結婚しています。
2019年に血液感染の合併症で76才でクラウディは亡くなったのですがその時、ディランは「彼女は私の最高の歌のパートナーであり、誰もそこには近づけなかったし、私たち二人はソウル・メイトでした」とコメントしてますが、ソウル・メイト(ソウルの同志)・・微妙な表現ですがまあ大人の関係というところでしようか。
彼女の一生もまた次の歌のように長く曲がりくねった道だったのでしょうか。ビートルズのカバーですがなんとも言えない魅力のある歌です。

4.The Long And Winding Road/Clydie King

歌いすぎないしフェイクもあまりしないとてもストレートな歌で僕はすごく好きです。
本当に曲にさえ恵まれればブレイクした優れた歌手だと思います。
今日のこのアルバム”Direct Me”は日本のBSMFレコードから8/18に発売されています。多分あまり再発とかされないシンガーだと思うので気になった方はぜひこの機会にゲットしてください。
今日はソロ・シンガーとしては有名ではなかったのですが、コーラス・シンガーとして多くの録音とライヴに参加したクラウディ・キングを聞きました。
Hey,Hey,The Blues Is Alright

2023.09.08 ON AIR

ブルーズ・ライヴ名盤シリーズ vol.6

ハウンド・ドッグ・テイラーのブルーズの塊が聴けるライヴ名盤

Beware Of The Dog/Hound Dog Taylor & The HouseRockers(Alligator Records)

ON AIR LIST
1.Give Me Back My Wig/Hound Dog Taylor & The HouseRockers
2.The Sun Is Shining/Hound Dog Taylor & The HouseRockers
3.Dust My Broom/Hound Dog Taylor & The HouseRockers
4.Kitchen Sink Boogie/Hound Dog Taylor & The HouseRockers

ブルーズ・ライヴ名盤シリーズ6回目の今回は熱狂的なファンも多いハウンド・ドッグ・テイラーのライヴ・アルバム”Beware Of The Dog”
1974年のライヴです。
有名な話ですが、アリゲーターレコードの社長、ブルース・イグロアはハウンド・ドッグ・テイラーのライヴを観て彼を世に出したいとレコード会社を設立したそうです。その気持ちがわかるような強烈なライヴを
サイド・ギターのブルーワー・フィリップスとドラムズのテッド・ハーベイそして歌とギターのハウンド・ドッグ・テイラーのトリオ「ハウンド・ドッグ・テイラー&ザ・ハウス・ロッカーズ」はシカゴのクラブで朝まで繰り広げていました。
ザ・ハウス・ロッカーズですから家を揺らす野郎たちですが、その名の通り1曲目から踊るしかない極太のブギです。

1.Give Me Back My Wig/Hound Dog Taylor & The HouseRockers

ギター二本にドラムつまりベースがいないこのバンドの個性的なサウンドとグルーヴにハマるともうこのバンドの魅力から離れられなくなります。
ハウンド・ドッグ・テイラーは多くのブルーズマンと同じように南部ミシシッピの生まれで、農場の小作人をしながら20才からギターを弾き始めたらしいですから遅い方です。27才でシカゴに来て本格的に活動を始めます。聴いてもらってわかるようにハウンド・ドッグ・テイラーはスライド・ギターが売りで、そのスライドのルーツははっきりエルモア・ジェイムズとわかります。次はそのエルモアの曲。エルモアもすごいがこのハウンド・ドッグ・テイラーのスライドもエグい!

2.The Sun Is Shining/Hound Dog Taylor & The HouseRockers

僕も今までかなり多くのブルーズマンのライヴを観て来た方ですが、ハウンド・ドッグ・テイラーは観れなかった。やはりライヴを聞きたかったブルーズマンの一人です。75年の12月にガンで60歳でなくなったハウンド・ドッグでしたが、もうすこし長生きしてくれれば日本がちょうどブルーズ・ブームの最中でもあったし、来日はあったと思います。
次もエルモアのカバーでブルーズのスタンダード曲の一つです。

3.Dust My Broom/Hound Dog Taylor & The HouseRockers

この3人の作り出すグルーヴ感はやはり南部ミシシッピにつながるもので特にシャッフルやブギなどのダンサブルなビートは踊らずにはいられないような魅力的なものです。個性的で唯一無二のビートでした。
おそらくライヴのその場にいたらビールを飲み続け朝まで踊り狂ってしまうでしょう。

4.Kitchen Sink Boogie/Hound Dog Taylor & The HouseRockers

このアルバム”Beware Of The Dog”はハウンド・ドッグがなくなった翌年76年にリリースされたものですが、聴くたびに「ああ、ライヴを聞きたかったなぁ」と思わず言ってしまいます。

2023.09.01 ON AIR

ソウル・ミュージックのレジェンド、83才スモーキー・ロビンソンのニューアルバム”GASMS”がたまらない

Gasms/Smokey Robinson

ON AIR LIST
1.Gasms/Smokey Robinson
2.I Wanna Know Your Body/Smokey Robinson
3.I Keep Callin’ You/Smokey Robinson
4.Beside You/Smokey Robinson

今年で83歳のスモーキー・ロビンソン。1959年にミラクルズでデビューしてから65年目を迎えたスモーキー・ロビンソンが新作『Gasms』を4月28日に発表しました。14年ぶりのスタジオ、オリジナルアルバム。60年代のミラクルズ時代には「ショップ・アラウンド」”You’v Really Gotta Hold On Me”,”Mickey’s Monkey”,”Ooo Baby Baby”,”The Tracks of My Tears”,”Going to a Go-Go”ととにかくヒット連発で、しかもほとんどの曲のソングライターでもあります。途中から所属のモータウンレコードの副社長になりましたが、ミラクルズ解散後もソロとしてヒットを出し続けずっと現役でした。ある意味化け物です。
それにしても83才でこのセクシーなアルバムというのには参りました。アルバムタイトルの”GASMS”からしてセックスの絶頂感という意味ですから・・娘と嫁はんにはこのタイトルに反対されたそうです。多分「お父さん、曲はええけどなタイトルで絶頂感って、もう83才やろ、やめときはずかしいわ」なんて言われたようですが、本人はこれでと押し切りました。さすがです。
ではアルバム絶頂感GASMSからタイトル曲を・・・

1.Gasms/Smokey Robinson

やっぱりスモーキーという感じですが、セクシーなんですが下品な感じがないんですね。本当に歌詞の一句一句、一言一言をすごく丁寧に歌い歌声になんとも言えない潤いがあります。ぼくの周りにもスモーキーのファンがたくさんいるのですが、みんな絶賛の今回のこのアルバムです。

この曲だけでなくアルバム全体的に落ち着いた愛に溢れた静かなセクシーなアルバムです。スモーキーの歌い方とても丁寧で抑えて抑えているけど溢れ出るソウルでとてもソウルフルです。
次の曲なんか日本語でタイトルコールしたらヤバいです。「君の体を知りたい」ですか・・・。

2.I Wanna Know Your Body/Smokey Robinson

今回のアルバムは10年以上に渡って少しずつ録りだめしていたようです。まあ、年齢もありますがそんなに焦って録音してプロモーションもしなくてもいランクにいる人ですから、そういう作り方がよかったのでしょう。
奇をてらった曲とか斬新さを狙った曲はないんです。だからぼーっと聴いていたらこれいつの時代のソウルだろうと思うくらい自然に流れて行くのですが、一曲一曲がすごく丁寧にこだわっていてその普通さというのが逆に今すごくソウルフルだと思います。
次の曲は少しラテン風味でどこかで聴いたようなメロディもあるのですが、でも新しい感じもあります。不思議な曲です。

3.I Keep Callin’ You/Smokey Robinson

スモーキーは2002年に何度目かの結婚を62歳でしています。その妻について語っている。彼女に向けて書いた曲がこれだそうです。まだ奥さんとラブラブなんでしょう。
スモーキーはもうめちゃくちゃ歌が上手いのですが、若い頃からファルセット(裏声)と表の声の境目が微妙に行き来できる人でその移り変わりが本当に美しい人です。今も現役で歌える秘訣はヨガや早寝早起きの習慣だそうです。食べ物にも気をつけているそうです。一時はドラッグにもハマったそうですが、そんなにずっとやる馬鹿ではなかったんですね。
このアルバムはそういうスモーキーの歌唱、歌い方の素晴らしさを味わうアルバムでもあります

4.Beside You/Smokey Robinson

その昔、ボブ・ディランが〈現代アメリカ最高の詩人〉と呼んだスモーキーはソングライターてとしての才能だけでも素晴らしいのに、歌もうまい。
もうリリース・ツアーなんてないのでしょうが、時折イベントに出てはそのミラクル・ヴォイスを聴く機会もありまだしばらく歌うでしょう。
アルバムもゆっくりでいいからまた録音して欲しいです。

今回のスモーキー、買い!です。