Hometown Blues / Sonny Terry & Brownie McGhee (P-Vine Records PCD93002)
ON AIR LIST
1.Meen Old Frisco/ Sonny Terry & Brownie McGhee
2.Sittin’ On Top Of The World/ Sonny Terry & Brownie McGhee
3.Feel So Good/ Sonny Terry & Brownie McGhee
4.Women Is Killin’ Me/ Sonny Terry & Brownie McGhee
5.Key To The Highway/ Sonny Terry & Brownie McGhee
今日聴いてもらうのはブルーズのデュオで有名な「ブラウニー・マギー&ソニー・テリー」の彼らがいちばん充実していたと言われる40年代終わりから50年代あたまの録音。
最初に聴いてもらうのは1942年にアーサー・ビッグボーイ・クルーダップがリリースした”Mean Ol Frisco”
フォーク・ブルーズ・シンガーたちがよく歌う曲でスタンダードな一曲ですが、シカゴブルーズのマディ・ウォーターズやリトル・ウオルターも歌ってます。ロック畑だとエリック・クラプトンで知って方も多いと思います。
1.Meen Old Frisco/ Sonny Terry & Brownie McGhee
聴いてもらったわかるように基本はブラウニー・マギーのギターと歌、そしてサニー・テリーのハーモニカと歌です。そこにバンドが入ったものや他の楽器が入った録音もあるのですが、基本はシンプルなデュオ・スタイルでしかもギターはアコースティック・ギター、ハーモニカはアンプに入れないでヴォーカルマイクで吹くという素朴なスタイルです。ふたりとも最初は別々にやっていたのですが、ハーモニカのサニーは早くからハーモニカのテクニシャンとして人気があり、有名なブラインド・ボーイ・フラーとデュオでしばらくやってました。一方ブラウニーは小さい頃から足が不自由でなんとか音楽で生活できるようにと父親の後押しもあったようです。当時、いま名前の出たブラインドボーイ・フラーは人気者というかスターだったのでブラウニーもフラーのギタースタイルを練習していたところ、フラーがなくなってしまい、そこでフラーのマネージャーがサニーとくっつけて第2のフラーで売ろうとしたらしいです。
そこから何十年と一緒にデュオを組むことになったのですから人生なにがあるかわかりません。
次の曲は30年代に録音をたくさん残した4人組のグループ「ミシシッピー・シークス」がオリジナルですが、ハウリン・ウルフのヴァージョンで知ってる方も多いと思います。これもブルーズ・スタンダードです。「彼女は行ってしまったけど、オレは大丈夫や。なぜってオレは世界のてっぺんに座っているからさ」まあフラれた男の負け惜しみですね。
2.Sittin’ On Top Of The World/ Sonny Terry & Brownie McGhee
ちょっとハモったりしているところがなんとものんびりした感じでいいですね。こういうのはフォークブルーズのデュオならではの演奏ですね。
僕は若い頃はこういうブルーズはちょっと苦手でした。あまりブルーズを感じられなくて・・もっとガツンとした味の濃いブルーズが好きだったんですね。アコギの弾き語りだとライトニンとかジョン・リー・フッカー、サン・ハウスとかブッカ・ホワイトとか・・そういうのが好きでフォーク・ブルーズ的なものはあまり聴いてなかったです。
ブラウニー・マギーとサニー・テリーはすごくたくさん録音を残しています。レコード屋さんに行くとたくさんアルバムが有りすぎてちょっとどれを買ったらいいのか迷いますが、今日聴いてもらっているこのHometown Bluesはお薦めです。これは以前日本のP-Vineレコードからリリースされていて、小出斉くんの丁寧な解説も入ってます。でも、これも2007年のリリースか・・まあ、探してみてください。
ブラウニー・マギーとサニー・テリーはコンビのアルバムだけでなく、それぞれのソロのアルバムもあって本当にたくさん録音したことがわかります。1940年代から70年代、30年間くらい結構コンスタントに録音していて、50年代にはフォーク・リバイバルのブームにも乗っかって売れまくったそうです。
次の曲はバンド・スタイルで元々はビッグ・ビル・ブルーンジーの曲でマディ・ウォーターズもカバーしていますが、シカゴ・ブルーズのような南部のブルーズをエレキバンド化したような泥臭さはありません。というのも彼らの録音はニューヨークでされていて洗練されてというところまではないですが、かなりあっさり目の味付けになってます。ニューヨーク・ダウンホーム・ブルーズと呼ばれています。
3.Feel So Good/ Sonny Terry & Brownie McGhee
いまのはギターのブラウニー・マギーが歌っています。
実はふたりは1978年に来日しています。僕も聴きに行きましたが、その時はライトニン・ホプキンスがメイン・アクトで僕も含めてほとんどの人たちがライトニン目当てだったために彼らのことを覚えている人たちも少ないと思います。しかも、ふたりが仲が悪いのが客席からもわかるような有様で、途中でブラウニーがステージからいなくなり、なんかよくわからないサニーのハーモニカの弟子みたいな白人の若者が出てきてハーモニカ・デュオになってしまい・・もうなんかどさくさな感じでした。本当に申し訳ないけどライヴの印象は「ふたりが仲悪かったなぁ」しかないです。あと、サニーがハーモニカで汽車の音のマネをやったのだけ覚えてます。
では、サニーが歌っている曲ですごいタイトルです
4.Women Is Killin’ Me/ Sonny Terry & Brownie McGhee
最後にこういうフォーク・ブルーズ・デュオがよく演奏する曲でブルーズのスタンダードです
5.Key To The Highway/ Sonny Terry & Brownie McGhee
今日聴いてもらったブラウニー・マギー&ソニー・テリーは、1949年と1952年のニューヨーク録音の音源でした。ブルーズではライトニン・ホプキンスやジョン・リー・フッカーのフォークギターを弾いたブルーズもありますし、ブッカ・ホワイトやサン・ハウスのようなドブロ・ギターを使った弾き語りスタイルもありますが、それらとはまた違うちょっと都会的なダウンホームの味がこのふたりにはあります。まあ、白人のフォーク・ブルーズのブームに長い間入り込めたのもミシシッピー・ブルーズよりあっさり味なところがよかったのでしょう。
夏の日にそうめんを食べるようにたまにはあっさり味のブラウニー・マギー&ソニー・テリー・・・いかがでしょうか。