ルーツ・ミュージックを大切にするミュージシャンたちで作られたアルバムがやっとリリース!
New Moon Jelly Roll Freedom Rockers Volume.1 (BSMF-2711)
ON AIR LIST
1.Let’s Work Together/New Moon Jelly Roll Freedom Rockers(feat.Jim Dickinson)
2.Pony Blues/New Moon Jelly Roll Freedom Rockers(feat.Alvin Youngblood Hart)
3.K.C.Moan/New Moon Jelly Roll Freedom Rockers(feat:Charlie Musselwhite)
4.Shake It And Breake It/New Moon Jelly Roll Freedom Rockers(feat:Jimbo Mathus)
「ニュームーン・ジェリーロール・フリーダム・ロッカーズ」
この長い名前のバンドは2007年に「ノース・ミシシッピ・オールスターズ」のルーサーとコーディのディッキンソン兄弟とジンボ・マシス(元スクイレル・ナット・ジッパーズ)がセッションをしたことから始まったもので、そこにハーモニカのチャーリー・マッセルホワイトとギターと歌のアルヴィン・ヤングブラッド・ハートが参加し、更にディキンソン兄弟の父である亡きジム・ディキンソンが加入したものです。いわゆるルーツ・ミュージック系のミュージシャンたちで作られているわけですが、聴いてもらう「ニュームーン・ジェリーロール・フリーダム・ロッカーズvol.1」を2008年に録音したのですが、翌年このバンドのプロデュースも兼ねていた父親のジムが亡くなり、この音源はリリースされずにいました。それを今回カナダのレコード会社「ストーニー・ブレイン・レコード」が息子のルーサー・ディッキンソンに話をもちかけてリリースとなりました。
これは日本のBSMFレコードからリリースされています。
ブルーズ、カントリーなどルーツ・ミュージックを熟知している白人ミュージシャンたちで、アルヴィン・ヤングブラッドハートだけ黒人なんですが、あまり黒人を感じさせないミュージシャンです。
最初に60年代から70年代活躍したウエストコーストの白人ブルーズバンド”Canned Heat”が1970年にヒットさせた曲ですが、元々はあの大ヒットブルーズの”Kansas City”を歌ったウィルバート・ハリソンが1959年にヒットさせた曲です。
「旅する道がずっと坂道が続く時、物事が上手くいかない時にみんなで力を会わせてがんばろうよ。2分や3分、2時間や3時間が僕らの人生でそんなに問題だろうか。誰かを幸せにしてあげよう。誰かに微笑みをあげよう。力を合わせてがんばろう。そして人生を価値のあるものにしょう」すごくポジティヴな曲でいまの時代にフィットしている曲ではないでしょうか。歌っているのはジム・ディッキンソン。
1.Let’s Work Together/New Moon Jelly Roll Freedom Rockers(feat.Jim Dickinson)
歌っているジム・ディッキンスンは1941年生まれですから、キャンド・ヒートが今の曲をヒットさせた頃をよく知っていたのではないでしょうか。
シカゴ・スタイルのチャーリーのハーモニカがいいです。彼は歌もハーモニカも無理のない。でも深いプレイができる人で好きなプレイヤーです。
二曲目、アルヴィン・ヤングブラッド・ハートが歌う偉大なデルタ・ブルーズのチャーリー・パットンの1929年に録音した「ポニー・ブルーズ」
ヤングブラッドハートはルーサー・ディッキンソンとは「サウス・メンフィス・ストリングバンド」というのを組んでアルバムを出したこともある気心の知れた仲です。
2.Pony Blues/New Moon Jelly Roll Freedom Rockers(feat.Alvin Youngblood Hart)
ヤングブラッドハートは1963年の生まれですから僕より13才も若くて生まれがカリフォルニアのオークランドなんですが、親戚がミシシッピーにいたそうでそれで遊びに行くうちに古いミシシッピ・ブルーズに興味をもって歌い出したみたいです。デビューは96年。でも、このアルバムで何故かジミ・ヘンドリックスの”Stone Free”を取り上げているのですが、まあ60年代生まれの都会の黒人なのでそういうロックにも興味はあったんでしょう。
黒人ですがヒップホップとかラップに行かずルーツ・ミュージック好きという人も出てくる時代が90年代くらいでした。こういう黒人ミュージシャンは白人オルタナ系のディッキンソン兄弟と気が合うんでしょうね。
このアルバムは参加したミュージシャンがそれぞれ自分が録音したい曲を持ち寄って作られているので曲目がバラエティに富んでいます。それでもバラバラな感じがしないのはブルーズというしっかりしたルーツがみんなあるからでしょう。次の曲も1929年の古い歌です。オリジナルはメンフィス・ジャグ・バンド。いまもいろんなジャグバンドやフォーク系のミュージシャンによくカバーされています。歌とハーモニカはチャーリー・マッセルホワイト、肩の力の抜けた彼のプレイがいいです。
3.K.C.Moan/New Moon Jelly Roll Freedom Rockers(feat:Charlie Musselwhite)
次の曲を歌っているジンボ・マシスという人はこのアルバムで初めて知りました。彼はスクイレル・ナット・ジッパーズというバンドを90年代の中頃に結成して、戦前のニューオリンズ・ジャズとかハーレム・ジャズのようなサウンド・コンセプトで人気が出たようです。彼は辞めたようですがスクイレル・ナット・ジッパーズはまだ継続して活動しているみたいです。このあたりのいわゆるルーツ系の白人のバンドの動きに僕は疎いのでよくわからないのですが・・・。マシスは90年代終わり頃からチャーリー・パットンなどカントリー・ブルーズに入りこんでいき、今回のアルバムで共演している「ノース・ミシシッピ・オールスターズ」のふたりとやり始めてます。
聴いてもらうのも1929年のチャーリー・パットンのカバーです。
4.Shake It And Breake It/New Moon Jelly Roll Freedom Rockers(feat:Jimbo Mathus)
9月18日に日本のBSMFレコードからリリースされた「New Moon Jelly Roll Freedom Rockers Volume.1 」を聴いてもらいました。ブルーズとかラグタイム・ミュージックとか古いアメリカの音楽のテイストがミックスされたアルバムでしたが、どうでしたか。ヴォリーム1とタイトルされていてヴォーリーム2が来年春にリリースされるようです。リリースされたらまた聴いてみましょう!今日もリモート録音でした。