2016.02.26 ON AIR

現在のシカゴ・ブルーズを伝えるアルバム、
内藤昌士さんの“New Cool Old School”を聴く!

20160226

ON AIR TRACK LIST
1.Big Boss Man/Shoji Naito
2.Congo Mombo/Shoji Naito
3.Bopp’n And Jumpin The Blues/Shoji Naito
4.Sad Night Owl/Shoji Naito
5.Money, Marbles And Chalk/Shoji Naito

 

 

 

今日久しぶりにみなさんに聴いてもらいたいと感じたシカゴから届いた新譜のブルーズ・アルバムを紹介します。シカゴ在住の日本人、Shoji Naito(内藤昌士)さんが作られたアルバムです。
アルバムタイトルは「New Cool Old School」オールドスクールつまり昔ながらのスタイルだけど、新しくてクール、かっこいいよというタイトルです。まずは1曲聴いてみましょう。
内藤昌士さんはギターとハーモニカをプレイするのですが、まずはそのハーモニカ・プレイから聴いてください。
シカゴ・ブルーズで最も売れたジミー・リードの大ヒット曲のカバーです。歌はエディ・クリアウォーターが歌っています”Big Boss Man”

Shoji さんは愛知県出身の豊田市出身で現在42才だそうです。1996年、22才の時にシカゴに移住されてすでに20年近くシカゴで活躍されています。
アルバムでの落ち着いたギタープレイを聴いているともっと年を取った方かと思っていたのですが、僕が思っていたより若かったです。シカゴのコロンビアカレッジの音楽科在学されている時から演奏活動を始めて、2004年にエディ・クリアウォーターのバンドに加入して現在もメンバーとして活躍しています。2006年には日比谷野音の「ジャパンブルースカーニバル」にもエディのバンドでShojiさんも参加されてます。
Shojiさんはオーソドックなシカゴ・スタイルのブルーズだけでなく、次に聴いてもらうようなファンキーな曲も取り上げています。この曲ではギターを弾いてますが、ギターの音色がとてもよくて僕はすごく好きです。
“Congo Mombo”

次はこのアルバムで初めて知ったキャサリーン・ディヴィスという女性ヴォーカルです。ピアノのLeeに聴いた話では古いジャズ・ブルーズも歌う人で毎週シカゴのクラブに出ているそうです。シカゴの女性シンガーというとココ・テイラーのように豪快に歌い放つタイプを思い浮かべるのですが、このキャサリーン・デイヴィスさんはちょっと違う30年代あたりのベッシー・スミス、アイダ・コックスなどのテイストも感じられるシンガーです。
“Bopp’n And Jumpin The Blues”
シカゴのクラブ聞きたくなるキャサリーン・デイヴィスでした。

Shojiさんは16才くらいの頃にマディ・ウォーターズやロバート・ジョンソンを聴いてブルーズが好きになったそうで、好きなギタリストを尋ねてみたらアルバート・キング、オーティス・ラッシュという名前が出てきました。次の曲はフレディ・キングが1965年の”Gives You A Bonanza Of Instrumentals”というアルバムで演奏した曲です。すごくムードのあるインストルメンタルのいい曲です。ShojiさんのギターにLeeのピアノ、ベースにゲリー・ハンド、ドラムにマーク・フォーネックというメンバーのレイドバックした素晴らしいプレイが聞けます
“Sad Night Owl”

Shojiさんとはまだお会いしてなくて電話で話しただけなのですが、Shojiさんはシャイというか、控えめな方なのでこのアルパムに関しても「プロデューサーという感じではないんです、シカゴの素晴らしいブルーズマンたちを紹介しただけです」と言われてました。アルバムの中でも「自分が」という出方もされてなくて歌もあまり歌わないと言われてましたが一曲Shojiさんの歌が入っています。ジミー・ロジャースの有名なシカゴバウンドというアルバムにも収録されている典型的なシカゴブルーズです。
“Money, Marbles And Chalk”
歌、すごくいいと思います。ナチュラルで淡々としていて・・。もっと歌を聞きたいですね。

今日聴いてもらった内藤Shojiさんのアルバム”New Cool Old School”は、現在のシカゴのいろんなブルーズを紹介してくれたすごく意味のあるアルバムだと思います。このアルバムは日本のBSMFレコードからリリースされることになりましたので、日本でも買う事ができます。
最後にShojiさんがライナーノーツで書かれているようにThere Are The Kinds Of Blues That You Can Hear In Chicago Everyday
このアルバムにはシカゴで毎日聴くことができるブルーズが収録されています。それも今のシカゴのブルーズです。
まだ40曲くらい録りだめした音源があるとのことなので是非これからも出し続けて欲しいです。
Shojiさん、ピアノのLee、このアルバムをプレゼントしてくれてありがとう!

“New Cool Old School”は日本のBSMF Recordsから3/18に発売されます。
詳しくはhttp://bsmf.jp
お問い合わせは tel:072-637-6718

2016.02.19 ON AIR

Mardi Gras New Orleans Bluesを聴こう!

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ON AIR TRACK LIST
1.The Things That I Used To Do/Guitar Slim
2.Blue Monday/Fats Domino
3.I Hear You Knocking/Smiley Lewis
4.Those Lonely,Lonely Nights/Earl King
5.Country Boy Down In New Orleans/Snooks Eaglin

前回はこの時期のニューオリンズのお祭りマルディ・グラに合わせてニューオリンズのお祭りパーティ・ソングを聴いてみたのですが、今回はニューオリンズのブルーズ。ブルーズといってもシカゴとかメンフィス、ミシシッピーのブルーズとはテイストが違っていてどこか緩やかな、おおらかなそしてどこかイナタイ、ブルーズです。
一曲目はたぶんニューオリンズで録音されたブルーズ中で最大のヒットになった曲やと思います。1953年R&Bチャートのトップにまで昇りつめたギター・スリムの大ヒット・ブルーズ。
「昔やったことをもう二度とはしたくないんや。お前の手を握って行かんといてくれと頼んだけどね。お前を一晩中探し回ったけどムダやったな。お前は他の男と逃げてしまいよった。お前をオマエのおかんのところに返して、俺も家族のところに戻るわ。お前を喜ばすことなんか何もないし、お前ともうまいことやってけへん」もう、二度と自分が哀れな気持ちになるようなことはしたくないんやっていう歌です。
The Things That I Used To Do

次はニューオリンズの人気者、ピアニストのファッツ・ドミノの「ブルーマンデー」憂鬱な月曜っていうタイトルです。
「憂鬱な月曜日イヤやなぁ。ドレイみたいに働かされる月曜日。火曜も水曜も木曜もハードや遊ぶ時間もないくらい疲れてる。金曜になると給料や。土曜の朝にはなんや疲れは吹っ飛んで金もって彼女と遊びにいくで。でも日曜は二日酔いででも大事なお休みや。休んどかなな、また明日は最悪の月曜日や」仕事や学校に行かなければいけない月曜日は、洋の東西を問わずイヤなものなんですね。
Blue Monday

ニューオリンズR&Bの代表であり、ジャンプ・ブルーズの代表でもあるスマイリー・ルイスの有名曲
「オマエはずっと前にオレから別れて行った、で今戻って来ておれのドアを叩いてる。聞こえてるよオマエがドアを叩いてんの。
でもオレの部屋には入れへんよ。聞こえてるよオマエがドア叩いてるの帰れよオマエのいまいるところへ。昔、オレはオマエに行かないでくれと頼んだけどオマエはさいなら言うで出てったやろ。いまウソ八百並べてオマエは帰ってきた。聞こえてるよオマエがドアを叩いてんの。でもオレの部屋には入れへんよ。聞こえてるよオマエがドア叩いてるの帰れよオマエのいまいるところへ。」
気持ち・・わかるなぁ。
I Hear You Knocking

大好きなアール・キングの来日が最後となったのは2001年。精一杯演奏してくれたけどちょっとステージを見るのもつらいほどの衰えようでした。そして、二年後の2003年に糖尿病を患ってなくなりました。僕は直接話をしたこともあったんですが、いつもまあ見事に酔っぱらっていてちゃんとした話にはならなかったです。そして、本当にこの酔っぱらいのおっさんが作ったんやろかと思うほど素晴らしいソング・ライターでもありました。いまから聴いてもらうThose Lonely,Lonely Nightsやジミ・ヘンドリックスがカバーしたカ”Come On”、ニューオリンズのポピュラーソングになっているドクター・ジョンもカバーしている”Big Chief”、ロバート・パーマーやミーターズがカバーしているTrick Bagなどいい曲をたくさん残した人でした。
では「オマエがいなくなってから寂しい夜が続く」という歌です
Those Lonely,Lonely Nights

最後はニューオリンズの「人間ジュークボックス」と呼ばれたスヌークス・イーグリン。スヌークスは幼い頃が目が不自由だったので両親がギターを買ってあげたそうです。そうしたらラジオから流れて来る音楽を次~次へ覚えて弾いて歌ってしまうので、レパートリーがとてつもなくたくさんありました。それで「人間ジュークボックス」と呼ばれました。
Country Boy Down In New Orleans

前回と今回は現在マルディ・グラのお祭りで盛り上がっているだろうニューオリンズのR&Bとブルーズ聴きました。
では、また次回。Hey!Hey!The Blues Is Alright!
永井ホトケ隆

2016.02.12 ON AIR

New Orleans Mardi Gras Party Songsを聴こう!

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ON AIR TRACK LIST
1.Mardi Gras In New Orleans/Fats Domino
2.Mardi Gras Mambo/The Meters
3.Street Parade/Earl King
4.Rock’in Pneumonia And The Boogie Woogie Flu Pt.1/Huey “Piano” Smith
5.Walking To New Orleans/Fats Domino
6.I Know/Barbra George

 

 

 

1月は年の始まりやし、会社学校も始まるし、成人式もあるし、入試も最後の追い込みで寒いながらもみなさんポジティヴな感じになってると思うのですが、この2月という月はなんか1月のような華やかさもなく、ただ寒いだけでポジティヴな気持ちになりにくい季節ですが、こういう時こそちょっと明るい音楽を聴きたいもんです。それで、ちょうどニューオリンズではこの2月に最大のお祭り「マルディ・グラ」が始まりめっちゃ盛り上がります。なのでいつも2月になるとニューオリンズに行きたいなぁと想うのですが、行けないのでこの番組でマルディ・グラのムードを楽しみたいなぁと思います。ニューオリンズ・パーティソングです。
まずはそのマルディ・グラのカーニバルに行く、ニューオリンズに行くことを歌ったのこの歌から。
Mardi Gras In New Orleans
映画の「イージー・ライダー」でもマルディ・グラのニューオリンズへ行くという設定がありましたが、アメリカ人にとってニューオリンズのマルディ・グラのお祭りに一度は行くというのは、夢らしいです。まあ、南部で最大のお祭りで、早く言えばもう狂喜乱舞、めちゃめちゃなお祭りですからね。マルディ・グラは2月から3月にかけて行われるカーニバルで、元はカソリックのお祭りで断食の期間に入る前に、おもいっきり食べて飲んで騒ごうというお祭りです。でも、断食の期間に入っても断食してる人はいないようなんですが・・・まあ、ニューオリンズですし・・。

次もマルディ・グラのパーティソングの有名曲。ここはブルースが生まれた町ニューオーリンズ。カッコいい男たちがラッパを吹いている。ラサールストリートからランパートストリートまでマンボのビートがいっぱいで、マンボがスイングしているよ。」元々ジョディ・レヴィンスという人がオリジナルですが、ネヴィル・ブラザーズのいちばんお兄ちゃんアートがホーケッツというグループの時にカバーしていますが、今日はそのアートが参加していたミーターズのライヴ録音で聴いてください。
Mardi Gras Mambo

マルディ・グラでは日本でいう山車が出てみんなお化粧したり、仮面を被ったり、その山車の上から幸運の印のビーズのネックレスが投げられてみんなそれを争って拾うんですが、その間もずっとセカンド・ラインと呼ばれるニューオリンズ独特のリズムの音楽が流れてパレードが続きます。
「どこからか音楽が聞こえてくる。楽しそうな声も聞こえてくる。お祭り気分でとてもいい感じ。外に出たいね、大きな調べが聞こえる。ストリートパレードに違いない。セカンドラインで踊って楽しくやろうよ」僕が大好きなアール・キングにバックはミーターズという最高にファンキーな布陣です。
Street Parade

次はピアノのヒューイ・スミスが歌っているものだと想ってたんですが、実はヒューイ・スミスは歌に自信がなくていろんなシンガーを自分のバンドに入れていました。これを歌っているのはボビー・マーシャンというシンガーです。50年代のロックロール・ブームにも盛んに取り上げられたこの曲
「ああ、飛び上がったり、叫んだりしたい、うずうずしている。オレはロックの肺炎とブギウギの風邪にかかってるんだよ」というニューオリンズ鉄板のパーティソング
Rock’in Pneumonia And The Boogie Woogie Flu Pt.1

ちょっとクールダウンしてゆったりした曲を聴きましょうか。
つき合ってた女に金を全部使われてニューオリンズまで歩いて帰らなければならない男の歌ですが、最後にニューオリンズは我が故郷と歌ってますから、やはりニューオリンズの人たちにとっては何があっても誇るべき故郷なんですよね。ゆったりとしたグルーヴ感が気持ちいいです。ニューオリンズのヒット・メイカー、ファッツ・ドミノで。
Walking To New Orleans

まだ時間があるのでもう一曲、ニューオリンズ・パーティ・ソングを。僕のバンド、ブルーズ・ザ・ブッチャーでゲストに来てくれるLeyonaさんが必ず歌ってくれるバーバラ・ジョージのヒットです。
I Know

今回はマルディ・グラのお祭りシーズンを迎えるニューオリンズのリズム&ブルーズ、パーティ・ソングを聴きましたが、少しは体も気持ちも暖かくなったでしょうか。次回もマルディ・グラ・パーティソングの続きで、ファンキーなニューオリンズ・ブルーズです。
では、また次回、Hey,Hey,The Blues Is Alright!

2016.02.05 ON AIR

Keith Richardsの新譜”Crosseyed Heart “をアナログレコードで聴くその2

20160129

ON AIR TRACK LIST
1.Blues In The Morning/Keith Richards
2.Something For Nothing/Keith Richards
3.Love Overdue/Keith Richards
4.Good Night Irene/Keith Richards

先週に引き続き昨年9月にリリースされたキース・リチャーズのニューアルバム「クロスアイド ハート」を遅ればせながら聴きます。
1曲目はブルーズというタイトルが付いてますが、曲調はロックンロールテイスト。やはり三つ子の魂百までもと言いますが、キースのギターが明らかにチャック・ベリーの影響を受けているのが聞き取れます。この曲もベーシックなところはキースと共同プロデュースのドラムのスティーヴ・ジョーダンでつくっていて、長い間ストーンズでサックス・プレイヤーとして活躍したボビー・キーズが参加しています。彼は昨年亡くなりましたが、ストーンズ関係の録音ではこれが最後の録音になったのだと思います。あと、キース本人がベースもピアノも弾いているんですが、ベースは本当に上手いです。”Blues In The Morning”

次の曲のクレジットに懐かしい名前を見つけてめちゃ嬉しかったです。メンフィスのキーボード奏者のチャールズ・ホッジズなんですが、元々彼はメンフィスのハイレコードのスタジオ・ミュージシャンでアル・グリーンやOVライト、アン・ピーブルズなどメンフィスソウルの録音にたくさん参加した人なんですが、僕の昔のバンド、ウエストロードブルーズバンドのアルバムのニューヨーク録音に参加してもらったんです。その時はホテルやスタジオでメンフィスのソウル・シンガーたちの話してくれてすごく楽しかったですね。”Something For Nothing”

次はキースが一時すごくハマっていたレゲエのカバーで、オリジナルはグレゴリー・アイザック。僕も一時レゲエをよく聴いたことがありました。ボブ・マーリーはもちろんジミー・クリフ、フレディ・マクレガー、デニス・ブラウンああシュガー・マイノットも好きです。 グレゴリー・アイザックも「ナイトナース」というアルバムが好きでした。グレゴリーも残念ながらもう亡くなってしまいました。”Love Overdue”

最後はブルーズの曲としてはトラッドな部類に入る「グッドナイト・アイリーン」
この曲は1933年にブルーズマンのレッド・ベリーがレコーディングした曲で、1950年にアメリカのフォークソング・カルテット、ザ・ウィーヴァーズ(The Weavers)がカバーしたことで白人の間でもヒットして、いまやアメリカのボッブソングのひとつとなった曲です。「アイリーン、夢の中で会おうよ、おやすみアイリーン」”Good Night Irene”

キースは72才になるんですが、新しい曲を作ったり新しいアルバムを作りたいという意欲が彼の中にあることがすごく嬉しいです。そして、届いた今回のアルバムがすごくクオリティの高いものだったことに感激です。次はローリング・ストーンズのニューアルバムを期待したいです。
最後のキースの言葉です「オレたちは昔を懐かしむ旅をしているわけじゃない。昔といまを繋げて前に進もうとしているだけなんだ」
Hey Hey The Blues Is Alright!