ソウル・ジャズ・オルガンのパイオニア、ジミー・スミス
Jimmy Smith/Dot Com Blues(Blue Thumb Records ユニバーサルUCCV-1005)
ON AIR LIST
1.8 Counts For Rita/Jimmy Smith
2.Only In It For The Money/Jimmy Smith(vo.Dr.John)
3.Three O’Clock Blues/Jimmy Smith(vo.B.B.King)
4.Dot Com Blues/Jimmy Smith
今日はジャズのオルガン・プレイヤー、ジミー・スミスを聴いてみようと思います。ジミー・スミスはジャズというカテゴリーに入ってますが、かなりブルーズ寄りの人でしかもファンキーでファンク的な要素も強い人なのでこの番組を聴いているみなさんも好きになるのでは・・・と思って今日はジミー・スミス!
今日聴いてもらうのは僕がブルーズ・ザ・ブッチャーのツアー途中、中古レコード店で安く買ったものです。たまたま手に取ってジャケット裏のクレジットを見たらドクター・ジョンとかB.B.キングがゲストに入っていたので、もうこれはゲット!
2001年にリリースされたジミー・スミス75才で彼の晩年のアルバムなんですが、75才とは思えない潑溂としたプレイが聴けます。
このアルバムは基本的にオルガンのジミー・スミス、ギターのラッセル・マローン(1988年からジミー・スミスのバンドに参加してハリー・コニックJr.やウィントン・マリサラスなど主にジャズ・フィールドで活躍)ベースのレジー・マクブライド(エリック・バードンやケブ・モ、リッキー・リー・ジョーンズの録音に参加)、パーカッションのレニー・カストロ(この人もよく見かけるセッションマンでエリック・クラプトンやB.B.キングのアルバムでも名前を見ます)、そしてドラムのハーヴィ・メイソン(60年代からアレサ・フランクリンやエスター・フィリップスのアルバムに参加)というメンバーが核になって、そこにいろんなゲスト・プレイヤーを入れて録音されたものですが、まずはその5人でやっているファンキーなインストの曲から
1.8 Counts For Rita/Jimmy Smith
いまの曲もブルーズを少しデフォルメした曲でしたが、僕がジミー・スミスが好きになった理由はそのブルーズの度合いがかなり強かったからだです。
元々ジミー・スミスはピアノでジャズの世界に入ったのですが、1950年くらいからオルガンでジャズをやるようになりすぐに人気が出てブルー・ノートからデビューしてかなりたくさんのアルバムを残しています。スタイルはほとんど変っていないのですが、やはり彼が持っているファンキーさとグルーヴが聴く者をウキウキさせるところがあり、これはアカンなというアルバムはあまりないです。
次の曲はドクター・ジョンをゲスト・ヴォーカルに迎えてます。ドクターもオルガンをよく弾きますが、この録音ではピアノを弾いてます。
2.Only In It For The Money/Jimmy Smith(vo.Dr.John)
気持ちのいい4ビート・シャッフルのブルーズ。
ここでちょっとオルガンという楽器に触れたいと思いますが、日本ではピアノとかエレキ・ピアノ、またシンセサイザーといった鍵盤楽器は馴染みがあるのですが、オルガンはあまりみかけません。アメリカではとくに黒人音楽の世界では元々教会にオルガンが常設されていることが多いのでソウルでもファンクでも、黒人音楽では当たり前の楽器になってます。立派な教会にはパイプ・オルガンという高価なオルガンがあるのですが黒人教会ではそれを買うことができないのでハモンドという会社のハモンド・オルガンを使うことが多いです。オルガンにはレスリー・スピーカーという回転するスピーカーを使うことが多く、その回転スピーカーの音で変化のある深みのある音が出てます。オーケストラ的な役割をする楽器です。
小学校の頃教室にあったオルガンとはまったく違うものです。
黒人音楽ではすごく馴染みのある楽器でジミー・スミスのようにオルガン・プレイヤーとして名のある人が、いま想い出すだけでもソウルのブッカーT.ジョーンズ、ビル・ドゲット、ジャック・マクダフ、ジミー・マグリフといます。ジャズの世界ではやはり今日のジミー・スミスが有名で・・・そういえばロックのディープ・パープルはオルガン使ってました。プロコル・ハルムも・・。
次はB.B.キングがゲストで入っているB.B.の十八番
3.Three O’Clock Blues/Jimmy Smith(vo.B.B.King)
このアルバムにはドクター・ジョン、B.B.キングの他にもエタ・ジェイムズ、ケブ・モ、タジ・マハールが参加しています。
僕は1976年頃にアメリカでジミー・スミスのライヴを見たことがあるのですが、実は72年の彼のアルバムに「ルート・ダウン」という、ギターのアーサー・アダムスとかクルセーダースのフィルトン・フェルダーとかドラムのポール・ハンフリーといった腕ききのメンバーが参加したライヴアルバムがあってそれが大好きやったんです。それでジミー・スミスのライヴがあるというのでロスでクラブを探して観に行ったんですが、そんなに立派ではないクラブでお客さんもあまりいなくて大丈夫かと思ったんですが、素晴らしかったです。ベースがいなくてジミー・スミスがオルガンの足で踏んでベースをやり、あとはドラムとギターという3人編成ですが、ブルーズっぽくてファンキーで最後にジミー・スミスが自分の頭でオルガンを弾いておもろかったです。しかも、ジミーの頭の上の天井に鏡がついていてジミーの手の動きが客席から見えるようになっていて楽しかった。
では、最後にアルバム・タイトル曲を聴いてください。
4.Dot Com Blues/Jimmy Smith
2001年リリースされたオルガン・プレイヤー、ジミー・スミスのブルージーでファンキーなアルバム「ドット・コム・ブルーズ」を聴きました。彼は2005年に79才で亡くなりましたが、ジャズ・オルガンのパイオニアであり、”The Cat”とかギターのウエス・モンゴメリーとデュオの「ダイナミック・デュオ」とか”The Sermon”というアルバムも素晴らしいです。
音楽性の根っこがブルーズな人なのでブルーズ好きな人も気に入ると思います。