WHAT'S NEW

2017.07.21 ON AIR

The Musical Mojo of Dr. John: A Celebration of Mac & His Music (Live)
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ON AIR LIST
1.Junko Partner/George Porter Jr and Zigaboo Modeliste
2.Big Chief/Big Chief Monk Boudreaux
3.New Orleans/John Fogerty
4.Such A Night/Dr.John and Sarah Morrow

 

 

 

 

ドクター・ジョンの60年に及ぶキャリアを祝して、2014年にニューオーリンズで行われたトリビュート・ライヴです。
録音されたのは2014年5月3日にニュー・オリンズのSaenger Theatre。
ドクターは現在76才
ドクターは何度も来日してご存知の方も多いと思いますが、ニューオリンズ・ミュージックのレジェンドでシンガー・ソング・ライター、ピアニスト、プロデューサーとしてブルーズ、ファンク、R&Bだけでなくロック、ジャズの世界まで網羅している本当に偉大な人です。

今回のアルバムのプロデュースはベーシストでもあるドン・ウォズ
参加ミュージシャンはアラン・トゥーサン、アーマ・トーマス、テレンス・ブランチャード、ジョン・ブッテ、ビッグ・チーフ・モンク・ボドルー、ダーティー・ダズン・ブラス・バンド、メイヴィス・ステイプルズ、ジョン・フォガティ、ネヴィル・ブラザーズのアーロン、チャールズそしてシリル、ブルース・スプリングスティーン

では、最初はニューオリンズ・ファンクのバンドとして名を馳せたミーターズのふたりベースのジョージ・ポーターとドラムのジガブー・モデリステがフィーチャーされた曲。
ニューオリンズの定番、ドクターはもちろん、ジェイムズ・ブーカー、プロフェッサー・ロングヘアなどニューオリンズのミュージシャンにずっと歌い継がれている曲。曲名のジャンコ・パートナーは「ヤク中仲間」歌詞の内容はまあドラッグ中毒の仲間の話でお金を使い果たし、刑務所に入って、友達にもみはなされてもドラッグやめられない仲間のことを歌った歌。
1.Junko Partner/George Porter Jr and Zigaboo Modeliste

さて、次はビッグ・チーフ・モンク・ブードロー
マルディグラ・インディアンのグループであるワイルド・マグノリアスのメンバーであり、ゴールデン・イーグルスのチーフつまりリーダーでもあったモンク・ブードローを観たのは初めてニューオリンズに行ったとき。その後、朋友、山岸潤史がマグノリアスにメンバーとして加入してから何度かライヴも観てモンクにも会いましたが、最初観たときのマグノリアスはタンバリンや太鼓だけのいい意味ですごくプリミティヴな、しかし、すごくリズムのグルーヴのあるグループでニューオリンズでかなりハマりまして、よく聴きに行ってました。
ドクターとモンクのつながりも古くてマグノリアスのアルバムにドクターが曲を書き下ろしたこともあります。
聞いてもらうBig Chiefはニューオリンズの偉大なミュージシャンであり、ソングライターだった大好きなアール・キングが書いた曲です。
2.Big Chief/Big Chief Monk Boudreaux

このアルバムのメンバーの中でニューオリンズ出身でないのが、メイヴィス・ステイプルズとブルース・スプリングスティーン、そしてジョン・フォガティ。
ジョン・フォガティは僕と同世代の方ならCCR(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)でよく知っていると思いますが、「プラウド・メアリー」「フォーチュネイト・サン」「スージーQ」など60年代終わりから70年代にヒットを出したバンドで僕も大好きでした。ロックの殿堂入りもしているレジェンドですが、昔と変らないストレートでパワフルな歌はめちゃ気持ちいいです。
3.New Orleans/John Fogerty
ジョン・フォガティは72才。元気です。いまも月に5本くらいはコンサートやってますね。フェスティバルも出てるしヨーロッパにも行ってます。日本に来て欲しいですね。
このアルバムはさきほど言いましたプロデューサーのドン・ウォズがベース、キーボードにチャック・リーベル、もうひとりキーボードに僕もよく知っているパパ・グロウズ・ファンクのジョン・グロス、ドラムのケニー・アロノフこの人はジョンメレンキャンプにいたひとでもうスタジオ・セッション・ドラマーとして有名な人です。
トロボーンのサラ・モロウはドクターと長年活動してきた人で、最後はそのモロウとドクターと言えばこの曲を演奏しています。
4.Such A Night/Dr.John and Sarah Morrow(3分55秒からFO)
また、日本に来て欲しいです、ドクター・ジョン。

2017.07.14 ON AIR

テキサスの荒野のように乾いているが、暖かい歌声で飄々と歌うマンス・リプスカム

Mance Lipscomb/Texas Songster

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ON AIR LIST
1.Mama, Don’t Dog Me/Mance Lipscomb
2.Motherless Children/Mance Lipscomb
3.Take Me Back Baby/Mance Lipscomb
4.Rag In G/Mance Lipscomb
5.Baby Please Don’t Go/Mance Lipscomb
6.Willie Poor Boy/Mance Lipscomb(予備)

 

 

 

 

 

 

 

アルバムタイトルがテキサスソングスターですが、
songsterというのはその綴りがstar(stάɚ)ではなく、ster(stɚ)つまり「人」という意味でgangsterといえばギャングのことです。だからsongsterは「歌手」Texas Songsterはつまりテキサスの歌手・・・そんなこと改めて言わんでもと思いますが、つまりこの人はテキサス・ブルーズマンではなくてソングスター、この場合ソングスターというのはブルーズだけでなく、フォークソングやスピリチュアルズ、ラグタイムなども歌う人のことを指してます。
なのでレパートリーのバリエーションは幅広い人です。まずは一曲
1.Mama, Don’t Dog Me/Mance Lipscomb
すごくリズムがいいですよね。この時代の弾き語りのミュージシャンは酒場やパーティで演奏することが多かったので、ビートのある曲でみんなを踊らせるというのが大切な役割のひとつだったわけで、そうなるとリズムがよくないとダメだったのでしょう。

マンス・リプスカムは初録音が65才です。普通やったら定年で孫の世話と盆栽ですか・・その年でデビューです。
彼は1895年にテキサスに生まれてます。お父さんはフィドル、つまりバイオリンを弾いていたそうでそのお父さんの友達にギターを習ったようです。お父さんはアラバマで奴隷の子供として生まれてます。息子のマンス・リプスカムは奴隷ではなかったですが、お父さんが家族を捨ててどこかへ行ってしまったので、彼はテキサスの農園でシェア・クロッパー、要するに農園の小作人として毎日焼け付くような太陽の下でこどもの頃から働きました。
そして土曜の夜になると明けて日曜の昼近くまで近くのジュークジョイントで演奏して、日曜の夜は白人に呼ばれて演奏して、月曜にはまた農園で働くという生活を彼は47年間続けていました。
しかし、彼の歌を聞いているとどこか飄々としていてそういう過酷な日々を送ってきた人とは思えないです。逆にすべての思いをいろんな歌に託してある意味諦観、つまりあきらめていたのかも知れません。
次の歌はスピリチュアルズの有名な一曲で「お母さんが死んだら、お母さんのいない子供はつらい時を過ごす。お母さんが死んだら、お母さんのいない子供はつらい目に遭う。行く所がなくてドアからドアへさまよい続ける」母親がいなくてつらい目にあっている子供たちはいまも昔も世界中でさまよい続けています。
2.Motherless Children/Mance Lipscomb
いまの曲はエリック・クラプトンも「461オーシャン・ブールバード」で歌っていましたが、僕はステイプル・シンガーズのカバーが好きです。

マンス・リプスカムのようなソングスターの人たちはいろんなジャンルの歌を歌うのですが、マンスの声のどこかにいつもブルーズが潜んでいることを感じます。ヘヴィーなブルーズシンギングをするわけでもないので、フォークソングのようにも聴こえるんですがなんかとても悲しい声をしています。
このアルバムのジャケット写真もハットを被って、シャツ一枚でアコースティック・ギターを抱えていてよくいる南部の田舎のおっさんです。玄関先で夕方に歌っているこういう黒人のおっさんを見たことがあります。たぶん近所の人たちはこのおっさんが素晴らしいミュージシャンであることに気づいてないかも知れません。そのさらっと感がやはり音楽にも出ています。
次の一曲もそんな感じです。

3.Take Me Back Baby/Mance Lipscomb
いい声してますよね。いつまでも聞いていられる芯があって枯れてるけど暖かみのある声です。ライヴ聞いてみたかったですね。
1962年に65才で初録音してから亡くなった1976年まで15年の間に彼はカフェやクラブ、フェスティバルにたくさん出演して、ボブ・ディランやジョーン・バエズはじめ多くのミュージシャンに尊敬されて幸せな晩年だったのでは・・と思います。幸せだったと思いたいです。
ブルーズの世界にはブルーズの王様と言われたB.B.キングやオーケストラをバックに華やかなモダン・ブルーズを作ったT.ボーン・ウォーカー、面白い歌詞を作ってダンサブルなブルーズを歌ったルイ・ジョーダンといろんな有名なブルーズマンたちがたくさんいるのですが、その下には日常と寄り添って歌を歌い続けたこのマンス・リプスカムのような人や。まったく名前が知られてなくてレコードにはUNKNOWN(名前知れず、無名)と記載された人たちによって作り上げられてきた世界がブルーズです
次は彼のギターの素晴らしさがわかるインストの一曲です。
4.Rag In G/Mance Lipscomb

毎日仕事が終わってから家でギター抱えて歌ってたんでしょうね。誰に歌うでもなく自分に歌ってたんだと思います。
次はライトニン・ホプキンスやたさくんのブルーズマンが歌った曲「ベイビー、行かないでくれよ」 1分48秒のブルーズです。
5.Baby Please Don’t Go/Mance Lipscomb

財産もお金もない当時の農園で働き続ける黒人が、この歌のように恋人も失ってしまう・・その喪失感の大きさはいかばかりかと思います。
6.Willie Poor Boy/Mance Lipscomb

YouTubeに映像も出ているので見てください。本当に淡々としていて穏やかで、たくさんの辛かったことをすべて抱えて飄々と歌っているように見えます。今日はテキサス・ソングスター、マンス・リプスカムでした。名盤です。ゲットしてください。

2017.07.07ON AIR

ブルーズ・ザ・ブッチャー10周年記念アルバム”Rockin’ And Rolln'”を聴くvol.2

“Rockin’ And Rolln’”/blues.the-butcher-590213(P-VINE PCD-18823)

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ON AIR LIST
1.Running Shoes/blues.the-butcher-590213
2.Ball And Chain/blues.the-butcher-590213
3.Hey Bartender/blues.the-butcher-590213
4.Rock My Blues Away/blues.the-butcher-590213
5.Rockin’ And Rollin’/blues.the-butcher-590213

前回の引き続き手前味噌ですが、我がブルーズ・ザ・ブッチャーの10周年記念アルバム”Rockin’ And Rolln'”を聞きます。
僕たちブルーズ・ザ・ブッチャーはほぼ毎年アルバムをリリースして年間80本くらいのツアー・ライヴをこの10年繰り返してきました。ライヴの日以外にスタジオを取ってリハーサルとか練習をしたことは一度もありません。主に東京のホームであるライヴハウスJIROKICHIでライヴ前に新しい曲を合わせて、うまくいかなかったらまた次のライヴのリハーサルでやってみる・・その繰り返しですがうまく行ってすぐにその日にライヴでやることも多いです。
ブルーズバンドはライヴでやってなんぼのものですから、ライヴでやっていくうちに曲を自分のものにしていく・・そういうやり方です。逆にいうとライヴで出来ないことはレコーディングでやらない。だからレコーディングはダビングなし、つまりあとから何か音を加えることはありません。ライヴも録音も同じです。
今日最初に聴いてもらう曲も確かテイク1か2で終わったと思います。ハーモニカのKOTEZくんが歌っています。
1.Running Shoes/blues.the-butcher-590213

今回のアルバム”Rockin’ And Rolln’”のテーマはテキサス・ブルーズでいろんなタイプのテキサスのブルーズを収録したのですが、いまのRunning Shoesもテキサスのブルーズマン、ジューク・ボーイ・ボナーのカバーです。タフでラフでいかにもテキサスのブルーズマン

今回はうつみようこさんにゲスト・ヴォーカルに来ていただいてソロでは二曲うたっていただきました。いまから聞いてもらう曲がうつみさんから候補曲として出てきた時、僕はこのスローブルーズを歌える女性は日本で彼女しかいないと思いました。
ビッグ・ママ・ソーントンがオリジナル・シンガーですが、ジャニス・ジョップリンで知っている方も多いと思います。
愛する男が去っていった後も愛を断ち切れず、窓際に座り振る雨を見ながら彼を思う私の心には重い足かせ(ball&chain)がつけられているみたい・・そのヘヴィな気持ちをうつみさんが歌ってます
2.Ball And Chain/blues.the-butcher-590213
このうつみさんの素晴らしいブルーズの歌の後ろでギターを弾いてバッキングできたことはとても光栄です。録音中、ギターを弾きながらうつみさんのソウルフルな歌に入り込み、自分でもいいギターが弾けたと思っています。

ヘヴィなブルーズのあとはちょっとコミカルなブルーズで、オリジナルはやはりテキサス出身のブルーズ・ピアニスト、フロイド・ディクソンのブルーズを僕がカバーしました。ブルーズ・ブラザーズもカバーしていたので知っている方も多いかと思います。
歌詞はよくあるお酒ネタなんですが「酒飲みに行ってええ気分になってみんなにビール奢ったり、カウンターに座っている可愛い女性に声かけたり、大騒ぎしているうちに時間がどんどん過ぎて、1時半か・と思ってたらあっと言う間に4時。そしたら誰かがラストオーダーやぞと叫ぶという」まあ、飲み屋でよくみかける、私もよく体験するブルーズです。
3.Hey Bartender/blues.the-butcher-590213
オリジナルのファンキーなフロイド・ディクソンも探して聞いてみてください。

今回のアルバムのテーマのテキサスという土地は、戦前のブルーズの偉人ブラインド・レモン・ジェファーソンからライトニン・ホプキンス、フランキー・リー・シムズ、ライトニン・ホプキンス、T.ボーン・ウォーカー、ジョニー・ギター・ワトソン、アルバート・コリンズ、そして次に僕が取り上げた曲のオリジナル、ゲイトマウス・ブラウンと・・本当にブルーズマンの宝庫のようなところです。うつみさんがカバーした先ほどのBall And Chainのビッグ・ママ、そしてそれをカバーしたジャニスもテキサスの出身ですね。
オリジナルは50年代から60年代テキサスでテレビの番組のレギュラーになるほど人気者だったゲイトマウスブラウンです。
4.Rock My Blues Away/blues.the-butcher-590213
自分の歌をこうして公共のラジオで紹介して聴くというのは気恥ずかしくて、早く終わらんかなといま思ってたんですが・・僕は本当に自分の録音したものや映像もほとんど聞いたり、見たりしない方です。ミュージシャン仲間には自分の演奏を聴くのが大好きな人もいるんですが、僕は自分の写真を見るのも嫌いで、この放送もチェックするために聞いてますが本当は自分の声も聞きたくないタイプなんですよ。
でも、今回は自分のバンドのアルバムですから、もう変な汗かきながらずっと紹介して聞いてます。
では、最後に今回のアルバムのタイトル曲です。
この曲”Rockin’ And Rolln'”はB.B.キングやジミ・ヘンドリックスがやっている”Rock Me Baby”の原曲なんですが、「オレの背骨がなくなるまで一晩中ロックしてくれベイビー」というエロい曲なんですが、僕は背骨がなくなるほどやってもらったことはありまへん。
5.Rockin’ And Rollin’/blues.the-butcher-590213

2週に渡って僕のバンド、ブルーズ・ザ・ブッチャーの10周年記念アルバム”Rockin’ And Rolln’”を聞いていただきました。10年という月日はあっと言う間でしたが、これがたぶん僕の最後のバンドになると思うのでみなさん、機会があればどこかにライヴを聴きにきてください。
ブルーズを好きになって歌って45年、このブルーズ・ザ・ブッチャーが始まって10年。継続は力とよく言いますが、僕のように大した才能のない者にとって音楽をやっていく力はその継続しかありません。
ぼちぼちがんばります。

2017.06.30 ON AIR

ブルーズ・ザ・ブッチャー10周年記念アルバム”Rockin’ And Rolln'”を聴くvol.1

“Rockin’ And Rolln’”/blues.the-butcher-590213(P-VINE PCD-18823)

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ON AIR LIST
1.Tell Me What’s The Reason/blues.the-butcher-590213
2.Walkin’ With Frankie/blues.the-butcher-590213
3.Texas Flood/blues.the-butcher-590213
4.Hound Dog/blues.the-butcher-590213+うつみようこ

自分のバンド「ブルーズ・ザ・ブッチャー」が結成から10年を迎えました。1972年に最初のバンド、ウエストロード・ブルーズバンドを結成してから約45年経ちましたが、「ブルーズ・ザ・ブッチャー」がいままでやって来たバンドの中でいちばん長く続いたバンドになりました。ブルーズ・ザ・ブッチャーの前身となる「ブルーズ・パワー」から数えると通算9作目、ブルーズ・ザ・ブッチャーとしては8作目のアルバムがP-Vineレコードから先日6/2にリリースされました。
10年で8作ということはほぼ1年に一枚のペースでアルバムを作ってきたわけですが、アルバムを作って全国ツアーをするというバンド活動のサイクルもこの10年、ほとんど何も変わらずやってきました。
現在もリリースツアーの最中なのですが、今回も50本以上はツアーで回ります。
今回のアルバム”Rockin’ And Rolln’”のコンセプトはテキサス・ブルーズです。
テキサスといえば1920年代のブラインド・レモン・ジェファーソンからライトニン・ホプキンス、T.ボーン・ウォーカー、ゲイトマウス・ブラウン、ジョニー・ギター・ワトソン、アルバート・コリンズ、と名前のあるブルーズマンだけでもかなりたくさんいます。つまり、ブルーズマンの宝庫です。

まずは一曲。先日インタビューを受けたときに「憧れのブルーズマンは誰ですか」と訊かれて悩んだ末に名前を上げたのがT.ボーン・ウォーカーでした。洗練されていて、緻密でありながらもテキサスの伝統のアグレッシヴなテイストや土着性も感じさせるT.ボーン・ウォーカー。彼の50年代インペリアル・レコード時代の曲を今回録音に僕は選びました。「オレを惑わすのはなんでやねん。オレのこと好きやないくせにオレを自由にしてくれへん。なんでやねん」
1.Tell Me What’s The Reason/blues.the-butcher-590213
ドラム沼澤尚、ベース中條卓、ハーモニカKOTEZ、そしてギターとヴォーカル私永井ホトケ隆のブルーズ・ザ・ブッチャーでした。
このメンバーで10年活動してきたわけですが、僕は昔からバンド・メンバーとは同じ職場の仲間だと思っています。友達かといわれるとちょっと普通の友達関係ではないです。バンドという組織の中で音楽という同じ職業をやっている関係ですから、会社勤めをしている方の同じ職場の同僚と同じですよね。上下関係はないです。一応僕が年上なのでバンマスみたいな風に思われることが多いですがメンバーの関係は何もかもイーヴンです。僕は歌とギターを担当しているわけでステージではいちばん前に出てますが、常に全員同じスタンスと僕は想ってやってます。
では、メンバーのいちばん年下といってももうすっかりおっさんですが、ハーモニカのKOTEZくんの歌を聴いてみましょう。
2.Walkin’ With Frankie/blues.the-butcher-590213

いまのWalkin’ With Frankieのフランキーはオリジナルがテキサスのフランキー・リー・シムズというブルーズマンなのですが、このフランキー・リー・シムズが僕もKOTEZくんも大好きで僕も1曲録音したのですが、ファンキーでアグレッシヴですごく魅力的なブルーズマンです。顔はとっちゃんぼーやみたいな顔なんですけどね。
まあ、テキサスは本当に魅力的なブルーズマンがたくさんいるんですが、次の曲なんかはスティーヴィー・レイボーンのカバーで知っている人の方が多いと思いますが、ブルーズフリークの間では昔から人気のラリー・ディヴィスがオリジナルです。僕は70年代の最初、ブルーズを知り始めた頃に買ったデューク・レコードのコンピに入っていたこの曲がすごく好きで聴いてきたんですが、今回録音できて本当に嬉しいです。
テキサスが洪水になって彼女と電話が繋がらない。もう町は暗い雲と洪水で大変なことになってんのや。すると最後にオレは個々を離れるよ、故郷に帰れば毎日太陽が輝いているという歌詞で終わるのですが、電話が繋がらん彼女はどうすんねん・・・とモヤモヤしたままのブルーズです
3.Texas Flood/blues.the-butcher-590213

今回のアルバムのひとつの目玉は女性ヴォーカルのうつみようこさんにゲスト参加していただいたことなんですが、本当に素晴らしい歌手で、いま日本で彼女ほどリアリティを持ってブルーズを歌える女性は本当にいないです。
うつみさんはご存知の方も多いと想いますが、かってはメスカリン・ドライヴというパンク・ガールズバンドで名を知られていましたが、そのあとソウルフラワー・ユニオンに参加されて、その後からいままでソロ活動されているんですが、コーラスも上手いですし度胸ありますし・・・僕は彼女にブルーズの曲だけのフル・アルバムを作ってもらいたいと想ってます。めっちゃ期待しています。
とにかく声量も歌いっぷりも本当にブルーズ向きで、ライヴでも遠慮なくギター弾かしてもらってます。
海外で子供の頃を過ごされているので英語の歌のノリを本当に自然表現できている人です。
次の曲なんかもご本人曰くいわゆるベタな選曲ですが、ベタに終わらせないところがすごいです。
4.Hound Dog/blues.the-butcher-590213+うつみようこ
手前みそで申し訳ないのですが、来週もブルーズ・ザ・ブッチャーの新しいアルバムを聞きます。

2017.06.23 ON AIR

グラミー・コンテンポラリー・ブルーズ・アルバム賞獲得
ファンタスティック・ネグリートを聴く

FANTASTIC NEGRITO/Last days of oakland (P-VINE PCD-24547)

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ON AIR LIST
1.Scary Woman/Fantastic Negrito
2.Working Poor/Fantastic Negrito
3.Hump Thru The Winter/Fantastic Negrito
4.The Worst/Fantastic Negrito
5.Nothing Without You/Fantastic Negrito

 

 

 

 

今年のグラミー賞のコンテンポラリー・ブルーズ・アルバムを受賞したファンタスティック・ネグリートの「Last days of oakland 」を今日は聴いてみたいと思います。コンテンポラリー・ブルーズ・アルバムとは、コンテンポラリーつまり「同時代のとか現代の」ブルーズ・アルバムという賞ですが、この番組を聴いている方の中にはトラッドなブルーズが好きで聴いている方も多いので、いまから聴いてこれがブルーズなのかという疑問を持たれる方もいると思います。僕自身もブルーズという言葉を使う時、どこまでの範疇で使えばいいのか、考えさせられる時もあります。
今日は聴いているみなさんの意見を聞いてみたいです。

今日聴いてもらうLast days of oaklandというアルバムにはファンクやヒップホップ、ロック、またある種のパンクのテイストもあり、いわゆるストレートなブルーズ・アルバムではないのですが、歌詞の中には現在のいまの、つまりコンテンポラリーなアメリカのブルーズが歌われています。かってブルーズがストリートの、それも裏通りバック・ストリートの生活から生まれたものであったように、このアルバムで歌われている内容とそのサウンドには現在のバック・ストリート・ブルーズのテイストが詰まっています。
かって僕がいろんな黒人ミュージシャンに「ブルーズって何を指してブルーズ」と呼ぶのかと訊いて、返ってきたいちばん多い答が「それは歌詞だ」というものでした。だから逆にいうとワンコーラス12小節、三つのコードといういわゆるブルーズというフォームを使って演奏し、歌ってもその歌っている内容がブルーズではないものもあるわけです。
最終的にその聴き手ひとりひとりがその音楽をブルーズと思うか、ブルーズを感じるかどうかですが・・・。
さて、今日のファンタスティック・ネグリートのLast days of oakland つまり、オークランドの最後の日々をみなさんはどう感じるでしようか。
まずは一曲
この曲は50年代からの黒人R&Bのテイストを含み、プリンス的なノリ、グルーヴも感じさせる、でも根っこはブルーズを感じさせます。
1.Scary Woman/Fantastic Negrito
Scary(ské(ə)ri )Womanとはやっかいな女とか怖い女という意味で、「機嫌がいい時は最高だけど、機嫌が悪い時は最悪。本当にやっかいな女だ。ケツの振り方は最高。だけどオレの金を使い果たして、オレを自分の夢から追い払おうとした。機嫌がいい時は最高だけど、機嫌が悪い時は最悪のやっかいな女。オークランドの女さ」
こういう歌詞って昔のブルーズにもたくさんありました。

サウンドの作り方がいいというか僕の好みなんですが、オルガンの使い方なんかいい感じです。

2.Working Poor/Fantastic Negrito
Working Poorとは一生懸命働いているのに貧しい人のことです。「会社で上司にこき使われて、休みの日のことばかり考えている「ドアをノックしてるけど、ノックしても中に入れてくれない」という歌詞が何度も繰り返されるんですが、まあ一生懸命働いて給料をたくさんもらっていい暮らしができるようにと思ってそのドアを叩いているけど、そこには入れてもらえない。そういう楽な暮らしにはならないということでしょう。これもブルーズが生まれたその初期からずっとブルーズで歌われて題材です。

初めての音楽を聴く時、僕の基準になるのはまずその歌手の歌声で、その声が好きになれないとどんないい曲を歌われても好きになれないです。その歌声というのは歌い方も入ってます。そして、リズムがグルーヴがいいか好きなタイプかそれから全体のサウンドのテイストと歌詞です。
ギターが上手いからとか歌が何オクターブも声が出るとかそういうことはあまりどうでもいいです。そういう意味ではこのアルバムは僕の好みです。
次の曲、あれ?これって思う人いると思います。ハードロック好きな人はとくに。
まあ聞いてみてください。
3.Hump Thru The Winter/Fantastic Negrito
そうです。レッド・ツェッペリン。そういう音楽の影響も受けているファンタスティック・ネグリート、ちょっと面白いですね。

次はスピリチュアルズやゴスペルのテイストもあり、メイヴィス・ステイプルズが歌いそうな曲です。
すごくシンプルな歌と歌詞の底辺にルーツ・ミュージックを感じさせファンクやロックのテイストも積み重ねている音作りです。
“Money and power they’re the Root of all evil”(金と権力がすべての悪の根源)という言葉で始まるこの曲は、ちょっと社会的な歌ですが、彼の書く詞が複雑なのでストレートに理解するのは難しいです。
4.The Worst/Fantastic Negrito
5.Nothing Without You/Fantastic Negrito
アルバムのグルーヴ感とかサウンドとか全体の重い、重心の低いどっしりしたミステリアスなムード、こういうのが僕は好きなんですね。グルーヴにはスライ&ファミリー・ストーンやプリンスにも通じるものもあり、ロックやゴスペルのサウンドのテイストも散りばめられて更にその下には現代のいろんな問題や彼なりのブルーズが歌われている気がしますが、ブルーズという音楽のくくりをどこまで自分の中で広げるのかという問題は残ります。みなさんはどう思われますか?