2017.10.13 ON AIR

まったりとしたルイジアナのR&Bバンド「クッキー&カップケイクス」の楽しさ

Cookie & The Cupcakes/From Louisiana Bayou(P-Vine PCD-2138)
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ON AIR LIST
1.Got You On My Mind/Cookie & The Cupcakes
2.Sea Of Love/Cookie & The Cupcakes
3.Mathilda/Cookie & The Cupcakes
4.Shake Rattle & Roll/Cookie & The Cupcakes
5.I’ve Been So Lonely/Cookie & The Cupcakes

 

 

 

 

さあ、今日はビールかワインでも飲みながらルイジアナのレイドバックした「クッキー&カップケイクス」のグルーヴに体を揺らしてください。
すごく有名なバンドではないんですが、ルイジアナならではのグルーヴに僕は最初から好きになりました。ここには有名な全国区のバンドでは出せないいなたいルイジアナの田舎臭さがあります。
最初の曲は僕もブルーヘヴン時代にカバーして歌ってた曲。
1.Got You On My Mind/Cookie & The Cupcakes

「クッキー&カップケイクス」というバンドの名前がいいですよね。名前からして楽しい。
1953年にルイジアナのレイクチャールズで結成されているんですが、音楽的に言うとケイジャンというルイジアナのフランス系(ルイジアナは昔フランスの植民地だった)の移民の音楽とザディコというアフリカン・アメリカンが演奏する音楽をミックスしたものに、R&Bを入れたものです。ザディコもケイジャンもルイジアナのクラブでダンス・ミュージックとして人気のある音楽でルイジアナのリラックスしたクラブで夜な夜なみんな踊ってます。まあ、ルイジアナそしてニューオリンズ独特の音楽です。

次はレッド・ツェッペリンのVo.ロバート・プラントのソロ・バンドだった「ハニー・ドリッパーズ」やトム・ウェイツ、レゲエのヘプトーンズなどたくさんの人がカバーしている有名な曲で、映画のタイトルにもなってこの曲が重要なキーポイントとして使われてました。アル・パチーノが主演で1989年に公開された”Sea Of Love”
もうベタのあまーいラブ・ソングで、聴いてるのも恥ずかしいくらいの甘さですが、ルイジアナの女性はこういうのがええんでしょうか。
「初めて出会った時のこと覚えてる?君が僕のお気に入りになったあの日のこと。どのくらい君のこと好きか君に言いたい。僕と一緒においでよ愛の海に。どんなに好きか君に言ってあげたい。一緒においでよ愛の海にSea Of Loveに」
2.Sea Of Love/Cookie & The Cupcakes

クッキー&カップケイクスのクッキーさんは、ヴォーカルとサックスなんですが、写真見ると人の良さそうな小太りのおっさんでそのクッキーという名前のように可愛い顔してます。メンバーの写真を見るとやっぱルイジアナのバイユーですから蒸し暑いんでしょうね。みんな開襟シャツ来てめっちゃイナターイです。
そのB級パーティ・バンド的な感じがすごくいいです。彼らには1曲だけヒットした曲がありまして1959年ビルボードチャート47位までいきました。
3.Mathilda/Cookie & The Cupcakes
なんかルイジアナの古いダンスホールで、オシャレして集まった近所の人たちがチークダンスしている光景が目に浮かびます。
ジェリー・リー・ルイスとかファツ・ドミノがニューオリンズでやるコンサートのオープニングをやったり、普段はニューオリンズ近辺のホテルのラウンジとかクラブで演奏してたみたいです。ルイジアナらしいゆるさがどこかにあるバンドなんですが、パーティ・バンドですからお客さんを踊らせなければならないんで次のようなダンス・ナンバーも上手いです。
元々はジャズ・ジャンプ・ブルーズのキング、ビッグ・ジョー・ターナーのヒットです
4.Shake Rattle & Roll/Cookie & The Cupcakes

アメリカのクラブ、とくにちょっと地方のクラブへ行くと長くその店に出ているレギュラーのバンドがいて、やっぱり毎日演奏してるんで演奏は上手いんですよ。観てると何でこの人売れないんやろというミュージシャンなんかいっぱいいます。やっぱりきっかけとかチャンスがないと全米の日の当たるところにはなかなか出れないんですよね。このクッキー&カップケイクスもそんなに売れたバンドではないんですが、僕は最初聴いたときからいいなぁって好きになってもう30年くらい聴いてます。B級なんですけど、地域の人たちに愛されていて、すごく気楽に行けるクラブでいつも演奏してるバンドっていいやないですか。超一流もいいんですけどね。僕はこういうローカル色のあるバンド大好きです。もう一曲。
5.I’ve Been So Lonely/Cookie & The Cupcakes

2017.10.06 ON AIR

70年代メンフィスのソウル・クイーン、アン・ピーブルズのブルージーな歌声

The Best Of Ann Peebles The Hi Records Years(Hi 7243-8-52659-2-1)
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ON AIR LIST
1.I Can’t Stand The Rain/Ann Peebles
2.A Love Vibration/Ann Peebles
3.Part Time Love/Ann Peebles
4.If This Is Heaven/Ann Peebles
5.Walk Away/Ann Peebles

 

 

 

 

この前に74才で素晴らしいアルバムを発表したメンフィスのソウル・シンガー、ドン・ブライアントを聴いてもらいましたが、今日はそのドンの奥さん、メンフィス・ソウルの女王アン・ピーブルズを聴こうと思います。
女性ソウル・シンガーっていうと歌唱力と声量で歌いあげるシンガーを思い浮かべる方も多いと思いますが、アン・ピーブルズは淡々とあっさり味です。でも、あっさりですがダシはすごく聴いています。ブルーズ味のダシがしっかり出ています。ルックスも可愛くてスタイルも黒人女性ソウルシンガーとしてはスレンダーで、日本でもファンは多い方やと思います。
現在は心臓が悪くてもう10年くらいステージに立っていないんですが、彼女が残した70年代のメンフィスのハイレコードの音源はいま聴いても本当に素晴らしくて、こういう女性ソウル・シンガーももういないなぁ・・と思います。
まずは旦那のドン・ブライアントとアンの共作でR&Bチャート6位まで上がり、かのジョン・レノンがこの曲を大好きだと言った彼女の代表曲です。
「I can’t stand the rain against my window/窓を打つ雨に耐えられない
Bringing back sweet memories/その雨音が甘い思い出を蘇らせるから」
と始まるこの歌は自分を残して出ていってしまった彼を想い出す雨の日の失恋の歌です。イントロから印象的です。
1.I Can’t Stand The Rain/Ann Peebles
なんとも印象に残る曲で、曲も素晴らしいんですが、アン・ピーブルズの悲哀に満ちた歌声がいいです。
70年代、彼女が所属していたハイ・レコードにはアル・グリーン、OV.ライト、シル・ジョンソン、オーティス・クレイ、女性コーラスグループのクワエット・エレガンスと素晴らしいシンガーたちがいましたが、その中でもアンは売れっ子で70年代半ばディスコ・ブームが来るまではコンスタントにアルバムをリリースしてました。
僕がいちばん最初にアンの歌を好きになった曲はハイレコードのコンピレーション収録されていた次の一曲。オーバーなアレンジや大げさなところがどこにもなくて、素朴ささえかんじさせる短い曲なんですが、それがたまらなく切ない感じを出しています。これが僕の胸をヒットしてここからアン・ピーブルズのアルバムを探すことになりました。
彼女は例えばアレサ・フランクリンのように音域の広さとか歌のテクニックがすごくあり圧倒的に聴かせるタイプではなくて、さりげなく心のこもった歌を歌う人でしかもどこかブルーズのテイストが漂っている歌手です。
2.A Love Vibration/Ann Peebles

お父さんは教会の牧師さんでお母さんは歌手という環境で小さい頃からお父さんのクワイヤーで歌うというもう歌手になるしかないような血筋と環境です。
小さい頃から「ピーブルズ・クワイヤー」という家族のファミリー・ゴスペルグループで歌ってました。お父さんは牧師さんですけど世俗の音楽であるソウルやブルーズを歌うことに反対しない人だったようで(中にはゴスペルしか歌ってはいけないという牧師さんもいる)、68年にメンフィスのクラブで歌っているところをスカウトされ、今日聴いてもらっているハイ・レコードと契約。翌年にはデビューしてその曲がトップ20位に入ってますから、そんなに苦労しているタイプではないですね。74年にさっきも言いました27才でドン・ブライアンと結婚してます。それからずっと別れることなく43年間「ソウル界のおしどり夫婦」ですから。

次の曲は有名ブルーズのカバーで、アンは声がブルージーなのでこういう歌を歌ってもハマります。オリジナル・シンガーは1963年R&Bチャート1位になったリトル・ジョニー・テイラー。
元々はミディアムスローだったのをハイ・レコード特有の重い8ビートでアレンジしてます。このビートが素晴らしいのでそこも聴いてください。
朝帰りしてくる彼に「どこいってたん?」と訊いても何も答えない。今度この男と別れたら私はパートタイムラブを探すわ。つまり束の間の恋を探す。もうフル・タイムラブはいらないということか。こういう曲が南部のおばちゃんたちにウケるんですよ。これもトップ10位に入ったヒットです。
3.Part Time Love/Ann Peebles
バックのハイレコードのミュージシャンたちの演奏がもう素晴らしいです。

76 年にハイ・レコードの社長のウィリー・ミッチェルが会社の経営権を売ってしまって実質的にハイの時代は終わって、アンも79年には一時引退しました。
でも、88年にカムバックしたんですが2012年心臓が悪くなって完全に引退状態になっています。残念です。本人も歌いたいでしょう。
1977年のハイ・レコードもあまりヒットが出なくなった頃の、これがハイのディスコ寄りの精一杯のダンス・ミュージックだったのかと思います。
4.If This Is Heaven/Ann Peebles
もう一曲。
5.Walk Away/Ann Peebles
「悲しみと涙の毎日 それは私にとって何の価値も意味もない。泣くのはやめて私は立ち上がってここから出ていくわ」

今日は70年代のメンフィスのソウル・クイーン、アン・ピーブルズの”The Best Of Ann Peebles The Hi Records Years”を聴きました。
じわじわと心に沁みる歌を歌う彼女のアルバムをゲットしてこの秋の夜、お酒でもちょっと飲みながらメンフィス・ソウルを楽しんでください。

2017.09.29 ONAIR

多彩なブルーズ・ハーモニカが聴けるコンピレーション・アルバム

Blues Masters, Vol. 4: Harmonica Classics(RHINO R2 71124)

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ON AIR LIST
1.Juke/Little Walter
2.Help Me/Sonny Boy Williamson [II]
3.Rocket 88/Jimmy Cotton Blues Quartet
4.Steady/Jerry McCain
5.I Got Love If You Want It/Slim Harpo
6.Messin’ With The Kid/Junior Wells’ Chicago Blues Band

 

 

 

 

今日はブルーズ・ハーモニカを聴いてみようと思います。今日聴くアルバムはコンピレーション・アルバムでいろんなブルーズマンのハーモニカ・プレイが入ってます。これをリリースしているレーベルはいつも抜群のセンスでコンピレーションしてくれるライノ・レコード。タイトルはBlues Masters, Vol. 4: Harmonica Classics。かなり前に出ていたのを僕は中古盤屋さんでゲットしたものです。
ブルーズのハーモニカというのは本当にいろんな種類があって、いちばんよく知られているのがシカゴ・ブルーズ・ハーモニカ・スタイルだと思います。まあ、そのシカゴ・ブルーズのハーモニカにもいろんなスタイルがあって一概にこれがとは言えないんですが、まずはシカゴ・ブルーズのハーモニカ・プレイヤーとしてというよりすべてを含めたブルーズのハーモニカ・プレイヤーとしてトップにいまも立ち続けるリトル・ウォルター。聴いてもらうのはまだマディ・ウォーターズのバンドのメンバーだった時の録音で、ギターは御大のマディ、そしてギター名人ジミー・ロジャース、そしてドラムはエルジン・エルウッド。 R&Bチャートで1位になったリトル・ウォルターの1952年の大ヒット。
1.Juke/Little Walter
リトル・ウォルター22才の時の大ヒットJuke。ニューオリンズ生まれですが、なんせ12才(小学6年ですから)で家を出てニューオリンズへひとりで行ってからヘレナ、メンフィスあたりからシカゴへ流れ渡ったもう強者です。そのハード生き方を証明するように顔は傷だらけで、彼が喧嘩早い奴だったという話も納得の顔です。
初めての人はチェスレコードからリリースされているベスト・オブ・リトル・ウォルターをまずゲットするといいと思います。

次はリトル・ウォルターと双璧の実力者でウォルターとは違うサザン・ハープ、南部のハーモニカのスタイルを作りあげた偉大なブルーズマン、サニーボーイ・ウィリアムスン。南部のヘレナ、メンフィスそしてミシシッピーのハーモニカ・プレイヤーでこのサニーボーイの影響を受けた人はかなり多い。さっきのリトル・ウォルターはハーモニカの音をアンプを通したアンプリファイドした音にしてサウンドを作った人ですが、サニーボーイはアンプを通さないスタイルです。
彼は映像もいくつか残っていますが、かの伝説のロバート・ジョンソンと一緒に放浪の旅していたこともあり、歌もハーモニカもその演奏する姿からもなんか底知れない怖さみたいなものを感じます。
これから聴く「Help Me」もオレを助けてくれなかったら、オレの面倒を見てくれなかったらオレは新しい女を見つけるさという・・まあオレには女はいっぱいおるんやからな・・と暗に言うてる歌ですが、なんか怖いです。まあオレには女はいっぱいおるんやからなって言うてみたいですけどね。
1963年サニーボーイ・ウィリアムスン
2.Help Me/Sonny Boy Williamson [II]
いまの曲のムードが抜群にいいですよね。本当にブルーズの中のブルーズみたいな曲で曲のグルーヴ感とサニーボーイのなんか地獄の果てまで知ってるような歌声、そのあとに出てくるハーモニカ・プレイもまさにブルーズ。ブルーズのかっこよさ、クールさを持った名曲だと思います。
前も話ましたけどブルーズの世界にはサニーボーイ・ウィリアムスンがふたりいまして、いまのサニーボーイは本名アレック”ライス”ミラーで二番目のサニーボーイということでサニーボーイIIと呼ばれています。で、サニーボーイ1の方は2よりも先にシカゴで活躍したブルーズマンで本名がジョン・リー・ウィリアムソン。ブルーズのスタンダードになっている”Good Morning Little School Girl”を歌ってヒットさせた人です。
やはり、このサニーボーイ1の影響を受けた人もたくさんいるので外せないハーモニカ・プレイヤーですが、このアルバムには収録されていないのでまた次回紹介します。

シカゴに南部から続々と素晴らしいハーモニカ・プレイヤーがやってきたのが、40年代50年代で、次のジェイムズ・コットンも南部メンフィスで叩き上げのブルーズマンで、いま聴いてもらったサニーボーイ2に直接教えを受けた数少ないプレイヤーのひとつりです。最初はサザン・ハープ・スタイルでしたが、シカゴに移ってからはやはりアンプを通した豪快なハーモニカ・サウンドになっていきました。彼の多彩でパワフルなハーモニカもすごく魅力的です。
聴いてもらうのは1965年シカゴでの録音、当時はジェイムズではなくてジミー・コットンと記載されています。
3.Rocket 88/Jimmy Cotton Blues Quartet

僕は1976年にアメリカで初めて彼のプレイを生で聴いたのですが、ちょうど「100%コットン」というファンク・ブルーズの名盤をリリースした直後で、まあライヴはのけぞるくらいすごかったです。最後に唇から血を出すくらい激しいハーモニカ・プレイでした。
次はダウンホームなサザン・ハープの典型でもあるジェリー・マッケイン。
ゆったりしたシャッフル・ビートに乗って広がりのあるおおらかなハーモニカ・サウンドで南部の綿花畑を車で走っているような感じです。
4.Steady/Jerry McCain
こういうゆったり感はハーモニカもそうですが、バックの演奏もダウンホームにならないと出来ません。
最近はハーモニカが流行ってます。ハーモニカは手軽ですぐ音も出るものですから、日本でもたくさんハーモニカを吹いてブルーズをやる人が増えました。簡単そうに見えるし、聴こえますがハーモニカはなかなか奥深く難しいです。とくにブルーズのハーモニカはテクニックも多彩ですが、自分の音が出来てブルーズのムードが作れるのに時間がかかります。でも、身近ないい楽器ですからみなさんもひとつ買ってみて吹いてみてください。
次はルイジアナを代表するファンキーなブルーズマンで60年代のローリング・ストーンズはじめヨーロッパのロックバンドにもめちゃ受けしたスリム・ハーポ。所属したエクセロレコードの独特のサウンドと彼の歌とハーモニカ、そしてギターがぴったりとうまく合わさった唯一無二のかっこいいブルーズサウンドです。
5.I Got Love If You Want It/Slim Harpo
そして、最後はもう一度シカゴに戻り、リトル・ウォルターやサニーボーイの後輩にあたるジュニア・ウエルズ
ジュニアは歌にもハーモニカにも独特の匂いがある人で、この匂いが60年代シカゴのストリートのリアルなブルーズです。
6.Messin’ With The Kid/Junior Wells’ Chicago Blues Band

今日聴いてもらったこのアルバム「Blues Masters, Vol. 4: Harmonica Classics」には、他にもJimmy Reed、Billy Boy Arnold、Snooky Pryor、Paul Butterfield、Lazy Lesterなど素晴らしいハーモニカ・プレイヤーがたくさん収録されています。是非、ゲットしてみてください。ブルーズのハーモニカ・アルバムとしてお薦めです。

2017.09.22 ON AIR

メイヴィス・ステイプルズの75才の誕生日と
彼女の功績を祝ったコンサート

I’ll Take You There – An All-Star Concert Celebration [Live] /Mavis Staples

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ON AIR LIST
1.Respect Yourself/Mavis Staples & Aaron Neville
2.Will The Circle Be Broken/Mavis Staples, Bonnie Raitt, Taj Mahal, Gregg Allman & Aaron Neville
3.The Weight/Full Ensemble
4.Turn Me Around/Mavis Staples & Bonnie Raitt

 

 

 

 

今日は大好きなメイヴィス・ステイプルズの75才を祝うコンサートのライヴ・レコードを聴きます。リリースは今年6月ですがコンサートが開かれたのは2014年の11月ですから、リリースまでにずいぶんと時間がかかっています。

お祝いのコンサートということでメイヴィス・ステイプルと親しいミュージシャンが本当にたくさん参加しているので、僕があまり知らない人もいるのですが知っているところで名前を上げると、ボニー・レイット、ウィルコ(ジェフ・トゥウィーディ)、グレッグ・オールマン、タージ・マハル、ジョーン・オズボーン、アーロン・ネヴィル、マイケル・マクドナルド、エミルー・ハリスなどです。
ではまずアーロン・ネヴィルとのメイヴィスのデュエットを。曲はメイヴィスがステイプル・シンガーズ時代1971年にリリースされたもので、ゴスペル・グループであり、メッセージ・ソングを歌い続け平等や平和そして人種差別の撤廃を訴えたグループらしい歌です。「君自身を大切にしょう、そして仲間も大切にしょう」
1.Respect Yourself/Mavis Staples & Aaron Neville

いまアーロン・ネヴィルが歌っていたパートがメイヴィスのお父さんローバック”ポップ”ステイプルズが歌っていたパートです。お父さんは2000年に亡くなりましたが、ステイプル・シンガーズというグループは1940年代にお父さんと子供たちで結成されたファミリー・ゴスペル・グループです。結成された時、メイヴィスは10才くらいだったと思います。53年メイヴィス14才の時にレコード・デビューです。そして17才くらいの頃にVee Jayレコードからリリースされた「Uncloudy Day」や「Will The Circle Be Broken」がヒットして、それはいまもゴスペルの名曲になっています。
では、その名曲「Will The Circle Be Broken」をこのコンサートで超豪華メンバーで歌っているので聴いてみましょう。
2.Will The Circle Be Broken/Mavis Staples, Bonnie Raitt, Taj Mahal, Gregg Allman & Aaron Neville
寒くて曇った日に亡くなった妹が霊柩車に乗せられて行く時に、運転手に少しゆっくり走ってくれないか、大好きな可愛い妹がいなくなるのが辛いんだよ。神様、天国では輪(The Circle)は壊れることなく、空にはもっといい安住の家があるんですよねと訊ねている歌です。

いまのメンバーの中のグレッグ・オールマンはこの前この番組で追悼特集しましたが、今年の5月に亡くなってしまいましたが、きっと空の上の安住の家にいるんだと思います。
メイヴィスはステイプル・シンガーズ時代からいろんな歌を歌い、さっきのRespect Yourselfをリリースしたスタックス・レコード時代のあとはカーティス・メイフィールドのカートム・レコードで映画のサントラにもなった”Let’s Do It Again”というナンバーワンヒットも出しました。ちょっとポップな歌も歌ったこともありましたし、プリンスのプロデュースでメイヴィスはソロを2枚だしましたが、ずっと一貫して変らないのはゴスペルとメッセージソングを歌いつづける姿勢です。その大きな柱は75年間なにも変っていません。
次の曲は覚えているロック・ファンの方もいると思いますが、ザ・バンドの最後のアルバム「ラスト・ワルツ」でステイプル・シンガーズで歌ったザ・バンドの曲です。これはこのメイヴィスの75才記念アルバムに参加した人みんなで歌ってます
3.The Weight/Full Ensemble
ここ数年メイヴィスはこれまた僕の好きボニー・レイットとよくデュオでライヴをやっているんですよ。YouTubeにも映像が出てるんですが、なんとかこのふたりを日本に呼ぶことはできませんかね。まあ、ふたりともアメリカの音楽の国宝みたいな人たちですからね、ギャラも高いと思いますが・・・・。
4.Turn Me Around/Mavis Staples & Bonnie Raitt
メイヴィスは年とともに少し声が出づらくなっていますが、元気でライヴ活動を続けているし、ここ数年はメイヴィスをリスペクトする白人のロックバンド「ウィルコ」や「ノース・ミシシッピ・オールスターズ」などにプロデュースやバックアップされていいアルバムをリリースしています。
オルタナティヴな音楽を目指す若い白人の彼らは、変らない彼女の音楽への姿勢に共感するところがたくさんあるのでしょう。
僕は1975年にロスで初めて生のステイプル・シンガーズをテレビの公開ライヴでみました。それから3回メイヴィスを見ています。いつもソウルフルで本当に素晴らしい歌を聴かせてくれます。ずっと元気で歌い続けて欲しいです。I Love Mavis!

2017.09.15 ON AIR

オールドスクールスタイルのシカゴ・ブルーズ
「The Cash Box Kings」の新譜”Royal Mint”

Royal Mint/The Cash Box Kings (Alligator Records ALCD 4976)
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ON AIR LIST
1.House Party/The Cash Box Kings
2.Flood/The Cash Box Kings
3.Build That Wall/The Cash Box Kings
4.Daddy Bear Blues/The Cash Box Kings
5.I Come All The Way From Chi-Town/The Cash Box Kings

 

 

 

今日は現在シカゴを中心に活躍する「キャッシュ・ボックス・キングス」のニューアルバム「ロイヤル・ミント」を聴いてみようと思います。
「キャッシュ・ボックス・キングス」は白人のハーモニカのジョー・ノセクが中心になって作られたバンドで2003年にアルバム・デビューしています。40年代50年代のオールド・スクールのシカゴブルーズを目指すバンドとして人気も定着し、アルバムもコンスタントにリリースしていて今回で8枚目か9枚目になると思います。途中から黒人のオスカー・ウィルソンをヴォーカルに据えてバンドの評判が一気に上がりました。やっぱりブルーズは歌ですからね。
今回の主なメンバーはドラムは曲によってケニー・スミスとマーク・ヘインズが叩き、ギターはビリー・フリンとジョエル・ピーターソン、ベースはブラッド・バーというのがキャッシュ・ボックス・キングスとしてクレジットされていて、あとそこにゲスト・ミュージシャンが数人参加していて、そのゲストには僕の友達のピアノのLeeちゃんが参加しています。
まずはジャンプ・ブルーズ的な賑やかなブルーズからアルバムは始まります。
1.House Party/The Cash Box Kings

ジャンプ・ブルーズの王様のルイ・ジョーダンに同じ曲名の曲があるんですが、それとは違ってましたが誰の曲なんでしょうか。確かエイモス・ミルバーンにも同じ曲名があったと思います。
一曲目でこれからパーティが始まるよっていう感じですね。
実は2ヶ月ほど前に僕のライヴのホームである東京のライヴハウスJIROKICHIで演奏終わったあとに流れてたのが次の曲で、僕は思わずハーモニカのコテツくんに「これってマディ・・?やないよね」と言ったくらい歌声もバックもオリジナルのマディに似ていて笑いました。バックのミュージシャンたちも腕利きで、コピー能力がすごいのでほとんどマディのオリジナルのシカゴ・ブルーズ・サウンドの雰囲気そのままのムードが出ています。マディ・ウォーターズやというてもだまされる人がいると思います。
典型的な50年代シカゴ・ブルーズのアンサンブルでシカゴ・ブルーズが大好きな方は「いいね」と気持ちが落ち着く一曲やと思います。途中でピアノ・ソロが出てきますが、ピアノはLEEが弾いてます。
2.Flood/The Cash Box Kings
オスカーさんはマディの息子ビッグビルモーガンフィールドよりいい感じです。
そして4曲目に突如ロックンロールというよりロカビリーな曲が出てきます。最初にオールドスクールスタイルのシカゴ・ブルーズを目指す「The Cash Box Kings」と言いましたので、これはどういうことなんや?と思う方もいると思いますが、前からこういうポップ・ロカビリー的なレパートリーがあるようです。
ちょっと唐突な感じがしないでもないです。こういうロカビリーのセンスはハーモニカのジョー・ノセクらしいのですが、この曲も彼のオリジナルで歌も彼が歌ってます。
3.Build That Wall/The Cash Box Kings

アルバムの4曲目になっていきなりいまの曲が来て、ここで「このアルバムのコンセプトはなんやねん」という感じになる人もいると思います。とくに初めてキャッシュボックス・キングスを聴いた人は・・。箸休め的な感じでちょっとテイストの変った曲を入れるのだったら8曲目に入っている同じノセクさんが歌っている次のようなブルーズの曲で充分箸休めになると思うのですが、どうでしょう。
典型的なブルーズ・バラッドでちょっとジャズ・テイストというこの曲が、アルバムのコンセプトも守りつつ充分に箸休めになっていると思います。
4.Daddy Bear Blues/The Cash Box Kings
Leeのピアノ・ソロもバッキングのギターも見事です。
次はジョン・リー・フッカー・スタイルの曲で、ビリー・フリンとジョエル・ピーターソンのふたつのギターが本当に上手い。あえて希望を言うならもう少しミシシッピ的なアーシーな破壊力欲しいですね。ギター、上手すぎます。でも、歌がやはりいいので聴いてしまいます。
5.I Come All The Way From Chi-Town/The Cash Box Kings
現在のブルーズのあり方はすごく多様になっていて例えばキャッシュボックス・キングスのように、40,50年代の全盛期のシカゴブルーズをリメイクスするようなオールド・スクールなグループもあれば、今年グラミーのコンテンポラリーブルーズ部門を受賞した「ファンタスティック・ネグリート」のように歌詞の内容に現代のブルーズを入れ込んで、サウンド的にはファンクやロック、ヒップホップの要素を柱にブルーズを塗りこんでいるような人たちもいるし、ケブ・モのように戦前ブルーズを踏襲しながら弾き語りのブルーズをやる人、ロバート・クレイのようにソウルよりになっている人、ノース・ミシシッピー・オールスターズのようにルーツにブルーズを持ってオルタナティヴ・ロックをやる人、あと白人のブルーズロックなバンド、そしてバディ・ガイのように毎回違うものをやる人・・・いろいろいるんですが、何を指してブルーズというのか難しくなっています。
僕自身はシカゴ・ブルーズに固執するとか、ニューオリンズものだけとかという限定する気持ちもないし、オーソドックスなブルーズを守ろうという気持ちもないです。僕はブルーズ・ザ・ブッチャーでメンバーが好きな曲を毎回ある程度コンセプトを決めて、自分たちのバンド・サウンドで成り立つものということだけ意識しています。もちろん。個人的には出来てないこともたくさんあります。
ブルーズという音楽は昔に生まれたものですが、古い音楽ではないです。その音楽が新しいか古いかというのはブルーズを演奏する人が、聴く人が「オレ、古い音楽やってるんだよね」とか「古い音楽聴いてるんだ」と思えばもうそれは古いです。でも、昨日新しいものは今日には古いし、昨日古かったと思ったものが今日新しく思えるものもあります。僕はブルーズは、僕がやっているブルーズはいつもずっと新しいと思ってやってます。だからことさら新しさを意識してアルバムを作ったり、演奏することもないし、古いくていいものだから残そうという気持ちもないです。
また、ことあるごとに自分なりのブルーズへの気持ちはこの番組で言っていきたいです
今日はシカゴのいまのバンド「キャッシュボックス・キングス」の新譜ロイヤル・ミントを聴きました。