永井”ホトケ”隆
BLUESという音楽は19世紀の終わり頃にアメリカ南部のどこかでアフリカン・アメリカン(アメリカ黒人)によって歌われ始めたと言われています。最初に歌った人の名前もその場所も特定することはできません。アフリカから奴隷として連れて来られた黒人たちがつらい日々の生活の中でひとり自分に向かって歌った心の呟きのようなものがブルーズの始まりだったのです。一日の仕事が終わった後やつかの間の休み時間に彼らはブルーズを歌うことで心の憂さを忘れようとしたのでしょう。19世紀の終わりから20世紀の初めにかけてブルーズは同じ境遇の黒人たちの心情に強く訴えることとなり瞬く間にアメリカ中に広まっていきました。そして、広まるにつれてブルーズには様々なタイプが生まれていきました。悲しくつらい日々の生活、想いが遂げられない恋心、あてどなく放浪する気持ち、きれいな女を手に入れた自慢などなど日々の出来事をすべて彼らはブルーズというスタイルで歌い上げました。そこにはまた多種多様なリズムが生まれ深々としたスロー・ブルーズだけでなくブギウギのようにダンサブルなリズムも生まれ、ゴスペルはじめ他の音楽からの影響も受けていきました。そして、ブルーズはジャズ、R&B(リズム&ブルーズ)、ソウル、ファンクなどが生まれるルーツともなり、「ブルーズはロックの父」と呼ばれるほどロックの誕生にはなくてはならぬものでした。
百数十年前の誕生から現在までブルーズは激しく移り変わるポピュラー・ミュージックの世界で生き延びて来た生命力の強い音楽でもあります。決して過去の音楽ではありません。「ブルーズの王様」と呼ばれる有名なブルーズマン、B.B.キングは「ブルーズが滅びる時があるとするならそれは人類が滅びる時だろう。何故なら人間が生きている限りその生活からブルーズが生まれてくるからだ」と語っています。年代や人種を越えてブルーズが世界に広まっていった理由はまさに普遍的な心情が歌われてきたことと、心を躍動させるリズムがこの音楽の中に強く存在したからです。そういうブルーズという音楽に惹かれて35年、私はブルーズを歌い演奏してきました。そしてブルーズをたくさんの方に知ってもらうために本を出版したり、イベントのプロデュースも行ってきました。しかし、私はいまもブルーズを好きになった初めての頃と変わらずブルーズの熱狂的なリスナーであります。いまこの番組「BLUES POWER」を始めるにあたってブルーズに関して私が知っていることすべてとブルーズへの情熱をこの番組に注ぎたいと思っています。そして私のような熱狂的なブルーズ・リスナーがたくさん増えることを願っています。そしてブルーズという音楽がもつ素晴らしさを知っていただき、ブルーズのパワーがみなさんの生きていくパワーになればと思っています。では、番組でお会いしましょう!!Listen To The Blues!!
Takashi"Hotoke"Nagai(blues.the-butcher-590213)
☆BLUESは日本では(ブルース)と発音することが定着してしまいましたが、本来の英語の発音では(ブルーズ)と少し濁って発音されます。