今年最後のON AIRは賑やかにニューオリンズのキング・オブ・パーティソング 、ヒューイ・ピアノ・スミスをレコードで!
Rock&Roll Revival/Huey “Piano” Smith (ACE 2021)
ON AIR LIST
1.Don’t You Just Know It/Bobby Marchan And The Clowns(A-1)
2.High Blood Pressure/Bobby Marchan And The Clowns(A-3)
3.Rockin’ Pneumonia and the Boogie Woogie Flu/The Clowns(B-1)
4.Sea Cruise/Huey Piano Smith And Geri Hall(B-6)
5.Having A Good Time/Bobby Marchan And The Clowns(A-2)
今年もこの番組を聴いていただきありがとうございました。
今年は自分のバンド、ブルーズ・ザ・ブッチャーで新しいアルバム”Blues Before Sunrise”をリリースし、リリース全国ツアーも無事終わりました。
この番組は10月で13年目に突入しました。日本で唯一のブルーズ・ラジオ番組として、ブルーズとそのまわりのいい音楽、他のラジオ局がON AIRしない、ここでしか聴けないいい音楽をまた来年もON AIRします!
それでこの季節、みなさんも忘年会とかパーティも多いと思いますが、今年最後のON AIRはニューオリンズのパーティソングの王様、ヒューイ・ピアノ・スミスのアナログレコードで賑やかに終わりたいと思います。
まずはついついコーラスしたくなるこの曲から
1.Don’t You Just Know It/Bobby Marchan And The Clowns
ヒューイ・ピアノ・スミスは50年代のはじめにアール・キング、スマイリー・ルイス、ギター・スリム、ロイド・プライスといったニューオリンズの名だたるシンガーたちのバックでピアノを弾いていました。50年代半ばになって自分のバンドを作ろうとなったのですが、彼はピアニストで歌があまり旨くなかったのでバンドに歌手を入れて自分の曲を歌わせるというスタイルになりました。その最初のバンド、ザ・クラウンズにヴォーカリストで入ったのがボビー・マーシャン。
いまのも演奏者のクレジットがBobby Marchan And The Clownsになっていますが、Huey Piano Smith And The Clownsになっているものもあります。
いまのは1958年にポップ・チャートのトップ10に入り、R&Bチャートではトップ5まで上がる大ヒットでした。
当時は白人のラジオ局と黒人のラジオ局とON AIRされる曲が違ってたんですが、いまのDon’t You Just Know Itは白人黒人両方のラジオ局で流れたというめちゃウケの曲やったわけです。いま聴いてもこれは売れると思います。
それで実はいまの曲のシングルのもう片面の曲もヒットしまして、シングル両面ヒットということになりました。その曲が次のこれ!
2.High Blood Pressure/Bobby Marchan And The Clowns
歌はさっきと同じボビー・マーシャンですが、途中のヒューイさんのピアノ・ソロもグルーヴしていて素晴らしい。
最初のDon’t You Just Know ItはR&Rのテイストでしたが、いまのHigh Blood Pressureはいかにもニューオリンズ・リズム&ブルーズという曲で好きです。
今日聴いてもらってるアルバムは”Huey Piano Smith’s Rock&Roll Revival!”というタイトルでミシシッピー・ジャクソンにあったACEレコードがブームが去った60年代中頃にヒット曲をコンピレーションしてリリースしたものです。
ヒューイ・ピアノ・スミスがクラウンズを結成して最初にヒットした曲がこの番組でも何度かON AIRしてますが、「ロッキンニューモニア・アンド・ブギウギフリュ」
「オレはロックする肺炎とブギする風邪にかかってしまった」というめちゃくちゃな歌ですが、要するに音楽でハイになってるということでしょう。
3.Rockin’ Pneumonia and the Boogie Woogie Flu/The Clowns
ヒューイ・スミスが所属したエースレコードの社長のジョニー・ヴィンセントがひどい奴で、ヒューイ・スミスが録音した次の歌のテイクに白人のティーンエイジャーだったフランキー・フォードというシンガーの歌をかぶせて無断で発売するという・・・いまなら考えられませんが。まあ、黒人がヒットさせた曲を白人シンガーに歌わせてもっとヒットさせるというやり方はよくありますが(黒人のビッグママが歌ったHound Dogをプレスリーに歌わせるというような)、でも同じテイクの上に違うヴォーカリストかぶせてしまうというのは、ヒューイ・スミスもめちゃ気分悪いです。そんなことがあって社長のヴィンセントとはうまくいかなくなるんですが、嫌なことがあっても彼の信条は「くよくよしない」やったそうで、明るい歌をたくさんつくりました。
これまたすごく印象に残るいい曲でヴォーカルはヒューイ・スミス(おっさん、歌えるやん!)とゲリー・ホールのデュオです
4.Sea Cruise/Huey Piano Smith And Geri Hall
ヒューイ・ピアノ・スミスが活躍した50年代のニューオリンズはR&Bの全盛期で、リトル・リチャードやファッツ・ドミノなどを筆頭にヒューイ・ピアノ・スミス、ロイド・プライス、ギター・スリム、アール・キングなど個性的で才能のあるミュージシャンが次次に出て、録音するスタジオのミュージシャンもこのアルバムにも入っているドラムのアール・パーマー、ベースのフランク・フィールズはじめピアノのアレン・トゥーサン、ジェイムズ・ブーカー、ギターのドクター・ジョン、サックスのリー・アレン、アルヴィン・タイラーなど素晴らしいミュージシャンが揃っていました。本当にいい時代だったと思います。
5.Having A Good Time/Bobby Marchan And The Clowns
今年も大きな病気もなくアルバムを作り、ツアーとライヴをたくさんできて幸せな1年でした。年を重ねてくるともう大きな望みはなく元気でいつまでも自分の音楽をやれていい音楽を聴けたら、それでもういいかなと最近思います。そして、この番組を続けられれば最高です。いい年末年始をお過ごしください。Hey! Hey! The Blues Is Alright!