2019.09.13 ON AIR

ニューオリンズ・リズム&ブルーズの道を作った偉大なプロデューサー、デイヴ・バーソロミュー vol.2

The Best Of Fats Domino (EMI CDP 7 46581 2)
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New Orleans The Ultimate Collection (Union Square Music)
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The COSIMO MATASSA STORY (PROPER BOX 129)
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ON AIR LIST
1.Blue Monday/Fats Domino
2.Lawdy Miss Clawdy/Lloyd Price
3.Come On/Earl King
4.Let The Good Times Roll/Shirley & Lee
5.Walking To New Orleans/Fats Domino

前回、6月に100才で亡くなった偉大なプロデューサー、デイヴ・バーソロミューがプロデュースした曲や彼自身の曲を聴きましたが、今日もまず彼なくしては語れない偉ファッツ・ドミノがバーソロミューと作った曲から始めましょう。
月曜日をテーマにした曲はほとんど月曜に働きに行くのがイヤだというものですが、この曲もそうです
「ブルーな憂鬱な、嫌な月曜日や。一日中奴隷みたいに働かなアカン。そしてハードな火曜日がやってくる。遊ぶ時間もないんやで、もうめちゃしんどいわ。水曜も木曜もそんな調子で金曜には給料もらえるし、土曜になったら疲れはどっかへいってしまう。彼女そさって金もあるしや、出かけて遊びまくるで。日曜日は休みとっとかんとな。また最悪の月曜がくるから」
1.Blue Monday/Fats Domino
実はこの曲スマイリー・ルイスが先に1954年にリリースしたんですが、売れなくてその二年後にファッツがリリースするとR&Bチャートのトップになり、ポップチャートでも5位という大ヒット。
ちなみにこのBlue Mondayは映画「The Girl Can’t Help It」(女はそれを我慢できない)の中でファッツ自身が歌うシーンがあります。それもあっての大ヒットだったかも知れません。

次の大ヒットもバーソロミューのプロデュースですが、1952年に19才だったロイド・プライスに歌わせたこの曲はR&Bチャートの1位に7週間もとどまるヒットになり、ロイド・プライスを代表する曲となりました。彼はこのあとも”Just Because”などで素晴らしいR&Bを聴かせています。
2.Lawdy Miss Clawdy/Lloyd Price
もうなんと言っても歌が素晴らしい。
デイヴ・バーソロミューが最初にプロデュースを手がけた曲はインペリアルというレコード会社からリリースされたのですが、いまの曲はスペシャルティというレコード会社からの1952年のリリースです。どうもインペリアルレコードともめたらしくてスペシャルティの録音をしたのですが、たぶんお金のことでしょうね。でも、金を出してもらったのか、またインペリアルに戻っていってます。
バーソロミューは僕が大好きなこの曲もプロデュースしています
3.Come On/Earl King
この曲はこの前もドクター・ジョンの追悼の時もON AIRしましたが、ジミ・ヘンドリックスがアルバム「エレクトリック・レディランド」でカバーしているのを知っている方もいると思います。デイヴ・バーソロミューのような人というとブルーズ界ではシカゴ・ブルーズのウィリー・ディクソンで、ディクソンはベーシストでシンガーでもありましたが、彼自身の曲はあまり売れなかったんですが、やはりプロデューサー、タレントスカウトとしての才能はありました。マディ・ウォーターズもハウリン・ウルフもサニー・ボーイもやはりディクソンのプロデュースがあったからのヒットやと思います。バーソロミューの立場をニューオリンズで60年代から70年代引き受けたのが、アレン・トゥーサンです。彼はバーソロミューの録音にピアニストとして若い頃参加しています。たぶん、そこでバーソロミューのプロデュースのやり方も学んだと思います。
どんなにいい歌手でも曲に恵まれないとまず売れません。そしてその曲をどんな風にアレンジして、どんなミュージシャンにどこのスタジオでどのエンジニアを使って録音させるかというのがプロデューサーの仕事です。だからプロデューサーというのは音楽を作る上で最もトップにいる立場なんですね。それをこれだけヒット曲を出したデイヴ・バーソロミューはやはり偉大というしかないでしょう。
次の曲も大好きな曲です。1956年のヒットです。
4.Let The Good Times Roll/Shirley & Lee
ドラムはアール・パーマー・・・無敵です。
バーソロミューがプロデューサーとして腕を振るったインペリアル・レコードは1963年にリバティ・レコードに買い取られ、バーソロミューはウエストコーストからニューオリンズへ帰ってきました。そして、トランペット・レコードやマーキュリーレコードでプロデュースをし自分のレーベルを立ち上げたりしましたが、セールス面での成果はあまりなかったようです。70年代80年代はニューオリンズでディキシーランドジャズバンドを立ち上げたりもしましたが、まあ悠々自適の晩年だったのでしょう。
最後の曲は元々ボビー・チャールズが書いた曲ですが、ある時ボビー・チャールズが大ファンだったファッツ・ドミノのコンサートの楽屋で会ったそうです。その時にファッツが「今度ニューオリンズのオレんところに遊びにおいでよ」と誘ったそうです。その時ボビー・チャールズは車を持っていなくて「もし、ご自宅へ行くのなら僕は歩いてニューオリンズへ行かなくては・・」と答えてこの歌ができたそうです。ニューオリンズまで歩いていく・・。
5.Walking To New Orleans/Fats Domino
この曲もヒットしてR&Bチャート2位、ポップチャート6位まで上がりました。

元々ニューオリンズはジャズからR&Bまで優れたミュージシャンがたくさんいるところでしたが、そのミュージシャンたちをまとめてクオリティの高いしかも売れるエンターテイメントにしたデイヴ・バーソロミューはもっと知られて評価を受けるべき人だと僕は思います。僕もこういう音楽を好きになった最初はプロデューサーの名前なんてクレジットにあっても見なかったんですが・・・。
アトランティックレコードのアーメット・アーディガンやジェリー・ウエクスラー、モータウンのベリー・ゴーディ、マッスル・ショールズのリック・ホール、そしてアラン・トゥーサン、そして二回に渡ってきいてもらったデイヴ・バーソロミューといったプロデューサーたちはほんとに素晴らしい音楽を世の中に出した人たちです。
デイヴ・バーソロミュー・・・みんなも名前を覚えておいてください。