2018.08.31 ON AIR

来日する貴重なディープ・ソウル・シンガー、Willie Hightower

Willie Hightower/Willie Hightower(P-Vine Records PLP-6002)
img

ON AIR LIST
1.Nobody But You/Willie Hightower
2.Too Late/Willie Hightower
3.If I Had A Hammer/Willie Hightower
4. Baby How I Love You//Willie Hightower
5.It’s A Miracle/Willie Hightower

一度来日が延期になっていたディープ・ソウル・シンガー、ウィリー・ハイタワーが10月にやってきます。と、言ってもそんなに有名なシンガーではないので知っている方も少ないと思いますが、歌の実力は文句なく素晴らしくて待ち望まれる来日です。
彼のようなディープ・ソウルを歌う歌手も本当に少なくなっているので、もし今日このON AIRを聴いて興味を持った方は是非来日公演に行ってみてください。東京ビルボードで10月の27日、29日、30日と三日間、大阪ビルボード10月25日です。そして、このライヴはバックにブッカーT&MG’sのギタリスト、スティーヴ・クロッパーとメンフィスのハイ・リズム・セクションが参加します。だからキーボードのチャールズ・ホッジズ、ベースのリロイ・ホッジズも参加ですね。

まずはウィリーのゴスペル・テイストが感じられるというか、教会でゴスペル聴いているようなムードになる曲を。
オリジナルはウィリーの友達だったディー・クラークの1958年のヒットです。
「他の誰かやったらあかんのや、オマエやないと、他の女ではあかんのや。オレの手を握って私はあんたの恋人よって言うてくれ。オマエやなかったらあかんのよ」
1.Nobody But You/Willie Hightower

少しウィリー・ハイタワーの略歴を説明します。本名はウィリー・フランク・ハイタワーで1940年アラバマの生まれです。教会で歌い始めたのは6才。それからゴスペル・グループの一員になりテキサスのピーコックレコードで何枚かゴスペルのシングルをリリースして、60年代のはじめに同じゴスペル出身のサム・クックに影響を受けてR&Bの世界に入りクラブで歌い始めます。やはりこの60年代初期にサム・クックがゴスペルからR&Bの世界にデビューしたことと、彼の歌の上手さの影響はかなりのもので、本当にたくさんのR&B,ソウル・シンガーに影響を与えてます。偉大です、サム・クック!
それでクラブで歌っていたところをニューヨークの敏腕プロデューサー、ボビー・ロビンソンに紹介してもらうことになり、1965年に”What Am I Livin’ For”というチャック・ウィリスのカバー曲でデビューします。ウィリー・ハイタワーは曲を作れるシンガーだったのでゴスペル時代から自作の曲はあったのですが、このデビューでもB面は自作のToo Lateという曲を録音しています。
2.Too Late/Willie Hightower
自分の歌でテンションがじわじわと上がっていくところが実にいいです。
ブルーズン・ソウルというか、ブルーズとゴスペルのテイストがミックスされた重厚な曲です。ボビー・ブランドの歌にもありそうな曲ですが、彼はアイドルはサム・クックだったと言ってます。どっちにしろ彼の歌の底力がわかる曲でもあります。でも、これはヒットしなかった。

次の”If I Had A Hammer”は1966年の録音ですが、実はその2年前64年にウィリー・ハイタワーが尊敬するサム・クックがライヴアルバム”At The Copa”でこの曲をレコーディングしています。日本題は「天使のハンマー」というこの曲は元々ピート・シーガーという白人のフォーク・シンガーがヒットさせた曲で、「ハンマーを打って、ベルを鳴らして、みんなで歌おう」というフォークです。たぶん、サム・クックは白人のクラブ「コパ」でライヴをやるのに白人のお客に合わせてこの曲を選曲したんだろうと思います。でも、サムが歌ったことで黒人の間でもこの曲は流行りました。ハイタワーの歌はサムに似ているところもありますが、サムよりもうすこしワイルドな感じです。
この曲がウィリー・ハイタワーの名前を上げた一曲となりました。
3.If I Had A Hammer/Willie Hightower
これがヒットしてそのあとボビー・ロビンソンのプロデュースで何曲かリリースされ、今日聴いてもらっているアルバムはその頃のシングル盤のコンピレーションです。
でも、いまの歌より僕は次の歌なんかがウィリー・ハイタワーの真骨頂やと思います。歌のグルーヴ感といいパワフルさといい、やはりこのシンガーがただ者ではない感じがします。
「めっちゃ好きやねん、めっちゃ愛してんねん。さよなら言われたらオレ死んでまうで・・」とまあ、ずっと愛してるというてる歌です。
4. Baby How I Love You//Willie Hightower
もうなんか怒濤のようなダンス・ナンバーで踊らざるを得ない感じです。

今日聴いてもらっているのは、60年代にさっき言いましたプロデューサーの、ボビー・ロビンソンが自分のレーベル「エンジョイ」「フューリー」からリリースしたシングルを日本のP-Vineレコードが編集したアルバム「Willie Hightower」で、LPレコードで1983年リリースです。
もう一曲聴きますか。
「愛には不思議な力があるとオレは思う。その力は貧しい者を豊かにし、普通の男を王様にし、普通の女を女王にするようなものだ。時々、君は落ち込んでひとり座りそして泣く。愛がそこにあればその悲しみはどこかへ言ってしまう。愛は奇跡を生む。愛は奇跡だ」
5.It’s A Miracle/Willie Hightower

かって今日のウィリー・ハイタワーのようなソウル・シンガーはたくさんいました。主に60年代にデビューしたシンガーたちで強いゴスペルのテイストを持ちながらR&B,ソウルを歌ったシンガーたちです。OV.ライト、ジェイムズ・カー、オーティス・クレイ、ジョニー・テイラー、ソロモン・バーク、オーティス・レディンク゜など・・でも、いまは本当に少なくなってこういう重厚なソウルを歌えるシンガーが本当に少なくなりました。
ソウル・ミュージックという言葉のソウルという意味、魂という意味を本当に歌に表してくれる素晴らしいシンガーだと思います。
もし、時間とお金があれば是非、ウィリー・ハイタワーのライヴに足を運んでください。
10月の27日、29日、30日と三日間東京ビルボード、大阪ビルボード10月25日