2016.12.02 0N AIR

テキサスのワイルド・ブルーズ・ギタリスト/ピー・ウィー・クレイトン

Pee Wee Crayton/テキサス・ブルース・ジャンピン・イン・ロス・アンジェルス~ザ・モダン・セッションズ48~51(P-Vine PCD-24356)
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ON AIR LIST
1.Texas Hop/Pee Wee Crayton
2.Blues After Hours/Pee Wee Crayton
3.I Love You So/Pee Wee Crayton
4.Brand New Woman/Pee Wee Crayton
5.Huckle Boogie/Pee Wee Crayton

 

 

 

今日はテキサス出身のワイルド・ギタリスト、ピー・ウィー・クレイトンを聴きます。
Pee Weeってあだ名で小さいっていう意味なんですが、役者にピィー・ウィー・ハーマンいう人がいましたし、ジェイムズ・ブラウンのバックのホーンにピー・ウィー・エリスもいましたが、この人はあんまり小さい印象がないんですが・・。
1983年にピーウィー・クレイトンはサックスのクリーンヘッド・ビンソンと来日しました。まあ小さかったけどその時はバンマスでしっかり仕切っていた印象が強いです。その時69才。その2年後の85年に亡くなりました。
ブルーズギターを志す人、とくにテキサス系のワイルドなギターが好きな人なら必ず一度は彼のギターに出会います。コピーしたくなる魅力的なギタリストです。その彼の魅力であるワイルドなブルーズギターが聴けるインストの曲から今日はスタート
1948年11月の録音です。
1.Texas Hop/Pee Wee Crayton

テキサス・ホップのホップは三段跳びのホップ・ステップ・ジャンプのホップのようにぴょんと飛ぶっていう意味からビールの苦みにつかうホップという意味もあるし、ダンスっていう意味もあるし、麻薬の意味もあります。まあ、この場合はダンスで飛び跳ねるという意味ですかね。

ピーウィー・クレイトンは1914年のテキサス生まれです。同じテキサス出身のモダン・ブルーズギターの父と言われたT.ボーン・ウォーカーとは四才違い。当然、めっちゃ売れたT.ボーンの影響をモロに受けています。1935年にはそのT.ボーンと同じようにウエストコーストに引っ越します。ここで1948年にモダーン・レコードと契約。この年の終わりにすぐにR&Bチャートのトップになった彼の最初のヒットが次の”Blues After Hours”
アフター・アワーズっていうのは店が{閉店後}とか「仕事が終わったあと」って言う意味で、通常のライヴが終わったあとにミュージシャンたちが仲間うちのセッションで演奏するのもアフターアワーズって言います。

2.Blues After Hours/Pee Wee Crayton
これは僕もカバーしているのですが、昔この曲がピーウィーだと知らなくてTボーンのヴァージョンを最初に聴いてました。
この曲や一曲目のテキサスホップでわかるようにピーウィー・クレイトンはワイルドなギター・インストで売れた人で、まあちょい先輩のT.ボーンのワイルドさの火に油を注いだような感じです。だからその手のギターインストがいくつも発売されたんですが、実は甘いバラードも歌ってまして、そんなに歌上手くないですがこれがヒットしたんですね。たぶん本人は悦に入って歌ってたと思うんですが、歌の上手さは先輩T.ボーンには及びません。でも、まったくあかんのかというとこれが上手くないながらも哀愁があるんですね。
「日が落ちて夜になり、オレの愛すべてがころげ落ちていく、スウィートハート、おまえのことを愛している。でも、おまえは他の男を好きになったんやね。オレはバカだよ、我慢できないんや。愛してるよ。」まあ、ベタなラブ・ソングですわ。
3.I Love You So/Pee Wee Crayton
どうですか。なんか頼んない歌のうらびれた感がいいというか、微妙な魅力があります。

次の曲は同じやはりテキサスのゲイトマウスを思い出させるんですが、こういうジャンプ・ブルーズ的なダンサブルな曲調や歌い方、ギターがいわゆるテキサス・ブルーズという感じのものです。まあ、イケイケですよね。イケイケでいっときながら時々さっきのような甘いバラードでチークタイムとまあ女性をクラブで口説く時の必須アイテムですね。
「オマエは新しい男見つけて、オレが泣くと思たやろ。オレはニューヨークへ行った、めっちゃ豪華な街や。ほんまええ女もおるで。メンフィもええよ。でも、オレに合う街やない。オマエと別れて泣きたいよ。新しい女を見つける・・それがええやり方やろな」
新しい女を見つけて生きていくよという決意宣言でしょうか。
4.Brand New Woman/Pee Wee Crayton
イントロでギターをジャラジャラ・・・と鳴らしてましたが、あれもピーウィーの得意技です。
ギターソロはあきらかにブルーズだけでなく、ジャズの影響もあることがわかりますが、あまりジャズジャズしないでブルーズのイナタさもあるところがいいですね
では、もう一曲、豪快なテキサスジャンプ・ブルーズナンバー
5.Huckle Boogie/Pee Wee Crayton

今日聴いたこの40年代終わりから50年代頭にかけてのピーウィー・クレイトンが録音としては全盛で、このあとアラディン、インペリアル、VJなどいくつかのレコード会社に吹き込みましたが、あとに残るヒットもなくこの時代がやはりいちばん充実してます。