2016.10.14 ON AIR

サザンソウル、ノーザン・ソウル、ディープ・ソウル・・
そしてファンク60年代ブラック・ミュージックの先端 その3

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ON AIR LIST
1.My Girl/The Temptations  (Motown Magic The Ultimate Hits Collection Motown/Polydor POCT-1566)
2.In The Midnight Hour/Wilson Picket (Wilson Pickett’s Greatest Hits/ Atlantic 7 81737-2)
3.We’re Gonna Make It/Little Milton  (We’re Gonna Make It&Sings Big Blues /ChessChecker MCA MVCM-22024)
4.Mercy Mercy/Don Covay  (SEE-SAW Atlantic/Warner WPCR-27515)
5.My Guy/Marry Wells  (Motown Magic The Ultimate Hits Collection /Motown/Polydor POCT-1566)

前回はジェイムズ・ブラウンのPapa’s Got A Brand New Bag がヒットした1965年のあたりの話をしていたんですが、その65年にノーザン・ソウルの拠点モータウン・レコードの中でも最も印象に残る曲がリリースされR&Bチャートでもポップチャートでも両方1位になった曲があります。当時のモータウン・サウンドの典型的な曲です。みなさん、どこかで一度は耳にしたことのあるでしょう。
1.My Girl/The Temptations
YouTubeで当時のテレビ番組に出たテンプテーションズの映像(https://www.youtube.com/watch?v=6IUG-9jZD-g)を是非見てください。彼らのダンスの振り付けが本当に楽しくて素晴らしいです。この曲はテンプテーションズを代表する曲であり、モータウンレコードを代表する曲にもなりました。
65年あたりはもうモータウンはヒット曲出まくりでブイブイです。ミラクルズ、マーヴァレッツ、マーサ&バンデラス、シュプリームス、まだリトルがついたリトル・スティーヴィー・ワンダー、メリー・ウエルズそしていまのテンプテーションズなどもうヒット・ミュージシャンがいっぱいですよ。
やっぱり白人層にも買ってもらえる曲とか歌詞とか音作りというのをモータウンは意識して作っていたので売れるともうドカーンですよね。
僕はブルーズ、サザンソウルから入ってきたので、少しヤワに感じられるモータウンの音は昔は最初あまり好きじゃなかったです。でも、いまになって聴いてみるとがっしりしているところはめちゃがっしりしてるんですけどね。
その1965年ディープ・ソウルの名曲を。
2.In The Midnight Hour/Wilson Picket
ウィルソン・ピケットの不滅のソウル名曲ですミッドナイト・アワー。これはR&Bチャートでは1位になったんですが、ポップチャート21位どまりでした。つまり白人にはめちゃ受けなかったということです。さっきのMy GirlはR&Bでもポップでも1位ですからやっはりモータウンの方が商業的な戦略は成功したということです。でも、音楽的には両方とも素晴らしいんです。

では。この65年にブルーズ派のヒットはなかったのかというとありました。50年代にマディ・ウォーターズやハウリン・ウルフでブルーズのレコード会社として名前が全国区になったチェス・レコードが、50年代半ばからマディたちのそれまでのシカゴ・ブルーズの売れ行きが落ちてきてR&B、ソウル系の曲のリリースを始めます。エタ・ジェイムズ、シュガーパイ・デサント、ジーン・チャンドラー、フォンテラ・バスとかがヒットを出しました。その中でこの65年にR&Bの1位を出したのが元々メンフィスのコテコテのブルーズマンだったリトル・ミルトン。ミルトンは最初ボビー・ブランドとB.B.キングを足してニで割った感じだったんですが、このヒット曲で完全に自分のスタイルを作り上げました。「お金がなくても大丈夫、ふたりで力を会わせてがんばっていけば俺たちはきっとやっていける」という内容なんですが、60年代半ば黒人たちの意識がポジディヴな方向に向かっていた世相も感じられます。
3.We’re Gonna Make It/Little Milton
いまの曲はブルーズテイストよりほとんどソウルテイストですが、その歌の底辺には貧しさや差別といったどうしょうもないブルーズ的な生活がずっと続いてるけど「もうそろそろオレたちの生活もよくなっていくといいよね」という黒人たちのささやかな希望を感じます。
リトル・ミルトンは60年代の終わりから70年代にかけていわゆるブルーズン・ソウル(Blues And Soul)というブルーズとソウルをミックスしたカテゴリーを作った人ですが、僕が歌ったり、このばんぐみの最後に言っているThe Blues Is Alrightのヒット80年代に出したブルーズマンでもあります。日本にも1983年に一度来てくれましたが、よかっですね。自分のブルーズ&ソウルの世界をしっかり歌った実に立派なステージでした。堂々としてるなぁっていう印象でした。
次は64年のR&Bチャート1位になったヒットなんですがこの歌声イギリスのロックバンドの誰かにそっくりですよね。
4.Mercy Mercy/Don Covay

実はローリング・ストーンズのミックがいちばん歌い方について影響を受けたのがこのドン・コヴェイだと言われてます。実際この64年の翌年65年に出されたローリング・ストーンズのアルバム”Out Of Our Heads”の一曲目がいまのMercy Mercyでした。僕は当時中学三年でストーンズがすごく好きになった頃ですけど、この曲はストーンズのオリジナルだとずっと思ってました。それから5,6年くらいしてブルーズにハマっていまのオリジナルを聴いたら、ストーンズはまるまるドン・コヴェイやん・・と思いました。
さて、その60年代半ばのイギリスですごく人気の女性R&Bシンガーがモータウンのメリー・ウエルズでした。このメリー・ウエルズの可愛さとほのかな色気のある声にイギリスの若い男たちはやられたんですね。曲を作ったのはスモーキー・ロビンソン。メロディ、歌詞、アレンジ、演奏、コーラスすべてが美しくてスモーキーらしいものです。1964年R&B、ポップチャートともに1位を獲得したR&Bの名曲です。
5.My Guy/Marry Wells