2016.10.07 ON AIR

サザンソウル、ノーザン・ソウル、ディープ・ソウル・・
そしてファンク60年代ブラック・ミュージックの先端 その2

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ON AIR LIST
1.Where Did Our Love Go/The Supremes
2.Hi-Heel Sneakers/Tommy Tucker(record)
3.Got To Get You Off My Mind/Solomon Burke
4.Shot Gun/Junior Walker & The All Stars
5.Papa’s Got A Brand New Bag (Part 1)/James Brown

前回から引き続き60年代のソウル
1964年、僕は14才中学2年でラジオのヒット・チャートでビートルズやストーンズを追いかけてました。その頃なんとも言えない魅力的な女性の歌声がチャートに入ってきました。
それがいまから聴いてもらうこのスプリームスの曲。リード・ヴォーカルはダイアナ・ロス。恋人との別れの歌ですが、ビートが素晴らしいので聴いていると、ついつい体が動いてノってしまいますが、ダイアナの声はよく聴くと切ないです。R&Bチャートもポップチャートも1位を取った大ヒット曲で、こういうサウンドが典型的なモータウン・サウンドだと僕はいつも思います。南部のサザンソウルより都会的で洗練されたサウンドが特徴的です。そのあたりが黒人だけでなく白人層にも受けたところです。
日本のタイトルは「愛はどこへ行ったの」
1.Where Did Our Love Go/The Supremes
60年代中頃、ヒットを連発するビートルズに対抗できたのはアメリカの白人の音楽ではなく、いまのモータウンレコード、アメリカの黒人ソウル・ミュージックでした。
しかし、この時代はいろんなソウル・ミュージックが全米の各地から出てきて、洗礼されたモータウン・サウンズなんかが盛り上がっているところにブルーズのレーベルとして有名なシカゴのチェスレコードの系列のチェッカーからリリースされてR&Bチャート1位になったブルーズ・テイストのこれはどうだ!さっきのシュプリームスと同じ1964年とは思えないイナタ、カッコよさ。
2.Hi-Heel Sneakers/Tommy Tucker(record)
このハイヒール・スニーカーというのは女の子の間で当時流行ったんでしょうか。
そういう靴を履いて赤い派手なドレスを着て、ヘアスタイルをこう盛り上げたアゲアゲの遊び好きの女の子のことを歌った歌です。

60年代にアメリカのメンフィスを中心とした南部で作られたソウルをサザンソウル、一方北部でデトロイト、シカゴなどで作られたソウルをノーザン・ソウルと呼んでいるのですが、ニューヨークのアトランティック・レコードなどからリリースされたゴスペルテイストの強いソウルをディープ・ソウルと呼んでいます。ディープソウルという言い方はイギリスでつけられたと言われてますが、まあディープですから深いソウル。濃いソウルとも言えます。ソロモン・バークはその代表の1人。強烈なゴスペルシンギングを聴かせる曲もたくさんあるのですが、今日は包み込むような柔らかい大きさを感じさせる歌声のこれを聴いてください。
1965年R&Bチャート1位です。
3.Got To Get You Off My Mind/Solomon Burke
ソロモンが持っている力の半分くらいの力で歌っているような気がします。来日した時の日比谷野音の素晴らしいステージを思い出します。楽屋で一緒に写真を撮ってもらったのも一生の思い出です。

次の1965年のヒット曲ですが、この曲に関しては当時のモータウンとは思えないブラックネスたっぷりの泥臭さが残ってます。さっきのハイヒール・スニーカーなどが歌詞に出てくる最高にファンキーなダンスナンバー。歌ってサックス吹いているのはジュニア・ウォーカー。
4.Shot Gun/Junior Walker & The All Stars
ポップチャートで4位まで上がったということは白人層にも売れたということでパーティなんかでこの曲のレコードかけた踊ってたんでしょうね。

サザンソウル、ノーザンソウル、ディープソウルと言ってるところに新しいファンクという音楽をつくり出したのがJ.Bことジェイムズ・ブラウン。前年1964年のファンク誕生の芽生えとなった”Out Of Sight”や”I Got You”から更にビートを強化して、JB本人の歌をはじめ、ドラム、ベース、ギターはもちろんホーンセクションもパーカッシヴに使ってすべての楽器がパーカッション的に使われていくその最初の曲がこの曲。ファンクという言葉を説明するのはなかなか難しいのですが、ファンクには匂いという意味もあるのですがまあ黒人独特の音楽の匂い、つまり黒人でしかつくれない匂いの音楽というプライドも含まれているような気もします。
5.Papa’s Got A Brand New Bag (Part 1)/James Brown
かっこいい!いま聴いても古くないこの躍動感、緊張感、ダンス・グルーヴの素晴らしさ!これはアメリカ音楽のひとつの革命やったと思います。
本当にこういう音楽は黒人からしか生まれない真っ黒な音楽です。すごく統制が取れたリズムもサウンドもめっちゃタイトでクールです。少しの隙もないびっしり決まったこのファンクのカッコよさが今年になってなくなったプリンスまで受け継がれていったのですが、そういうことを考えると本当にJBは偉大です。
この1965年あたりからますますソウルそしてファンクは充実していくのですが、次回はその続きを!