2019.03.22 ON AIR

LPレコードで聴くブルーズ名盤シリーズ

ブルーズの名盤中の名盤
Here’s The Man/Bobby Bland (DUKE/MCA DLPS 75)
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ON AIR LIST
1.Turn On Your Love Light/Bobby Bland (side1-3)
2.You’re The One(that I Adore)/Bobby Bland (side1-2)
3.36-22-36/Bobby Bland (side1-1)
4.Stormy Monday Blues/Bobby Bland (side2-5)
5.Blues In The Night/Bobby Bland (side1-6)

LPレコードで聴くブルーズ名盤シリーズ、今日はボビー・ブランドの名作「Here’s The Man」です。
ボビー・ブランドはB.B.キングと双璧のモダン・ブルーズ史上外せないシンガーで、時にボビー・ブルー・ブランドと呼ばれることもあります。
ブランドはこの番組では何度も取り上げていますが楽器を弾かない、歌だけで勝負のいわゆるスタンダップ・シンガーです。
このアルバムは1962年テキサス、ヒューストンの「デューク・レコード」からリリースされたボビー・ブランドの2枚目アルバムです
僕もブルーズにハマってすぐギター・サウンドではなく、しっかりアレンジされた重厚なオーケストラのサウンドのブルーズにちょっと戸惑いました。ギター・サウンドのロックからブルーズに入った人は最初そのサウンドの肌触りに慣れていないので、僕と同じように少し馴染めないかも知れませんが、ブランドのディープな歌声に取り憑かれるとちょっと離れられなくなります。
まずは躍動するグルーヴ感が素晴らしいゴスペル・テイストの曲です。ドラムはのちにJames Brownのドラマーになるジャボ・スタークス。そのジャボのドラムとブランドの歌だけになるあたりの高揚感がたまりません。
「君は突然僕の心を破って引き裂いた。暗闇に僕を残して、僕への愛は死んだと言った。ベイビーどうかお願いだ。その灯りを付けて僕を照らしてくれ、灯りをつけて照らしておくれ」
1.Turn On Your Love Light/Bobby Bland

50年代メンフィスでしのぎを削ってお互いがライバルだったB.B.キングとボビー・ブランドは、女性客に「オマエの方が人気があった」と言い合ってますが、まあふたりともブイブイ言わせていた時期で、ステージに上がってきた女性客に額の汗を拭いてもらっているブランドの写真もあります。一見ごっつい顔のブランドですが、黒人女性にはすごい人気だったらしいです。でも、次の歌なんか歌詞の内容が「君は僕が愛するたったひとりの女だ」なんてことをすごく響くいい声で歌うので、女性はメロメロになるのでしょうか、どうでしょう。
2.You’re The One(that I Adore)/Bobby Bland
今日聴いているボビー・ブランドの「Here’s The Man」というレコードですが、僕が持っているのは原盤、オリジナル・プレスではなくてデュークレコードをMCAレコードが買い取ったあとにリリースしたものでジャケットが違います。オリジナルのジャケットはマイクを持って汗をだくだくで歌うブランドの横顔でしたが、僕のはステージでスポットライトの中に佇んでいるブランドです。そして、いちばん違うのがA面の一曲目の36-22-36という曲のイントロにライヴMCみたいのがオリジナルには入っているのに、今日聴いてもらっているレコードではそのMCがカットされ演奏から入ってます。どうしてこんな編集を後からしたのか疑問です。
では、そのMCが入っていない一曲目を聴いてください。
この数字は彼女のスリーサイズですが、36インチだから胸とお尻が約92センチ ウエストが56センチ・・まあボン・キュ・ボンですわ
3.36-22-36/Bobby Bland

このアルバムでどうしても聴いてもらいたいのが次の「ストーミー・マンデー・ブルーズ」
ブルーズを知っている方ならご存知のブルーズの定番曲ですが、元々はT.ボーン・ウォーカーがオリジナルでそのT.ボーンのもすごくいいのですが、それをカバーしたこのボビー・ブランド・バージョンは是非聴いてもらいたい1曲です。これはホーン・セクションが入ってなくて、コンボでの録音。ギターはブルーズギターの名手、ウェイン・ベネットが弾いています。そのギターソロも珠玉のソロです。
月曜日からずっと働きに出かけてイヤなことばかり、でも金曜日と土曜には遊びに行って、・・・という普通の黒人たちの生活を描いたブルーズです。
ボビー・ブランドの深いいい声がもうとろけるようにいいです。
4.Stormy Monday Blues/Bobby Bland
ブルーズという音楽がもつ美しさを見事に表したストーミー・マンデーだと思います。ブルーズの歴史に残る名演のひとつです。

このアルバムをリリースした1962年あたり、ボビー・ブランドは全盛期なのですが彼の成功の後ろにはアレンジャーでありトランペッターでもあったジョー・スコットのバックアップがありました。
楽器を何も弾かないで歌だけ歌うブランドの場合、やはりバックバンドを自分の歌に合うように仕切ってくれるバンマスが必要です。ジョー・スコットはブランドに合ったアレンジをしただけでなく、歌い方もブランドに指示したらしいです。最近はこういうホーンが入ったゴージャスなバンドを持つブルーズシンガーはほとんどいませんが、50年代から60年代、こういうバンド形態はブルーズマンにとってひとつのステイタスでした。この時代ブランドはオーケストラを引き連れて同胞の黒人のクラブをツアーする大スターでありました。
最後に1941年に公開された映画「Blues In The Night」の主題歌でレイ・チャールズはじめたくさんの人にカバーされています。
5.Blues In The Night/Bobby Bland

今日聴いたBobby Blandの”Here’s The Man”はCD化もされていますので是非ゲットして聴いてください。でも、できればレコードで聴いてもらいたいです。僕はレコードの音の方が好きです。