2019.03.15 ON AIR

LPレコードで聴くブルーズ名盤

ソウルの偉人オーティス・レディングの名作中の名作
OTIS BLUE/Otis Redding Sings Soul (Atlantic/Warner P-6043A)
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ON AIR LIST
1.Respect / Otis Redding
2.Ole Man Trouble/ Otis Redding
3.Shake / Otis Redding
4.Satisfaction / Otis Redding
5.I’ve Been Loving You Too Long/Otis Redding
LPレコードで聴くブルーズ名盤シリーズですが、今日はブルーズではなくソウルの名盤オーティス・レディングの「OTIS BLUE」を聴きます。アルバムタイトルが示すようにオーティスのソウルにはブルーズのテイストが色濃く入り込んでいます。
リリースされたのは1965年。オーティスの三枚目のアルバム。
LPのジャケットが金髪の白人女性の顔のアップなんですが、なぜこんなジャケットにしたのかまったくわかりません。白人女性にすればアルバムが売れるという目論見でもあったのでしょうか。

僕はブルーズやR&Bやソウル・ミュージックが好きになる前、まだロックを聴いていた頃に初めて聴いたソウル・シンガーがこのオーティス・レディングでした。なぜかというと1968年にオーティスは26歳という若さで飛行機事故でなくなり。その後にリリースされた”The Dock Of The Bay”がチャート1位になりラジオでよくかかっていたからです。それでなんかすごい歌手が死んだということでオーティスの他の曲もON AIRされて、それでいまから聴く”Respect”も知りました。
アレサ・フラクリンのバージョンで聴いている人も多いと思いますが、オリジナルはオーティス・レディング。
1.Respect / Otis Redding

いまの曲は1965年シングルでリリースされてチャート1位になった曲ですが、そのB面が次のOle Man Trouble。
オーティスは曲が書けるソウルシンガーで、このシングルの両方ともオーティスのオリジナルです。
ホーンセクションを含めた重厚なアレンジで、バックのMG’sの演奏もシャープでヘヴィで素晴らしい。
「自分はトラブル続きの男だから他の誰かを見つけて、オレから離れてくれ、見てのようにオレはには運もない。オレはこんな風に何年も生きてきた。オレといるとトラブルになるから」
2.Ole Man Trouble/ Otis Redding
R&Bチャート4位まで上がったOle Man Trouble。バックのMG’sの重さを感じさせるグルーヴがやはりオーティスの歌にぴったりです。

オーティスがリスペクトしていたシンガーはサム・クックでした。そのサム・クックが前年の64年に射殺されてなくってしまったのですが、トリビュート的な意味もあったのでしょうか、このアルバムでは”Change Gonna Come”,”Shake”,”Wonderful World”と三曲サムの曲をカバーしています。中でも僕は次のShakeが好きですが、バックのドラムのアル・ジャクソンのビートがもうドカドカで凄いし、ホーン・セクションと一体となってつくられたサウンドの中をオーティスが自由に飛び回っているフリーな感じもいいです。
3.Shake / Otis Redding

このアルバムがリリースされた1965年は、ロックではイギリスのビートルズが「ヘルプ」と「ラバーズソウル」をリリースした年で、ローリング・ストーンズがヒットした”Satisfaction”を収録したアルバム”Out Of Our Heads”をリリースした年です。黒人音楽と白人音楽が交流しはじめた頃でもあり、黒人が白人の曲を歌い、白人が黒人の曲を歌うのもふつうになっていきます。そういう時代の中、ギターのスティーヴ・クロッパーの提案でストーンズの”Satisfaction”をオーティスが歌うことになります。
ここでのオーティスの歌は原曲を更にパワフルにしてドライヴ感を増したものになりました。ミックやストーンズの連中はこの”Satisfaction”をどう思ったのでしょうかね。
4.Satisfaction / Otis Redding (side1-4)
やっぱりアル・ジャクソンのドラムの気持ちのいいビートに耳がいきます。

オーティスはソウル・ミュージックをあまり知らない人に聴かせても好きになり、ソウルつまり彼の魂を感じるという人が多くいます。テクニック的に歌の上手いシンガーとか何オクターブも声が出るシンガーは他にいると思うのですが、歌とはそもそもそういうものではなく自分の心を聴き手に伝えることだということをオーティスを聴いていると感じます。上手く歌ってやろうとかテクニックを聴かせてやろうではなくて、自分のソウル、魂をさらけ出すことが大事だと教えてくれます
次の珠玉のバラード。僕の知合いの何人かが英語がわからないけど、聴いているうちに泣いしまったという歌です。そこはもうオーティスのソウル・トゥ・ソウルです。
5.I’ve Been Loving You Too Long/Otis Redding

オーティス・レディングは他にもいいアルバムがありますが、今日ON AIRした「オーティス・ブルー」は機会があればゆっくり聴いてみてください。
ソウル・ミュージックという言葉はすごくいい言葉だと思います。魂の音楽・・・それをいつも感じさせてくれるオーティス・レディング