2015.12.12 ON AIR 『ブルーズのクリスマスソング』

Blue Blue Christmas(P-VINE RECORDS PCD-1619)

20151210

ON AIR TRACK LIST
1.Christmas Time Blues : BLACK ACE
2.Christmas Tears : FREDDY KING
3.Sonny Boy’s Christmas Blues : SONNY BOY WILLIAMSON
4.Christmas Eve Blues/BLIND LEMON JEFFERSON
5.Happy New Year Darling/LONNIE JOHNSON

今日は日本のP-VINE RECORDSが1988年にリリースしたクリスマス・ブルーズのコンピレーション・アルバム「Blue Blue Christmas」を聴きます。
全国どこのラジオ・ステーションもOn AIRしないだろう思いっきりブルーズなクリスマス・ソング特集です。心して聴いてください。
もう最初からドロドロです。スライド・ギターがもう最高ですが、歌の内容は・・・
「サンタクロースさんよ、クリスマスには何をプレゼントしてくれるんだよ。あの娘を連れて来てくれへんかったら、他のしょうもないものはいらんよ」ブラック・エースのChristmas Time Bluesからスタート!
次はブルーズの3大キングのひとり、フレディ・キングのクリスマス・ブルーズ。タイトルがChristmas Tears(クリスマスの涙)です。「みんながメリー・クリスマスと喜んで、空からやってくるトナカイにひかれたソリに乗ったサンタを待っているのにオレの心は泣いている」「ソリの鈴の音が聴こえる」I hear sleigh bells ringingと歌いだすフレディ・キング。その最初の歌声だけですでにブルーズです。
三曲目は性格が悪かったという逸話がいっぱい残っている、でもブルーズマンとしての才能は素晴らしかったサニーボーイらしいブルーズの曲で「キリストさまに近づこうとしたけど悪魔がお祈りの邪魔をするんよ。そやからこんな感じでクリスマスも酒浸りなわけ」
もう敬虔なキリスト今日の信者の方が聴いたら最悪でしょうが、まあ、家もない行き場の無い黒人ブルーズマンのクリスマスの日の気持ちってこんなんでしょうね。
次のブラインド・レモン・ジェファーソンのこのアルバムの中でいちばん古い録音の曲です。ブラインドっていうのは盲目ということで、彼は目が見えなかったけれどブルーズ史上の初期のブルーズマンとしてはめっちゃ売れた人です。「口ひげは白くないけどオレがあんたのサンタさんよ」と、ふられてるんですが、彼女にプレゼントを持っていく男のブルーズです。
最近は若い男が何ヶ月も前からクリスマスの日に高級ホテルを予約して、彼女に気を遣って高いプレゼントするというふぬけたヤツが多いですが・・。そもそもクリスマスってホテルへ行って何する日とちゃいますからね。キリストの生誕を祝う日ですから。神聖な日です。まあ、こじんまりと家でクリスマス・ソング聴きながらパーティするくらいがええんとちゃいますか。
最後はギター名人ロニー・ジョンソンの1947年の曲。クリスマス・イヴに奥さんの待っている故郷に帰る歌です。今日のクリスマス・ブルーズでいちばんまともな曲です。

昔、クリスマスの季節にアメリカのロスにいたことがあるんですよ。クリスマスの日ってみんな家でパーティやったりしてて街中はあまり人がいないんですよ。それで僕ひとりで部屋にいたんですが、もうずっと朝からラジオでクリスマス・ソングが流れてきてなんかどっかライヴでも行こうと思って、よく行ってたクラブへ行ったらやってたんですよ。クリスマスは閉めてるとこもかなりあるんですが。それで中へ入ったら黒人のマスターが「なんや、オマエもクリスマスにひとりっきりか・・今夜ここにいるヤツはみんな寂しいヤツばっかや。そやからみんなでぱーっとやろや!」と言うて、シャンパンおごってくれたんですよ。一杯だけですけどね。その時のことを今日は想い出しました。
では、もうすぐクリスマス、メリー・クリスマスということでまた来週!