2020.11.06 ON AIR

映画”The Making Of Motown”公開記念モータウン・レコード特集vol.1

The Motown Box(Shout/Motown B0074AW43A)

ON AIR LIST
1.Please Mr. Postman /The Marvelettes
2.You’ve Really Got A Hold On Me /Smokey Robinson & The Miracles
3.Where Did Our Love Go /The Supremes
4.My Girl/The Temptations
5.My Guy/Mary Wells

東京では9/18から公開された映画”The Making Of Motown”。”The Making Of Motown”のモータウンというのはモータウン・レコードのことで、1960年代初めから70年代に入ってからも破竹の勢いでソウル・ミュージックのヒット曲を出しつづけたレコード会社のことです。ソウル・ミュージックを語る上では絶対に外せないレコード会社です。ちなみにモータウンというのは会社が自動車産業で有名なデトロイトにあったのでモーター・タウンからモータウンとなったわけです。
映画は創始者であり元社長のベリー・ゴーディと彼の右腕であり初期のヒット・グループ「ミラクルズ」のリーダーであり、才能のあるシンガー・ソング・ライターのスモーキー・ロビンソンの二人が昔を振り返りながら話をするスタイルで進みます。
モータウンの曲はこの番組で少し前にもオンエアーしているんですが、今回は僕自身の想い出を折り込みながら話をしたいと思っています。とにかくミラクルズ、マーヴェレッツ、テンプテーションズ、フォートップス、スプリームス、スティービー・ワンダー、マーヴィン・ゲイともうモータウンには素晴らしいミュージシャン、グループが多すぎて何から始めようかという感じですが、モータウンの曲を聴いたのは次の曲が最初だったと思います。でも、それはビートルズがカバーしたもので、当時は中学生で最初はビートルズのオリジナルだと思っていました。
ザ・マーヴェレッツのデビュー・シングル、1961年リリースでモータウンレコードにとってもマーヴェレッツにとっても初めてのシングルチャートのNO.1になった曲です。ポップチャートとR&Bチャートと両方で一位になりました。ポップで一位ということは白人層にも買われたということで、それはモータウンレコードにとっては大切なことでした。モータウンは黒人によって作られた会社でしたが、黒人層だけをターゲットにしているのではなく白人にも受け入れられることを狙っていました。
郵便配達のおじさんに「私の愛する彼からの手紙がそのカバンの中に入ってるんじゃないの」と彼からラヴレターを待ち焦がれている女性の気持ちを歌った曲です。
1.Please Mr. Postman /The Marvelettes
ぼくは63年のビートルズの2枚目のアルバム”With The Beatles”に収録されていたこの曲を初めて聞きました。女性グループのマーヴェレッツの歌詞を少年の気持ちに置き換えて歌ってビートルズのカバーもすばらしいです。今のオリジナルのマーヴェレッツを聞いたのは60年代半ば頃でした。イントロのドラムの後にすぐ”Wait!”待ってと歌い始めるんですが、すごく印象に残るそのイントロの後のメロディがポップで覚えやすくて、これは黒人だけでなくポップでヒットする曲というのがわかります。
60年代はぼくにとって丁度10代の10年間なのですが、1962年にビートルズがデビューしてそこから自分で音楽を探すぼくの音楽歴は始まったのですが、当時は中学生でしたから小遣いも少なくてとりあえずビートルズやローリング・ストーンズのレコード、それも主にシングルを買うのがやっとでした。次の曲も”With The Beatles”に収録されているのですが、実はこの曲をぼくは大学生の頃に始めたバンドでビートルズ・バージョンでカバーしたのですが、めちゃ難しかった想い出があります。ちょっとブルージーでいい曲です。
R&Bチャートで一位、ポップで8位まで上がったヒット曲です。
「君のことを好き(Like)なんやなくて愛して(Love)いる」と始まるところすぐに曲に引き込まれます。You’ve Really Got A Hold On Me つまり君に囚われてしまった。夢中になっているということ。
2.You’ve Really Got A Hold On Me /Smokey Robinson & The Miracles
ビートルズのカバーも素晴らしくてほぼ原曲そのままにやってるんですが、原曲そのままというのが難しい曲なんです。ビートルズはモータウンのコーラスワークをかなり研究していて自分たちのオリジナルのコーラスワークにも役立てていたと思います。
ぼくは10代の頃レコードが少ししか買えないのでラジオの洋楽のヒットチャート番組をよく聞いていました。そのチャートのトップ10で時々聞こえてきたキュートな歌声がダイアナ・ロスがいたシュプリームスです。もちろん彼女たちがモータウンのグルーブとは知らなかったです。というかレコード会社がどこかなんて興味もなかった。三人の魅力的なコーラスに惹かれてシングル盤を買いに行きました。それがこの曲です。
「ベイビー、ベイビー、置いていかないで一人にしないで、私たちの愛はどこへ行ったの」
3.Where Did Our Love Go /The Supremes
これをリアル・タイムで聴いていた頃は気にしていなかったんですが、イントロの手拍子とかタンバリンをよく使うんですよねモータウンは。そういうポップな明るい感じが白人にも受け入れられた大きな要素でしょう。

次の曲はテンプテーションズを代表する曲で映画やテレビ、コマーシャルにもよく使われているので皆さん、ご存知の一曲です。
「曇りの日に太陽が刺したみたい、外は寒いのに僕は五月のように暖かい・・・」と、愛する女性がいる幸せな気持ちを歌ったソウル名曲です。1965年。ポップチャート、R&Bチャート共に一位になりました。
4.My Girl/The Temptations
モータウンの専属スタジオ・ミュージシャンだったロバート・ホワイトが弾くイントロのギター・フレイズが耳に残る曲。このMy Girlを作ったのもスモーキー・ロビンソンですが、スモーキーはモータウンレコードの制作の裏方としても才能を発揮しました。ボブ・ディランがスモーキーを「現代最高の詩人」と呼んだのも納得の才能です。歌ったテンプテーションズはモータウンを代表する男性5人のコーラスグループですが、歌はもちろんルックスも踊りも衣装も全てが洗練されていて本当にクールでした。
次の曲もスモーキーが作りました。
実は次のMy Guyのアンサー・ソングが今聞いてもらったMy Girlで作ったのは同じスモーキー・ロビンソン。アンサー・ソングと言っても二つは全く違う曲で両方ともポップス性の高い素晴らしい曲です。
「私にとって誰がなんと言おうと彼が最高なの。ぜったいに別れないから」という熱愛の歌ですが。1964年全米一位。こういう歌も10代の子供達に受けたのだと思います。
メリー・ウエルズはダイアナ・ロスとはまた違う声に魅力のあるシンガーで、当時はアイドル的な存在だったそうでステージにファンの男子が上がってきて彼女に抱きついたという話も残ってます。
5.My Guy/Mary Wells
メリー・ウエルズは他にも”The One Who Really Loves You”,”You Beat Me The Punch”,”Two Lovers”などのヒットを出したモータウンレコード初期の稼ぎ頭でした。
当時、ぼくはレコードを買う小遣いが欲しくて朝、牛乳配達のバイトを始めたんですが、夜は遅くまでラジオ聴いているし、朝は配達で早くて起きれなくて大変でした。でも、バイトしてもらったお金を持ってレコード屋さんに行く時のワクワク感がよかったですね。今も時々その頃買ったシングル盤を聞くとスイートな気持ちになります。
少し前にスティービー・ワンダーがモータウンレコードを辞めて自分のレーベルを作るというニュースがあり、たくさんのミュージシャンがすでにモータウンを去ってしまった中で、スティービーだけはずっとモータウンにいるだろうとみんな思っていたので驚きのニュースでしたが、スティービーは「自分の心はモータウンにあります」とモータウンへの感謝を述べています。
来週はそのスティービー・ワンダーの名曲もON AIRします。
モータウン・レコードはもうヒット曲が多すぎてどの曲をON AIRするか悩むところです。