2020.01.10 ON AIR

ブルーズの革新からロックの核心を作ったリトル・リチャード その2

Here’s Little Richard /Little Richard (Specialty / P-Vine PCD-1901)

Here’s Little Richard /Little Richard (Specialty / P-Vine PCD-1901)

Little Richard/Little Richard (Specialty / P-Vine PCD-1902)

Little Richard/Little Richard (Specialty / P-Vine PCD-1902)

ON AIR LIST
1.Kansas City/Little Richard
2.Rip It Up’/Little Richard
3.Send Me Some Lovin’/Little Richard
4.Lucille/Little Richard
5.Good Golly Miss Moly/Little Richard

リトル・リチャードが子供の頃、40年代はジャンプ・ブルーズが盛んで彼も当然その影響を受けて最初に好きになったのはビリー・ライトという歌手でした。髪の毛をリーゼント・スタイルにポマードでバッチリ固めるのもビリー・ライトのマネだったそうです。
ライトはアトランティックあたりで活躍していたパワーのあるブルーズ・シャウターで僕も好きなタイプの歌手。聴いてみるとリトル・リチャードが歌い方の影響を受けたのがなんとなくわかるし、バックのサウンドにリチャードがヒットを量産したニューオリンズ録音のテイストがちょっとあったりします。
今回、リトル・リチャードの特集をやるに当たって改めて聴いてみたらなんと僕は5曲も彼の曲をカバーしていて、次もその中のひとつ。
1959年のリリース、チャートではあまり上がらずリトル・リチャードのヒット曲とは言いがたいけれど、ビートルズがカバーしたので知っている方も多いと思います。実はブルーズにはもうひとつウィルバート・ハリソンという歌手の同名のKansas Cityがありそっちの方がヒットしたので有名ですが、曲自体はまったくと言ってよいほど違うものなので僕は違う曲として両方とも好きです。
1.Kansas City/Little Richard
この曲を僕は高校1年くらいにビートルズが”Beatles For Sale”というアルバムでカバーしているのを初めて聴きました。リード・ヴォーカルはポール。当時はもちろんこれがブルーズだとは知らなかった。Hey!Hey!Hey!Hey!というかけ声をレコードと一緒にやっているとなんか元気が出てくる気持ちになれたのを覚えてます。
そうなんですね、リトル・リチャードはなんかパワーをくれる。Hey!Hey!Hey!Hey!と一緒に叫んでるだけで楽しくなるんですね。

リトル・リチャードは性的にゲイだったので化粧をしたり、ステージ衣装もキラキラしたものを着たりしてました。最初はスーツだったのですが60年代終わりからはその傾向に拍車がかかり、でかい顔にヒゲも生えておっさん顔なのに化粧していて気持ち悪いなぁ・・・とその頃は思ってました。
リトル・リチャードのライヴ・アルバムというのがあるんですが、それを聴いてると一曲終わるたびに”Oh My Soul~”って言うんですが、その言い方もちょっとゲイっぽくって曲終わる度に笑ってました。
次の曲も僕、カバーしてます。もう一回数えてみるとLucille,Slippin’&Slidin’,The Girl Can’t Help It,Tutti Frutti,Kansas City,あとあまり有名でないShake A Handもしてるから次のRip It Up入れて7曲か・・好きなんです。
2.Rip It Up/Little Richard

リトル・リチャードというとアップテンポのダンス・ナンバーがすぐに頭に浮かびますが、次の曲はロッカ・バラードというか彼にしたらテンポの遅い曲ですが、あまりバラード、バラードしていない歌い方は粘着質でやっぱりワン&オンリー。

3.Send Me Some Lovin’/Little Richard
1957年次に聴いてもらうルシールのシングルB面がいまのSend Me Some Lovin、日本盤のタイトルが「愛しておくれ」
実はいまの曲、サム・クックもカバーしているのですが、やはりサムの方はハンサムな歌声でスマートです。でも、歌の素晴らしさはどちらも甲乙つけがたいので是非サム・クックと聴き比べてください。

次の曲は向こうの方から機関車がやってくるような曲やなぁといつも思います
この曲でも強烈なグルーヴを出しているドラムのアール・パーマーとニューオリンズのミュージシャンたちの素晴らしいバッキングがこの曲を支えて、その上でリチャードは爆発してます。
ルシールという名前の彼女が他の男のところに行ってしまった歌で、「朝起きたらルシールがおらへんねん、どこいったんやろ、友達に訊いてもみんな教えてくれへん。帰ってきてくれよ、ルシール」と頼んでいる歌なんですが、こんな激しい歌い方で帰ってくるかなぁ。
4.Lucille/Little Richard
このルシールはすごくたくさんカバーされていてAC/DCビートルズアニマルズヴァン・ヘイレンジョニー・ウィンターピーター&ゴードンクイーンディープ・パープルイアン・ギラン・バンドオーティス・レディングとまだまだあるんですが・・僕も歌ってます。
次の曲もいつか歌いたいと思ってます。CCRが「バイユー・カントリー」でカバーしてますが、ジョン・フォガティの歌も素晴らしいです。
「モリー、彼女は最高にええ女やよ。彼女といっしょに揺らし始めたらもう朝からずっと揺らし続けそればっかや。親父とお袋はモリーに気をつけた方がええよっていうけどそんなのムダや。」とまあ彼女とベッドインするのが最高というめっちゃ不良の歌ですわ。曲よし、歌よし、演奏よしの100点のロックンロール名曲です。1958年リリース。
5.Good Golly Miss Moly/Little Richard
圧倒的な歌唱で、ロックンロール好きな歌手ならいまでもみんな歌いたくなる曲やと思います。さっきのルシールの台風が去っていったのにまたモリー台風が来たみたいな感じになってしまいましたが。
本物であり核心を突いた彼の音楽は古くならない。やはり偉大な歌手です。