2024.01.19 ON AIR

ブギ・ウギからジャンプ・ブルーズ、そしてワイルドなギターのヒューストン・ジャンプへ vol.6

ON AIR LIST
1.Strollin’ With Bone/T.Bone Walker
2.Okie Dokie Stomp/Clarence”Gatemouth”Brown
3.Midnight Hour/Clarence”Gatemouth” Brown
4.Come On Let’s Boogie/Goree Carter
5.Frosty/Albert Collins

前回はブギウギからジャンプ・ブルーズが生まれた話をしましたが、そのジャンプ・ブルーズから今度はテキサスのヒューストンで「ヒューストン・ジャンプ」というアグレッサシヴなダンス・ミュージックを生みました。
ヒューストンはテキサス州の大きな街で今では工業、商業都市としてよく知られてますが、ブルーズにとってもヒューストンそしてテキサスは重要な場所です。1920年代にはテキサスから偉大なカントリー・ブルーズマン、ブラインド・レモン・ジェファーソンが登場し、子供の頃その盲目のブラインド・レモンの手を引いて手伝っていたのがT.ボーン・ウォーカーでした。T.ボーンのブルーズは1940年代初めにウエストコーストで花開いたのですが、そのアグレッシヴかつ緻密なギター・プレイは後続のテキサスのブルーズマンたちに大きな影響を与えました。だからヒューストン・ジャンプが生まれる素地はすでにテキサスにはあったのです。ではまずそのT.ボーンの豪快かつ緻密なインスト曲です。
バックのピアノは完全にブギウギ・ピアノです。

1.Strollin’ With Bone/T.Bone Walker

素晴らしいとしか言い様がない。バンドのリズム、ギターソロ、テーマ、ホーン・アレンジ全て完璧な曲です。こういうアグレッシヴな演奏というのがテキサス・ブルーズの一つの特徴です。そして更にギターをアグレッヴにしたのが後進のゲイトマウス・ブラウンでそれはヒューストン・ジャンプと呼ばれました。

2.Okie Dokie Stomp/Clarence”Gatemouth”Brown

この曲はご存知の方も多いと思いますが、1974年にリリースされた名ギタリスト、コーネル・デュプリーの”Teasin'”というアルバムでカバーされています。彼もテキサス出身なのでこのゲイトマウスの曲は多分若い頃聞いていたのでしょう。
次はゲイトの歌を聴いてみようかと思います。
歌もギターも男臭さが充満しています。これはウケるだろうなと思います。

3.Midnight Hour/Clarence”Gatemouth” Brown

「リトルT.ボーン」とう芸名で売り出されたゴーリー・カーターは確かにT.ボーン・ウォーカーが大好きで歌とギターを始めたヒューストン・ジャンプの人気者だった。T.ボーンより芸が荒いとの評判もあながち間違ってはいないのですが・・。40年代終わりから50年代初めの録音しかなく、その後は地元ヒューストンのローカル・ブルーズマンとしてクラブでライヴをやっていたようです。まあ、何かとT.ボーンに似ているというのも災いしたのかも知れません。この曲もB級T.ボーンという感じがしなくもないですが、僕はこういうB級感好きです。勢いがあってはみ出しそうな感じもいいですね。

4.Come On Let’s Boogie/Goree Carter

こういうヒューストン・ジャンプが後続の地元ブルーズマンに与えた影響は大きく、ジョニー・ギター・ワトソンやアルバート・コリンズに引き継がれて行きました。
今日は後一曲しかON AIRできないのでえげつないギターではゴーリー・カーターにも負けないテキサスの後輩アルバート・コリンズを聞きましょうか。曲は1962年の録音のインスト。

5.Frosty/Albert Collins

長い間ブルーズを聞いている自分の残念な想いはT.ボーン・ウォーカーのライヴを聞けなかったことです。もう少し長生きしてくれたらロスで観れたかもしれないのですが・・。こうしてテキサスのブルーズマンを聞いているとやはりT.ボーンが曲、歌、演奏、ギターで抜きん出ていると感じます。「モダン・ブルーズ・ギターの父」ですから。
それにしてもブギウギは完全にブルーズに埋め込まれ、60年代に入ってもアルバート・コリンズの曲のように脈々とそのリズムが生き続けているのがわかります。
来週はもう一つのブギを作った偉大なジョン・リー・フッカーです。