2024.01.12 ON AIR

ブギウギ Vol.5

ブギウギから生まれたジャンプ・ブルーズの大流行

ON AIR LIST
1.Let The Good Times Roll/Louis Jordan
2.Good Rockin’ Tonight/Roy Brown
3.Chicken Shack Boogie/Amos Milburn
4.When You Left Me Baby/Cecil Gant
5.Good Morning Judge/Wynonie Harris

30年代から始まったブギウギの大流行は黒人だけでなく白人も取り込んで全米に広がりました。ジャズ・オーケストラもブギを取り入れないと仕事にならない。曲もなんとかブギとタイトルをつけられた曲が星の数ほど作られました。
そしてブギ・ウギのリズムから次に生まれたダンサブルなR&B「ジャンプ・ブルーズ」が40年代の主役となりました。その中心となったのが大スター、ルイ・ジョーダン。ルイ・ジョーダンも元々はジャズ・オーケストラのサックス・プレイヤーでしたが、独立して「ティンパニー・ファイヴ」というコンボを組みR&Bチャートのトップに18曲ランクインさせるという人気ぶり。前々回でも2曲ほどOn Airしましたがとにかくヒット曲が多く「キング・オブ・ジュークボックス」と呼ばれました。つまりジュークボックスに彼の曲がたくさん入っているというわけ。今日最初の曲はリリース当時はそんなにヒットしなかったのですが、じわじわと人気が出て今やブルーズのスタンダード曲として多くのミュージシャンにカバーされています。

1.Let The Good Times Roll/Louis Jordan

この曲は映画「ブルース・ブラザーズ」でも流れていました。「楽しくやろうぜ」という内容でB.B.キングがステージのオープニングで歌っていた頃もありました。ちなみにB.B.はルイ・ジョーダンの大ファンでトリビュート・アルバムも録音してます。40年代に思春期を過ごした黒人ミュージシャンたちはほとんどこのルイ・ジョーダンに憧れを持っていたと言っても過言ではないでしょう。
ルイ・ジョーダンの曲もそうですがジャンプ・ブルーズにはジャズのアンサンブルが使われています。ホーン・セクションが決められたテーマやリフを吹き、ソロもサックスなどホーンがやることが多いです。ギターが前面に出てくるまでにはもう少し時代を待たなければなりません。しかし、ジャズ・テイストが強かったとしても根底にあるリズムはブギウギなのでダンサブルな音楽として人気だったのです。

次のロイ・ブラウンもジャンプ・ブルーズ時代に人気のあったシンガーです。後の大スター、エルヴィス・プレスリーはその歌い方を真似していると言われています。このロイ・ブラウンの大ヒット曲も”Let The Good Times Roll”と似ていて「今夜、ええ感じのパーティがあるから彼女と待ち合わせしてロックで踊って嫌なこと忘れるんや」という内容です。ブギウギ・ベースのダンス・ミュージックとして当時はこういう陽気な、他愛ない曲が受けたんですね。

2.Good Rockin’ Tonight/Roy Brown

1947年のヒット”Good Rockin’ Tonight”

次のピアニスト&シンガーのエイモス・ミルバーンは吉田類さんのテレビ番組「酒場放浪紀」のテーマにも使われている”Bad Bad Whisky”や”One Scotch,On Burbon,One Beer”などお酒ネタのブルーズでヒットがあるブルーズマンですが、1948年のこの素晴らしいブギ・ウギの曲も大ヒット曲しました。

3.Chicken Shack Boogie/Amos Milburn

次のセシル・ギャントは”I Wonder”というムードのあるブルース・バラードが大ヒットし、スロー・ブルーズでも実に味のあるピアニスト&シンガーですが、このアップ・テンポのブギは絶品です。
37才という若さで亡くなったため活動期間が短く、音源もそう多くはないために忘れられがちだが素晴らしブルーズマン、ピアニスト。

4.When You Left Me Baby/Cecil Gant

ブルーズというと悲しみや苦しさを表現してる憂いのある音楽と思っている人の中にはこのジャンプ・ブルーズというのはダンサブルな陽気な音楽で憂いがなくて好きじゃないという人もいます。バックはジャズのビッグ・バンド・スタイルもあればホーン・セクションを少なくしたコンボ・スタイルもありますがブギウギのリズムをルーツにしてホーンセクションを前面に出した躍動感のあるグルーヴが特徴です。シンガーは大きな声で歌うシャウターと呼ばれるタイプが多いのですが、大きな音のホーン・セクションを使ってれば歌声も大きくなるというものです。最後にジャンプ・ブルーズの代表的なシンガーの一人であるワイノニー・ハリスのご陽気なこの曲を。

5.Good Morning Judge/Wynonie Harris

昔ブルー・ヘヴンというバンドを吾妻光良くんとやっていた時にこの曲を歌っていました。今や日本のジャンプ・ブルーズ・キングと呼ばれる吾妻光良くんは「ジャンプとジャイヴだけあればいい」と私に言い放ちましたが、私はそこまでジャンプ・ブルーズに執心はありません。でも元気を出したい時なんかにはいいです。
来週はジャンプ・ブルーズのもう一つの流れヒューストン・ジャンプのゲイトマウス・ブラウンなどをお送りします。
いよいよアグレッシヴなギターが登場。お楽しみに!